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面接官とは、求職者との面接を行う企業側の担当者のことです。人事担当者や役職者が面接業務を担うケースが多いものの、採用要件や選考プロセス次第では配属部門の従業員が面接官を務めるケースもあります。たとえば、「一次面接では専門スキルを確認する観点から配属先の課長が面接を行い、二次面接(最終面接)では会社として判断するために人事部長が面接する」といったように、採用に合わせてふさわしい面接官を人選するのが良いでしょう。
面接官と採用決裁者が異なる場合、また応募者が多く複数の面接官で面接する場合、面接官の判断基準がずれていると、求職者を正しく評価することができません。こうした事態を防ぐためにも、面接前に必ず確認しておきたいのが「評価ポイント」です。
評価ポイントは、採用の決裁権を持つ関係者で認識をすりあわせ、明確化した上で面接官に共有するようにしましょう。実際の評価ポイントは、職種・業種・職場環境・配属部門からの要望などさまざまな要因で変わります。そういった場合、面接評価シートを用いることで評価基準・観点を整理・すりあわせるようにしましょう。面接評価シートの運用は、最終的な内定の承認を得るときに求められるような、採用稟議の資料としても役立ちます。
※採用稟議については、下記の記事をご参照ください。
・【例文つき】採用稟議書の書き方とポイント
面接をする求職者の応募書類を読み込み、当日の質問や面接の流れをイメージしておきます。また、人材紹介会社に提供している求人情報や就職情報メディアに掲載している情報なども確認しましょう。求職者が自社のどこに興味を持ったのか、どんな疑問があるのかを想像する助けになります。
求職者の緊張をほぐし、話しやすい雰囲気をつくるようにしましょう。面接官から自己紹介をしたり、アイスブレイクを入れたり、面接とは関係のない話をするのも効果的です。
企業が求職者に実際に会って確かめたいように、求職者も企業側と実際に話をして確かめたいと考えています。面接を通して「ぜひ入社したい」と感じてもらうことも面接官の担うべき役割です。そのため、まずは改めて面接官から事業内容の詳細、今後の事業展開、配属予定の部署、想定している業務内容などを紹介しましょう。社外に告知している求人情報では伝えきれなかった内容や詳細な情報を伝えるのもポイントです。
人材を採用するときの評価基準は、大枠で「スキル・経験」と「業務における志向・タイプ」の2つに分類できます。どちらかに偏り過ぎていると、「スキルは申し分ないが、職場の仲間とそりが合わない」「コミュニケーション能力は高いが実務スキルがない」など、入社後のミスマッチにつながる恐れがありますので、注意しましょう。
面接官から一方的に質問をするだけでなく、質疑応答の時間を設けるようにしましょう。ただし、求職者の立場からすれば、給与・残業・転勤・休日・離職率など「重要だけど聞きづらい」質問もあります。面接官が先回りをして伝えることや、「○○についてはいかがですか?」と質問を促すことが大切です。
面接の最後に、合否結果の通知方法・時期の目安や次の選考について必ず伝えるようにしましょう。何も伝えなければ「もしかして不合格だったのかも」と求職者を不安にさせてしまい、先に内定が出た他社を選ぶという結果にもつながりかねません。その意味では、なるべく早期に合否結果を連絡できる体制をつくっておくことも重要です。
はじめて面接をする際に陥りがちなのは、求職者を自分の主観で判断することや、自分と求職者との相性だけで良し悪しを決めてしまうことです。自社にふさわしいか、その仕事にふさわしいかという観点で相手を評価しなければなりません。
面接官が面接以前のプロセスに関与していない場合、それまでの求職者とのやり取りで起きたことを共有してもらうことが大切です。具体的には、「一次面接で求職者から挙がった質問」や「面接日程調整中に要望されたこと」など。求職者の期待とずれた行動を取ったり同じことを何度も繰り返したりすると、不誠実な対応だと感じさせてしまうことがあります。
応募書類を事前に確認せず、面接中に読む。面接の時間に遅れる。面接中に電話で離席する…。こうした行為は、忙しい業務の合間に面接官を担当していると無意識に取ってしまいかねませんが、求職者の心証を著しく悪化させます。面接を受ける側からすれば、企業の情報を事前に調べることも、約束の時間に遅れないことも、アポイントの最中に携帯電話をマナーモードにしておくことも、当たり前の行為です。面接は企業が一方的に選考をする場というより、お互いが見極められる立場だと認識しましょう。
厚生労働省は、採用選考の基本的な考え方を示しており、「応募者の基本的人権を尊重すること」「応募者の適性・能力に基づいて行うこと」の2点を実施することとしています。そのため、たとえば、家族の状況や生活環境といった本人の職務遂行に関係のない事柄は採用選考の基準にすべきではなく、また質問すべきではありません。
面接は直接会って対話をする方法だけでなく、ビデオ会議ツールを活用したオンライン面接という方法もあります。オンラインでもオフラインでも基本的にやるべきことは変わりませんが、距離が離れているからこそのポイント・コツを押さえておきましょう。
安定した通信環境で臨むことは当然ながら、それでも何かの要因でやり取りがしづらくなってしまうことは考えられます。求職者を過度に不安にさせないように、電話面接に切り換える、緊急連絡先を伝えておくなど、対応策を準備しておきましょう。
特に複数の面接官が参加する場合などに一つのカメラ・マイクで対応すると、面接官一人ひとりとカメラ・マイクの距離が離れてしまい、「表情が見えない」「声が聞きとれない」といった状態になる可能性があります。参加者が個別にログインする、マイクの近くで話すなど、画面の向こう側にいる相手に配慮をしましょう。
オンライン面接の場合、画面を通して感じる相手の印象は通信回線の速度やカメラ・マイクの性能、照明の有無・位置などにも大きく左右されます。そうしたことも含めて「オンラインコミュニケーション能力の高さ」が必要な仕事であれば、オンライン上の印象を判断基準にするのは妥当性があります。しかし、実際の業務にそこまで関連がないのであれば、画面越しの印象だけで判断せず、質疑応答の内容で客観的な評価をしたり直接会う機会を設けたりするようにしましょう。
ここまでご紹介したように、面接官の役割は採用を主業務としている担当者だけでなく、さまざまな立場の人たちに担ってもらう可能性があります。面接官が採用業務の全体に携わっていれば自ずと理解しているものも、面接業務だけを任せる場合は円滑に正しく面接をしてもらうようなフォローが必要です。そこで、最後にこの記事のまとめとして企業が面接官に対して準備しておくべきものを再掲します。
人材紹介会社や就職情報メディアに掲載されている情報のコピーなどを共有し、面接官と求人に対する認識を合わせましょう。求職者がどんな情報を読んで応募しているのかを知る意味でも有効です。
採用関係者で認識をすり合わせ、明確化したものを面接評価シートなどに落とし込み、面接官に共有しましょう。
書類選考で気になった点や一次面接の質疑応答で求職者が気にしていたことなど、次の面接で確認してほしいこと、ケアしてほしいことを共有しましょう。求職者の深い理解に繋がるだけでなく、丁寧な対応で採用に臨む会社だと良い印象につながることが期待できます。
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