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リファラル採用が失敗する、ありがちな理由。成功させるポイントを紹介

リファラル採用の基本

リファラル採用とは

そもそもリファラル採用とは、どのような採用手法を指すのでしょうか。リファラル採用とは、一言で言えば、社員に知人を紹介してもらう採用手法のことです。
2018年に株式会社リクルートキャリア(現:株式会社リクルート)が実施した調査によれば、リファラル採用の制度がある企業は、調査対象の7割以上。「制度はないが、導入を検討している」企業も含めると、実に86%の企業が、リファラル採用への意欲があるという結果が出ています。

出典:株式会社リクルート「リファラル採用で社員からの知人紹介数に最も影響が大きいのは「自社の経営情報の公開度」アンケート調査から見える人事担当者の認識と成功影響要素のギャップ(2018年)」

※リファラル採用については、以下の記事をご参照ください。

リファラル採用とは?メリットや定着・促進させる方法を解説

リファラル採用の鍵は、社員をいかに巻き込めるか

多くの企業で活用もしくは検討されているリファラル採用ですが、期待していた割に成果が出ないこともあります。その原因として考えられるのが、社員を上手く巻き込めないことです。

従来からの採用手法である人材紹介や求人媒体(メディア)であれば、採用に関する実務は基本的に採用担当者が担います。求人情報のヒアリングや面接などで人事以外の社員に協力してもらうこともありますが、ほとんどのケースは採用活動全体の一部分です。

それに対してリファラル採用の場合は、社員が自社と求職者をつなぐハブとなるため、社員の存在が重要になります。社員に効果的な動き方をしてもらうための環境づくりやコミュニケーションが、非常に大切な採用手法だといえるでしょう。

リファラル採用のよくある失敗事例

では、ここからはリファラル採用が失敗する要因=社員の巻き込みが上手くいかない要因を見ていきましょう。

社員のエンゲージメントが低い

もし社員が会社や仕事に対して不満を抱いていれば、大切な友人や家族に紹介したくはないはずです。「もっと会社を良くしたい」「良い会社だから大切な人にもすすめたい」といった内発的な動機が芽生えるような関係性がないと、社員からの紹介は期待できないでしょう。そのため、リファラル採用は活動をはじめる以前に人材育成・キャリア支援・働き方の改善・業務を通して自己効力感の醸成などを通して、社員のエンゲージメントを高めておく必要があります。

制度設計が甘い

リファラル採用は、各プロセスで社員に積極的に関わってもらう必要があります。漠然と「知り合いを紹介してほしい」と要請するだけでは、社員はどう動いて良いか分かりませんし、通常の業務の範疇を越えて採用に関わってもらう以上、貢献してくれた社員に対しては会社として報いていくことが必要です。

会社のオフィシャルな活動として制度化し、社員がある程度の範囲で自走できるようにルールを策定することや、Q&A集など対応方法についてまとめたハンドブックなどを検討・準備してもよいでしょう。
また、採用に貢献してくれたときに社員へインセンティブを支給する場合には、支給するインセンティブの内容や支給条件も、社員の貢献度に見合った形になるように十分に検討しておくことが必要です。

短期的な成果を求め過ぎる

人材紹介や求人媒体(メディア)を活用するのであれば、転職顕在層にスピーディにアプローチできるため、短期間で応募を集め、採用に繋げていくことが可能です。それに対してリファラル採用の場合は、社員が声をかける人は必ずしも転職ニーズが顕在化している人とは限りません。

株式会社リクルートキャリア(現:株式会社リクルート)が2019年に実施した調査では、知人の会社に誘われたことのある人のうち、実際に選考を受けた人は54.8%で、おおよそ2人に1人程度。また、選考を受けた人のうち、約7割は、「以前から興味を持っている会社・事業だった訳ではない」と回答しています。
リファラル採用は転職潜在層に多くアプローチできる手法です。今すぐは応募や採用に至らなかった人が、1年後2年後に入社するようなケースもあり、長い目で見た持続的な活動が必要です。

出典:株式会社リクルート「リファラル採用で声をかけられた人の実態調査 知人に誘われた人のうち、2人に1人が応募 そのうち7割は「興味がなかった」企業へ応募(2019年)」

リファラル採用を成功させるポイント

リファラル採用は上述の失敗要因を避けることに加え、以下のような観点を押さえておくと、成功確度をより高めることが期待できるでしょう。

社員にビジョン・ミッションが浸透し、自社の状態を理解している

リファラル採用の形式上、その社員が知っている以上の情報を伝えることはできません。また、社員の認識が誤っていると、選考をしても不採用になる人や入社後のミスマッチが増えてしまいます。会社の根幹となるビジョン・ミッションを社員一人ひとりが正しく理解していることはもちろん、会社の業績や今後の経営戦略などを透明性高く社内に発信していくことも、リファラル採用の成否に影響します。

採用情報や選考情報が社内でオープンになっている

その社員と同じ部門やポジションの採用であれば、仕事内容や働き方・待遇などある程度の情報を伝えることができますが、知人が応募したい採用ポジションが社員と異なる部門や職種であった場合、すべての情報を詳細に伝えることは難しいでしょう。今採用しているポジションの一覧や、選考や人事制度に関することなど、求職者が気になる情報に社員が応えられるよう、情報を開示しておくことが大切です。
たとえば社員だけがアクセスできるWebページなどに、リファラル採用の情報をまとめた特設ページを公開しておくのも一つの方法です。

リファラル採用に協力した社員に、適切なインセンティブがある

リファラル採用に関わってくれた社員に一定の報酬(インセンティブ)を支給することもポイントの1つです。ただし、インセンティブはただ与えれば良いというものではなく、支給条件や支給方法をケアしましょう。
たとえば、人材を紹介してくれたときと、入社が決定したときの二段階でインセンティブを設けておくのも方法の一つです。紹介して終わりではなく、選考中も採用が成功するように積極的にアシストしてくれるような動機付けになります。

まとめ

リファラル採用には、以下のような特徴があります。

  • 社員に知人を紹介してもらう採用手法
  • 人事担当者ではない社員の、採用活動への関与度が高い
  • 社員を上手く巻き込めないと、リファラル採用に失敗しやすい

よくある失敗要因は、以下のような事例です。

  • 社員のエンゲージメントが低く、自社を友人・家族に紹介したいと思われていない
  • 制度設計が不十分で、リファラル採用の動き方が分からない
  • 採用に協力することのメリットが感じられない(インセンティブ等)
  • 短期的な成果ばかりが求められる

成功確度を高めるには、こちらの観点も押さえておきましょう。

  • 会社のビジョン・ミッションを浸透させ、透明性の高い事業運営をする
  • 採用情報や選考情報を社内でオープンにする
  • 協力してくれた従業員に、適切なインセンティブで報いることも検討する

リファラル採用は、人材紹介や求人情報メディアのように外部コストがかからない分、手軽に始められるのが魅力です。しかし、採用をメインミッションとする人事担当者以外の人たちの介在が、他の採用手法以上に重要になってくるからこそ、社員のみなさんにどう効果的に動いてもらえる状態をつくるかが鍵になります。確実に成功へと導くには、漠然とはじめるのではなく、綿密に計画・準備をして臨みましょう。