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企業が新入社員に求める資質、期待することとはどのようなことなのでしょうか。
筆者がこれまで多くの企業様と面談し、受けた採用に関するご相談に基づき、新入社員に求められることとして以下の4つのポイントをご紹介します。
社内、社外に関わらず、人間関係の基本は信頼関係を築くことから始まります。
コミュニケーション力を向上させるには、相手に対して興味を持って話を聴く姿勢が大切です。真摯に話を聴いてくれる相手に対しては好印象を抱くことが多いため、良好な関係性を築くことができるのです。
ビジネスの場で重要なスキルの一つになるため、常に傾聴することを心がけると良いでしょう。
※コミュニケーション能力に関しては、以下の記事をご参照ください
コミュニケーション能力とは?高い人の特徴や低い原因など高める方法を解説
学生時代とは異なり、社会人として仕事をするうえで最低限のビジネスマナーを身につける必要があります。ビジネスマナーとは挨拶、身だしなみ、言葉遣い、電話対応などの基本的な対人スキルです。すぐにできるようになるわけではないため、普段から心がける必要があるでしょう。
ビジネスマナーを身につけることで、相手に好印象を与え、より良好な人間関係を築くことができるようになります。
指示されたことだけをやるのではなく、状況判断をもとに自ら考え主体的に行動を起こすことができることは、ビジネスの現場では大きな力となります。
今何が必要か、自分にできることは何かを考えて実行できる能力は、組織の中で大いに役立ちかつ必要不可欠な人材となり得ます。自分の意見を明確に伝える、表現する力はグローバル競争の激化が進む中でも問題解決能力としても発揮することができるでしょう。
新入社員は一人前になるまでは一人で仕事を完結することは難しいかもしれません。そのため、頼まれた仕事に対して、必ずその進捗状況を上司に報告することが求められます。また一人で判断ができないことも多いため、その都度、先輩や上司に相談をしながら進めていくことが大切です。そうすることで、周囲の人達も新入社員の現状の把握ができるため、必要なアドバイスやフォローがしやすくなり、問題が起こる前に未然に防ぐことができるメリットがあります。
では、新入社員が仕事をするうえで、直面する問題や悩みとはどのようなものでしょうか。以下、3つのポイントについて触れておきます。
「仕事についていけるのか」「私生活とのバランスがとれるか」など、さまざまな心配や不安が募っていることでしょう。背景として、オンライン環境に慣れているため、仕事とプライベートのメリハリがつけにくいことが影響し、仕事のやり方、私生活とのバランスについてどのようになっていくのか不安が高まっていることも要因の一つと考えられます。また人間関係についても、同期となる人達や先輩と上手くやっていけるのかといった漠然とした不安もあるでしょう。
しかし、過剰に不安にならず、相手の話に耳を傾けて人となりを理解しようと努めることで関係も円滑に動きだします。
参考:リクルートマネジメントソリューションズ「【調査発表】2021年 新入社員意識調査」(2021年6月28日)
デジタルツールやSNSの普及により、対面でのコミュニケーションや自分の言葉で直接相手に伝えることに苦手意識を持っている背景がある新入社員にとって、仕事上での対面による人間関係形成に不安を抱えることもあるでしょう。
たとえば、仕事上でわからないことがあっても先輩や上司に明確に伝えることができず、質問するタイミングなどに戸惑うことも恐らく多いのではないでしょうか。何度も同じことを聞いたり、段取りを確認したりすることで、先輩・上司に悪印象を与えてしまうのではと危惧することもあるかもしれません。
聞きたいことがあるときは、あらかじめわからないポイント、質問したいことを整理しておきましょう。また、先輩・上司の仕事の状況を確認しながら質問するべきタイミングを把握しておきましょう。不明点を再確認することができると同時に、質問する相手への配慮もできるようになります。
仕事は時間とともに慣れてくれば適切に対応することができるようになります。しかし入社して日が浅いときは上司に依頼された業務がなかなか思うように進まないこともよくあります。
まずは依頼された内容に対して、期限はいつまでなのかを確認し、優先順位をつけて取り組むことが大切です。To doリストなどを作成し、自己管理できるようにしておきましょう。常に優先順位をつけて取り組むことで、業務の処理能力も高まることでしょう。
専門的な知識やスキルを入社後に短期間で習得することは難しいものです。しかし、すでに自分が持っている能力に注目することで、仕事に使えるスキルが見つかるかもしれません。
新入社員にとって役立つスキル・使えるスキルとはどのようなスキルなのか、以下に3つの例をご紹介します。
課題や問題に対して、筋道を立てて考え、主張と根拠を論理的に説明する思考方法のことです。物事を順序よく明確に把握できるため、問題解決力が高まり説得力が増すという特徴があります。
対人スキルとして欠かせないのがコミュニケーション能力です。たとえば、もし約束の時間に遅刻してしまい良くない印象を持たれてしまったとしても、その後のコミュニケーションで関係性を良いものへと転換することは可能なのです。相手への興味・関心を持ち真摯に話を聴くことを心がけることが必要です。
※傾聴に関しては、以下の記事をご参照ください。
ビジネス力を高める「傾聴」とは?効果や種類など傾聴力を高めるトレーニング方法
自己管理能力(セルフマネジメント)を向上させるには、例えば仕事の進め方を策定する、段取りをつけて行動をする、すべきことの優先順位をつけるといったことを意識するとよいでしょう。
どの仕事をどのような段取りでいつまでに終わらせるか、その進捗を管理できる能力を身につければ、効率的に仕事ができるようになるでしょう。
新入社員の各種研修・セミナーなども多数開催されています。一例として、リクルートマネジメントソリューションズでは以下のような新入社員向けの研修を開催しています。このような研修を活用して新入社員が不安なく仕事で役立つスキルを体系的に習得する方法もあります。
参考:リクルートマネジメントソリューションズ
「今の時代の新人・若手の生かし方・育て方」
「新入社員育成のためのOJTリーダー育成研修 | OJTリーダースタートアッププログラム」
経験を積んだ社員は仕事の進め方やコツなどがすでに身についているため、新入社員が何をどのように悩んでいるのか理解しづらいこともあるでしょう。
新入社員の指導・育成をすることは会社にとっても重要な役目となります。
では、実際に新入社員の教育係やメンターとなったときに気をつけること、意識しておくことについて、以下の3つのポイントに触れておきましょう。
新入社員が一番多く接するのは指導担当となった社員です。不安で一杯の新入社員に対して、その不安を取り除き、信頼関係を構築することが今後の指導にとても大切なのです。指導担当社員は新入社員に先入観や偏見を持たず、むしろ興味・関心を持ち積極的に話に耳を傾けるようにしてください。
大事なことは、指導担当者自らが心を開くことにより、話を聴いてくれる人だと認識してもらうこと。新入社員が指導担当者の話をよく聴くようになり、指導内容の理解や吸収も早くなるでしょう。
経験のある社員からすれば簡単だと思われる単純な仕事も、新入社員からすれば難しいと感じることがあります。また、明確な指示がなく依頼された場合、どうすれば良いのかわからず、不信感につながってしまうこともあるかもしれません。
仕事を依頼するときは、目的といつまでに仕上げる必要があるのかなど、具体的に説明し、できれば手順などを実際に一緒にやってみることが効果的です。
そうすることで、依頼の目的や背景を理解するため、積極的に取り組む姿勢が養われ今後のパフォーマンス向上につながるでしょう。
依頼した仕事に対して、的確なフィードバックをすることが大切です。新人ですから最初は上手くできないことも多いかもしれませんが、その中で工夫をしている点や良いところを見つけて褒めることが必要となります。
改善点を指摘したら、良い点を褒める、こうすることで新入社員は自分の成果を認めてもらえたと感じ、自己効力感が高まり、仕事への意欲が増し好循環につながるでしょう。
また、指導担当者が過去の自分の失敗談などを交えながら話せれば、安心感を与え、指導者への親近感も増すことになるでしょう。
新入社員にとって仕事とはこれまで学んできたことを社会に還元し、自らの価値と向き合う初めての機会となります。
新しい世界へと一歩踏み出すのですから、自信と勇気を持たなければなりません。
そして、受け入れる企業は新しい価値観を持った新入社員の内面に関心を寄せ、行動の背景にある経験、思いを理解しようと努める姿勢が大切です。そのうえで、企業側の考えも伝えて相互理解を深める努力をすることが、新入社員の自律・自走につながり企業全体の新たな価値の創出へと向かっていくことでしょう。