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ロジカルシンキングとは、「論理的な考え方」という意味です。物事や情報を「根拠」と「結論」に分けて捉え、矛盾のないように筋道を立てて結論を導き出す思考方法のことです。
ロジカルシンキングを構成する観点として、主に以下の6つが挙げられます。
合理的な考え方とは、問題や課題に向き合ったときに重要性が高いものとそうでないものとを見極め、無駄がなく効率的な対応で問題を解決できるようにする考え方です。
漏れなく情報を把握し、整理することです。起こった事実や状況を適切に分解することで、問題点やその原因、適切な解決策を把握しやすくなります。
言葉の正しい定義や数字の正確な値に着目して考えることが重要です。
起こる物事にはそれを引き起こす原因と結果があるとする考え方のもと、原因と結果の結びつきのことを「因果関係」と呼びます。問題の本質にたどり着くためには、何かあったときに正確な原因を把握することが大切です。
バイアスとは、物事や人に対する考え方や意見の偏り、先入観を指します。バイアスに囚われずに全体を俯瞰し、バランスのとれた思考や判断につとめることが重要となります。
主張したいこととその根拠が明確かつ乖離がなく、主張に説得力を持つ考え方のことです。ロジカルシンキングでは考えや意見に筋道が通っていることが重要であるため、後述する「演繹思考」と「帰納思考」を合わせて納得のいく論理を構成します。
ロジカルシンキングを身につけるとどのようなメリットがあるのでしょうか。ここではメリットを3つ挙げてご説明します。
根拠と結論がある矛盾のない筋道の通った説明ができるため、相手を納得させられる話し方ができ、伝達能力が向上します。
ビジネスの場では、メールやチャットといった連絡手段を取る場合もあります。そのようなときにも一貫した説明ができることで、相手にこちらの考え方が正しく伝わりやすくなるでしょう。
相手の考えやニーズを的確に捉える傾聴力の向上により、正確な意思の疎通がはかれコミュニケーションがスムーズに運びます。
※コミュニケーションについては、下記の記事をご参照ください。
コミュニケーション能力とは?高い人の特徴や低い原因、高める方法を解説
ロジカルシンキングでは常に本質を考えて根拠と結論を捉えることができるため、論理的思考能力が高まります。
そのため、客観的に物事を見られるようになり、問題解決力や分析力の向上も期待できるでしょう。
ロジカルシンキングの手法は「帰納法」「演繹法」の考え方が軸となっています。
複数の事例を挙げ、その事例の共通点を導き出し、共通点から結論をだす手順を踏む論法展開手法のことを指します。
できるだけ多くの実例を挙げることにより、問題の本質がわかりやすくなります。
既に存在するルールや基準に事象を当てはめて、最終的な結論を導き出す論法展開の手法のことを指します。既に自明の前提条件から始め、その結果を元に結論を導き出すため、複雑なテーマも結論づけることができます。
ロジカルシンキングには思考方法のフレームワークがあります。以下に代表的なフレームワークを2つ紹介します。
ロジックツリーは問題点を定義して、体系的に情報を整理、分類するのに役立つフレームワークです。
まず最終目標を決め、そこから木(ツリー)の枝ように具体的なアクション方法を細分化していく方法となります。
これにより、抽象的であった課題や問題点に対する具体的な取組みを理解し、明確化できるようになります。
ピラミッドストラクチャーは結論と根拠の構造を作るフレームワークで、理論の展開が可視化できる特徴があります。
一番重要な結論や主張をピラミッドの頂点に置き、その下に結論を支えていく根拠を積み重ね配置する手法を取ります。ピラミッドの階層が下にいくほど結論が強固となるため、結論に至った根拠・理由を相手が理解しやすくなります。
ロジックツリーと似ていますが、根拠を並べて結論の正しさを証明するフレームワークであるため、可視化された根拠により相手を説得する際に役立ちます。
ロジカルシンキングのフレームワークは活用できるものが他にもあります。いくつかのフレームワークを使うことで、その特徴が理解できるようになるでしょう。
※フレームワークについては、下記の記事をご参照ください。
人事戦略に使えるフレームワーク、活用するコツや立て方を徹底解説
これまでの説明で難しいと感じる方もいるかと思いますが、意識して実践することで論理的思考を十分に身につけることが可能となります。ロジカルシンキングのトレーニング方法の一例をご紹介します。
日頃使っている曖昧な表現をより具体的に変えることが論理的思考のトレーニングとなります。抽象的な言葉は相手の誤解を招き、自分が伝えたいことが正しく伝わらないことがあるからです。
書き出すことで頭が整理されますので、文章にまとめる練習をしても良いでしょう。
原因と結果のような因果関係を作り、論理の骨組みをしっかり保つことは、論理的思考を行ううえでとても重要となります。ロジックが複雑だと相手に理解されず伝わりにくくなるため、シンプルに構成することを意識しましょう。
ロジカルシンキングは課題・問題解決・事実確認といった目的を達成するための手段です。論理的な思考やフレームワークに固執して、目的を見失わないように常に意識することが大切でしょう。
ロジカルシンキングを用いて相手に自分の意見や主張を伝えて理解してもらうためには、相手目線で物事を捉えることも必要になってきます。相手の視点で考えるように常に心がけましょう。
ロジカルシンキングは意識してトレーニングをすれば身につけることができる思考ですが、上手くできないこともあるでしょう。
筆者がこれまで相談を受けてきた中で、上手にできない人には以下のような特徴がみられることが多いようです。
事実とそれ以外についての区別がつけにくい傾向があり、話の内容が事実に基づいたものではなく、感情に支配されてしまい、いつの間にか自分がいいたかったことの論点がずれてしまいがちになります。
また、相手の反応から自分の主張が相手に伝わりにくいことに気づき、時には相手に自分の感情をぶつけてしまうこともあります。
ある行動について説明を求められたときに、行動のもとになる理由、つまりどのような理由でそうしたのか、行動の根拠を説明することに苦手意識を持っています。また自分の中で話の論点が明確になっていないため、結論をはっきりと答えられない場合もあります。
一因として、起こった事象を頭の中で一つ一つ整理して理解できていないことがあるようです。
元々他者視点がなく、自分中心の視点でしか物事を見たり考えたりできないため、視野が狭い状況です。
他者目線での物差しがなければ、相手に理解してもらうような説明は難しいでしょう。
自己中心的な視点しか持たない場合、上記のように相手側に立った物の見方、考え方が難しいことにより、相手の話を傾聴する姿勢も同様に欠けてしまう場合も見られます。
先にも述べた通りロジカルシンキングはトレーニングを行うことでできるようになるスキルですので、上手にできないときは、ここで挙げた4点について振り返ってみましょう。
※傾聴については、下記の記事をご参照ください。
ビジネス力を高める「傾聴」とは?効果や種類など傾聴力を高めるトレーニング方法
メリットの多い思考法であるロジカルシンキングですが、注意点もあります。
フレームワークや論理的思考に固執してしまうとコミュニケーションを取る際に相手に論理や正論を押し付けてしまうことにもなりかねません。
また、相手の感情を考慮せずに正論のみを押し付けることで人間関係がこじれてしまうリスクもあり得ます。
ロジカルシンキングという「手段」が「目的」にならないように、本来プロセスが重要であることを意識する必要があります。
最終的な目的、課題・問題の解決、コミュニケーションの円滑化などをあらかじめ共有しておくことが重要でしょう。