目次
中途採用とは、新規卒業者以外の、就業経験がある人の採用のことを指します。
新卒採用との比較をもとにより詳しく説明していきます。
中途採用は、欠員補充や新規事業立ち上げなど、その領域の経験者を即戦力として採用したい場合に行われることが多いといえます。人員不足やノウハウ不足などを解消するため、すぐに戦力として活躍できる人材が必要という緊急度が高いケースが多くあります。
一方で、学校卒業後に就業経験のない未経験者を育成前提で採用するのが新卒採用です。新卒採用は将来的な企業の成長を見越し、会社を担える人材を育てていく意図があります。そのため、育てる余力がある場合に採用を実施するというケースもあります。
なお近年は中途採用と新卒採用の間に位置する「第二新卒採用」に力を入れる企業もあります。厚生労働省によると「第二新卒」とは「学校(高校、専門学校、短大、高専、大学、大学院)卒業後、おおむね 3年以内の者(学校卒業後すぐに就職する新卒者は除く。また、職務経験の有無は問わない)。」と定義されています。
「第二新卒」という言葉は一般的に大学・短大・専門学校・高校などを卒業後、就職したのち数年で退職した人材を指して使われることが多く、新卒と比較してある程度のビジネスマナーなどは身についているものの仕事のスキル・経験は入社後の育成を前提とした採用になります。新卒と比べると立ち上がりが早く、比較的早期に活躍できる人材に育つことを期待した採用になります。
※第二新卒に関しては、以下の記事をご参照ください
第二新卒とは?第二新卒を採用する方法やメリット・デメリットを詳しく紹介
参考:厚生労働省「若年者雇用を取り巻く現状」
採用理由は企業によってさまざまです。具体的な例としては「欠員の補充」「専門的能力を有する人材の確保」「社風の改革」などがあります。
企業は、経営環境の変化に対応しながら存続し成長を遂げていくために、適時経営に関する計画を立案し、計画に基づく戦略を実践しています。
戦略の実践には必要な人員を組織に配置して能力を活用していかなければなりません。
そのため企業内に在籍する従業員だけでは必要な配置が行えない場合、不足する人材を、中途採用を通じて確保することがあります。
企業が市場での競争に打ち勝つための戦略を実践していくために、専門的なスキルやノウハウなどを有した人材が必要になる場合があります。こうした専門的なスキルやノウハウを企業内に在籍する従業員だけでは賄えない場合、必要な人材を、中途採用を通じて確保することがあります。
たとえば、企業が新たな製品やサービスを開発し、あるいは新規事業に参入する場合に、特定の技術や知識、業務経験などを有した人材を外部から確保するなどの対応が考えられます。
企業には、就労することに対する独自の考え方や価値観、すなわち社風というものが存在します。
それに関して、今後企業が成長していくために社風を変化させていく必要がある場合に、外部から起爆剤となる人材を採用し既存の組織に混ざり合わせることで実現させるという方法を企業が選択することがあります。
そのときに必要な人材を、中途採用を通じて確保することがあります。
中途採用をするメリットはどのようなものがあるのでしょうか。今回は以下の2つを取り上げて説明します。
欠員補充など緊急度が高い場合に中途採用に踏み切るケースが多く、入社後すぐに活躍してもらうことが前提になります。そのためそのポジションの経験やスキルがすでにある人材を採用するのが一般的です。教育コストもかからず、組織への早期貢献が期待できます。
近年多いのがDX、IoTなどこれまでなかった技術や新規事業を立ち上げる際に、そのスキルを持った人材を外から中途採用で採用し、事業をけん引してもらうというケースです。場合によっては事業責任者として採用し、これまで自社になかった事業の展開や、将来的な事業拡大を図っていきます。
中途採用には、新卒採用と比較をした場合のデメリットも存在します。
以下に、主なデメリットを3つ解説します。
中途採用者は、就業経験のある人材です。
そのため、就業することに対する独自の考え方や価値観を持った状態で入社する場合があります。本人が抱いている就業することに対する考え方や価値観が自社の社風などと乖離していた場合、組織になじめないことによる早期離職を引き起こすことがあります。
中途採用の場合は、求職者と個別の交渉を行うことが多いため、新卒採用のような同時期での大量採用が難しい場合があります。
採用人数を多く設定したうえで募集を行ったとしても、それに見合う人数の応募が来るという保証はなく、応募が来たとしても同時期に採用が決定するという保証もないからです。
中途採用の場合は、新卒採用のように一度に大量の人数を採用することで必要とする人材を確保するのではなく、その都度採用を行う場合が多いです。そのため求人企業が採用活動を行わなければならない回数が多くなります。
また優秀な人材を採用する場合、採用ノウハウを有する人材紹介会社に手数料を支払わなくてはならないケースもあり、採用にかかるコストを準備する必要もあります。
これらのことで、採用コストが高くなってしまうことがあります。
突然の欠員補充対応にも困らないように、実際に中途採用に取り組む際の基本的な流れをおさえておきましょう。
中途採用は一般的に、採用計画の作成(採用人数、採用部署・ポジション、採用基準・要件、採用予算など)→採用活動(母集団形成→選考→入社前フォロー)→入社後フォロー、という流れになります。
各フェーズについて詳細を説明します。
採用においては、まずは「採用計画」を立てることからスタートになります。
採用計画は、事業をどう伸ばしていくかという事業計画と人員計画をリンクさせて考えていくことが重要です。そして人員計画をもとに「採用人数(目標)」と「採用ポジション」を明確化します。
「採用ポジション」が決まったら、「求める経験などの採用要件」や「求める人物イメージ」などを含めた「採用基準」を配属先現場と擦り合わせていきます。感覚値で捉えがちな採用要件は言語化し、役員、配属現場、採用担当が共通認識を持つようにするとよいでしょう。
その際に採用フローも決めていきます。採用フローとは具体的には、どのような選考フローにするか、誰が面接をするか、どのような基準で評価をし、どのように共有するのか(評価シートの内容から共有方法まで)といった内容です。
採用ポジション・採用基準が明確になったら、採用予算を立て予算に合わせて使う採用ツール(人材紹介、求人広告、ダイレクトリクルーティングなど)を検討していきます。
採用ツールについてはこの次で説明します。
採用活動を進めるにあたりポイントとなるのが母集団形成です。母集団形成とは応募者を集める活動のことで、応募数を担保することに加えて、マッチするターゲットを集めることが重要となります。
その背景として、転職活動では複数の企業に同時に応募する人が多いため、選考時の辞退なども一定数見越す必要があります。必ずしも応募1名で1名採用ができるというわけではないため、1ポジションを採用するために複数の応募者を募るのが通常です。
また、近年採用ツールも多様化してきたため、ポジションや求めるターゲットと採用予算に応じて使うツールを使い分け、ベストなツールを活用していきます。たとえば専門職種に特化した転職サイトや人材紹介会社もありますので、どのようなツールや人材紹介会社を利用するか見極め活用していきます。
応募者を集める母集団形成フェーズの次は、その中から選んでいく「選考」フェーズになります。企業側からするとマッチする人材を選んでいく「選考」ですが、応募者側からするとどの企業が自分にマッチするか企業を選んでいく「選考」でもあります。
そのため選考フェーズで気を付けるポイントとしては、マッチする人材の選定とともに、「魅力づけ」をする場でもあるということをおさえておく必要があります。面接官の態度や合否連絡のスピード感などで欲しい人材を逃してしまうリスクもあるため、面接官の面接力向上や選考スピードの向上に力を入れる企業も多くあります。
選考を終え内定受諾となった場合も安心はできません。候補者が退職交渉で在籍企業から引き留めにあったり、入社まで1~2か月空くことで不安が大きくなったり、心変わりをしてしまうというケースもあります。そのため、内定受諾となったからと安心して入社まで連絡を取らないというのは避けましょう。
内定受諾後も定期的に連絡を取り、入社に向けて不安がないか、退職にあたって在籍企業の引き継ぎは順調に進んでいるかなど入社前のフォローをしていくとよいでしょう。
中途採用の場合、即戦力だからと入社後は配属先任せにしてしまう企業もありますが、入社後スムーズに活躍するためのフォローを行うオンボーディング(受け入れ~定着・戦力化への支援)という過程が近年重要になってきています。
スキルや経験はマッチしていても、企業文化やルールが違ったり、組織・風土に馴染むのに一定時間がかかったりします。そのため配属先や担当業務に早期に馴染むためのフォローは、採用担当・配属先が一体となって施策を練り取り組んでいくのがよいでしょう。
※オンボーディングに関しては、以下の記事をご参照ください
オンボーディングとは?人材の受け入れ~戦力化までの手順、メリットを解説
実際に中途採用に取り組む際に、採用成功に向けて重要なポイントとはなんでしょうか。
中途採用を成功させる3つのポイントを解説します。
採用はノウハウによる部分も大きいため、できるだけ採用における情報を集約する担当を配置するのがよいでしょう。採用人数が少ない場合は兼務の担当でもよいので、採用に関わる情報を集約することが大事です。
各現場主導で採用を行っているケースもありますが、(採用戦略上、現場主導にしているケース以外は)主業務優先となり採用業務が後回しになったりするケースもあります。候補者への連絡が滞るなど、候補者へ不安を与えかねません。採用を管轄する部門や担当を置くことで、情報も集約でき候補者へ適切な対応ができます。まずは採用体制を作ることが重要なポイントになります。
中途採用は、突然の欠員補充など想定しない採用が発生することもありますが、採用の年間計画(採用人数、採用部署・採用ポジション、採用予算)を明確にすることは重要なポイントになります。採用計画を立てることで、どのような採用ツールを使いどれくらいの母集団を形成するかといった行動計画と目標を数字に落とすことができ、振り返りや改善も図りやすくなります。
また、面接での判断基準を特定の面接官任せにせず、採用基準や採用要件として明確化し社内で共有することで、面接官が複数いる場合にも目線が揃い、誤った判断を下してしまったり、採用すべき人材を採り逃してしまうなどの事態を減らせる可能性が高まります。
採用の成功に向けては数値目標を立て振り返り、改善を図っていくPDCAも重要です。その過程で自社の採用ノウハウが蓄積されていきます。
募集ポジションを採用できたら終わりではなく、入社を決めた候補者は自社のどこに魅力を感じ、何が入社の決め手となったのか、どのような人材にどのような魅力づけが有効なのかなどを振り返り、分析を通じて自社の採用の強みやアピールポイントを作っていくことが重要です。
中途採用の市場は年々変化を遂げており、採用したい職種によっても難易度が変化し続けています。たとえばDXなどの高まりでIT人材も採用難易度が高く、採用成功に向けて戦略が必要になります。
採用環境や市場を事前に把握したうえで、採用の打ち手を考えていくことが重要になります。
同時に売り手市場の人材にどう魅力づけしていくかという「自社の魅力づけポイント」を整理していくことも、採用成功に向けては重要になります。企業によっては優秀なIT人材を採用するために、新たな制度(フレックス、リモートワークの導入や福利厚生の充実)の導入に踏み切るケースもあるといいます。
そのため、採用の成功には母集団形成と選考などの採用過程を強化改善するだけではなく、制度を含む自社の魅力づけポイントの強化など会社をあげて準備し取り組んでいくことも検討してみましょう。
※中途採用の状況に関しては、以下の記事をご参照ください
【2022年|中途採用市場】全15業界の最新状況を解説
今回、中途採用の基本から採用成功に向けたノウハウをまとめましたが、変化する採用環境や市場感を掴み適切なアプローチをするためには、人材紹介会社など外部パートナーを最大限活用して中途採用を進めていくことも可能です。自社の状況や募集ポジションを踏まえて、まずはできることからステップを踏み進めていくとよいでしょう。
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