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エンジニアは大きく分けて、ITエンジニアとものづくりエンジニアがあり、それぞれの採用市場や今後の動向をまとめてみました。
ソフトウェアや情報システムの設計・開発・運用の仕事に関わるエンジニアを指し、手がけるシステムの種類や役割によって職種が細分化されています。主にプログラマ、システムエンジニア(SE)、インフラエンジニア、組み込みエンジニアなどがあります。
国内におけるIT市場は年々大きな拡大を続けており、政府の試算によると2030年には最大79万人のIT人材が不足するといわれているほどです。
昨今は新型コロナウイルスの影響を受け、全国のITエンジニアの有効求人倍率は下降していますが、1倍を切ることはなく、全体と比較してもまだまだ売り手市場と見ることができます。
出典:「一般職業紹介状況」(厚生労働省)の職業別一般職業紹介状況[実数](常用(除パート))(PDF:212KB)より情報処理・通信技術者の数値を抜粋。
コロナ禍において企業のIT投資の見直しに伴い、SIerやSE求人が減少し、即戦力を求める傾向が高まっています。一方でウィズコロナによりニーズが増加した企業の中には積極採用を続けているところもあり、二極化が進んでいるといえます。
その中でも変わらずにニーズが高いのが、デジタルを活用して企業やビジネスに新しい価値をもたらす「DX(デジタルトランスフォーメーション)」に関する分野。今後ますます加速していくDX時代において、AI技術やIoTシステム構築技術、セキュリティ技術、ビッグデータの収集・分析・解析技術を持つエンジニアのニーズがさらに高まっていくことが予想されます。
自動車や電気機器、産業用機器など、製造分野で働くエンジニアを指します。具体的には機械エンジニア、電気・電子回路エンジニア、化学製品の設計や研究、生産技術など、さまざまな仕事が存在しています。
ここ数年、積極採用を続ける企業の多かった製造業ですが、新型コロナウイルスの影響により世界的な製品需要の減少が起きています。有効求人倍率は引き続き全体より高く推移しているものの、これまでよりは求めている人材に出会える機会が多くなる可能性があります。
出典:「一般職業紹介状況」(厚生労働省)の職業別一般職業紹介状況[実数](常用(除パート))(PDF:212KB)より開発技術者の数値を抜粋。
製造業界にとっても、DXの推進が急務となっています。製造現場における慢性的な人手不足の解消や、コロナ禍におけるリモート促進などを目的として、ロボットやAI、IoT、自動化、画像処理などの分野でニーズが高まっていくと予想されます。また、5Gの普及やテレワークの広がり、自動車生産の回復に伴い、2021年は半導体の市場規模が過去最大になると予測されており、注目分野の一つです。
勢いのあるスタートアップ企業や大手企業も積極的に中途採用を行っており、人材獲得競争が激化するエンジニア採用市場。優秀なエンジニアを採用することはこれまで以上に難しくなってきています。そこで最初に取り組むべき3つのポイントをご紹介します。
まずは変化し続けるエンジニア採用市場の現状と全体の流れを知る必要があります。特に採用手法は多様化していますので、網羅的に把握し、自社の採用ターゲットや採用難易度、予算などにあった方法を検討することから始めましょう。採用活動の流れは基本的に他の職種と変わりません。採用要件の定義、ペルソナの設計、自社や募集職種の魅力の整理、書類選考や面接などの選考、振り返りという流れになります。
どの職種においても採用の要件定義は必要ですが、エンジニアの場合、明確な技術やスキル、経験年数などデジタルで設定しやすい分、条件を絞りすぎると人材紹介サービスなどでなかなか候補者があがってこないというケースもあります。エンジニア採用市場と照らし合わせながら、どれくらいの人数がいるのか、採用ターゲットと自社の給与レンジが合うかなどを把握しながら、調整をしていく必要があります。
また、スキル・経験だけでなく、組織内で期待する役割や人物像、キャリアの志向性(スペシャリスト/マネジメントなど)なども明確にしていくことで、入社後のアンマッチを防ぐことにつながります。
採用競合と自社の違いを明確に把握することが、自社の採用力強化につながります。オープンになっている求人情報や求人広告など、調査材料は数多くありますので、給与、休日休暇、勤務時間、福利厚生などを比較分析してみてください。また、他社がエンジニアに対してどのような訴求をしているのかも参考になるはずです。採用市場における自社の強みと弱みを把握し、優秀なエンジニアに選ばれる企業を目指して、必要に応じて募集条件の改善を検討するのも一つの方法です。
優秀なエンジニアに選ばれる企業になるためには、エンジニア目線に立った環境づくりや情報提供をしていくことが大切です。そこで、優秀なエンジニアが企業を選ぶ際に重視するポイントをまとめました。
かつては激務という印象も強かったIT業界ですが、今では業界全体として働き方改革が進んでおり、残業時間や休日休暇などワークライフバランスを重視する傾向が高まっています。また、優秀なエンジニアほど生産性や合理性を重視する傾向にあるので、「リモートワークが可能か」「時間的に自由度があるか」「副業が可能か」という点も重要なポイントになります。非効率な慣習やルールを見直し、柔軟な働き方のできる職場を作り上げることは、優秀なエンジニアを採用する第一歩につながります。
速いスピードで進化する業界で、常に技術の向上が求められるのがエンジニアの世界。技術力が自身の価値にもつながるため、優秀なエンジニアほど「転職先企業の技術レベルはどれくらいか」「どのような技術やスキルを習得できるのか」を重視しています。ただし、エンジニアの場合、技術を極めていきたいスペシャリスト志向、PM(プロジェクトマネージャー)やテックリードとして開発案件を率いていきたいマネジメント志向など、求めるキャリアは人それぞれです。最適なキャリアパスが描ける環境を作ることも、優秀なエンジニアを採用する上で大事なアピールポイントになります。
自分が入社したときに、どんな仕事ができるのか具体的にイメージできることが重要です。担当するプロジェクトやプロダクトの詳細、任せる業務フェーズやポジション、開発環境、組織体制など、できるだけ詳細に記載しましょう。取引先企業や開発実績などを伝えられるとよりイメージしやすくなります。競合他社と比較した場合の仕事の面白さや魅力なども伝えられるとより訴求力が高まります。
会社のあり方やビジョンが反映されやすいのが、組織の作り方。昨今ではCTOのほか、VPoE(Vice President of Engineer:エンジニアのマネジメント責任者)やエンジニアリングマネージャーを置く企業が増えていたり、ピラミッド型の構造ではなくフラットに協力しあえるティール組織を取り入れたり、各社がさまざまな工夫をして組織作りを行っています。チームで協力しながら働く仕事だからこそ、こうした効果的なチーム作りに向けた取り組みは、優秀なエンジニアへの訴求になります。
技術やスキルに自信のある優秀なエンジニアにとって、正当に評価される制度になっているかは非常に重要です。実際にTech総研※が「会社を辞めたいと思ったことがある」エンジニア400人を対象に行ったアンケートによると、1位は「給与が上がらなかった・下がった」という結果に。金額そのものも重要ですが、それよりも評価制度や報酬体系が正当かつ明確で納得できることが何よりも大切です。評価制度が形骸化していないか、評価や昇進・昇格の基準が明確になっているか、ぜひ見直してみてください。
参考:Tech総研:株式会社リクルートが提供する、エンジニア向けの情報サイト
ビジネスのあらゆるシーンにITが浸透していくことで、IT業界のビジネスモデルも多様化。優秀なエンジニアほど、転職先企業のビジネスが社会や世の中にどんな価値を提供しているのか、将来性のある分野なのか、コア技術は何か、自分にとってどんな利益や学びがあるのか、などを冷静に見極めています。わかりやすい説明や数値で、ビジネスモデルの魅力を適切に伝えることが重要です。
エンジニア採用が活発化する中で、その手法は広がりを見せています。代表的なものとしては、プロの介在によって求める候補者に的を絞って募集できる人材紹介サービス(転職エージェント)や、多くの会員に募集をかけて適する人材を幅広く集められる求人媒体があります。その中でも、さまざまな職種の求人を取り扱う総合型と、特定職種の求人のみに特化した専門型に分けられますので、採用ターゲットによって検討の必要があります。
最近活発になっているのが、SNSを活用した「ソーシャルリクルーティング」、企業が直接求職者にアプローチする「ダイレクトリクルーティング」、ソフトウェアを開発するためソースコード管理サービスを活用した「GitHub採用」などです。また、エンジニアのコミュニティへのアプローチやイベントの開催といった方法もあります。
上記で述べたとおり、多種多様な採用手法がありますが、重要なのは現在の自社のニーズにマッチした手法や媒体を選ぶことです。まず、自社のターゲットとなるエンジニアと出会えるサービスであることが大前提であり、採用にかかるコストや期間の検討も必要です。今すぐ採用したい場合は人材紹介サービスや求人媒体が有効ですし、長期的にアプローチしていきたい場合は、転職潜在層となるエンジニアを含めて接点を持てる手法もおすすめです。