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中途採用スケジュールの作成方法や採用手法別のスケジュール例を解説

一般的な中途採用の特徴

ここでは、採用スケジュールにまつわる中途採用の一般的な下記2つの特徴について解説します。

  • 求職者の動きが活発な時期と落ち着く時期がある
  • 採用手法によってリードタイムが変わる

特徴1:求職者の動きが活発な時期と落ち着く時期がある

求職者の動きが活発な時期と落ち着く時期がある点も中途採用の特徴と言えるでしょう。
求職者の動きが活発化する傾向がみられる時期は、一般的に次の通りです。

  • 1~3月
  • 7~9月

直近5年間の有効求職者数(前月からの繰越+当月申込数)の動きなどを考慮すると、1年間の中で4月と9月に向けて求職者の動きが活発になっている様子がうかがえます。

出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)

反対に求職者の動きが落ち着くと言われている時期は、次の通りです。

  • 4~6月
  • 10~12月

採用市場の活性化がピークに達する4月や9月頃を過ぎる頃は、やや求職者の動きが落ち着いてくると考えられます。

特徴2:採用手法によってリードタイムが変わる

中途採用では、様々な採用手法が用いられていますが、採用手法によってリードタイムが大きく異なるケースもあります。

その理由として、下記3つの要因が考えられます。

  • 採用手法によって選考プロセスが異なるため
  • 採用手法ごとに効果が現れるまでの期間が異なるため
  • 採用手法ごとに採用ターゲットが異なるため

採用手法によって、選考プロセスやリードタイムは異なります。例えば、求人サイトでは誰でも応募できるため、自社の採用ターゲットに合致するかどうかを書類選考で慎重に見極める必要があります。一方、転職エージェントを利用する場合、担当者があらかじめターゲットに近い人材を選定しているため、書類選考を省略・簡略化できる場合があります。このように、採用手法の特性に応じて、選考プロセスとリードタイムが変わってきます。

また、中には、ソーシャルリクルーティングやミートアップのように効果が現れるまで一定期間要する手法もあります。その日のうちに選考まで進められることのある合同説明会と比較すると、着手してから成果が現れるまでリードタイムは長くなるのが一般的です。

さらに、各採用手法はそれぞれ強みや特性が異なり、得意とする採用領域やターゲットも異なります。例えば、ヘッドハンティングのように専門性の高い人材や経験豊富な人材の採用を得意とする採用手法は、ターゲットの母数が少なく採用難易度も高いため、リードタイムが長くなる傾向があります。

中途採用スケジュールの作成方法

本章では、一般的な中途採用スケジュールの作成方法を解説します。

STEP1:採用計画を決める

中途採用のスケジュールを策定する時は、まず採用計画の立案から始めましょう。
採用計画とは、採用活動の指針になるものです。最初に採用計画を策定しておくことで、利用する採用手法や選考の回数などが定まる他、採用の期限も明確になるため、スケジュールを立案しやすくなります。

なお、採用計画を定めるにあたっては、一般的に下記流れで進めます。

制作:編集部

STEP2:採用計画に沿った採用フロー・採用基準を決める

続いて、採用計画に沿って採用フローと採用基準を定めます。
採用フローとは、採用活動の開始から終了までの一連の流れを指します。採用フローを定めることで採用活動における工程や全体像が明瞭になり、採用スケジュールも定めやすくなるでしょう。

また、採用基準とは、応募者の採否を判断する指針のことを言います。明確な採否基準を設けておくことで、採否を判断する際にかかる余分なリードタイムを削減でき、採用スケジュールが大幅な変更を余儀なくされる事態を防止できます。

STEP3:採用ポジション・人数に合わせた採用手法を決める

次に、採用を予定しているポジションや人数に合わせた採用手法を決めます。

前に述べた通り、採用手法によって内定までのリードタイムが異なります。採用手法を決めることによって、内定までどれくらいの期間を要するのか、おおよそのスケジュール目安が付きやすくなるでしょう。

STEP4:採用計画で定めた最終的な期限から逆算し、各工程の期日を定める

続いて、採用計画で定めた最終的な期限から逆算し、利用する採用手法で発生する各工程の期限を決めましょう。例えば、求人サイトを利用する場合、一般的に下記工程が発生すると想定されます。

  • 求人媒体への掲載
  • 応募を待つ
  • 選考
  • 内定
  • 入社

各工程に必要な期間を見積ることで、「いつまでに何をするべきか」「いつまでのどの工程まで進んでおく必要があるのか」などが明確になるでしょう。

【採用にかかる期間の一例】

番号項目期間
1採用計画を立てる(採用人数、採用フロー、採用基準などを決める、も含む)2週間程度
2母集団を形成する(採用手法を決める、各採用手法を用いて募集開始)1~3ヶ月程度
3選考1~3ヶ月程度
4内定・入社前フォロー1~2ヶ月程度

STEP5:カレンダーに当てはめていく

最後に、各工程の期限をカレンダーに当てはめていくことでおおよその採用スケジュールが定まります。ただし、採用スケジュールは、応募状況などによって柔軟に調整することも大切です。例えば、想定よりも多くの応募者が集まった場合、早めに応募を打ち切り、選考期間を延ばすなどの対応が必要になることもあるでしょう。

採用スケジュールは採用活動が終了するまでは都度見直しを行い、採用状況に適したスケジュールになるよう調整しましょう。

中途採用のスケジュール例【採用手法別】

ここでは、下記6種の採用手法別に中途採用のスケジュール例を紹介します。

  • 転職サイト
  • 人材紹介
  • 転職イベント
  • ヘッドハンティング
  • リファラル採用
  • ソーシャルリクルーティング

転職サイトを利用した中途採用のスケジュール例

転職サイトは、転職をしたい求職者と人材を採用したい企業をつなぐWebメディアもしくは採用手法のことを言います。転職サイトを利用した場合、利用の申し込み(問い合わせ)から入社までおおよそ3~6ヶ月程度かかると想定されます。

なお、プロセスごとに区分した採用スケジュール例は下記の通りです。

項目期間
問い合わせ/打ち合わせ/原稿作成1週間~3週間
掲載開始/求職者応募1週間~1ヶ月
書類/面接選考2~3週間
内定/内定承諾1~2週間
引き継ぎ/入社1ヶ月

人材紹介を利用した中途採用のスケジュール例

人材紹介とは、厚生労働大臣の認可を受けた民間の職業紹介事業者が提供している転職支援サービスに登録している求職者の中から、自社の採用ターゲットにマッチした人材を紹介してもらう採用手法です。『転職エージェント』と呼称されることもあり、求職者と企業の間に介在し双方の活動を支援します。

人材紹介を利用した場合、利用の申し込み(問い合わせ)から入社までおおよそ2~4ヶ月程度かかると想定されます。採用ターゲットにマッチする人材がすぐに見つかり、選考もスムーズに進めば2~3ヶ月程度で人材を採用できることもあります。しかし、採用ターゲットにマッチする人材がいない場合や選考辞退が多発する場合は、採用期間が長引くこともあるでしょう。

具体的な採用スケジュール例は、下記の通りです。

項目期間
問い合わせ/打ち合わせ1週間~2週間
求職者の選定1週間~
書類/面接選考2~3週間
内定/内定承諾1~2週間
引き継ぎ/入社1ヶ月

転職イベントを利用した中途採用のスケジュール例

転職イベントとは、人材を採用したい企業が同じ会場に集い、求職者に対して合同で会社説明会や面談、面接を実施するイベントもしくは採用手法のことを言います。

転職イベントは、その場で書類選考や一次面接を実施できるため、その後の選考がスムーズに進めば1ヶ月~2ヶ月程度で人材を採用できることもあるでしょう。ただし、採用ターゲットにマッチする人材に出会えない場合、出展しても期待する成果を得られないこともあります。

転職イベントを利用した場合の採用スケジュール例は、下記の通りです。

項目期間
イベントへの出展1日(もしくは数日)
書類/面接選考2~3週間
内定/内定承諾1~2週間
引き継ぎ/入社1ヶ月

ヘッドハンティングを利用した中途採用のスケジュール例

ヘッドハンティングとは、専門のヘッドハンティング企業や個人で活動するヘッドハンターを通じて、他社に在籍する優秀な人材に対して自社への移籍を促す採用手法です。幹部クラスや高い専門性を有した技術職など、転職市場になかなか登場しない人材を採用したい時に利用される傾向があります。

ヘッドハンティングは、「転職顕在層でないビジネスパーソンも対象」「希少性の高い人材が対象」「入社交渉のハードルが高い」などの理由から入社までのリードタイムが他の採用手法と比較して長くなりやすい採用手法です。また、無事に内定したとしても前職で重要なポジションに就いているケースも多く、引き継ぎなどに3ヶ月~半年ほど時間を要することもあるでしょう。

そのため、人材の採用まで、1年以上かかるケースもあるようです。

なお、具体的な採用スケジュール例は、下記の通りです。

項目期間
問い合わせ・契約/打ち合わせ1週間~3週間
人材リサーチ3ヶ月~半年
人材へのアプローチ3ヶ月~半年
面談(選考)2ヶ月~3ヶ月
入社条件のすり合わせ1ヶ月程度
引き継ぎ/入社1ヶ月~半年

ダイレクトリクルーティングを利用した中途採用のスケジュール例

ダイレクトリクルーティングとは、登録者にスカウトやオファーを送付できる求人媒体やSNSなどから登録者に対してスカウトやオファーを送付し、自社の魅力を直接訴求する採用手法です。

スカウトやオファーを送付した候補者の興味・関心を喚起し、応募や選考へとスムーズに進めることができれば、2~3ヶ月ほどで人材を採用できる場合もあります。

ダイレクトリクルーティングを利用した場合の採用スケジュール例は、下記の通りです。

項目期間
問い合わせ・契約・導入設定1週間~3週間
スカウト・オファーの配信1ヶ月~3ヶ月
求職者応募1ヶ月~
書類/面接選考2~3週間
内定/内定承諾1~2週間
引き継ぎ/入社1ヶ月

リファラル採用を利用した中途採用のスケジュール例

リファラル採用とは、自社の社員に友人や知人を紹介してもらう採用手法です。

初めてリファラル採用を導入する企業は、導入にあたってルールを策定したりインセンティブを定めたりする準備期間が必要です。既にリファラル採用を導入している企業は、リファラル採用で求める人材要件を周知するところからスタートします。

既にリファラル採用の風土が醸成されており、採用ターゲットにマッチする人材がいれば、早くて1ヶ月~2ヶ月程度で紹介の声が挙がることもあるかもしれません。しかし、リファラル採用を始めたばかりの企業やリファラル採用の風土が醸成されていない企業の場合、紹介まで時間を要することもあります。

リファラル採用を用いた時の採用スケジュール例は、下記の通りです。

項目期間
リファラル採用導入計画立案2~3ヶ月
社内への周知1~2週間
募集開始/紹介1ヶ月~
書類/面接選考2~3週間
内定/内定承諾1~2週間
引き継ぎ/入社1ヶ月

ソーシャルリクルーティングを利用した中途採用のスケジュール例

ソーシャルリクルーティングとは、SNSを活用した採用手法であり、SNSを通じて自社の採用情報を発信したり、採用ブランディングにつながる運用を行ったりします。採用に特化したビジネス系SNSの場合、登録者のデータベースから自社の採用ターゲットにマッチする人材に対して、メッセージなどで直接アプローチすることも可能です。

初めて運用する場合は、運用前に運用計画の立案やコンセプトの策定などを行います。運用前の準備には、2~3ヶ月ほどの期間がかかることもあるでしょう。運用開始後は定期的に情報を発信しますが、すぐに採用につながるわけではありません。ただし、登録者に対してメッセージなどを用いて直接アプローチできる媒体の場合、タイミングや候補者の意向によってすぐに応募につながることもあるでしょう。

具体的な採用スケジュール例は、下記の通りです。

項目期間
ソーシャルリクルーティング導入計画立案2~3ヶ月
ソーシャルリクルーティング運用開始1週間~
候補者へのアプローチ/応募1ヶ月~
書類/面接選考2~3週間
内定/内定承諾1~2週間
引き継ぎ/入社1ヶ月

中途採用スケジュールの作成・運用における3つのポイント

中途採用スケジュールを作成・運用する際には、次に紹介する3のポイントを押さえましょう。

  • 前年度の対応をチェックする
  • 採用に割ける自社のリソースを確認する
  • 現場や上層部とコミュニケーションを密に取る

ポイント1:前年度の対応をチェックする

採用スケジュールを作成・運用するにあたっては、前年度の対応をチェックしましょう。その理由として、前年度のスケジュールを参照にすることで、スケジュールを定めやすくなったり、前回の課題を振り返られたりするからです。

まずは、前年度の採用活動で用いた採用手法やスケジュールの設定が適切だったか、振り返ってみましょう。そして、改善点や課題を洗い出し、今回の採用スケジュールに改善策を落とし込んでいきましょう。加えて、採用市場の動向の変化に合わせて採用スケジュールを調整することも大切です。社会情勢の変化も考慮しながらスケジュールを策定していくことで、定めたスケジュールと差異の少ない採用活動を実現できる可能性が高まるでしょう。

ポイント2:採用に割ける自社のリソースを確認する

採用に割ける自社のリソースを確認することもスケジュール作成時に加味しておきたい要項です。

実現可能な採用スケジュールを組むことは、計画的に採用活動を推進する上で必須であり、人員不足にならないよう留意が必要です。万が一、人手が不足した場合、採用スケジュールが後ろ倒しになってしまったり、入社までのリードタイムが長くなってしまったりして、採用計画通りの人員を採用できない恐れもあります。

策定した採用スケジュールに自社単独で対応できない可能性が高い場合は、採用代行などの外部サービスを利用するなど、社内の体制を整えることも検討しましょう。

ポイント3:現場や上層部とコミュニケーションを密に取る

中途採用を作成する際は、現場や上層部とコミュニケーションを密に取り、認識を擦り合わせたり、意見や要望を聴取したりしておくことも大切です。

現場の求める人物像と採用部署が必要と考える人材要件が異なれば、採用スケジュールも変わってきます。双方の認識に差異が生じないよう、現場の意見や要望を聴取し、聞き取った内容をもとに採用計画の立案からスケジュール策定まで進めていきましょう。
また、上層部とも認識を擦り合わせる時間を設け、事業計画や人事戦略を考慮した採用スケジュールを策定していきます。最終面談などで役員が面接担当者を担う場合は、事前にスケジュールの調整方法などを確認しておくと、面接の調整もスムーズに進むでしょう。

アドバイザー
組織人事コンサルティングSeguros / 代表コンサルタント
粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。