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採用コンサルティングとは、採用に関する豊富なノウハウや情報を提供して、企業の採用活動を支援するサービスです。
募集段階から採用後の対応まで幅広く支援できるため、企業が苦手とする部分だけを選んで支援を受けることも可能です。
採用コンサルティングは企業の採用活動全体を把握し、課題抽出から解決策の提案、運用および改善まで、採用活動全体を最適化していくことを目指します。一方、採用アウトソーシングは採用活動の一部もしくは全部について、委託を受けるサービスです。
一見似ていますが、両者の主な違いは採用活動の実行主体にあります。採用コンサルティングは自社主体で採用活動を行い、採用アウトソーシングはアウトソーシング会社主体で採用活動を行います。
一般的に、採用に関するノウハウや情報に乏しいことで生じている課題を解決したい企業は採用コンサルティングを活用し、採用活動に関するリソース不足という面での課題を解決したい企業が採用アウトソーシングを活用しています。
採用コンサルティング会社は、募集から選考、内定後までの採用活動全般に対する課題を解決するための支援を行います。
採用戦略や採用計画の策定、母集団形成などへのサービスを行います。
採用戦略や採用計画を策定するには、企業の経営戦略などとマッチした人材要件(求める人材像)の明確化や、「いつまでに、どの事業(業務)に対して、どのような要件を備えた人材を、どの程度の人数確保する必要があるのか」という計画の策定、過去の採用活動結果を踏まえたうえでの最適な採用プロセスや採用活動体制、選考方法や採用基準の明確化などへのアドバイスを行います。
母集団形成に関しては、応募者を確実に増やすことを目的とした、求人媒体や自社サイト、SNSの活用、選考イベントやダイレクトリクルーティング(求職者のスカウト)、インターンシップの実施などへのアドバイスを行います。
※ダイレクトリクルーティングに関しては、以下の記事をご参照ください
【2023】新卒・中途の採用トレンドとは?ダイレクトリクルーティングなど話題の手法をチェック!
面接支援、選考に関するデータ管理などのサービスを行います。
面接支援としては、企業が求職者に対して的確に自社のアピールを行い、正確に求職者に求人要件を伝えるためのさまざまなアドバイスを提供します。たとえば、企業説明会やインターンシップの企画と運営、面接時対応マニュアルの作成や面接官のトレーニング、各フェーズ後のフォローを行います。
選考に関するデータ管理支援としては、今後の採用活動に関するパフォーマンス向上を目的として、募集チャネルごとの応募者数や選考通過率、離脱率などの結果をデータ化し、分析を行い、アドバイスを提供します。
内定者フォローや入社後の早期離職防止などについての支援も提供します。
内定者フォローとしては、入社前研修や就業体験、イベントの実施などの企画提案・運営を支援します。さらに近年では、ほかの内定者とのコミュニケーション促進も進める企業が多いようです。これらの取り組みを通じて、内定辞退を防止します。
入社後の早期離職防止に関しては、入社時教育や職場での人間関係・労働環境の改善などに対するアドバイスを行います。
採用コンサルティングを活用するには、以下のようなメリットとデメリットがあることを踏まえておくとよいでしょう。
採用コンサルティングの活用に関する主なメリットは4つです。
採用市場では、景気や他社の採用状況、求職者のニーズなど、さまざまな要素が絡み合ってトレンドが常に変化します。そのため企業も、その時々の採用トレンドに適した採用活動を行う必要があります。その際に採用コンサルティングを活用することで、的確な対応をしやすくなります。
採用活動は採用の体制づくりからプロセス構築、フェーズごとの振り返りとすばやい改善策の立案・実行など、決して簡単な業務ではありません。特に近年では企業間の人材獲得競争の激化からより丁寧な対応が求められ、採用期間が長期化するなど、必然的に採用担当者の業務負担が重くなる傾向にあります。採用コンサルティングを活用することで、その負担を軽減することができます。
自社に必要な人材の採用を実現するためには、過去の採用活動を評価し、改善すべきことを改善していく必要があります。採用コンサルティングを活用することで、客観的な視点で評価を行うことができるため、より的確な改善策の策定・実行につながります。
採用コンサルティングを活用することで、自社に必要な人材の採用を実現するためのノウハウが自社内に蓄積されます。蓄積されたノウハウを活用することで、将来的には自社単独で最適な採用活動を実践できるようになる可能性もあります。
採用コンサルティングの活用に関して、以下のデメリットが考えられます。
採用コンサルティングの活用には、前述したように一定の費用が発生します。それにより、必然的に自社単独で採用活動を行った場合と比較して採用コストが高くなってしまいます。
採用コンサルティングを活用する目的は、そのノウハウや情報を活用し成果を得ることです。そのため自社の状況や採用目標などについて、採用コンサルティング会社と十分にコミュニケーションが取れていないと、望んでいた成果を得ることができなくなる可能性があります。これを避けるには、採用コンサルティング会社に丸投げせず、自社の状況や希望を伝えるために、十分なコミュニケーションを取ることが重要です。
採用対応に関して採用コンサルティング会社に任せる部分が増えてしまうと、応募者や内定者とのコミュニケーションが希薄になり、内定辞退や入社後の早期離職に対するリスクが高まる可能性があります。
採用コンサルティングを活用することで、自社の採用活動を改善するに留まらず、常に変化する採用市場に対応して適切に戦略を変更し、成果を出し続けるような、対応力ある組織を目指すことが可能です。そのため採用コンサルティング会社を選ぶ際には、以下のことに留意するとよいでしょう。
採用では自社の経営課題を解決し、自社の経営戦略を実現していくための人材を確保することが必要ですが、それに対する理解がなされない状態で採用活動を進めてしまうと、採用のミスマッチ(求職者と求人企業双方でのミスマッチ)が生じてしまいます。
そのため自社の経営課題や経営戦略を正確に理解してくれているかを見極める必要があります。
業界によって、望ましい採用方法や採用プロセスなどの特徴が異なります。そのため、自社と同じ業界での成功事例を有する採用コンサルティング会社を選ぶほうが、成果を出しやすいといえます。採用コンサルティングの選択の際には、自社と同じ業界での支援事例の有無を確認しましょう。
採用コンサルティングを活用したとしても、意思決定は適宜自社で行う必要があります。そのため、採用コンサルティング会社との間で綿密なコミュニケーションが取れていないと、正確な情報を入手することができず、最適な意思決定が行えなくなってしまいます。採用コンサルティング会社を選ぶにあたっては、自社とのコミュニケーション方法などを十分に確認する必要があります。
採用コンサルティングを活用したあとは、自社単独で最適な採用活動を行えるようになることが大切です。そのため採用に関するノウハウを自社内に蓄積することに対して、協力的かどうかを確認するのも忘れないようにしましょう。
採用コンサルティング会社を活用する際には、以下のことに留意しましょう。
採用活動に関して、自社の主体性を低下させてしまうと、応募者や内定者とのコミュニケーションが希薄になり、内定辞退や入社後の早期離脱を招くリスクを高めてしまいます。
また、自社のニーズに合った採用成果を得るためにも、自社が主体的に採用活動に関わり意思決定を行う必要があります。
採用活動の中長期的な目的は、自社の経営戦略を実現していくために必要な人材を確保することで、企業の収益性を向上させることにあります。
採用コンサルティング会社の活用もそのための投資の一環であり、費用対効果が適切かの見極めが重要です。目先のコストが安いということだけではなく、中長期的な経営の改善につながる支援提供があるかどうかも重要な観点です。
採用コンサルティング会社は幅広い支援を提供してくれますが、その中から、自社が本当に必要とする部分を見極めたうえで支援を受けることが大切です。安易に多くの支援を受けてしまうと、無駄なコストが発生してしまう可能性があります。
環境変化に対応しながら持続的に成長し、経営戦略を実現していくためには、人材を適材適所に配置し、活用していくことが求められます。必要な人材が自社で不足している場合、採用を通じて確保するのが一般的です。人材の確保は自社の成長と存続に大きく影響するため、採用成果を得るために採用コンサルティングを活用していくことは、前向きな経営判断の1つといえるでしょう。本記事を参考に、採用コンサルティング活用について検討していただけると幸いです。