ハイキャリアコンサルタント
増田 直子
全日空のグランドスタッフとして勤務した後、2005年4月 株式会社リクルート(旧:リクルートキャリア)へ入社。 リクルーティングアドバイザー、キャリアアドバイザーを経て、2013年1月~ハイキャリア領域のコンサルタントとして関西を中心に活動。2018年4月~ハイキャリア領域 関西エンジニア領域のマネージャーとして従事。
<得意分野>
家電業界・エレクトロニクス業界が中心。特に、先端研究領域をはじめとした技術開発を推進できるエンジニアの方の採用、そしてご転職で多くの実績あり。
大手メーカーが、これまでとは異なる領域に進出
関西エリアでは、大手から中堅まで、電機・電子部品などのメーカーの採用が活発に動いています。
企業によっては数百名単位の採用計画を打ち出しているケースも見られます。
採用の背景として、ここ2年ほど顕著なのは「新規事業の創出」。既存事業とは異なる領域で新規事業を立ち上げる動きがあり、それを担う人材ニーズが生まれているのです。
つまり、求職者の立場から見ると、これまで自分とは縁がないと思っていたメーカーで、自身の技術やキャリアを活かすチャンスが増えているということです。
例えば、ある大手メーカーでは、これまではエレクトロニクス領域の人を中心に採用していましたが、今では「エネルギー分野の経験者」といった採用枠が生まれています。またある重厚長大系メーカーが半導体製造装置の経験者を求めるなど、採用ターゲットが変化しているのが最近の特徴です。
転職活動をしてみると、思いがけない選択肢を発見できる可能性があります。
「AI」「IoT」の新規事業開発を担う人材を求めている
大手電機メーカーでは、「AI」「IoT」関連のビジネス開発も進めています。それを担う人材として、ソフトウェア領域の経験者のニーズも強く、SIer出身者などが採用ターゲットとなっています。
クラウドの技術を「製品」の開発分野で深掘ってみたい、そして「自社製品」として世の中に送り出したい――といった志向の方にとっては、メーカーに移ることでIT業界とは異なるやりがいを感じられるでしょう。
自身の考えにフィットした会社を選び、自身の技術を向上させながら、新しいものを創っていく。それが転職によって実現できる可能性があります。
例えば、あるメーカーでの新規事業開発においては、これまではプロダクトアウト型だったところ、マーケットイン型にシフトし、アメリカの研究機関とも連携しながらアジャイル開発を推進しています。
また、縦割りの組織体制から脱却し、組織を横断してダイナミックな新規事業展開を図ろうとする動きも見られます。
ご自身の経験や志向にマッチする事業開発環境を探してみてはいかがでしょうか。
関西へのUターンを実現。年齢の壁を越えた転職事例も
「IoT」を軸として転職を実現した方の事例をご紹介しましょう。
電気分野出身でソフトウェアの知識も兼ね備えたAさん(40代)は、東京の大手ネット企業でBtoCサービスのソフト・アプリ開発を手がけた経験を持つ人物。いずれは関西へのUターンを視野に入れていましたが、希望に合うポジションに出会うのは難しいのではないかと考えていらっしゃいました。そこで、関西のエレクトロニクスメーカーの、IoT関連の新規事業立ち上げに伴う求人をご紹介したところ、「面白そうだし、将来性を感じられる。関西でこんな求人に出会えるとは」と応募を決意。部長クラスの待遇でUターン転職を実現されました。
また、大手電機メーカー2社で家電のIoT化に取り組んでこられたBさんは、50代という年齢ながら異業種への転職を実現されました。大手エレクトロニクスメーカーのIoT事業部門に、副部長クラス待遇で迎えられたのです。Bさんのように、経験が合致し、50代で高待遇の転職を果たすケースも以前より増えてきました。
中堅メーカーでは、製造系のベテラン人材のニーズ大
一方、関西の中堅メーカーに目を向けてみると、製造まわりの求人が活発です。
業績好調な企業が、さらなる利益拡大、あるいは品質向上のために積極投資を行っています。
こうした求人では、大手メーカーで経験を積んだミドル~シニア層が、異業種の中堅メーカーに迎えられるケースがよく見られます。
例えば、ある自動車メーカー出身の方が、自動車以外のメーカーに製造部門責任者として転職された事例があります。自動車分野で培われた最先端の品質管理、生産性向上のノウハウが買われたのです。
こうした転職を選ぶ方は、大手メーカーで役職定年を迎えた方、あるいは役職定年を目前に今後のキャリアを見据えた方が目立ちます。大手から中堅企業へ移ることで給与が下がったとしても、自分がこれまで培った経験を活かし、責任ある役割を担って会社や社会に貢献したい……そんな想いを持ってセカンドキャリアのステージを探す方が多いのです。
もちろん、「やりがい」という面だけでなく、役職定年後の年収額よりも高い報酬を維持できるケースが多数。例えば、大手企業で年収1000万円超だった方の場合、役職定年後は半分以下にダウンするところ、前職の6~8割程度の水準を維持できる可能性があります。
―― いずれのポジションにしても、近年は業種の垣根が崩れてきています。ご自身の経験が思いがけない分野で高評価されるケースもありますので、エージェントの情報も活用し、可能性を探ってみていただきたいと思います。