杉山 友章
エグゼクティブコンサルタント
エージェント事業本部
ハイキャリア統括部
ハイキャリア・グローバルコンサルティング部
ハイキャリア人材に特化した人材紹介サービスを提供している、ハイキャリア・グローバルコンサルティング統括部。その中核を担うシニアコンサルタントたちに「仕事へのこだわり」を語ってもらいました。「人材紹介のプロ」たちがどのような想いをもって、求職者の皆様や企業の採用担当者に向き合っているのか。今後の転職活動を進める際に、一つのヒントになれば幸いです。
【プロフィール】
1991年に日本最大級の転職エージェント事業をもつリクルート（旧：リクルートキャリア）に入社後、29年にわたり電機・自動車・通信・半導体・ITなどテクノロジー領域を担当。2005年、トップコンサルタントが招集されスカウト部門を立ち上げ。以後、15年にわたり、
・クライアント企業の重要ポジション専門スカウト
・トップタレントとの中長期リレーション構築
・VCやPE、アクセラレータ（メディア含む）等とのアライアンス提案
に取り組んでいる。
この仕事のミッションは、会社全体、いや、日本の未来を描くことです
あるメーカーA社の求人で、部長クラスのポジションがありました。A社の事業戦略の根幹を担うポジションで、技術者として高い素養を持ちながら、経営に関するスキルも求められる、かなり難易度の高い案件でした。
そこで、私は一人の知人にお声掛けしました。数年前に、私が転職を支援したBさんです。その方は日本の拠点に勤務していて、海外の研究所と密に協業しながら、ある重要な技術開発をリードしていました。世界的な実績を持つ方で、技術に関する知見については申し分の無い方です。また、前回のご転職を支援してから、定期的にコミュニケーションを取らせていただいていたので、ご活躍の状況と今後のキャリアについても、理解はしていました。
Bさんのやりたいことを改めてお伺いして、そこに企業側の事業戦略を重ね合わせて、未来のキャリアを一緒に描いていきました。今回の案件を私はこう伝えました。
「あと数年で研究から身を引く、とおっしゃっていましたが、そのタイミングが早くなった方が、次のキャリアで長く活躍することができます」
「この仕事のミッションは、会社全体、いや、日本の未来を描くことです。知的好奇心を満たせますし、社会に対して大きなインパクトをもたらせます」
「御社の事業が5年遅れます」という、条件交渉
求職者の方に求人案件をご紹介する際に、私は常に心掛けていることがあります。それは、オーバートークをしないこと。過剰に演出しても絶対にボロが出ますし、誤った理解を誘発する恐れもあります。この案件の際にも、企業側と密に相談をしながら、事実をベースにして慎重に言葉を選んで伝えていきました。間に入る私が、とにかく真摯なやりとりを心掛けることで、求職者の方と企業人事の双方に信頼関係が生まれるのです。
BさんにA社のことをより深く知ってもらうために、面談の場を複数セットしました。その結果、お互いの理解が進み、無事内定に至ったのです。最後に私から条件の交渉を企業側に対して行いました。「Bさんを逃すと、同じレベルの候補者はいません。御社の事業は5年遅れます。何とかこの条件を受け入れてください」と伝えたところ、A社の役員にOKをいただき、晴れてご入社が決定したのです。
ご入社が決まった後、Bさんとランチ会食へ行きました。Bさんには、こう言っていただきました。「また、世話になりましたね（笑）。数年前に、杉山さんにいただいた助言で転職しました。世界のトップクラスのエンジニアを相手に仕事をすることができて、視界が一気に拡がりました。そして、今回、さらに大きな挑戦ができるのは幸せです。これからも、お付き合いさせてください」と。
数年〜数十年のスパンでお付き合いをさせていただく。
この国の未来を一緒につくるために
メーカーA社がグローバル競争下で勝ち残るために、今回のBさんのご入社は大きな意味を持っていると思います。中長期スパンで競合との差別化を図ることが、Bさんのミッションですから。
私は、日本を支えてきた大手製造業を再び強くすることに、トップタレントの人材の再配置で貢献したいと思っています。ですから、数年先、いや数十年先の未来を自分なりに見立てて、企業と求職者の皆様に対して働きかける。それが私の仕事のスタイルです。求職者の方々に対しては、ひとときの転職活動を支援するのではなく、数年〜数十年の期間でお付き合いをさせていただいています。「この国の未来をつくりたい」という方がいらっしゃれば、ぜひ、ともに一歩を踏み出しましょう。
