森 亮二
コンサルタント
エージェント事業本部 ハイキャリア統括部
ハイキャリア・グローバルコンサルティング1部
【プロフィール】
大学卒業後、商社で営業職を経験後、2000年にリクルートエイブリック(現リクルートキャリア)入社。IT領域を約10年、製造業領域を約8年担当。現在は、IT領域の中でも、主に事業会社側の社内システム部門の幹部案件を手がけている。
事業会社によるシステム部門拡大・DX部門新設の動きが加速
私は、ITエンジニアの皆さん――メンバークラスからプロマネ、CIO・CTO・CDOクラスまで幅広く「次のステップ」を探すお手伝いをしています。中でも、事業会社のシステム部門の採用案件を中心に手がけています。
IT人材の市場は、今、大きく変わりつつあります。もともと、海外のITエンジニアは事業会社勤務が6~7割を占め、3~4割がベンダー側に所属しているのに対し、日本での割合はその逆です。日本のベンダーはコンサル力やサービスの質が高い分、事業会社は企画から運用までをベンダーに委ねてきました。
しかし近年、事業会社側で「IT戦略を自社内で立案・実行していく」という機運が高まっています。
あらゆる業種の事業会社が「DX(デジタルトランスフォーメーション)」に取り組み、システム部門の拡大、あるいはDX推進部署の新設などを進めています。その兆しは数年前から表れ、コロナ禍によって急加速しています。
かつて「社内SE」というと「保守的」「安定的」なイメージを持たれていましたが、現在は「変革」や「攻めの戦略」を担うことを期待されています。
事業会社において、「当事者」の立場で最上流のIT企画を手がけ、経営に大きなインパクトを与えたい――そんな志向を持つ方にとっては、ダイナミックな仕事ができ、キャリアを築けるチャンスが広がっているのです。
「当社のDXは何から始めるか」の段階から伴走
私たちリクルートエージェントには、事業会社の経営陣の方々から「DXに取り組むべきと考えているが、どう進めていけばいいか」という段階からご相談が寄せられます。
それに対し、私たちは、まず「目的」を明確にすること、そして目的に応じた組織形態、必要な人材要件などをご提案し、取り組みのプロセスに伴走します。
つまり、私たちは転職市場に「求人」が出てくる半年ほども前から、企業の課題・目指すゴール・求める人材などについて話し合い、内情を汲み取っているのです。
それらの情報をベースに、求職者の皆さんとのマッチングを行っています。
例えば、あるメーカーは社長の代替わりを機に、「AI・IoTをキーワードにグローバルで勝負していく」というビジョンを掲げ、「何から始めればいいか」と私たちにご相談いただきました。お話を伺うと、設計書類のデジタル化は済ませていたものの、発想に限界があり、そこで終わっていたのです。「仕事の進め方そのものを変えていく必要がある」と、課題を共有した結果、必要な人材要件を「多くの人を巻き込んで意識改革を推進できる人材」と設定。その能力を持つ方をご紹介して採用に至りました。
職種名は同じでも、企業ごとに求める要素は異なります。「既存の風土にフィットする人」を求める企業もあれば、「風土改革を推進してくれる、既存社員にはいないタイプの人」を求める企業もあります。
スキルだけでなく、こうした「定性」でのマッチングが可能である点が、私たちの強みであると言えます。
人が「元気になる」転職を実現させたい
私が転職エージェントという仕事に感じているやりがいは、ご縁があった方々と長期にわたってつながっていられることです。
転職をお手伝いした方が、約10年を経て今は役員になられ、求人のご依頼をいただくようになっているケースがいくつかあります。最初の転職支援から15年を経て、2度目のご相談をいただき、役員ポジションへの転職をお手伝いした方もいらっしゃいます。ある方は「森さんのおかげで人生が変わった」と、結婚式に招待してくださいました。
このように、一時的なご縁で終わらず、その方のキャリアや人生に関われることをうれしく思っています。
だからこそ、お一人おひとりとの面談は、「未来志向」のスタンスで臨んでいます。
例えば、「50歳になったとき、どんな働き方、どんな生活をしていたいですか」というように。長期視点で、今、どんな選択をすべきかを一緒に考えています。
何年か前に、当時小学生だった子どもから、「パパはどんなお仕事をしているの?」と聞かれたことがありました。「どう表現すれば子どもにも理解できるだろう……」と少し迷ったのですが、とっさに出てきた言葉は「人を元気にする仕事だよ」でした。自分で言葉に出して、とてもしっくりきたことを覚えています。
不安や不満を抱える方々が、環境を変えることで未来を見通せるようになり、元気になれる。それが私の介在価値だと考えています。「仕方なく転職」ではなく、楽しみに感じたりワクワクしたりできるようにしたい。
ITエンジニアの皆さんからは、「自分はこのままでいいのか」というご相談を多くお受けします。特にコロナ禍以降、テレワークが中心となり、孤独な環境で仕事をする中で「客観的な物差し」を見失い、キャリアへの不安が強くなっている方が多いと感じます。
しかし、自信を持ってください。ITエンジニアを求めている企業様は多くいらっしゃいます。「貢献したい」という想いさえあれば、活躍の場が必ずあります。そこは安心していただき、一緒に「未来」を語り合いたいと思います。