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年収とは?「手取り」との違いや、年収の確認・計算方法を解説

年収とは

転職活動では、前職・現職の「年収」を聞かれることがあります。
しかし、年収の出し方をきちんと把握せず、誤った金額を伝えてしまうと、内定後にトラブルになる可能性もあります。また、応募先企業が提示する年収額を見て、手取りでもらえる金額と勘違いしてしまうこともあるでしょう。

そこで今回は、「年収」の算出方法や、混同しやすい「手取り」「額面」「所得」との違いなどについて、社会保険労務士の岡佳伸氏と、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタントの粟野友樹氏に解説いただきました。
年収から手取り額を計算する方法も紹介しております。ぜひ、参考にしてみてください。

「年収」とは、額面金額(総支給額)のこと

「年収」とは、その名の通り、年間の収入総額のことです。一般的に、税金(所得税や住民税など)や保険料(健康保険料、厚生年金保険料など)が差し引かれる前の「年間の総支給額」を指します。「税込年収」や「額面年収」と呼ばれることもありますが、一般的には「年収」と同じ意味として扱います。

年収に含まれるもの・含まれないもの

本章では、年収に含まれるもの・含まれないもの、それぞれについて解説します。

ボーナス(賞与)は原則年収に含まれる

ボーナスは原則年収に含まれるため、会社が作成する源泉徴収票の支払金額には、ボーナスも年収に含めて計算されています。しかし、会社によって支給の基準が違い、年間の業績によって支給額が大きく変動するケースもあります。また、労働基準法等にボーナスの支払義務が記載されているわけではないため、ボーナスを支払うか支払わないかは企業側の裁量に任されています。そのため、年収にボーナスを含まずに提示する企業もあります。不明な場合は応募先企業に確認するといいでしょう。

各種手当・インセンティブ(報奨金)は年収に含まれる

各種手当やインセンティブ(報奨金)は、課税対象として源泉徴収の計算にも含まれるため、年収に含まれると考えましょう。
年収に含まれる手当例は、次の通りです。

  • 通勤手当
  • 残業手当
  • 休日出勤手当
  • 職務手当
  • 役職手当
  • 資格手当
  • 家族手当
  • 皆勤手当
  • 住宅手当 など

交通費・出張経費等は年収に含まれない

交通費は、所得税法で「最も経済的で合理的な経路・方法であれば、月15万円までは非課税扱いになる」と定められているため、年収に含まないことが通例です。また、出張のために支払われる費用なども、通常年収には含みません。

なお、国税庁のホームページには、次に該当する手当は非課税になると記載されています。

(1) 通勤手当のうち、一定金額以下のもの
(2) 転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの
(3) 宿直や日直の手当のうち、一定金額以下のもの

引用:国税庁「給与所得となるもの」

具体的には、次のような手当は年収には含まれないものとして考えます。

  • 旅費(出張旅費や単身赴任者の帰宅旅費)
  • 宿直料・日直料
  • 交際費
  • 結婚祝い金・出産祝い金
  • 葬祭料・香典・見舞金
  • 労働基準法等の規定による各種補償金
  • 学資金

参考:国税庁「電車・バス通勤者の通勤手当」
参考:国税庁「給与所得の範囲」

年収と混同しやすい「手取り」「所得」「年俸」「月給」「月収」との違い

本章では、年収と混同しやすい下記5つの言葉について、年収との定義の違いを解説します。

  • 手取り
  • 所得
  • 年俸
  • 月給
  • 月収

年収と「手取り」の違い

「手取り」とは、手元に入ってくる金額のことを指します。税金や保険料などが差し引かれた後、実際に銀行口座に振り込まれる金額と考えましょう。会社規定による積立金や親睦会費なども引かれた金額になっているケースもあるので、こちらも確認しておきましょう。
なお、「手取り額」は、給与明細に記載された「差引支給額」を見れば確認できます。また、実際に給与が振り込まれる「銀行振込額」を基に、12か月分の金額を合算することでも、あくまでも概算ですが1年間の手取り総額を算出できます。

年収と「所得」の違い

「所得」は、「年収」から必要経費を引いた金額のことを指します。しかし、会社員の場合は、必要経費などの控除がなく、それに代わるものとして「給与所得控除」という控除枠が設けられています。そのため、「年収」から給与所得控除額を引いたものが、「所得」になります。
ただし、税法上では、給与所得控除を超えた部分の支出のうち、特定の支出(通勤費、研修費、資格取得費など)については必要経費と認められています。
「所得額」は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄に記載されています。また、Web上で年収を入力すると自動で「簡易的な所得」を計算できるツールなどもあります。

年収と「年俸」の違い

「年俸」とは、雇用契約を結ぶ時点で、1年間の給与総額を決めておく給与形態を指すのに対し、年収は1年間の収入総額のことを言います。年俸と年収とでは言葉の区分が異なることを理解しておきましょう。
なお、年俸に手当などの追加がなければ、年俸と年収は同額となります。残業代や賞与が発生する場合は、年俸額よりも年収額が大きくなります。

年収と「月給」「月収」の違い

「月給」は、基本給に加え、毎月、固定で支払われる手当を含んだ金額を指すことが一般的です。年収と同様に、税金や保険料などを差し引かない金額であり、インセンティブや残業手当などの金額が変動する手当や、立て替えた経費の払い戻し額も含まれません。
一方、「月収」には、基本給と固定手当に加え、変動する手当も含まれます。変動する手当を支給する会社の場合、「月収」と「月給」を比較すると、「月収」のほうが金額も大きくなります。

年収の確認・計算方法

ここでは、年収を確認、計算する方法を3つ紹介します。

  • 源泉徴収票の「支払金額」欄を確認する
  • 1年分の給与明細の給与と賞与を合計する
  • 所得証明書で確認する

方法1:源泉徴収票の「支払金額」欄を確認する

年収を確認する際は、源泉徴収票の「支払金額」欄を確認しましょう。

源泉徴収票のイメージ図
作成:編集部

源泉徴収票は、すべての受給者に対し、その年の翌年の1月31日までに交付しなければならないと定められています。(年の中途で退職した場合は、退職の日以後1か月以内に交付)

居住者に対し国内において法第二百二十六条第一項(源泉徴収票)に規定する給与等(以下この条において「給与等」という。)の支払をする者は、同項の規定により、その給与等の支払を受ける者の各人別に、次に掲げる事項を記載した源泉徴収票二通を作成し、一通をその給与等に係る所得税の法第十七条(源泉徴収に係る所得税の納税地)の規定による納税地の所轄税務署長(第一号イ及び第六号イ(1)において「所轄税務署長」という。)に提出し、他の一通をその給与等の支払を受ける者に交付しなければならない。

引用:e-Gov法令検索『所得税法施行規則 第九十三条(給与等の源泉徴収票)』

源泉徴収票は、年末調整が終わった後に発行されるため、多くの企業では12月分の給与明細とともに交付されます。万が一紛失した場合は、企業に再発行の手続きを依頼しましょう。また、給与管理システムを導入している会社の場合、給与管理システムから自由にダウンロードできる場合もあります。

方法2:1年分の給与明細の給与と賞与を合計する

1年分の給与明細に記載されている給与と賞与を合計して算出する方法もあります。1年分の総支給額は年収と同額になるため、「総支給額」や「支給額合計」の欄に記載されている1月~12月までの金額を合算してみましょう。

給与明細のイメージ図
作成:編集部

なお、給与明細は、所得税法231条において、企業は従業員に対して支払明細書を交付しなくてはならないと定められており、毎月の給与支払時に交付されます。

※出典:「知って役立つ労働法 働くときに必要な基礎知識:第3章 働くときのルール」(厚生労働省

方法3:所得証明書で確認する

所得証明書で年収を確認する方法もあります。
所得証明書とは、市町村が発行する個人の所得や収入を証明する書類のことを指し、1年間の所得額や年収額が記載されています。
所得証明書は、下記いずれかの方法で発行できます。

  • コンビニエンスストア等のマルチコピー機
  • 電子申請
  • 郵送申請
  • 窓口での申請

取得の方法や取得の際に必要になる書類は、自治体によって異なります。所得証明書を発行する際は、住まいの自治体のホームページや窓口で確認しておきましょう。

【参考】年収から手取りの金額を計算する方法

「年収」から「手取り」の金額をおおまかに把握したい人は、下記の計算方法を参考にしましょう。

【年収から手取り額を計算する計算式】
「年収」×0.8〜0.73÷12(カ月)=「手取り」の金額
(※ボーナスを考慮しない場合)

独身など、扶養家族がいないケースでは、「手取り」として手元に残る金額は、一般的に「年収の約8割」とされています。ただし、日本には、年収が高くなるほど税率が高くなる「累進課税」という仕組みがあります。地域によって異なる場合もありますが、年収が上がるほど手取り額の割合が少なくなるので、年収に合わせた数字で計算すると、より現実的な手取り金額を算出できるでしょう。
年収から手取りの金額を計算する際は、年収額に応じて下記数字を用いるようにしましょう。

~年収600万円 8割(×0.8)
700~800万円 7.5割(×0.75)
900万円 7.4割(×0.74)
1,000万円 7.3割(×0.73)

 

【参考】年収と手取りの早見表

下記は年収と手取りの早見表です。
なお、年収は扶養家族がいることで控除額が変わったり、人によって健康・介護保険の料率が異なったりするため、下記金額は参考程度にしましょう。

年収(万円) 手取り年額(万円) 手取り割合(%)
300 240 80.0
400 320 80.0
500 400 80.0
600 480 80.0
700 525 75.0
800 600 75.0
900 666 74.0
1000 730 73.0
1100 803 73.0
1200 876 73.0
1300 949 73.0
1400 1022 73.0
1500 1095 73.0
1600 1168 73.0
1700 1241 73.0
1800 1314 73.0
1900 1387 73.0
2000 1460 73.0

転職活動における年収に関してよくある質問

転職活動における年収に関してよくある質問と、質問に対する回答を紹介します。

 Q.転職活動ではなぜ年収を聞かれるの?

A.企業は、前職・現職の年収や希望年収などを聞くこともあり、その理由は、「今回、募集する職種に合致するレベルであるのか」「自社の給与規定の幅にマッチするか」などを確認するためです。
前職・現職の年収から、応募者の経験・スキル・実績が客観的にどう評価をされているのかを判断できるでしょう。募集要件よりも大幅に年収が低い場合は、「求めるレベルに合致しない」と判断される可能性もあります。また、自社の給与規定以上の年収だった場合、応募者自身が納得せず、ミスマッチとなったり、採用しても早期離職したりする可能性が想定されます。
ただし、企業から採用したい人材だと思われれば、現職・前職の年収と、希望年収を合わせて聞かれることもあるでしょう。

Q.年収の金額を正しく答えられないとどうなるの?

A.間違った年収額を伝えてしまうことで、本来の能力よりも低く(高く)見積もられてしまうことがあります。例えば、間違って「手取り」の金額を伝えてしまった場合、税金などの源泉徴収をされた後の金額のため、かなり減額された数字になります。誤った金額を伝えることで、採否に影響を与える懸念もあります。
また、企業が提示した「年収」を「手取り」の金額と勘違いしている場合、実際に支払われる金額が想定より低くなります。年収の内訳や手取り金額をきちんと把握しておくことで、自分の希望条件に合う企業を見つけやすくなる他、勘違いや伝え間違いによるトラブルも避けられるでしょう。

Q.会社に1年間在籍せずに転職活動した場合は、年収をどう回答すればいい?

A.例えば、前職・現職の会社に10カ月在籍していた場合は、毎月の支給額実績を基に、見込みの年収金額を算出して伝えるといいでしょう。逆に、「3カ月のみ」など、在籍期間が短い場合は、入社時にもらう労働条件通知書に提示された年収を回答するといいでしょう。

Q.個人事業主(フリーランス)なのですが、年収はどう答えれば良い?

A.一般的には、売上(総収入額)から経費や売上原価を差し引いた額(税込年収)を答えます。税込年収は、「額面金額」と呼ばれることもあるため、転職の際に年収を問われたときは、税込年収を答えるようにしましょう。

Q.年収を聞かれたら、いつからいつまでをカウントして答えれば良い?

A.一般的には、前年の1月1日から12月31日までに支給された総額を答えます。なお、1年間在籍せずに退職する(した)場合は、毎月の支給額実績を基に、見込みの年収金額を算出して伝えましょう。ただし、在籍期間が短い場合は、入社時にもらう労働条件通知書に記載されている年収額を回答するといいでしょう。

社会保険労務士法人 岡 佳伸事務所代表 岡 佳伸氏

大手人材派遣会社にて1万人規模の派遣社員給与計算及び社会保険手続きに携わる。自動車部品メーカーなどで総務人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険適用、給付の窓口業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として複数の顧問先の給与計算及び社会保険手続きの事務を担当。各種実務講演会講師および社会保険・労務関連記事執筆・監修、TV出演、新聞記事取材などの実績多数。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2022年02月14日
記事更新日:2024年07月25日
記事更新日:2025年02月04日 リクルートエージェント編集部

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