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MRに未経験で転職する方法 | 仕事内容、必要な資格・スキルやキャリアステップなども紹介

医療事務 転職

「MRに転職したい」「未経験でもMRを目指すことはできるのか」と考えている人のために、MRに転職する方法をご紹介します。今回は、リクルートエージェントでMR職の転職支援を手がけているキャリアアドバイザーに取材し、転職市場の状況や仕事内容、必要なスキル、未経験から目指す方法などを伺いました。

未経験からMRを目指す方法

最初にMRの転職市場の状況や、未経験からMRを目指すことの可能性などをご紹介します。

MRの転職市場

MRの求人数は年々減少している状況にあります。大規模に展開する新薬開発のピークを過ぎたことや、国がジェネリック医薬品の普及に注力していることなどが影響していると言えます。しかし、現在でも未経験者採用を含めた一定数のMRの求人があり、新薬開発の計画に合わせた大規模なMR採用も年間2〜3件程度はあります。MRの転職市場は10年程度前のピーク時期より難しい状況となってはいますが、転職すること自体は可能と言えるでしょう。

未経験からMRを目指すことはできる

未経験でMRを目指すことも可能ですが、医薬品メーカーにおけるMR採用はハードルが高くなっています。一方、CSO企業(Contract Sales Organizationの略。医薬品販売業務受託機関のこと)によるコントラクトMRの採用は、未経験からでもOKとするケースもあり、教育・研修を用意している企業も多くあります。コントラクトMRとして経験を重ね、専門性を高めて高度な医薬品知識を取り扱うことができるようになれば、医薬品メーカーのMRを目指すことも可能です。

ただし、営業経験がない場合はコントラクトMRを目指すことも難しいでしょう。教育・研修があるCSO企業でも、医療知識を身に付ける研修が基本であり、セールススキルがあることを前提としているケースがほとんどです。営業経験が無い場合は、ほかの業界で営業経験を積むことが必要と言えます。有形・無形の商材や個人・法人などの顧客層にかかわらず、経験を通じてセールススキルが身に付けば問題無いでしょう。

転職エージェントを活用する

転職エージェントでは、未経験でも転職可能な企業や、MRを目指すために必要な営業経験を積める企業などを紹介してもらえます。転職活動の準備についても経験・スキルの棚卸しから、アピールできる職務経歴書の作成、面接対策まで、様々なアドバイスをもらうことができます。また、内定を得た後も、入社するか迷った際の相談相手となってくれるでしょう。

MRの仕事内容と働き方の形態

ここでは、MRの仕事内容と働き方の形態、一般的な営業職との違いについて解説します。

MRの仕事内容

MRとは「Medical Representative」の略で、医薬情報担当者を意味する用語です。医師や薬剤師などの医療従事者に向けて、自社または業務委託された企業の医薬品における有用性・安全性・副作用情報・効能・効果などの情報を提供する仕事です。また、医薬品には一般医薬品と医療用医薬品がありますが、MRが取り扱うのは医師の処方が必要な医療用医薬品のみであり、医療・医薬における専門知識が必要とされます。

MRの働き方の形態

MRの働き方の形態は2つあります。医薬品メーカーの営業職として活動し、自社の医薬品を取り扱うのが、いわゆる「MR」です。医薬品メーカーの社員であるため、自社の理念に沿って医薬品を広めていくやりがいがありますし、給与・福利厚生などの待遇が充実している企業も多いと言えます。
一方、「コントラクトMR」は、医薬品販売業務受託機関(Contract Sales Organization,CSO)に所属するMRで、複数のメーカーの医薬品の営業を代行して行います。コントラクトMRの仕事では、1〜2年などのサイクルで多様なメーカーの医薬品に携わることができるため、多様な領域を経験しながらスキルを磨くことができます。

MRは「専門職」であり、一般的な営業職とは違う

MRは一般的な営業職とは違って、価格交渉や商品代金の回収などは行いませんが、半年ごとなどの数字目標はあり、その達成率が評価されます。基本的には医薬品に関する情報伝達のみを取り扱う専門職であり、医療にかかわる専門的な知識が必要なので、最新の薬学知識を学び続けることが必要です。また、医薬品のプロモーション(情報の提供・収集・伝達活動)をする際の行動基準となる医療品プロモーションコードや、業界のルールとして定められている公正競争規約に基づいて行動することが求められます。

MRの仕事では、新規開拓より既存の病院などを定期的に訪れるルート営業のような形式が多く、医師や薬剤師などの医療従事者と信頼関係を構築することが必要です。また、他社のMRとも医薬品にかかわる情報を共有し合い、より有用な情報を提供できるように精度を高めていきます。医薬品の専門知識をもとに、担当する病院の医療従事者に向けて、医薬品の製品説明会や研修なども開催し、医薬品に関する総合的な理解を深めることもMRの仕事です。

MRになるために必要な資格・経験・スキル

MRに必要な資格やスキルについて解説します。

MRに必要な資格

MRの仕事では、車による移動が基本とするケースが多いため、普通自動車運転免許は必須の資格となります。また、入社後に研修を受けた後に「MR認定試験」を受け、認定資格を取得することが必要です。MR認定試験は国家検定や公的試験ではありませんが、専門性の高い業務を行うMRの仕事において、必須の資格として位置付けられるようになっています。特に、大学病院や大手病院などは、資格取得後に交付されるMR認定証を持っていなければ訪問できないケースもあります。

MRに必要な経験・スキル

<営業経験>
何らかの営業経験があり、セールススキルが身に付いていることは必須と言えるでしょう。また、目標数字の達成が求められる仕事のため、採用選考においては、過去の営業経験において数字の達成率が高いことや、目標達成の意欲が高いことなども評価のポイントになります。ただし、人の生命にかかわる商品を取り扱うので、「倫理観」も重視されます。提案の際には、数字達成よりも患者のために役に立つことを前提とする仕事のため、顧客志向の営業姿勢なども評価されるでしょう。

<医薬品知識とコミュニケーション力>
医薬品、製薬に関する知識・知見も必要です。情報提供や折衝を行う相手は、医師や薬剤師などの医療従事者であり、自分よりも高い専門性を持っており、社会的地位も高い人々とも言えます。そのため、より高度な知識を身に付けていくことが求められると同時に、信頼関係を築くコミュニケーション力も必要となるでしょう。また、MR同士での情報交換の際にも、コミュニケーション力や人脈を構築する力などが求められます。

MRの仕事に役立つ経験・スキル

医療機器の販売など「メディカル関連の営業経験」は、医師に向けた提案をすでに経験しているという点から、採用選考において評価されやすいでしょう。MRの仕事においては、自分より専門性も社会的地位も高い医師に対し、それぞれの考え方や方針を聞きながら適切な情報提供や提案をしていくことが求められます。医薬品の有用性や安全性などを論理的に伝えることも重要なため、「論理的なプレゼンテーション力」などもアピールにつながりやすいでしょう。

また、「個人営業で成果を挙げた経験」も評価されます。個人の能力がそのまま数字達成などの成果に直結する仕事の上、基本的に直行直帰で提案活動を行うのでセルフマネジメント能力も問われます。自ら数字の戦略を立て、自己管理で行動をマネジメントしてきた経験は評価につながります。

MRのキャリアと年収相場・将来性

最後に、MRのキャリアと年収相場・将来性について紹介します。

MRのキャリア

医薬品メーカーで働くMRの場合は、営業所長や支店長など、営業部門内でキャリアアップしていくことが一般的です。経験を生かしてマーケティング職種や営業企画なども目指すケースもありますが、門戸はかなり狭いと言えるでしょう。

一方、CSO企業で働くコントラクトMRの場合は、様々なメーカーの医薬品を取り扱いながらスペシャリティを身に付け、より専門性を高めて活躍するケースもありますし、マネジメントの道に進むケースもあります。コントラクトMRから医薬品メーカーへの転職を目指す場合は、より高い専門性を身につけていることが重要です。

また、医療業界においてはIT化やDX推進に向かう流れがあり、オンラインで薬剤の情報などを入手できるなど、新たなビジネスが展開されています。そのため、MRで培った経験・スキルを活かして、IT系の医療関連企業などのデジタルマーケティング職に転職するケースも増えています。

さらに、医薬品の開発や臨床に携わりたい場合は、製薬会社から医薬品開発における臨床試験や製造販売後調査の業務を受託しているCRO企業(Contract Research Organizationの略。医薬品開発業務受託機関のこと)に転職するケースもあります。

MRの年収相場と将来性

MRの年収はほかの業界の営業職と比較すると、高額の傾向があります。ただし、給与水準が高い場合は、その分、達成数字の責任が重くなるでしょう。
MRの将来性については、不安視される傾向もあります。国がジェネリック医薬品の普及と医療費削減を掲げている背景があり、また、コロナ禍の影響で病院を訪問することができないケースも増え、人員削減を行う医薬品メーカーも多くあります。しかし、その一方では、抗がん剤や希少疾患の薬剤など、スペシャリティ領域において高度な専門性を高めているMRは、プロフェッショナルとしてさらなる活躍をしています。社会に医療がある限りは、MRは求められ続けると言えるでしょう。

また、ヘルスケア業界・医療業界では、ITと掛け合わせるヘルステック領域に注力していく傾向もあります。MRで培った知見を活かせば、医療関連のプロダクトを手がけるIT企業に転職するなどのキャリアパスも望めます。MRは未経験の文系出身者でも資格取得ができ、活躍することができます。将来を見据え、自らの専門性を高めていくための選択肢として考えてみるのも良いかもしれません。

リクルートエージェント キャリアアドバイザー 服部真由美

リクルートの転職エージェントサービス「リクルートエージェント」のキャリアアドバイザーとして、主にMRや医療機器営業の方の転職支援を担当。

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