公務員が転職する場合、履歴書にはどのように経歴を記載すればいいのでしょうか。そこで、人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏に、公務員が転職する場合の履歴書の書き方や注意点をお伺いしました。
公務員の履歴書の選び方
履歴書には複数のテンプレートがあります。例えば第二新卒などで公務員の経験が浅い方は、職歴欄の大きい履歴書を使用すると空白が目立ってしまいます。そこで、志望意欲や自己PR欄の大きい履歴書を活用することで、意欲の高さや強みを伝えて職歴の短さをカバーする方法があります。一方で、公務員の経験が長い、または異動や転勤が多い場合は、過去の経歴をもれなく記載するために、職歴欄の大きい履歴書を活用すると良いでしょう。
なお、厚生労働省では、2021年4月から公正な採用選考を目的として、新たな履歴書様式を発表しました。どの履歴書様式を使っていいか分からない場合は、厚生労働省様式を活用しましょう。
【基本のテンプレート(厚生労働省様式)履歴書】ダウンロード
履歴書の基本的な書き方
以前は、履歴書は手書きで作成するのが一般的でしたが、デジタル化が浸透している現在では、パソコンやスマートフォンで履歴書を作成し、メールで応募企業に提出するケースが増えています。特にIT・Web系の企業や、効率を重視するコンサルティングファームや外資系企業に応募する場合は、手書きよりもデジタルの履歴書の方が向いているでしょう。
履歴書作成の基本ルール
・履歴書全体で西暦と和暦のどちらかに統一する
・手書きの場合、書き間違えたら新たな用紙に書き直す
・記載することがない場合は、空白にせず「なし」と入れる
・日付は提出(送付)する日付を入れる
・学校名や社名、免許・資格名などはすべて正式名称で
・学歴・職歴が収まらない場合、義務教育を省略しても良い
・在籍した企業は省略せずすべて記載する
・本人希望欄には、希望勤務地や希望職種など譲れない条件を記載
・引っ越しを予定している場合は、本人希望欄で申し添えておく
公務員の経歴を書く際の注意点
公務員が履歴書を作成する場合の注意点をご紹介します。
転勤が多く書ききれない場合は、職務経歴書に書くか簡略化する
公務員の中には、数年ごとに転勤を命じられる職種もあります。本来、履歴書は1行ごとに職歴を書いていきますが、転勤経験が多い場合は、1行ごとに勤務地を書いていくと、職歴欄のスペースが足りなくなってしまう可能性があります。職歴欄に書ききれない場合は、履歴書には要約して記載し、詳細は職務経歴書に記載するなどして対応しましょう。
公務員の職歴の書き方例
○○市役所 市民課に配属
町内会や自治会・地域コミュニティと連携し、地域社会づくりや市民の参加を推進
採用担当者がイメージしやすいように具体的な仕事内容を補足する
「○○市役所 市民課」「○○県警察 地域部」など、所属していた組織によっては、どのような仕事を任されていたのか採用担当者がイメージできないケースもあります。そのため、職歴に加えて具体的な仕事内容を記載しておくと、応募する仕事にマッチするか判断しやすくなります。履歴書の職歴欄に書ききれない場合は、職務経歴書で補足しても良いでしょう。
公務員の転職は、自己PR欄も有効活用しよう
公務員は公共性の高い仕事だからこそ、民間企業経験者に比べて「保守的なのではないか」「経営視点に欠けるのでは」といった先入観を持たれやすい傾向があります。
そこで、履歴書の自己PR欄を活用し、これまでにこだわっていたことや仕事への姿勢などを、エピソードを交えてアピールしましょう。自ら主体的に働きかけたり、成果を出したりした事例があると評価につながります。
公務員の自己PRの書き方例
私の強みは「巻き込み力」です。
○○地域では飼い主のいない猫が多く、住民から臭いや衛生面で苦情が出ていました。そこで地域のNPOやボランティア団体と連携し、啓蒙活動と猫の保護をすることになりました。助成金を活用した「地域猫」への取り組み、愛護団体を通じた里親への引き渡し、動物愛護の広報を続けることで、飼い主のいない猫も苦情も減らすことができました。
応募書類の書き方に悩んだら、転職エージェントに相談を
転職エージェントは、求人の紹介や面接の日程調整だけでなく、応募書類の添削や面接へのアドバイスも行っています。「履歴書や職務経歴書の書き方が分からない」「書類選考がなかなか通過しない」という場合は、転職エージェントに相談し、応募書類のチェックをしてもらうことで、転職成功の可能性が高まるでしょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。