履歴書には、厚生労働省が公表しているテンプレートの他、応募企業にアピールしたい内容に応じて欄のボリュームや補足項目を追加したテンプレートもあります。履歴書を作成する際、「豊富な経歴を詳細に伝えたい」、「職務経験が浅いのでポテンシャルをアピールしたい」、「志望動機をしっかり書きたい」など、人によって強調したいポイントは異なるもの。自分が伝えたい内容に適したテンプレートを選ぶことが大切です。
本記事では、テンプレートの種類ごとに特徴や利用をおすすめする人を、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏に解説いただきました。また、ダウンロードしてすぐに使えるテンプレートも紹介します。
履歴書の見本テンプレート全4種類
履歴書には、厚生労働省が作成した様式の他、いくつかの種類が存在します。
ここでは、厚生労働省が作成した最新版テンプレートに加え、3つのニーズ別テンプレートの合計4種類を紹介します。
- 厚生労働省の最新版テンプレート(2021年4月~)
- 長所や個性をアピールしやすいテンプレート
- 多面的に自分をアピールできるテンプレート
- 入社希望の気持ちをアピールしやすいテンプレート
【基本】厚生労働省の最新版テンプレート(2021年4月~)
厚生労働省の最新版テンプレートは、公正な採用選考を行うことを目的に厚生労働省によって制作された様式です。(2021年4月~)
一般的に流通している履歴書の様式から、下記2点を変更している点が大きな特徴です。
- 「性別」欄が任意記載になっている
- 「通勤時間」「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」の項目がない
(※)出典:『新たな履歴書の様式例の作成について』(厚生労働省)
採用担当者が選考の際に確認したい情報が網羅されているため、安心して利用できるでしょう。一方で志望動機欄の広さに限りがあり、他の形式と比較して自由記述できるスペースが小さいテンプレートです。そのため、入社の意欲・熱量をやや伝えにくい側面があります。
自由記述の欄が少なく書き進めやすいことから、初めて転職活動に取り組む方におすすめです。
また本テンプレートは、学歴や職歴の欄が大きく設けられています。そのため、学歴は高校卒業以上の学歴がある場合は、高校入学から記載しましょう。また職歴も、基本的に抜け漏れないように記載します。なお、学歴・職歴を記載する際は、西暦・和暦いずれかに表記を統一するよう心がけましょう。
【ニーズ別】長所や個性をアピールしやすいテンプレート
長所や個性をアピールしやすいテンプレートは、学歴・経歴、資格・免許の欄が縮小されている代わりに、特技や長所、短所などの自由記述の欄が大きく設けられている点が特徴です。自由記述が多い分、強みや長所をアピールしやすい一方で、作成に時間がかかる点がデメリットとして挙げられます。
ポテンシャルをアピールしたい場合や入社意欲が高い場合、さらにはスキル・個性をアピールしたい場合に活用したいテンプレートと言えるでしょう。
ただし作成の際は、各欄の記述に食い違いが生じないよう留意しましょう。また自由に記述できるスペースが広く設けられているにもかかわらず、文章量が極端に少ない場合、志望度や意欲が低いと捉えられてしまう懸念も考えられます。ある程度スペースを埋められるような長さの文章を考えましょう。加えて、読みやすい文字の大きさに収まるよう、文字数を調整することも意識してみてください。
【ニーズ別】多面的に自分をアピールできるテンプレート
本テンプレートは、趣味・特技、長所・短所、自己PR欄を、各適度な分量で書き込めるよう調整されており、自分の能力や長所を多面的にアピールできる仕様になっています。伝えたいことや強調したいことがいくつもある、という方に適したテンプレートです。
複数の項目をアピールできる一方で、一項目の内容が薄くなる懸念も考えられます。短い文章でも自身の強みや魅力、意欲を端的にアピールできるよう、募集要項を確認しながらアピール材料になる経験を中心に数字を交えながら文章を作成してみてください。
また人によっては、学歴・職歴の欄が不足する場合もあるかもしれません。もし学歴・職歴の欄が不足した場合は、学歴に関しては高校卒業までを割愛し、以降の学歴を記載する方法もあります。職歴に関しては正社員勤務を中心に記載します。履歴書に記載しきれない経歴は、職務経歴書で情報を補填しましょう。
【ニーズ別】入社希望の気持ちをアピールしやすいテンプレート
入社希望の気持ちをアピールしやすいテンプレートは、志望動機・自己PR欄が大きく設けられており、入社後の目標や意欲を伝えやすい形式になっています。「入社意欲が高い」「異業種からの転職になるが入社して活躍したい」など、志望度の高さを強調できる点が特徴です。
ただし、企業にとって「会ってみたい」と思ってもらえる内容でないと、次の選考ステップに繋がりにくいでしょう。
志望動機を作成する際は、事業戦略・募集ポジション・風土などから、“なぜ貴社でなければならないのか”その理由を伝えられる文章を作成しましょう。また自己PRを作成する際は、採用担当者の興味を喚起できる内容になるよう、応募企業の求める要件にマッチする人材である旨をアピールする文章に仕上げることを意識してみてください。
異業種転職や就職活動など、スキルや経験よりもポテンシャルを重視してほしい場合に利用したいテンプレートです。
履歴書のテンプレート全13パターンを無料でダウンロード
ここでは、全13パターン文の履歴書テンプレートをダウンロードできます。
ぜひ自分に合った形式のテンプレートをダウンロードし、活用ください。
厚生労働省 最新版 履歴書テンプレート3形式
厚生労働省が作成したテンプレートを利用したい方は、下記よりダウンロードできます。
長所や個性をアピールしやすい 履歴書テンプレート3形式
長所や個性をアピールしたい方は、下記より特技や長所、短所などを自由に書き込めるテンプレートを下記よりダウンロードしましょう。
多面的に自分をアピールできる 履歴書テンプレート3形式
趣味・特技、長所・短所、自己PR欄が広く設けられているテンプレートの利用を考えている方は、下記よりダウンロードしてください。
入社希望の気持ちをアピールしやすい履歴書テンプレート3形式
下記は、入社意欲を強調できる履歴書のテンプレートです。志望度の高い企業に応募する際は、下記よりダウンロードし、活用ください。
WindowsではないMacユーザー向けの履歴書テンプレート
厚生労働省が公表しているテンプレートには、Macユーザー向けにPages形式も用意されています。履歴書作成時にMacを使用する方は、下記よりダウンロードしてください。
履歴書作成に関するよくある質問 5選
ここでは、履歴書作成に関するよくある質問を5つ紹介します。
Q.履歴書はA4サイズ 1枚でもいいですか?
A.特に決まりはありませんが、企業で用いられている書類は、A版が一般的です。また、記載欄が広いことからA4サイズ(見開きA3サイズ)の履歴書の使用をおすすめします。なお、枚数は基本1枚にまとめ、補足事項などは職務経歴書に記載しましょう。
ただし、応募先の企業からサイズや様式の指定がある場合は、指示に従いましょう。
Q.履歴書の日付はいつにすればいいですか?
A.履歴書を提出する年月日を記入します。最新の情報として提出するため、郵送の場合は投函日を、持参する場合は当日の日付を記載しましょう。
Q.ダウンロードした履歴書フォーマットを自分仕様に変更しても問題ないですか?
A.住所・氏名・連絡先・学歴・職歴については記載が必要ですが、資格など特筆する事項がない欄は削除し、自己PR欄を広く設けることも可能です。書くことが少なく空白が目立ってしまう場合には、欄を小さくするのもいいでしょう。
Q.履歴書に書くことがない場合、空欄のままでもいい?
A.基本は、全ての欄を埋めましょう。空欄の場合、採用担当者は記載漏れかどうかを判断できません。資格欄など記載事項がない場合は「特になし」と記載しましょう。
Q.履歴書には、「御社」と「貴社」どちらを使えばいい?
A.ビジネス文書の書面では「貴社」を用います。履歴書を作成する際も「貴社」を使用しましょう。
履歴書写真に関するよくある質問3選
履歴書写真に関するよくある質問を3つ紹介します。
Q.履歴書に添付する写真はどこで撮ればいいですか?
A.履歴書写真の撮影手段は、写真館、スピード写真、自撮りなどがあります。写真館ではプロならではの仕上がりが期待できるでしょう。スピード写真や自撮りの場合は、髪や服装の乱れを直し、正しい姿勢を意識して撮影しましょう。
Q.写真のサイズに規定はありますか?
A.タテ40mm×ヨコ30mmが一般的ですが、履歴書によって写真のサイズに違いがあるため、事前に確認しておきましょう。またメールやweb上で写真のみを送付する場合は、一般的に560×420ピクセルもしくは600×450ピクセルいずれかを指定されることが多いようです。指定サイズに加工し、送付しましょう。
Q.履歴書をメールで送る場合は写真なしでもいいですか?
A.応募先から写真不要と指示がない限り、写真欄がある場合は貼付しておくとよいと考えられます。撮影した画像データを履歴書に挿入し、写真欄に重ねPDF化しましょう。
履歴書にまつわるその他の質問5選
その他、履歴書にまつわる質問にも目を通しておきましょう。
Q.履歴書と職務経歴書の違いを教えてください
A.履歴書と職務経歴書は役割と用途が違います。履歴書は氏名、連絡先、学歴、職歴といった応募者の基本的なプロフィール情報を伝える応募書類です。一方、職務経歴書はこれまで経験した職種、業務経験やスキルなどの情報を伝える応募書類です。
Q.履歴書を郵送する場合は折ってもいいですか?
A.見開きの履歴書を郵送する場合、A3はA4 、B4はB5サイズになるよう、記載面を表側にして中央を二つ折りにしましょう。
Q.履歴書をメールで送る時の注意点はありますか?
A.件名は、本文の内容を要約した一文を記載します。「○○○職応募の件/氏名(フルネーム)」のように、メールを開封する前に本文の内容を想定しやすい一文が好ましいでしょう。
なお、本文は「1.宛名」「2.氏名」「3.応募の経緯」「4.用件」「5.結びと挨拶」「6.署名」の順番で作成すると、必要な情報を漏れなく伝えることができます。
Q.履歴書を入れる封筒を用意する時の注意点はありますか?
A.封筒を用意する時は、雨などで文字が滲まないよう、黒の油性マジックで宛名や送り主を書きます。また企業宛の場合は、宛先の最後に「御中」、個人宛の場合は、「様」と敬称を添えましょう。
表面左下には、履歴書を封入している旨を報せるため、「履歴書在中」と赤色で記載します。
Q.履歴書を持参して手渡しする時の注意点はありますか?
A.履歴書が折れたり汚れたりしないように、封筒に入れて持参します。履歴書をクリアファイルに挟んでから封筒に入れておくとより安心です。持参した封筒は、提出を求められたタイミングで手渡しましょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
記事更新日:2022年04月04日
記事更新日:2024年11月30日 リクルートエージェント編集部