複数の企業に応募書類を紙で提出する場合、履歴書をコピーして使用しても問題はないのでしょうか。また、手書きではなく、パソコンで作成した履歴書の場合はどうなのでしょうか。そこで、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏と八雲法律事務所の弁護士 星野悠樹氏に、履歴書のコピーや使い回しについてアドバイスいただきました。
履歴書のコピー(使いまわし)がだめな理由
履歴書は応募先の企業ごとに作成するのがマナーです。ここでは履歴書のコピーがだめな理由について解説します。
心証を悪くする可能性がある
企業の採用担当者は、さまざまな履歴書を見てきています。履歴書をコピーして使用した場合、過去に作成していると提出日の日付が古くなっているため、応募先企業への心証が悪くなりかねません。企業ごとに丁寧に作成するようにしましょう。
志望動機に齟齬が生じる可能性がある
志望動機の欄がある履歴書の場合、他社用に作成したものを使ってしまうと、志望動機の内容に齟齬が生じる可能性があります。志望動機は応募先によって異なるので、応募先企業に合わせて志望動機を作成しましょう。また、過去に作成した履歴書は日付も古くなっているため、志望動機だけでなく職務経歴にも変更がないか注意が必要です。
著作権・商標権を侵害するおそれがある
市販されている履歴書には、通常、製作会社・販売会社の著作権や商標権といった権利の保護が及んでいて、コピーすることが禁じられています。コピーして利用した場合、権利を侵害するおそれがあるので注意してください。記入前の履歴書をコピーして、使用するのもNGであることを覚えておきましょう。
履歴書のコピーは自分用にとっておく
履歴書のコピーは自分用にとっておくことをおすすめします。ここでは履歴書のコピー活用方法について紹介します。
面接前に内容を再確認する
履歴書をコピーしておけば、企業へ送付した後でも都度内容を確認することができます。面接当日の持ち物チェックリストに「履歴書のコピー」を追加しておくのもおすすめです。面接本番前に履歴書の内容を振り返ることができ、自己紹介や面接担当者の質問などにも矛盾するような回答にならないためにもおすすめです。
新たな履歴書を作るときの参考にする
履歴書のコピーは、新たな履歴書を作成する際に役立ちます。学歴や職歴、保有する資格などを確認し直す手間が省けるからです。自己PRや志望動機を考えるときの参考材料にもなるため、企業ごとに作成した履歴書は、送付する前にコピーをして保存しましょう。
PCで作成した履歴書を印刷する場合
PCで作成した履歴書を印刷するときのポイントについて紹介します。
しっかりとした紙を使用する
履歴書を自宅のプリンターで印刷する場合、コピー用紙はしっかりとした紙を使用しましょう。紙選びに悩んだときは、履歴書専用のコピー用紙を購入するのもひとつの方法です。
A4かB5サイズの見開き、2枚つづりで印刷する
履歴書の様式はA4版(二つ折りの場合は見開きA3サイズ)とB5(二つ折りの場合はB4サイズ)があります。プリンターによっても印刷できるフォーマットは異なるため、見開きで印刷できない場合は「2枚つづり」でプリントアウトして、クリップを使ってまとめるとよいでしょう。
コンビニなどで印刷しても問題ない
PCで作成した履歴書は、自宅にプリンターがない場合コンビニなどで印刷する方法もあります。印刷するときは、履歴書のデータをSDカードに入れたり、スマホアプリを使ってデータを飛ばしたりすることでプリントアウトできます。コンビニに設置されているプリンターならオフィス用と変わらないため「A4・B5サイズの見開き」で印刷することが可能です。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
八雲法律事務所 弁護士 星野 悠樹氏
経営法曹会議会員。主に人事労務案件(解雇案件、ハラスメント案件、不祥事案件等)及びインターネット法務案件(個人情報・プライバシ―、システム開発、インターネット上での誹謗中傷)の法律相談、訴訟対応等を取り扱う。