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知財求人が4年前の3倍に拡大。業種の垣根を超えて「知財戦略」を担う

転職市場の展望イメージ(空と都心のビル群)

転職活動を納得感あるものにするためには、事前の情報収集が欠かせません。特に、自身のスキルが活かせる分野の動向は押さえておきたいもの。この記事では知的財産職に関する転職・採用動向を、この分野に精通するコンサルタントが解説します。

知的財産職の求人数はこの4年で3倍以上に増加

2014年と2018年の4月時点の求人数を比較すると、知財関連の求人は3.1倍に拡大しています。最近の傾向として顕著なのは、管理職クラスを求める求人が増えていること。
部長や役員待遇で迎えたいとする求人も見られます。

その背景にはあるのは、新規事業への投資意欲の高まり。デジタルトランスフォーメーションが加速し、業種の垣根がなくなっていく今、業績好調な企業は次世代の事業柱を築くため、新領域での可能性を模索しています。
未知のマーケットへ打って出るにあたっては、既存プレーヤーはどんな技術や特許を持っているのか、その上で自社の技術はどう活かせるのかを調査・分析しなければなりません。
そして、経営の水先案内人として事業の方向性を指し示すことができる知的財産の専門家が求められています。

例えば、自動車業界では車を「移動手段」から「生活空間」へと捉え直しています。
それに伴って、シートひとつとっても、求められる機能が変わっています。従来は交通事故にも耐えうる頑強さが求められていたのに対し、現在は移動時間を快適に過ごせる乗り心地が重視されています。当然、シートに用いる素材も再検討されます。
つまり、これまではビジネス機会と捉えていなかった素材メーカーにもチャンスが生じるわけです。
他社の特許と自社の技術を踏まえ、マーケットに参入すべきか否か、参入するのであればどのような知財活動を行っていくのかを指し示すことが知財部門に求められています。

また、昨今はグローバル化の加速に伴い、海外を単なる生産工場としての位置付けではなく、ひとつのマーケットとして捉え、研究開発拠点を構える企業が増えています
しかし、各国によって知的財産に関わる法律は異なりますし、制度が整っていないことも珍しくありません。
知財制度を整えることが国家の利益につながることを訴求し、政府を巻き込むことで自社に優位な環境をつくることが戦略的な知財活動が求められています。

電機業界での知財経験者に注目が集まる

新たな領域への事業展開に伴い、知財職を採用する場合、ターゲットとして注目を集めるのが電機業界の知財経験者です。
1つの製品に何千、何万という数の特許が含まれている電機業界では、クロスライセンスが当たり前。知財担当者は、そうしたライセンス交渉はもちろん、他社の特許状況を踏まえて自社がどのマーケットで勝負するかを戦略的に検討・判断しています。
一方、これまでクローズドマーケットで事業を運営してきた企業――例えば、化学・素材・食品といったメーカーには、そうした経験や知見がほとんどありません。そこで、電機業界の知財経験者を迎えたいとする求人が多く見られます。

もちろん、「やはり技術知識は必須」と考え、同業界の知財経験者を求める企業もあります。
しかし最近では、「他社特許を調査・分析し、知財戦略を立案し実行するマネジメント力」というスキル面を重視し、イノベーションを起こすことを期待し、異業界の知財を受け入れる企業も増えているのです。

実際、そうした転職事例も生まれています。
例えば、電機業界で管理職を務めていたAさんは、完成車メーカーに管理職として採用されました。自動車においては通信ネットワーク技術の導入が進んでいます。
例えば半導体チップが特許侵害していた場合、製造している1次・2次サプライヤーではなく完成車メーカーに対して訴訟が起こされる。こうした事案に対応するには、従来の自動車業界の論理は通用しません。そこで、Aさんの電機業界での訴訟対応経験が買われたというわけです。
Aさんは、自身がこれまで培った知識・経験を100年に一度の危機といわれる自動車業界で活かす方が社会貢献につながる…という想いで転職を決意されました。

このように、実際に生じてくる訴訟への対応、さらにはそれに備える戦略を立て、いち企業としてではなく業界全体を巻き込んだ仕組みづくりから担える知財人材が求められているのです。

「もっと事業に貢献したい」「経営にインパクトを与えたい」という志向の知財職にはチャンス豊富

「会社の事業にもっと貢献したい。しかし組織構成や組織での役割上、実現できない」

「経営に資する知財活動を行いたいが、今はそれだけの裁量権がない」

そんな物足りなさを感じている方にとって、今はチャンスの時期といえます。
特に大手企業にいる方からは、「細分化された役割の一部だけを担っているが、一機能の部分最適を実現しても、全体最適にはならない。自分の中では全体像を描けているのに、自分が関われる範囲は限られてしまっている」といった声が聞こえてきます。
そうした方は、変革期を迎えている企業、あるいは新領域で成長の可能性を秘めている企業などで、知的財産権を活用することで実現できる未来を経営陣に指し示すことで裁量・職域を広げ、経営そのものに影響力を発揮する可能性を探ってみてはいかがでしょうか。
まだ整っていないものを、自らの手で整えていくことにやりがいを感じられる、覚悟を持てる方にとっては、自身のキャリアが切り開ける新たなステージが待っています。

 

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