転職エージェントの利用を考えているけれど、「多くの転職エージェントの中からどのようにして自分に合ったサービスを選んだら良いのか分からない」と悩む人は多いようです。転職エージェントの活用は自分のキャリアに大きな影響を与えかねないため、どの転職エージェントの選び方は大切なポイントです。
そこで本記事では、転職エージェントの選び方やうまく活用するコツについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に解説いただきました。
目次
転職エージェントの6つの選び方
転職エージェントの選び方例としては、次の6つの方法が挙げられます。
- 転職エージェントの規模・種類で選ぶ
- 紹介できる求人件数で選ぶ
- 転職サポート内容で選ぶ
- 利用者の口コミや評判で選ぶ
- 転職支援実績で選ぶ
- キャリアアドバイザーとの相性で選ぶ
本章では、各選び方を1つずつ解説します。
選び方1:転職エージェントの規模・種類で選ぶ
転職エージェントは、サービスごとに規模や種類が異なるため、規模や種類で選ぶのも1つの方法です。
大手・総合型エージェント
あらゆる業界・職種の求人を網羅的に扱っているのが、総合型の転職エージェントです。多くの場合、複数拠点を持つ大手企業が運営しています。保有している求人数が非常に多いため、複数の求人を紹介してもらえる可能性が高く、選択肢を多く持つことが期待できます。
また、さまざまな業界・職種の転職支援を行っているため、各業界・職種の採用動向や求人の傾向を熟知しているのも、大手・総合型転職エージェントの特徴です。複数の業界・職種の情報提供を受け、比較しながら転職活動を進めたい人にも向いているでしょう。
業界・職種特化型エージェント
特定の領域に特化した求人を扱っているのが業界・職種特化型の転職エージェントです。専門性に長けた情報の提供を強みとしており、特定の業界や企業と強いネットワークを持つ転職エージェントもあります。
「業界」に特化した転職エージェントとしては、「製造業」「医療」「介護」「IT」「Eコマース」「建設」「美容」「ブライダル」などを強みとする転職エージェントがあります。
「職種」特化型では、「エンジニア」「管理部門職(経理・人事・法務など)」「士業(公認会計士・税理士など)」「デザイナー」など、ニーズが高い専門職を得意とする転職エージェントもあります。
属性特化型エージェント
特定の求職者層や企業に特化している転職エージェントもあります。
たとえば、次のような属性に特化した転職エージェントを利用することで、その域の人材を求める企業の求人紹介を期待できるでしょう。
- エリア
- 外資系企業
- スタートアップ
- エグゼクティブクラス(役員・CxOなど)
- 第二新卒
- 未経験・フリーター
- 女性
- ミドル・シニア など
選び方2:紹介できる求人件数で選ぶ
転職エージェントを選ぶ際は、紹介できる求人件数に着目するのも良いでしょう。
多くの求人を取り扱う転職エージェントでは、選択肢の幅が広がり、自分に合った求人を見つけやすくなる可能性が高まります。
求人数は各転職エージェントの公式サイトなどで公開されていることが多いので、チェックしてみるといいでしょう。中には非公開になっている転職エージェントもありますが、面談などで確認してみると良いでしょう。
選び方3:転職サポート内容で選ぶ
転職サポートの内容を確認しておくことも大切です。
転職エージェントは、転職活動がよりスムーズに進むよう、さまざまな転職サポートを提供しています。しかし、転職エージェントによって、得意とするサポートや提供している支援内容が異なります。
自分が求めるサポートが何かを明確にし、それに応じた転職エージェントを選ぶことが大切です。面談の時間や回数、面接ごとのサポート体制など、転職活動に取り組むにあたって必要なサポートを受けられるか確認しておきましょう。
選び方4:利用者の口コミや評判を参考に選ぶ
転職エージェントを選ぶ際は、利用者の口コミや評判もチェックしておきましょう。実際にサービスを利用したユーザーの声を見聞きすることで、「転職を急かされる」「アドバイザーが親身でない」といった、公式サイトや面談では分からなかった情報を得られるかもしれません。
口コミは1人1人の主観ですから、参考情報として活用し、利用者の評判なども加味して、自分の求めるサービスとマッチする転職エージェントを選べば、転職活動にまつわる負担を軽減できるでしょう。
選び方5:転職支援実績で選ぶ
過去の支援実績を確認しておくことも1つのポイントです。転職を支援した求職者の数だけではなく、次のような数字や項目について公開されている場合はチェックしてみてはいかがでしょうか。
- 入社後定着率
- 年収アップ額・年収アップ率
- 転職先の企業・業界
- 転職後の待遇・ポジション
- 利用者の満足度 など
実績を確認することで、得意とする業界やキャリアアドバイザーの質などが見えてくるでしょう。
選び方6:キャリアアドバイザーとの相性で選ぶ
転職エージェントを利用する際は、キャリアアドバイザーとの相性も大切な要素と言えます。
転職エージェントによって在籍するキャリアアドバイザーのタイプ傾向が異なる場合もあるため、登録後の面談などの時にキャリアアドバイザーのタイプや人柄を確認しておきましょう。
また、たとえ同じ転職エージェントであったとしても、タイプが全く異なるキャリアアドバイザーが在籍しているケースもあります。もし担当のキャリアアドバイザーと相性が合わないと感じた時は、担当者の変更を申し出ることもできます。
転職エージェントの選び方 【5つの転職活動のケース別】
ここでは5つのケース別に、自分に合った転職エージェントの選び方を解説します。
- 転職が初めての場合
- 未経験業界・職種に転職する場合
- まだ転職の方向性が決まっていない場合
- 目指す業界・職種・属性が明確に決まっている場合
- 複数の転職エージェントに話を聞きたい場合
納得できる転職を実現するためにも、参考にしてみましょう。
ケース1:転職が初めての場合
転職活動が初めてで進め方が分からない人には、大手・総合型エージェントがおすすめです。職務経歴書の書き方や面接対策など、基本的な転職活動のサポートを受けることもできるでしょう。
また、多様な業界・職種を網羅しているので、自分では想定していなかった方向性を提案され、選択肢が広がることもあるでしょう。
ケース2:未経験業界・職種に転職する場合
未経験業界・職種への転職を目指す場合も、幅広い求人を保有する大手・総合型エージェントの活動を検討してみてはいかがでしょうか。未経験業界・職種でも、これまで培った経験・スキルを活かせる求人を提案してもらえるでしょう。
未経験業界・職種の転職支援実績もあるので、キャリアチェンジの場合のアピール方法についてもアドバイスを受けることができるでしょう。
ケース3:まだ転職の方向性が決まっていない場合
転職の方向性が決まっていない場合も、さまざまな業界・職種の転職支援実績を持つ大手・総合エージェントに相談するとよいでしょう。キャリアの棚卸しを経て、目指す方向性が明らかになった際、マッチする求人を保有している可能性が高いからです。
キャリアの棚卸しについても、キャリアアドバイザーにサポートしてもらい、強みや志向、転職目的を整理できるでしょう。
ケース4:目指す業界・職種・属性が明確に決まっている場合
転職先の業界・職種、あるいは希望勤務地などが明確に決まっている場合は、その領域に特化している中小・特化型の転職エージェントから情報を得るとよいでしょう。その業界・職種・属性ならではの応募書類の書き方や、面接対策の具体的なアドバイスを受けることもできるでしょう。
大手・総合型エージェントも組み合わせて利用することで求人の選択肢をより多く持つことができるでしょう。
ケース5:複数の転職エージェントに話を聞きたい場合
複数の転職エージェントから多角的なアドバイスを受けたい人は、大手・総合型エージェントと中小・特化型エージェントいずれにも相談してみるのがおすすめです。
大手・総合型エージェントは、転職支援実績が豊富なので、データを元にしたアドバイスが得意なようです。一方で、中小・特化型エージェントは独自のサポートやフットワークの軽さを強みとするケースもあります。
ただし、継続して付き合う転職エージェントが多すぎると、やりとりの負担が大きくなることも考えられます。自分の状況や転職活動のペースなどを考えながら相談しましょう。
転職のエージェント選びで気を付ける4つのポイント
転職で後悔しないためにも、転職エージェント選びのポイントを4つご紹介します。
- 複数の転職エージェントを掛け持ちで利用する
- 希望職種や業界に対する知識や理解度を確認する
- 提案される求人が希望とズレていないか確認する
- 適度に要望を伝え、応対を確認する
ポイント1:複数の転職エージェントを掛け持ちで利用する
転職エージェントを利用する際は、複数のサービスを掛け持ちで利用するのも1つの方法です。掛け持ちする場合は、タイプの異なる転職エージェントを選ぶことがポイントです。たとえば、業種・職種・エリアを問わず、多種多様な求人を取り扱う総合型の転職エージェントと特定の業種やエリアに特化した転職エージェントを選ぶことで、紹介案件の重複を避けられるでしょう。
複数の転職エージェントを併用すれば、より多くの求人から応募先を選べたり、相性の良いキャリアアドバイザーと出会えたりできる可能性が高まります。
ポイント2:希望職種や業界に対する知識や理解度を確認する
特に、専門性の高い職種に転職を希望する場合や転職したい業界が決まっている場合は、担当のキャリアアドバイザーの職種・業界に対する知識や理解度を確認しておくことも大切です。職種や業界の理解に乏しい場合、転職活動を推進するにあたって十分な情報を得られない可能性があります。また、希望とは異なる求人を紹介されることも考えられます。
職種や業界に対して深い理解を求めるのであれば、特定の職種・業界に特化した転職エージェントを選びましょう。在籍するキャリアアドバイザーは、業界出身者や業種経験者であることが多く、スキルに関する細かい要望を汲んでくれたり業界独自の動向を把握した適切な支援を提供してくれたりすることが期待できます。
ポイント3:提案される求人が希望とズレていないか確認する
サービス利用時に、提案される求人が希望とズレていないか確認することも大切です。万が一、希望に沿わない求人を提案された場合は、希望と異なったポイントをキャリアアドバイザーに伝えましょう。その上で、希望や要望を改めてすり合わせるようにしましょう。そうすることで、より希望に近い求人を探し出してくれるでしょう。
希望とは異なる求人を紹介されたまま訂正せずにいると、次も希望に沿わない求人を紹介される場合があります。希望と異なる提案を受けた場合は、早々にすり合わせを行い、キャリアアドバイザーが自分と同じ認識を持った状態になるようにしましょう。
ポイント4:適度に要望を伝え、応対を確認する
転職エージェントを利用する際は、適度に要望を伝えましょう。特にサービス利用開始時は、サポートや支援に対する要望を伝えておくことをおすすめします。
たとえば、仕事と転職活動を並行している場合は「忙しいので機動的に動いてほしい」、初めての転職で不安を感じている場合は「基本的なことから丁寧に教えてほしい」など、具体的に要望を伝えると、キャリアアドバイザーも要望に沿った支援を提供してくれるでしょう。また、キャリアアドバイザーとしても要望を明示されたほうが希望に沿った支援を提供しやすくなるため、より力を発揮しやすくなるでしょう。
なお、転職活動を続けていると、活動途中で取り巻く状況や心境が変わることも珍しくありません。「焦らずじっくり転職先を探すはずが、退職が早まった」「不安になってきたので親身に対応してほしい」など、要望が変わった時は、すぐに新しい要望をキャリアアドバイザーに伝えましょう。転職支援のプロであるキャリアアドバイザーは、こうした要望の変更にも臨機応変に応えてくれるでしょう。
選んだ転職エージェントを上手に活用するための3つのコツ
選んだ転職エージェントをより上手に活用するためには、次の3つのコツを意識しましょう。
- 希望するサポートスタイルを先に伝える
- 希望は正直に伝える
- 希望条件が変わったら遠慮なく伝える
コツ1:希望するサポートスタイルを先に伝える
利用を始める段階で、自分が希望するサポートスタイルを伝えるようにしましょう。以下に挙げる例のように「自分は転職エージェントに何をしてもらいたいのか」を伝えます。
- 「転職活動が初めてなので、基本的なところから丁寧にサポートしてもらいたい」
- 「中長期的なキャリアプランの相談に乗ってほしい」
- 「スピード重視で、希望条件にマッチした求人だけを紹介してほしい」
- 「さまざまな可能性を探りたいので、幅広く求人を紹介してほしい」
もちろん、途中で希望を変えても構いません。「今、自分がどのようなサポートを求めているのか」を明示することで、適切な対応をしてもらえるようになり、やりとりが円滑になるでしょう。
コツ2:希望は正直に伝える
キャリアアドバイザーから適切なサポートを受けて転職を実現させるために、希望条件がある場合は、まずは正直に伝えることをお勧めします。その上で、希望が通る可能性について相談するとよいでしょう。
コツ3:希望条件が変わったら遠慮なく伝える
転職活動を進めていく中で、目指す方向や希望条件が変わることもあります。ところが「求人紹介が振り出しに戻るので気を悪くするのではないか」などと遠慮して、担当キャリアアドバイザーに言い出せないケースがあります。
しかし、転職活動中に気持ちが変わることは決して珍しいことではありません。遠慮なくキャリアアドバイザーに気持ちを伝えましょう。
自分に合った転職エージェントを選ぼう
近年、転職エージェントは数も増え、サービスも多様化しています。比較検討して自分に合う転職エージェントやキャリアアドバイザーを見つけることで、納得感が高い転職活動を進められるでしょう。「大手・総合型」であるリクルートエージェントでは、幅広い業界・職種の求人を取り扱っています。
同業界・同職種への転職はもちろん、これまで培った経験・スキルを異業界・異職種で活かす道も提案できます。豊富な転職サポート実績をベースに、実際の転職事例を踏まえたアドバイスや選択肢を提供しています。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
記事更新日:2023年04月21日
記事更新日:2023年10月19日
記事更新日:2024年04月18日
記事更新日:2024年12月02日 リクルートエージェント編集部