転職活動を始めると、必ず伝えることになる「志望動機」。
まずは、仕事の内容や適性を理解してから、自分の経験を振り返って、志望動機を作成することが、転職活動の成功へのポイントです。
大学職員を志望する場合、どのように整理し、作成すればいいのでしょうか。
志望動機の書き方のポイントをリクルートエージェントのキャリアアドバイザー佐藤英樹さんにお伺いしました。
大学職員の仕事内容を理解しよう
大学職員の仕事は、大学の運営・管理を担当します。大学運営は規模が大きいほど、担当業務が細分化されており、数年単位での異動をしながら、様々な仕事を担当していくことが一般的です。
大学職員の特徴的な仕事としては、まず、教務・学生支援など履修相談から授業ガイダンスの策定、住居相談などの在校生の日常を支える業務があります。
また、高校生への学校説明やオープンキャンパスの企画・実行などの入試業務、就職支援業務などがあります。他にも、グローバル推進、研究推進、IoT推進など、大学ごとの持つ特性を出すために力を入れている部門を担当することもあります。
一般企業のように人事・経理・総務・広報・IT関連の業務があるほか、大学の経営企画を策定する業務もあります。
大学職員に求められる適性を理解しよう
大学職員の仕事は一つの業務を推進するためにも、教職員や学生、学内の別部門、委託会社などとの連携が必要になります。的確なコミュニケーションを取りながら、多くのタスクを同時進行させ、ミスや漏れなく業務を遂行してく能力が求められます。
また、担当部門をローテーションすることが多いため、業務に慣れたころに異動ということもあります。どの部門に配属されても、大学運営に必要な仕事と前向きに捉える素直さや吸収力、周囲との調整力が求められます。
ですから例えば「経理のスペシャリストになりたい」、という志向の方よりは、大学の事業に関わる中で、経理も一つの業務と捉えられる人の方が向いていると言えます。
大学職員というと、学生相談の窓口業務を想定する方が多いようですが、実際には窓口業務の担当者も、入試計画を作成したり、予算を取りまとめたり、就職ガイダンスを企画したりと、多様な業務を平行して担当している場合が多いでしょう。ですから、デスクワークに取り組みながらも、学生や教職員に話しかけられた際は、丁寧に対応できる柔軟な対応力もポイントです。
大学職員の志望動機の書き方
一般的に志望動機を考える際には次の3つのポイントを押さえる必要があります。
1.業界について
2.会社について
3.職種について
これらのポイントを一つずつ見ていきましょう。
教育業界を志望する理由を整理しよう
大学職員を志望する場合は、「なぜ教育業界を志しているのか」という点を整理しておくことが大切です。
大学職員は、教員ではないので学生に授業をすることはありませんが、広い意味で社会人になるための教育を担っています。
大学は、日本社会を作っていく若者を輩出する機関でもあります。その場で、なぜ自分が教育の場で働きたいのか、動機について、今までの経験と紐づけておきましょう。
その大学を志望する理由を整理しよう
日本には700校以上の大学があります。その中で、特定の大学を志望するからには、十分に志望大学のことを調べておく必要があります。
大学のホームページには長期・中期ビジョンや実現のための取り組みが書かれていることが多いので、大学ごとの特性を捉えて、自分の経験や志向と合う点、共感できる点を書き出しておきましょう。
また、大学のホームページで受験生向けのサイトやSNSを見てみるのも一つの方法です。オープンキャンパスを含めて、大学の特徴がわかりやすく発信されています。SNSでは、学部や部活の様子がわかるものもあり、大学のリアルな活動が伝わってきます。
最近は、地域に開かれている大学も多いので、志望度の高い大学には足を運んでみることをお勧めします。敷地内に入れない場合でも、校舎の様子、周辺の街を確認しておくことで、大学がどのように地域に受け入れられているかが見えてくるでしょう。
その仕事を志望する理由を整理しよう
大学職員を志望する際、次の3つのポイントで整理しましょう。
①仕事について興味を持った点
②仕事に対して貢献できる点
③希望職種での経験を通して実現したい将来像
まずは、幅広い業務がある大学職員の仕事の中で、どこに興味を持っているのかを整理します(①)。次に、今までの自分の経験から、その業務に取り組む際に活かせることを書き出します(②)。最後に、大学職員の仕事を通して、どのように大学に貢献していきたいかをまとめましょう(③)。
大学職員の志望動機例文
志望動機は、今までの自身の経験をどのように活かし、貢献できるかを伝えることがポイントです。例文を参考に、より自分に合った志望動機へカスタマイズしてみましょう。
大学職員経験者の志望動機例文
私は人の成長に関わる仕事で社会に貢献したいと願っており、特に未来を担う若者が最後に学ぶ機関である大学に、その集大成を感じ、大学職員を志しています。
私自身、大学を選ぶ際に、オープンキャンパスで大学職員の方が大学の魅力を語る様子に志望順位が一気に上がった経験があり、大学職員という仕事に魅力を感じてきました。特に貴校では、入学と同時にキャリア教育を受けられるプログラムを準備されており、学びの先の社会人人生のサポートに手厚い点に期待を抱いております。
私は、今まで契約社員として大学職員の仕事に従事しており、中でもキャリアサポートセンターで、就職ガイダンス企画や、キャリア相談を担当して参りました。就職ガイダンスは一年生から学年ごとに企画するため、各学年で必要な情報を整理し、企画に反映してきました。その際に、より学生のニーズを反映するため、ガイダンス後にはアンケートを取り、次へ活かす工夫をしてきました。
今までの経験が就職支援のみではありますが、今後は、学生に寄り添いながら、学生の本来の目的である大学教育現場の支援にも貢献していきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
「大学職員経験者」の志望動機ポイント
まず、教育業界と自分の経験の接点を具体的にし、大学職員を志望する理由を明確にします。次に、大学のビジョンやそれに対する取り組み実績の中で共感するポイントを述べ、大学職員としての経験を具体的に伝えます。
大学ごとに業務の区切りや規模に違いはありますが、学務関係、就職関係などの部門ごとの業務内容は大きく変わりません。その中で工夫したことについて挙げておくと、活躍のイメージがわきやすくなります。
また、大学職員としての経験年数が少なく、担当した業務が就職支援だけなどと限られる場合は、例えば未経験である学務支援業務への意欲を加えることで、大学職員の多岐に渡る仕事を理解して、強い志を持って臨んでいると受け取ることもできます。
大学職員未経験者の志望動機例文
大学は社会人としてどう生きるかを決める重要な時期であるため、日本の人材育成へ貢献するために、大学職員を志しています。私自身、学生時代に交換留学制度を利用して海外で学んだことで、世界と共に生きるための日本教育の向上に意欲を持っております。
特に貴校でのグローバルアクションプランにおける、学内と海外提携校との連携や留学前後のフォローアップなど、英語を使った学びを継続する工夫をされている点に共感しています。
これまでは、広告代理店でWebマーケティングを担当して参りました。業務内容は、顧客のWebサイト運営を通して売上増化や認知度向上につなげるための、リサーチ、データ分析、検証、改善です。業務知識がない顧客に対しても、情報を集め、Webに集まるデータを読み解き改善することで、成果につなげてきました。この経験は、大学職員の業務でも、大学実績の調査・分析を通して、学生の学務、生活、就職支援や受験生への情報発信力の向上に活かせると考えております。
今後は、グローバル教育を通して、世界に誇れる人材育成ができる大学の職員として、学生の成長に貢献する所存です。どうぞよろしくお願いいたします。
「大学職員未経験者」の志望動機ポイント
未経験の場合は、異業界からの転職なので、特に教育業界を志望する理由を、自分の経験と紐づけておきましょう。
また、志望する学校のビジョンや、それを実現するための取り組みについてはWebサイトやSNSの発信を隈なく調べておきましょう。ここでも、自分の経験と接点があると、納得感が出てきます。今までの経験の中で、大学職員のどの部門の業務にも通じる経験は具体的に書き、なぜそれが活かせると捉えているのかも明記すると、意図が伝わりやすいです。
大学職員の業務は多岐に渡るため、貴校であればどのような部門でも前向きに取り組みたい、という姿勢が表れると尚よいでしょう。
大学職員の志望動機NG例
大学は社会人としてどう生きるかを決める重要な時期であるため、日本の人材育成へ貢献するために、大学職員を志しています。今はグローバル化時代であるため、貴校が英語への取り組みを手厚くし、海外留学向けプロジェクトに力を入れている点で、多くの支持を得ていると思い、そのような大学の教育を支えたいと考えております。
これまでは、広告代理店でWebマーケティングを担当して参りました。業務内容は、顧客のWebサイト運営を通して売上増化や認知度向上につなげるための、リサーチ、データ分析、検証、改善です。現在、貴校でもWebサイトでの発信が増えていると拝見しており、今までのWebマーケティングの経験を大学広報でも活かせると考えております。
今後は、グローバル教育を通して、世界に誇れる人材育成ができる大学の職員として、学生の成長に貢献する所存です。どうぞよろしくお願いいたします。
大学職員志望動機NG例の改善ポイント
異業界から教育業界への転職を希望する場合は特に、「教育業界を志す理由」を自分の体験と紐づけて伝えましょう。経験に基づいている理由であれば、異業界からの転職でも納得感が出てきます。
また、過去のキャリア経験について、一般的にわかりにくい仕事の場合は、その仕事が何のためにあり、どんな業務を担当していたのか、具体的に伝えるようにしましょう。
経験を次の職場で活かすことは必要ですが、大学職員の特定の業務への適性だけに絞らない方がよいでしょう。ゼネラリストが求められる職場であるため、ミスマッチと捉えられる可能性があります。
あわせて読みたい参考記事
* 志望動機が書けない!転職活動で志望動機を伝える3ステップとは?【例文つき】
* 【第二新卒】「志望動機」の伝え方と例文
* 【IT業界編】「志望動機」の伝え方・書き方と例文
* 総務職の「志望動機」の伝え方・書き方と例文