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20代後半の転職は厳しい? 未経験・スキルなしで転職を実現するポイント

20代後半 転職

20代後半になり、社会人として一定の経験を積んでいる場合は、「今後のキャリアを考えると、今の仕事を続けるよりも転職した方がいいのだろうか」など、自分のキャリアを見つめ直す人もいるでしょう。また、「20代後半になった今もスキルに自信がない。そんな自分でも転職できるのか不安…」などの悩みを抱える人もいます。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏が、20代後半の転職市場の傾向や考え方、転職を実現するために大事なこと、未経験・スキルなしで転職できる可能性などを解説します。

20代後半からの転職は厳しい?未経験転職は可能?

まずは、20代後半からの転職について、転職市場の状況や考え方などを解説します。

20代後半の転職が厳しいと考えてしまいがちな理由

20代前半の場合は一般的に言われる「第二新卒」に当たることが多いでしょう。企業によって「第二新卒」の定義は異なりますが、特に定義がない場合は、学校(高校、専門学校、短大、高専、大学、大学院)を卒業後、おおむね3年以内の者を指します。第二新卒層とされる若手人材に対しては、経験・スキルより、やる気や成長性を求めてポテンシャル採用を行う企業も少なくはないでしょう。

リクルートが発表した「Z 世代(26 歳以下)の就業意識や転職動向」(※)では、「リクルートエージェントにおける「第二新卒歓迎と記載がある求人」の推移」に言及しています。こちらに該当する求人数について、2009~2013年の平均を1とした場合、2022年には63.5まで増加していました。第二新卒をターゲットとして採用を行う企業が大幅に増加していることがわかります。
また、同調査内では、採用にあたり、「本人の潜在的成長力や伸びしろ」を重視することが重要であると答えた企業が半数を超えていることにも言及しています。

このように、第二新卒層を対象としたポテンシャルを重視した求人が増加する中で、20代後半になると「第二新卒よりも社会人経験が長く、そのぶん、経験・スキルを求められるそうだが、自信がない」と感じる人や、より社会人経験が豊富と考えられる「30代・40代などの応募者の方が、自分よりも経験・スキルを持っているのではないか」と感じ、転職そのものが厳しいと考えてしまう人もいるようです。
しかし、年代に関わらず、応募企業の求める人物像にマッチした自分自身の経験・スキルをしっかりアピールすることで希望の転職を実現している人は少なくありません。転職することが厳しいかどうかは、人によると言えるでしょう。

(※)参考資料:Z世代(26歳以下)の就業意識や転職動向(リクルート)

20代後半は「未経験の職種や業界への転職に挑戦しやすい時期」と考えることもできる

20代後半はビジネスの基本をひと通り身につけ、プロジェクトの責任者を任されたり、リーダーなどのポジションを経験したりする人も出てきます。なおかつ、第二新卒に近い世代であるため、新しい職務や組織に順応できる柔軟性も十分にある年代と見られる傾向もあるようです。

そのため、企業は「成長へのポテンシャル」「専門性や即戦力性」「リーダー・マネジャー候補」などに期待してさまざまな意図で採用を行う可能性があります。こうした背景から、未経験の職種や業界への転職などの場合も、積極採用する企業もあるかもしれません。

また、一定以上の仕事の経験を重ねてきたことから、自分自身の強みや向いていること、よりやりがいを感じることなどを明確にしやすいとも言えるでしょう。これまでの経験を踏まえた上で、今後、目指したいキャリアや、そこに必要な経験・スキルなどを考えてみることで、実現に向かうチャレンジもしやすくなるはずです。
未経験の職種や業界への転職に挑戦したいと考えた場合でも、これまで身につけた経験・スキルの中から役立ちそうなことを洗い出すこともできるでしょう。

20代後半の転職を実現するために大事なこと

20代後半から今後の自分のキャリアに役立つ転職を実現するために、大事なことを紹介します。

「キャリアの方向性」を定める

「今の仕事が不満だから辞めたい」「もっといい仕事に転職できれば…」などを理由に転職する場合、ミスマッチな転職先を選んだり、転職活動で苦戦したりするなど、後悔する可能性があります。

20代後半からは、将来目指したいキャリアを明確にし、その実現に向けて経験・スキルを積むことが大事と言えます。まずは自己分析をして、自分が仕事を通じてどのようなことを実現したいのか、何を大切にして働きたいのかをあらためて考えてみましょう。
この先の30代、40代以降に、自分として納得できる働き方を実現するためにも、キャリアの方向性を定め、そこに近づけるような転職先を選択することがポイントです。

<キャリアの方向性の一例>

・やりがいを味わえる仕事に就いて、充実感を得る

・仕事を通じて夢を叶えるなど、自己実現をする

・より裁量を任されるポジションに就き、活躍の幅を広げる

・プライベートも大切にできる働き方で思い描くライフプランを実現する

自分の「キャリアアップ」の軸を明確にする

20代後半で転職する際には、将来を見据えて「自分にとってのキャリアアップの軸」を明確にした上で、中長期的なキャリアビジョンを描くことが大事です。

<キャリアアップの軸の一例>

・専門スキルやビジネススキルを磨き、人材市場での価値を高めること

・仕事の幅や裁量範囲を広げること

・収入やポジションを上げること

「今の仕事に対する不満を解消したい」「興味がある業界で働いてみたい」などの短期的視点ではなく、3年後、5年後にどのようなポジションでどのような仕事をしていたいかを考え、さらに、10年、20年の長期視点でも目標を描くことがポイントです。これを基に、今の自分が強化すべき経験・スキルが身につく転職先を探してみましょう。

在職中に転職活動を始めてみる

転職を実現したいと焦ることで会社を辞めてしまう人もいます。しかし、まずは現職の仕事を続けながら転職活動を始めてみることも大事です。
それによって、転職市場の相場観がわかり、自分の市場価値を理解しやすくなるため、キャリアの可能性を広げることができるでしょう。

また、在職中に転職活動を進める場合、定期収入があるため「収入がない焦りからミスマッチな企業を選んで後悔する」などのケースに陥ることもありません。納得のいく転職先が見つからない可能性もあるので、現職にとどまる選択肢を残しておく方が安心できるでしょう。

20代後半で転職した人のリアルな事例を紹介

粟野氏のご経験をもとに、20代後半の方がキャリアアップを目指して転職した事例を紹介するので参考にしてみましょう。

【地方銀行の営業→大手都市銀行の営業】

地方銀行で納得できる経験・実績を積んだ上 、選択肢を広げるために転職。事業規模が大きな都市銀行に移り、さまざまな分野への専門性を深めるチャンスが増えた。

【事業会社の経理→会計コンサルタント会社】

経理の実務経験を活かし、会計、財務、税務に関する専門性を深めてスペシャリストを目指すためにコンサルタント会社へと転職。

【生命保険会社の営業→外資系食品会社の営業】

以前から「グローバルな働き方をしたい」と希望して英語の勉強を続けており、1年にわたる粘り強い転職活動でその夢を実現。

【外資系IT企業の営業→日系ITスタートアップの経営企画】

将来は会社経営に関わりたいというビジョンを描き、営業をしながら経営企画の経験も積めるスタートアップへ転職。

【広告代理店の総務事務アシスタント→IT企業の経理】

広告代理店で総務事務アシスタントを務める中、専門性の高い仕事で活躍したいと考え、簿記3級、簿記2級の資格を段階的に取得し、IT企業の経理職へ転職。

スキルに自信がなくても転職を実現するためにやっておきたい3つの準備

スキルに自信がなくても、転職活動の準備をしっかり行うことで、希望に合う転職を実現しやすくなります。以下で紹介する3つの準備に取り組んでみましょう。

1:キャリアの棚卸しで経験・実績を振り返る

これまでの経験を振り返り、キャリアの棚卸しをすることが大事です。入社1年目、2年目など、時系列で担当してきた業務や携わったプロジェクトなどを書き出し、以下のポイントについて振り返ってみましょう。これまで身につけてきた経験・スキルや、自分の強み、取り組むべき課題などを洗い出すことができます。

<キャリアの棚卸しで振り返るポイント>

・どのような業界でどのような業務やプロジェクトを担当してきたか

・社内外のどのような人たちと、どのように関わってきたか

・組織の中でどのような役割を果たしてきたか

・業務やプロジェクトを通じて身につけたことは何か

・どのような成功体験があるか。成功した要因は何か

・どのような失敗体験があるか。そこから何を学んだか

2:仕事で大切にしたいことを考え、将来のビジョンを描く

これまでの経験を通じて、「今の自分は、どのようなことを大切にして働きたいと思っているのか」を確認することも必要です。まずは、以下のポイントについて掘り下げ、自分の特性や価値観をできるだけ客観的に分析を行います。それを基に、将来、目指したい姿や実現したいことなどのビジョンを描いてみましょう。

<自分の特性・価値観を知るためのポイント>

・周囲の人からどのような人物だと言われるか

・人とどのようなスタイルでコミュニケーションをとっているか

・仕事をする中で、どのような場面で喜び、やりがいを感じてきたか

・仕事をする中で、どのような場面で苦痛、ストレスを感じてきたか

・仕事をする中で、どのようなことを大切にしているか

・「自分もこうなりたい」と思える理想の人物像はどのようなものか

3:ビジョンを実現する道筋を考える

思い描いたビジョンを実現するために、「今後、どのような経験・スキルを身につけることが必要か」「どのようなキャリアを積み重ねればいいのか」を考えてみましょう。
今の会社のままでも必要な経験・スキルを積める場合や、希望を叶えられるキャリアパスが示されている場合は、現職のままでもビジョンを実現することが可能かもしれません。
反対に、「現職のままではビジョンが実現できない」と感じたら、転職を検討すると良いでしょう。

20代後半で未経験の職種や業界への転職を実現するポイント

未経験の職種や業界への転職を目指す場合に、押さえておきたいポイントを紹介します。

キャリアチェンジのパターンを把握する

未経験からキャリアチェンジする場合、大きくは以下の3パターンに分かれることを知っておきましょう。

<キャリアチェンジのパターン>

1:同じ職種で未経験の業界へ転職

2:同じ業界で未経験の職種へ転職

3:業界・職種とも未経験での転職

希望条件に優先順位をつけ、応募先を絞り過ぎないようにする

即戦力を求める中途採用では、一般的に実務経験者が優先される傾向があり、未経験者にはハードルが高いと感じるかもしれません。書類選考すら通りにくいケースもあるので、希望条件が多い場合は、応募先を絞り込むことになり、可能性を狭めてしまうことにもなりかねません。希望条件に優先順位をつけ、譲れない条件を絞り込んだ上で、採用の可能性がありそうな幅広い企業に応募することも大事です。

特に、キャリアチェンジの転職では一時的に年収が下がるケースもあるため、自分が優先したい条件に対し、どの程度までなら年収条件を譲歩できるのかも考えておくこともポイントです。

希望の業界・職種で活かせるスキルを洗い出す

キャリアチェンジの転職では、応募企業の業界・職種で活かせるスキルをアピールすることも重要です。キャリアの棚卸で振り返った経験・スキルについて「応募企業とどのような接点があるのか」「志望する業界、職種でどのような強みを活かせるのか」を洗い出しておきましょう。

「未経験だから知識もスキルもない」という場合でも、業種や業界を問わず活かせるポータブルスキルはあるものなので、それらを整理した上で、応募企業でどのような活躍ができるのかをアピールすることが大事です。

未経験者におすすめの業界・職種とは?

未経験者におすすめの業界・職種については、個々の希望やこれまでの経験・スキルが関係するため、一概にこれと言うことはできません。しかし、以下で紹介する方法を実践してみれば、未経験者も歓迎する求人が見つかりやすくなるでしょう。

人材不足の業界・職種に着目して探してみる

人材不足の業界・職種の場合は、未経験者も歓迎する傾向があります。例えば、IT業界はITエンジニアの人材が不足しているため、未経験から育成する企業もあります。また、介護業界なども人材が慢性的に不足しているため、働きながらの資格取得を支援するケースもあります。

豊富な求人を紹介する転職サイトや転職エージェントを活用する

転職サイトを活用する際には、求人を豊富に揃えているところがおすすめです。気になる業界・職種や希望条件だけでなく、未経験者を歓迎するかどうかも含めて検索してみることで、相場観がわかりやすくなるでしょう。

転職エージェントを活用する場合は、幅広い業界・職種の求人を持っているエージェントに登録することがおすすめです。転職エージェントでは、独自の求人を保有しているケースもあります。また、面談の際に、自身の経験・スキルと共に希望の業界・職種や条件を伝えることで、未経験でも採用の可能性がある企業を紹介してもらいやすくなるでしょう。「自分一人で探す自信がない」という人にもおすすめと言えます。

「できる仕事がない」「何がしたいかわからない」どうすればいい?

「スキルに自信がないから、できる仕事もないのでは?」「そもそも何がしたいのかわからない」という人は、以下を参考にしてみましょう。

スキルに自信がない場合は、キャリアの棚卸しが大事

スキルに自信がなく、「できる仕事がない」と感じてしまう人は、キャリアの棚卸しをきちんとしていないケースがよくあります。先にも述べたように、専門スキルに自信がなくても、幅広い仕事に役立つポータブルスキルをアピールすることができるので、まずはキャリアの棚卸しを行い、自分の強みを探してみましょう。

何がしたいかわからない場合は、自己分析と情報収集を

「何がしたいかわからない」「やりたい仕事がない」という場合は、自己分析や情報収集ができていないケースが少なくありません。まずは、自分がどのような仕事に興味を持つのか、どのような強みを発揮して活躍できるのかを自己分析してみることが大事です。
また、転職サイトや転職エージェントなどを活用して情報収集をしてみましょう。さまざまな業界・職種の求人があることを知れば、興味を持てる仕事も見つかりやすくなります。採用の可能性がある企業を知ることで、挑戦してみようと思えるかもしれません。

転職せずに今の会社でキャリアを積む方法もある

今の会社を辞めずに、部署異動の希望を出したり、社内公募のプロジェクトに参加したり、リーダーポジションに挑戦したりするなどで、キャリアを積む方法もあります。経験・スキルに自信がない場合は、アピールできる経験を増やしてから転職活動を始めることもできます。また、新たな経験を積むことで、自分がやりたいことや向いていることなどが見つかる可能性もあります。

20代後半で今後のキャリアに悩んだら転職エージェントに相談を

いろいろやってみた結果、「やっぱり自分の強みがわからない」「将来のビジョンが漠然としていて、どんな経験を積めばいいのかわからない」という場合は、転職エージェントを利用するのも一つの方法です。
今の自分の経験・スキルで採用の可能性がある企業を紹介してもらえますし、自己分析やキャリアデザインのサポート、転職事例の紹介まで、さまざまなアドバイスを受けられる転職エージェントもあります。活用してみることで、今後のキャリアが見えやすくなるでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
記事作成日:2021年03月26日 記事更新日:2024年07月03日

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