転職活動をしていると、「辛い」「いつまで続くのか不安」などと感じる人も少なくないようです。特に不採用が続くと自信喪失し、気力を失ってしまうことも。そんなときは、なぜ転職活動を辛いと感じるのかを客観的に見つめてみることをお勧めします。転職活動を辛く感じるときの対処法について、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。
「転職活動が辛い」と感じる理由は?
そもそも、なぜ転職活動を「辛い」と感じるのでしょうか。考えられる理由を以下に挙げましたので、自身がどの状態にあるのかを客観的にとらえてみましょう。
「リクナビNEXT」が20代~50代の転職経験者730名を対象に行ったアンケート調査によると、「転職活動で『疲れた』と感じたことがあるか」という質問に対し、「ある」と回答した人は5割近く、「どちらかといえばある」と回答した人は3割近くに達しました。
そして、「どんなときに疲れを感じたか」という問いに対しては、次のような回答が寄せられています。
「自分に合う会社なんてないのではないか」と思ってしまうとき(20代女性/銀行/事務・管理)
履歴書を書いているとき(20代女性/その他/事務・管理)
何社も面接を受け、比較しなくてはならないことが面倒だった(30代女性/介護・福祉/医療・福祉・介護)
面接や採用試験に向かうときの、不慣れな道の移動(30代男性/製薬/素材・化学・食品・医薬品技術職)
「新しい環境でうまくやっていけるか」という不安で気疲れした(30代女性/その他/教育・保育・公務員・農林水産)
面接で緊張する。人見知りなので知らない人と話すことが疲れる(30代女性/その他/サービス・販売・外食)
地に足がついていない感覚で、精神面での疲労を感じる(30代男性/建設/建築・土木技術職)
転職先を探す度に、本当に転職していいのか?今の会社にとどまるべきではないか?など、精神的に疲れた(40代男性/食品/事務・管理)
結果が遅い。「いつまでに連絡がなければ不採用」などがわからないため、延々と待たなければならず、疲れ果てる(40代女性/製薬/素材・化学・食品・医薬品技術職)
あからさまにスキルが合ってないことが面接でわかり、面接を受けたことが無駄だったと感じたとき(40代男性/SI /ITエンジニア(システム開発・SE・インフラ)
希望の案件が見つからず、過去の内定を断ったことを後悔した(40代女性/銀行/企画・マーケティング・経営・管理職)
出典:「転職活動、どんなときに疲れた?やる気が出ないときの進め方をプロがアドバイス」(リクナビネクスト転職成功ノウハウ)
【調査概要】2019年2月6日~2月13日 株式会社ジャストシステム「あなたご自身に関するアンケート」
調査対象:正社員・契約社員として働く20~50代の男女730名 調査方法:インターネットで回答
このように、転職に対して疲れを感じる場面は人それぞれです。
転職活動への辛さに対処するためには、「なぜ辛いのか」を知ることが大切です。
考えられる理由を以下に挙げてみますので、自身がどの状態にあるのかを客観的にとらえてみましょう。
不採用が続いて不安になっている
選考を受けて不採用が続くと、不安が募ってきます。「自分の経験・スキルでは転職市場で通用しないのだろうか」「このままずっと転職先が見つからないのでは」など、悲観的になりがちです。
特に、仕事を辞めて転職活動をしている場合、不採用が続くことで無収入の期間が長引くと、より不安や焦りが出くるでしょう。
自分が希望する条件の求人が見つからない
勤務地・勤務条件などの希望を設定して求人を探しても、マッチするものがなかなか見つからないこともあります。スカウトサービスや転職エージェントに登録したものの、希望に合う求人の紹介を受けられないことも。求人が見つからなければ、「応募」という一歩を踏み出すこともできず、焦りを感じたり現職への不満がさらに強くなったりします。
交通費などの出費がかさむ
転職活動には、面接に出向く際の交通費、面接用スーツの購入費やクリーニング費、面接までの時間調整に利用した店での飲食費など、出費も伴います。
オンライン面接が増えているものの、特に遠隔地への転職を希望する場合、面接のたびにかかる交通費は大きな負担となります。
会社を辞めた場合は失業手当を受給できますが、自己都合退職の場合はすぐには支給されないため、負担感が増すでしょう。
応募先の下調べや面接日程の調整などに時間がとられる
応募先企業について調べたり、応募先企業と面接日程調整のやりとりを行ったりと、選考を受ける準備に時間をとられます。仕事をしながらこれらの作業にも時間を費やすとなると、休息時間も削られるため、疲れがたまりやすくなります。転職活動のことが気になり、プライベートの時間を楽しめないこともあるでしょう。
転職活動の悩みを相談する人がいない
転職について誰にも相談せず、単独で活動している場合、孤独感や不安を抱くこともあるでしょう。一人であれこれ考えてみても整理がつかず、迷走状態に陥ってしまうこともあります。
職場に転職することを内緒にしているのがストレス
転職活動をしていることを現職の上司や同僚に隠していると、裏切っているような気がして後ろめたさを感じる人も少なくありません。特にチーム一丸となって目標に向かっているときなど、居心地の悪さを感じてしまうものです。
転職活動が辛いときの対処法を紹介
転職活動が辛くなってきた。それでも転職をあきらめたくない。そんなとき、辛い時期をどのように乗り越えればいいのでしょうか。5つの方法をご紹介しますので、自身の状況に合うものを試してみてください。
転職活動を一旦休んでみる
転職活動を一時中断し、心身ともにリフレッシュを図りましょう。疲弊していると表情や姿勢に表れます。そのまま面接に臨んだのでは、覇気がない印象を与えてしまうかもしれません。
無理して続けると、体調を崩し、本業に悪影響を及ぼす恐れもあります。一時的に休養をとり、気持ちをリセットしましょう。その場合、休む期間をあらかじめ決めておくことをお勧めします。
心身をリラックスさせることで心理的に変化が生まれ、転職の方向性について新たな視点に気付いたり、活動の改善ポイントが見つかったりする可能性もあります。
家族や友人に相談してみる
一人で転職活動を続けていると、自身を客観視できなくなり、活動の方向性や方法が誤っていても気付けないこともあります。そんなときは、家族・友人・知人などに相談し、アドバイスを求めてみてはいかがでしょうか。
適切なアドバイスが得られなかったとしても、悩みや不安を吐き出すことで気持ちが楽になったり、話すうちに自身の頭の中が整理されたりすることも期待できます。
目指すキャリアに向けて勉強する
「辛い」という気持ちが「自信のなさ」に起因する場合は、自分に自信を付けることが先決です。目指す方向に関連するテーマについて、書籍を読んだりセミナー・研修に参加したりして勉強することをお勧めします。自身の知識が増えるにつれて自信が湧いてくれば、前向きに行動を起こせるようになるでしょう。
また、学習手段としてワークショップなどに参加すると、普段接点のない人たちとコミュニケーションをとる機会にもなり、新たな視点や刺激を得られるメリットもあります。それが転職活動にもプラスにはたらくかもしれません。
転職活動を見直す
「不採用が続く」「希望にマッチする求人が見つからない」といった場合は、転職活動の方法を見直すのも一つの手です。例えば、転職サイトのみを使っているのであれば、「転職エージェント」「ビジネスSNS」「友人・知人の紹介(リファラル採用)」など、応募ルートを増やしてみるといいでしょう。
求人を探す際の基準も見直してみてください。多くの条件を設定して求人を探しているのであれば、条件の優先順位を整理し、優先順位が低い条件は外して探してみましょう。それにより選択肢が増える可能性があります。
転職市場の相場を知らずに、理想的な条件を希望しているケースもあります。求めていることが「転職で実現可能なのか」、そして「現職で実現不可能なのか」をじっくりと考えてみましょう。
また、書類選考がなかなか通過しないなら応募書類の書き方を、面接で不採用になるなら自己アピールの伝え方を見直してみましょう。ちょっとした工夫やコツによって通過率がぐんと上がることもあります。
転職エージェントに相談する
転職エージェントに相談してみると、なぜ転職活動がうまくいかないのかをプロの視点で分析し、改善のアドバイスを受けられます。自身の経験・スキルを活かす道として、自身では想定していなかった選択肢を提案してもらえる可能性もあります。
転職活動で孤独感を抱いていた人であれば、「相談できるパートナー」ができることで、心強く感じられるでしょう。
本音で相談できる転職エージェントを活用してみよう
「ダイバーシティ(多様性)」が重視される時代、働き方やキャリアの築き方は多様化しています。ワークライフバランスを優先した働き方も選びやすくなっています。しかし選択肢が増えている分、何を選択すればよいか迷う人も多いと思います。
希望も不安も本音で話せて、中長期視点でのキャリアやライフを見据えてアドバイスをしてくれる転職エージェントのサポートサービスを活用してみてはいかがでしょうか。
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。