経営企画への転職を考えているけれど、転職エージェントを使うとどんなメリットがあるのか?──そんな疑問に、リクルートエージェントのキャリアアドバイザーがお答えします。経営企画の採用市場トレンド、転職実現のためのアドバイスもお伝えします。
経営企画の採用市場について
経営企画の転職市場は、現在「売り手市場」です。経営企画の経験を積んだ方にとっては転職しやすい環境と言えます。
特に採用意欲が高いのはIT関連企業や業績好調なメーカー。創業間もないスタートアップから拡大中のベンチャー、大手企業まで、求人企業の顔ぶれは多彩です。
経営企画職を中途採用する理由・求める人材像
本来、経営企画のポジションに空席ができた場合、その会社で経験を積んだ、内部事情を理解している既存社員の異動によってまかなわれるのが一般的です。しかし昨今、大手企業や中堅の老舗企業が経営企画職をあえて中途採用する背景には、「組織に新風を吹き込みたい」「変革を図りたい」といった意図が見られます。
例えば、中核事業が行き詰っている、あるいは近い将来、マーケットの縮小が見込まれる……などの状況から、新しいビジネスチャンスを生み出そうとしているのです。既存社員だけでは固定観念に縛られ、新たな発想が生まれにくい。そこで外部から人材を迎えて新たな知見を取り入れ、自社の経営資源との掛け合わせによって新しいものを生み出そうと模索しています。
経営企画の募集要件は、「同業界の知見が必須」あるいは「異業界出身者でも可」など、企業によって異なります。ただし、最近の傾向としては、「0から1を生み出した」「既存のやり方を新しいものに刷新した」などの経験があるかどうかが注目されており、その経験の深さや経営の影響力が評価の対象となる傾向が見られます。
一方、スタートアップや成長途上のベンチャー企業などの中途採用においては、「ベンチャーマインド」が重視されます。自身の役割を限定せず、必要に応じてさまざまな業務に対応する柔軟性も求められます。
経営企画未経験でも、近しい経験があれば転職のチャンスあり
経営企画の中途採用においては、多くの場合、経営企画の経験が求められます。しかし、近しい経験・スキルを持つ方であれば、選考対象となるケースもあります。例えば「事業企画」「営業企画」「管理会計」などの経験を持つ方が、経営企画のポジションで採用された事例があります。
異職種から経営企画への転職を目指す場合、次のポイントをアピールすることで、門戸が開かれる可能性があります。
●これまで経験した業務の中で、「経営企画」要素が強い部分を強調してアピールする
●「論理的思考力」「定量的思考力」が重視されるため、これまでの業務経験でそれらの力を発揮したエピソードを伝える
経営企画(経営戦略)が転職エージェントを活用するメリット
経営企画として転職を目指す方が転職エージェントを活用するメリットとして、以下のポイントが挙げられます。
1.「非公開求人」の情報を入手できる
経営企画の採用に際しては、一般公募を行わず、転職エージェントを通じてのみ募集を行う非公開求人が多数あります。
経営に密接したポジションの採用であることから、「競合他社などに動きを悟られたくない」といった事情があるためです。そのため、独自で探しても見つけられない求人情報を、転職エージェントを通じて入手することができます。
2.企業ごとに異なる、役割・仕事内容の情報を得られる
「経営企画」は、企業によって役割の範囲や仕事内容が大きく異なります。また、「今回募集する経営企画メンバーにはこの業務を任せたい」といった事情もあります。
こうした企業側のニーズを理解していなければ、的外れなアピールをしてしまい、評価を得られずにチャンスを逃してしまうかもしれません。転職エージェントから、志望先企業が求めている要素についての情報を得ることで、適切なアピールができるようになります。
3.「自分に合う企業か」を見極める判断材料を得られる
求職者は「Will(やりたいこと、なりたいもの)」を持って転職活動をすることがほとんどです。しかし、入社後、「この会社ではやりたいことを実現できない」と気付くこともあります。
先ほども触れたとおり、企業や求人ポジションによって経営企画職の役割や業務内容は異なります。裁量権の範囲が思ったよりも狭く、不満を抱くケースも見られます。
やりたいことを明確に持っている方は特に、各社ごとの役割範囲や業務内容について、詳細な情報を転職エージェントから入手することをお勧めします。
また、経営企画職は社長や役員と密接にやりとりするため、「経営陣との相性」も重要です。経営陣の人物タイプや価値観などについても、転職エージェントの情報を参考にすることで、応募前に「フィット感」をイメージすることができるでしょう。
4.「Will」の実現への道筋を付けられる
経営企画の皆さんには、強い「Will」を持って転職の臨む方が多いと感じます。しかし、一足飛びに実現するのは難しいケースも多々あります。
今回の転職では理想を実現することが難しくても、適切なステップを踏むことで、いずれWillに到達できる可能性があります。どんな道筋を辿れば最短で叶えられるか、これまで多くの転職事例を見てきた転職エージェントからアドバイスを得られます。
5.職務経歴書・面接での効果的なアピール方法のアドバイスを受けられる
他の職種では、採用選考で「人物面」が重視されることも多いのですが、経営企画職の採用においては「経験・スキル」が重点的に評価されます。これまでの所属企業・経験した業務内容・成果・実績をもれなく記載するのはもちろん、「どんな考え・スタンスで取り組んできたか」「どのような工夫で仕事を進めてきたか」を伝えることも大切です。
特に、社内の複数部署と連携する仕事であるため、関連部署との調整力や折衝力などを伝えられれば、評価アップにつながります。効果的なアピールをするためには、これまでの経験の「棚卸し」が必要。経験・スキルの整理にあたり、転職エージェントのサポートを受けることで、自分では認識していなかった強みに気付けることもあります。
また、面接においては、「この社長は数字で語らないと取り合ってくれない」「このポイントを重点的に見ている」など、企業によって特性があります。そうした情報も、転職エージェントから入手しておき、面接対策に役立てるといいでしょう。
経営企画のキャリアパスは多彩な可能性がある
経営の中枢に関わり、企業の方向性に影響力を及ぼす経営企画職。経験を積むことで転職市場での価値が高まり、その後、さまざまなキャリアパスの可能性が広がっています。
経営企画のほか、事業企画、管理会計のマネジメント、マーケティング領域の企画など、選択肢が多彩。新規事業部門や海外現地法人の立ち上げ、子会社の管理などを手がける道もあります。
経営企画をベースとした中長期のキャリアの可能性を探るためにも、転職エージェントを活用してみてはいかがでしょうか。
※本記事の内容は、2021年6月取材時点の情報です。
リクルートエージェント キャリアアドバイザー 池田 英貴
リクルートの転職エージェントサービス「リクルートエージェント」のキャリアアドバイザーとして、主に管理部門(経営企画、経理、人事総務、マーケティング部門など)を担当。
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