転職エージェントを使うメリットとは？転職を実現する上手な活用法を解説

転職の方向性の確認から入社まで、求職者の転職活動を無料で支援する転職エージェント。利用するにあたっては、どのようなメリットがあるのでしょうか。
そこで今回は、転職エージェントを利用するメリットやサービスの利用が向いている人、自分に合った転職エージェントの探し方について、組織人事コンサルティング、Seguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏に解説いただきました。

転職エージェントを使う12個のメリット

本章では、転職エージェントを利用する12個のメリットについて解説します。

1.  無料で使える
2. 自身の市場価値や採用動向が分かる
3. 自分の強みや価値観に気づくことができる
4. 自分に合った業界や業種の選択肢が明確になる
5. 非公開求人に応募できる
6. 外部からは分からない企業情報を知ることができる
7. 応募時に企業の人事に推薦してくれる
8. 応募書類や面接などのアドバイスを受けられる
9. 企業とのやりとりをサポートしてくれる
10. 選考後にフィードバックをもらえる
11. 条件交渉のアドバイスが受けられる
12. スムーズに退職するためのアドバイスをもらえる

メリット1：無料で使える

転職エージェントは紹介した人材が入社したら企業から報酬を得るビジネスモデルです。転職支援のプロであるキャリアアドバイザーによるキャリア相談、求人の紹介、応募書類の添削、面接対策といった転職活動に関わるサービスを求職者は無料で受けることができます。

メリット2：自身の市場価値や採用動向が分かる

転職市場は、採用を検討する企業の採用ニーズと転職を検討する求職者との需給バランスで成り立っています。採用ニーズが高く求職者が少ない職種は「売り手市場」となるため、選考条件が緩和される傾向があります。一方、企業の採用ニーズが低く求職者が多い職種は、「買い手市場」となるため厳選採用となりがちです。

このような傾向を知った上で、転職市場における自身の市場価値を理解し、採用動向を把握しておくことが適切な判断のために重要です。市場価値が高い場合は選考通過率が高くなる可能性が高まり、逆の場合は内定獲得のために希望条件や応募する求人の調整が必要になるといえるでしょう。これらのバランスを知るためにも、普段から採用や人材領域に関わっている転職エージェントを活用するのも一案です。

また、転職市場は変化します。転職エージェントを利用すると、「転職するなら時期はいつ頃がいいと考えられるか」「現職で経験を積むためにできることはないか」など、キャリア全体を俯瞰して、広い視野からのアドバイスを得られるかもしれません。

メリット3：自分の強みや価値観に気づくことができる

転職エージェントの面談では、転職活動の方向性や軸となる経験・スキルなどを確認します。キャリアアドバイザーとの対話を通じて、自分の考えや志向が整理され、これまで意識していなかった自身の強み、仕事やキャリアに対する価値観に気づくこともあります。自分の強みや価値観に従って応募先を選ぶことで、入社後も納得度高く働くことができるでしょう。

メリット4：自分に合った業界や業種の選択肢が明確になる

転職エージェントを利用することで、自分に合った業界や業種の選択肢が、より明確になる点も、転職エージェントを利用するメリットと言えるでしょう。転職エージェントでは、適職診断やキャリアアドバイザーによるヒアリングなどを通じて、様々な角度から適性の高い業界や職種に気づくことができるでしょう。

このように、データや転職支援のプロの視点から自分に合った業界や業種を明確にするため、ミスマッチの少ない転職を実現しやすくなるでしょう。潜在的な適性や興味・志向性含め自分の能力を存分に発揮できる進路を取れる可能性を高められるという利点があります。

メリット5：非公開求人に応募できる

転職エージェントは、企業の採用ページや転職サイトなどに掲載されている求人以外にも、一般公開されていない「非公開求人」を取り扱っています。非公開求人には、公開すると応募が集中してしまう希少・人気ポジションや、新規事業など経営戦略に関わる重要ポジションなどが含まれています。転職エージェントを利用するまで目にすることのなかった魅力的な求人に出会うことができるでしょう。

メリット6：外部からは分からない企業情報を知ることができる

企業の採用支援を行っている転職エージェントの中には、過去の実績から社風や人事制度の利用実態などを把握しているケースもあります。求人などには記載されていない、企業の判断材料となる有用な情報提供を受けられる可能性があります。

メリット7：応募時に企業の採用担当者に推薦してくれる

中には、応募書類を提出する時に担当のキャリアアドバイザーが推薦してくれるケースもあります。たとえば「この方は、御社が求める人物像に当てはまるスキル・経験があります」「カルチャーフィットが期待できる人柄です」などです。

履歴書・職務経歴書だけでは伝えにくい強みや人柄に関するアプローチを補完してくれるだけではなく、ネガティブに捉えられる可能性がある要素に対するフォローも兼ねてくれることもあります。
このように、第三者が客観的な視点からフォローすることで、個人で応募するよりもスムーズに選考を進められる可能性があります。。

メリット8：応募書類や面接などのアドバイスを受けられる

転職エージェントでは、履歴書や職務経歴書の書き方のアドバイスや、作成した書類の添削を受けることができます。また、キャリアアドバイザーによる面接対策などのサポートも受けられます。

転職エージェントはこれまで多くの求職者に転職支援を提供してきた経験から、応募書類や面接のアドバイスを行います。採用担当者に伝わりやすい応募書類の作成方法や好印象を与える話し方、改善点などについて客観的なアドバイスを受けられるでしょう。また、過去の実績から「この企業は選考でこのポイントを重視する傾向がある」といった有用な情報を得られることもあるでしょう。

メリット9：企業とのやりとりをサポートしてくれる

企業との面接や面談日時などの調整についても、間に入ってサポートしてくれます。具体的な給与待遇や条件など、自分からは直接質問しにくいことを代わりに確認してもらえる場合もあります。

内定した企業に入社を決めたら、現職の方で退職交渉が難航した場合も相談に乗ってくれるでしょう。

メリット10：選考後にフィードバックをもらえる

転職エージェントでは、企業の採用担当者から伝え聞いた面接などのフィードバックをキャリアアドバイザーから共有してもらえることもあります。第三者からのフィードバックは、個人で転職活動をしているとなかなか得られない機会でしょう。

主なフィードバックの内容は、次の通りです。

• 評価されたポイント
• 次回の面接までに改善したほうが良い点
• 選考に通らなかった理由 など

次回の選考や、別の企業の面接に活かせる情報を得られる場合もあるでしょう。

メリット11：条件交渉のアドバイスが受けられる

条件交渉のアドバイスを受けられる点も、注目したいメリットの1つです。
給与や待遇など自分の希望を伝えにくい要件でも、転職エージェントであれば、これまでの実績から相場や採用側の事情を考慮しながら交渉を円滑に進めるためのアドバイスをしてくれるでしょう。

メリット12：スムーズに退職するためのアドバイスをもらえる

そのほかにも、転職エージェントからは、スムーズに退職するためのアドバイスをもらえることもあります。
また、次のような退職フォローを提供する場合もあります。

• 退職の手順を確認してくれる
• 勤め先に退職希望を伝えるタイミングを教えてもらえる
• 会社が引き留めにくい転職理由の伝え方を教えてもらえる

現職を円満に退職し新しい会社に移るために、必要に応じて相談してみるといいでしょう。

転職エージェントの利用が向いている人 5つの特徴

転職エージェントの利用が向いている人は、次の5つのいずれかの特徴に該当すると考えられます。

• 転職が初めての人
• まだ転職するか迷っている人
• キャリアチェンジを検討している人
• 選考の通過率を上げたい人

特徴1：転職が初めての人

転職が初めての人は、転職活動をサポートしてくれる転職エージェントの利用をおすすめします。初めての転職活動では、「何から始めたらいいのか？」「求人が多すぎてどうやって選べばいいのか分からない…」など、迷いながら手探りで進めるケースが多くなる傾向があります。故に効率的に転職活動を進められなかったり、転職するにあたって必要な情報を収集できなかったりすることもあるかもしれません。

その点、転職エージェントを利用すれば、応募企業選びや書類作成、面接対策など、様々なアドバイスを提供してくれたり、次に取り組むことを示してくれたりします。転職エージェントからのアドバイスを参考にすることで、転職活動を円滑に進められるようになるでしょう。

困ったら相談できる相手がいるのは非常に心強いものです。

特徴2：まだ転職するか迷っている人

まだ転職するか迷っている人も、転職エージェントを利用することで、今後のキャリアの選択肢が明確になる場合もあります。転職エージェントは、「現職より好待遇で迎え入れてくれる企業があれば転職したい」「転職すべきか迷っている」という人に対してもキャリア相談を受け付けています。キャリア相談を通じて、キャリアへの考え方が整理できたり、新しい選択肢が生まれたりすることもあるでしょう。

転職する場合でもしない場合でも納得した上で、今後のキャリアを選択できるようになるでしょう。

特徴3：仕事を続けながら転職活動する人

転職エージェントは、仕事を続けながら転職活動する人にとって心強いパートナーになることもあります。

特に初めての転職の場合、仕事を続けながらの転職活動には不安が少なくないことでしょう。その点、転職エージェントでは、求人の選定や企業との日程調整など、様々な支援を提供してくれます。また、現在の会社を円満退職できるよう、退職のアドバイス等を行っているところもあります。

転職エージェントと活動の役割を分担できるため、転職活動の負担を最小限に留めながら進められるでしょう。

特徴4：キャリアチェンジを検討している人

キャリアチェンジを検討している人は、転職エージェントを活用することで自分に合った業界や業種を明確にできることもあります。転職エージェントでは、過去の支援経験に基づき、キャリアチェンジしやすいと思われる業界・職種を提案してくれるでしょう。

また、未経験業界・職種への転職を希望する場合でも、やみくもに未経験可の求人を勧めるのではなく、「経験者が有利な職種のため、応募社数を増やしたほうがいい」「○○職種を経験して段階的にキャリアアップする方法もある」など、転職市場の相場観に基づいた的確なアドバイスを受けられることが期待できます。

特徴5：選考の通過率を上げたい人

選考の通過率を上げたい人も、ぜひ転職エージェントの利用を検討してみてください。
転職エージェントは、非公開求人の紹介や書類選考・面接に関するアドバイス提供の他、応募時には推薦状を書いてくれることもあります。

このように、転職エージェントでは、応募企業に合わせた事前準備をしっかり整えられる、担当のキャリアアドバイザーに推薦してもらえるなど、希望の転職を実現するための様々な支援を受けられます。第三者からのアドバイスや支援を受けたいなら、転職エージェントの利用を検討してみるといいでしょう。

自分に合った転職エージェント 3つの探し方

ここでは数多くの転職エージェントの中から自分に合った転職エージェントを探す方法として、次の3つの方法を紹介します。

• 複数の転職エージェントに相談する
• 自分の希望や事実を正直に伝える
• どのようにサポートしてほしいか伝える

探し方1：複数の転職エージェントに相談する

転職エージェントによって得意な業界・職種があり、見解も異なる可能性があります。また、キャリアアドバイザーとの相性もあるので、複数の転職エージェントに申し込んで相談し、納得できる相手を選ぶことが大切です。複数の観点でアドバイスを受けることにより、転職の選択肢が広がるかもしれません。1社に絞り込む必要はないので、信頼できるキャリアアドバイザーが見つかったら、転職支援を依頼しましょう。

ただし、利用する転職エージェントが多すぎると調整ややり取りに手間がかかってしまうため、2～3社程度が利用の目安です。

探し方2：自分の希望や事実を正直に伝える

「本当は○○が希望だが言いにくい」「ネガティブな情報を伝えたら転職活動が不利になるのでは」などの遠慮や不安を抱え、希望や事実を正直に伝えないケースがあります。希望を正しく伝えないと、キャリアアドバイザーは適切なアドバイスをすることができず、ミスマッチの求人を紹介してしまうかもしれません。また、「ネガティブな内容」と捉えている情報も包み隠さず相談することで、一緒に対策を考えてもらえる場合もあります。

最適な転職支援を受けるためにも、キャリアアドバイザーには正直に話しましょう。

探し方3：どのようにサポートしてほしいか伝える

「初めての転職なので丁寧に説明してほしい」「自分の市場価値とキャリアの将来性を知りたいので、事実をはっきりと言ってほしい」など、キャリアアドバイザーに求めるサービスのスタイルは人それぞれです。転職支援のプロであるキャリアアドバイザーにもサポートのスタイルがあるため、希望するサポートがある場合は事前に伝えましょう