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転職前・転職先でもらえるボーナスを最適化するスケジュールの立て方は?【社労士監修】

転職 ボーナス

転職活動を行うにあたり、「ボーナス前に退職するのはもったいない。ボーナスをもらってから今の会社を辞めたい」と考える方もいるのではないでしょうか。また、「転職先の企業でボーナスはいつからもらえる?」「転職1年目だとボーナスはなし?」と気にする声も聞こえてきます。ボーナスをもらってから転職する場合の最適なスケジューリングと心がけたいポイント、転職先企業でボーナスをもらえる時期について、社会保険労務士の岡佳伸氏が解説します。

満額ボーナスをもらって転職するスケジュールの立て方

現在の在籍企業で、ボーナスを満額(※)で受け取った上で転職するためのスケジュールを立てる場合、「査定~金額決定の時期」「支給時期」と「退職意思表明の時期」「退職時期」の調整を図ることが重要です。

※「満額」とは、その企業が定める「基本給○カ月分」といった規程どおりの額を指します。これに業績評価なども加味されます。

まずは基本的なボーナスの査定・支給スケジュールを理解しておきましょう。ボーナスの支給時期は企業によって異なりますが、ここでは一般的な「夏のボーナス(6月支給)」「冬のボーナス(12月支給)」を例にとってご紹介します。

夏のボーナス(6月支給)のスケジュール例

査定対象期間:10月1日~3月31日
査定・金額決定時期:4月~5月
賞与支給時期:6月

夏のボーナス(6月支給)のスケジュール例

冬のボーナス(12月支給)のスケジュール例

査定対象期間:4月1日~9月30日
査定・金額決定時期:10月~11月
賞与支給時期:12月

冬のボーナス(12月支給)のスケジュール例

ボーナス支給を受け取ってから転職するスケジュール例

上記スケジュールでボーナスが支給される場合、ボーナスを受け取ってから転職するためには、以下のようにスケジュールを組むといいでしょう。

ボーナス支給を受け取ってから転職するスケジュール例

ボーナスをもらってから転職するポイント

ボーナスをもらってから転職する計画を立てるにあたって、意識しておきたいポイントは以下のとおりです。

ボーナス支給規程を確認する

「ボーナスを受け取って退職」を計る場合、まずは自社のボーナス支給規程を確認しましょう。「就業規則」あるいは「給与規程(賃金規程)」「賞与規程」などに記載されています。

支給規程は企業によって異なりますが、多くの企業の場合、「ボーナス支給日に在籍していること」規程とされています。例えば、在籍企業のボーナス支給日が12月10日であるとします。

転職先企業から「12月1日に入社してほしい」と言われ、在籍企業を11月30日に退職した場合は、ボーナスをもらえないケースが多いのです。この場合、退職日を12月11日以降に設定し、転職先への入社日をさらにその後に設定すれば、ボーナスを受け取ることができます。

十分な引継ぎ期間を考慮する

引継ぎに時間がかかると見込まれる場合、退職の申し出~退職日までを長めにとったほうがいいでしょう(1カ月半~2カ月など)。早いタイミングで退職意思表示をすることで査定に影響することを避けるなら、新しい会社への入社時期を後ろ倒しにする方法もあります。

「転職先での初ボーナス」も考慮する

転職先企業で受け取る初ボーナスを考慮すると、場合によっては現職での満額ボーナス支給をあきらめてでも早いタイミングで転職先企業に入社したほうが、結果的に受け取れるボーナス額が多くなるケースも考えられます。

現職でのボーナス支給だけでなく、転職先での賞与算定期間が長くなることのメリットにも目を向けてみてはいかがでしょうか。

転職先でのボーナスはいつからもらえるか

転職先企業ではいつからボーナスをもらえるか、どれくらいの額をもらえるかは、その会社の規程によります。判断のポイントは、「査定対象期間に在籍していたか」です。

改めて、一般的な「夏のボーナス(6月支給)」「冬のボーナス(12月支給)」の例を挙げてみましょう。

夏のボーナスの査定対象期間(6月支給の場合)

6月に支給される夏のボーナスは、前年の10月1日から3月末日まで期間の仕事ぶりや成果が査定されます。つまり、4月に入社した場合は査定対象期間外であるため夏のボーナスは支給されず、冬のボーナスからの支給となるでしょう。

夏のボーナスの査定対象期間(6月支給の場合)

転職・入社の最適タイミングは?

10月1日に転職先企業に入社し、3月末日まで在籍すれば、夏季ボーナスの査定対象期間をフルに満たすため、6月に「満額」の支給を受けられることになります。

なお、入社後に「試用期間」が設けられている場合、試用期間終了後からが査定対象期間とされるケースもあるため注意が必要です。

冬のボーナスの査定対象期間(12月支給の場合)

12月に支給される冬のボーナスは、4月1日から9月末日まで期間の仕事ぶりや成果が査定されます。つまり、10月に入社した場合は査定対象期間外であるため冬のボーナスは支給されず、翌年夏のボーナスからの支給となります。

冬のボーナスの査定対象期間(12月支給の場合)

転職・入社の最適タイミングは?

4月1日に転職先に入社し、9月末日まで在籍すれば、冬季ボーナスの査定対象期間をフルに満たすため、12月に「満額」の支給を受けられることになります。

なお、ボーナス支給が年1回・12月である場合、査定対象期間は一般的に前年12月~11月となります。年度初めの4月に入社する人も多いのですが、その場合は査定期間をフルに満たさないため「支給対象外」とする企業がある一方、「寸志」といった形で支給する企業も見られます。

転職先でのボーナス支給有無を事前に確認する方法

転職先企業に入社する前の選考段階では、就業規則の閲覧を求めるのは難しいでしょう。入社前に確認したいなら、求人情報を見ると、賞与に関する実績(支給回数・時期・○カ月分など)が記載されていることもあります。中途採用ページに記載がない場合、新卒採用ページを見れば分かることもあります。

なお、「○カ月分」と言っても、「基本給の月額」か、手当なども含めた「総支給の月額」かによって金額が大きく異なるため注意が必要です。

内定に至った場合は、労働条件が記載された条件通知書が発行されるため、その文書で確認するか、不明であれば条件面談などの場で質問するといいでしょう。

ボーナスにこだわりすぎないことも大切

現職企業で「ボーナスを受け取ってから辞める」ことにこだわりすぎると、転職のチャンスを逃してしまう可能性もあります。

例えば、転職先候補企業がプロジェクトのスケジュールの都合などで、「この日までに入社してほしい」と考えている場合、その日に入社できなければ採用見送りとなるケースもあり得ます。

現職での1回分のボーナス支給をあきらめたとしても、長期的視点で見れば、適切なタイミングで転職することによってキャリア構築がスムーズに進み、生涯年収額のアップにつながるかもしれません。今のタイミングで何を優先すべきかを検討しましょう。

また、ボーナスをもらってすぐに退職するとなると、上司や同僚は快く思わない可能性も考えられます。なるべくなら円満に退職し、退職後も良好な関係を続けたいものです。そのためには、引継ぎを怠らず、最後まで組織に貢献しようとする姿勢で取り組みましょう。

ボーナスをもらって転職したいときは、転職エージェントを活用しよう

これまでお伝えしたとおり、ボーナスをもらった上で転職を図る場合、「スケジューリング」が重要です。計画を立てるに際し、転職エージェントを活用するのも有効です。

転職エージェントでは、企業の選考スケジュールや入社希望時期などを把握しているため、応募するタイミングや入社時期などを判断・調整するにあたり、アドバイスを受けることが可能です。

なお、企業は「どうしても入社してほしい」と思う応募者に対し、「企業側の希望時期に入社すると、前の会社でのボーナスを受け取れない」といった場合、「入社支度金」などの名目で、そのボーナス額に相当する額を支給するケースもあります。

そうした可能性についても転職エージェントから情報を得られることがありますので、上手に活用して転職活動を進めてみましょう。

社会保険労務士法人 岡 佳伸事務所代表 岡 佳伸氏

大手人材派遣会社にて1万人規模の派遣社員給与計算及び社会保険手続きに携わる。自動車部品メーカーなどで総務人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険適用、給付の窓口業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として複数の顧問先の給与計算及び社会保険手続きの事務を担当。各種実務講演会講師および社会保険・労務関連記事執筆・監修、TV出演、新聞記事取材などの実績多数。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

記事作成日:2022年08月31日 記事更新日:2024年09月27日

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