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40代の転職は厳しい?転職市場の現実や転職実現のコツ、未経験転職の可能性を解説

40代 転職

40代で転職を考える場合、「今から転職するのは厳しいのでは?」「40代で納得のいく転職を実現できるのか不安…」「40代でも未経験転職できる可能性はあるのだろうか?」などと悩む人もいるようです。

40代の転職市場の傾向、40代に求められる経験・スキル、転職活動を実現させるポイント、40代転職を実現した事例などについて、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。

40代の転職・再就職は厳しい?40代での転職・再就職の現実を解説

ここでは、調査データをもとに、40代の転職・再就職についての傾向を解説していきます。

40代を含むミドル世代の転職者は増えている

株式会社リクルートの調査発表(※1)によれば、リクルートエージェントの転職者データを分析した結果、40代・50代の転職者数の伸びは、全体よりも大きくなっていることがわかります。また、同調査発表では、その要因についても言及しており、「少子高齢化を背景とする構造的な人手不足に加え、企業は事業変革のために豊富な知見・経験を持つ人材を求めている」「それによって、これまで20代・30代を中心にキャリア採用をしていた企業が昨今、ミドル世代に採用ターゲットを広げている」としています。

リクルートエージェントにおける転職者数の推移グラフ

(※1)参考:ミドル世代の転職動向 転職時に賃金が1割以上増えた割合は10年間で11.8pt増加  転職の背景やキャリアの築き方を事例で紹介(株式会社リクルート)

「40代が転職する目的」トップ3を紹介

一方、同調査発表(※1)では、株式会社リクルートとIndeedの「グローバル転職実態調査 2023」(※2)をもとに、ミドル世代が転職する理由についても発表しています。40代が転職する理由については、「仕事内容」「給与」「職場などの人間関係」が上位を占めていました。以下にトップ3を紹介します。

【40代で転職する理由トップ3】

1位:自分のやりたい仕事をするため(16.6%)
2位:給与を高めるため(15.6%)
3位:良好な人間関係を求めて(12.0%)

(※2)参考:リクルート・Indeed「グローバル転職実態調査 2023」報告書(株式会社リクルート・Indeed)

40代で転職した人の賃金も増加傾向

さらに、同調査発表(※1)では、転職後の賃金についても触れています。リクルートエージェントのデータによると、40代・50代で前職と比べて賃金が1割以上増えた転職者の割合も掲載しており、2014年度の15.6%から2023 年度で27.4%と、11.8pt増加していることがわかりました。また、「この10年間で転職時に賃金が増えた方の割合は、上昇傾向が続き、特にここ数年は伸びが顕著」としています。

「リクルートエージェント」における、前職と比べ賃金が1割以上増えた転職者の割合グラフ

また、内閣府の「令和6年度 年次経済財政報告」(※3)に掲載されている、ビッグデータ分析による年齢別賃上げ率についても紹介されており、2023年の前年同期比では、40代の賃上げ率は2.7%となっており、やはり増加傾向にありました。

(※3)参考:「令和6年度 年次経済財政報告」(内閣府)

40代が「転職は厳しい」と思う理由で考えられること

40代の場合、「今から転職することは厳しい」と思う人もいるようです。これについて、考えられる理由を解説していきます。

年齢が制約になると思っている

先に紹介した株式会社リクルートの調査発表(※1)では、リクルートとIndeedの「グローバル転職実態調査 2023」(※2)をもとに、「今後、転職活動をする際に、制約になると思うこと」についての調査結果にも触れています。

日本において、「今後、転職活動をする際に、制約になると思うこと」については、「年齢に関する制約」と回答する人が最も多く、全体の52.9%を占めていました。

年代別で見ると、20代では25.6%なのに対し、30代で48.9%、40代は59.8%、50代では78.1%と、年代が上がるほど不安が高まる傾向がありました。40代の場合は、約6割が「年齢が転職の制約になる」と思い、転職活動に不安を感じている様子が窺えます。

しかし、中途採用の場合、企業は「求める人材像にマッチする経験・スキルがあるか」を採用の基準としていることが一般的であり、必ずしも年齢が制約になるとは言えないでしょう。

年収・ポジションとの折り合いがつかない

40代の場合は、社会人経験が長く、一定以上の経験・スキルを積んでいることが多いと考えられるため、若年層の世代と比べて年収が高く、管理職などの責任あるポジションに就いている場合もあるでしょう。また、ライフステージが変化することが多い年代でもあるため、年収条件に対し、子どもの教育や介護、住宅ローンなどの費用を確保することを前提としているケースも見られます。

こうした要因から、希望年収と企業が提示する年収との折り合いがつかず、応募しようと思える求人が限られることで「40代の転職は厳しい」と感じることもあるようです。

マネジメント経験や専門スキルが求められる

40代は社会に出てから一定以上のキャリアを積んでいる年代であることから、マネジメントの経験や専門スキルを期待する企業もあります。そうした経験・スキルを身につけていない場合、企業によっては「求める人材像にマッチしない」と判断される可能性もあるでしょう。

これまでの実績や経歴をリセットすることが不安

現職で一定以上のキャリアを積み重ねてきた場合は、「これまでの実績や経歴を考えると、それらをリセットして新しい環境で働くことに不安がある」という人もいるでしょう。

過去の実績や経歴によって、社内外ですでに一定以上の評価・信頼を得ている場合は、仕事もスムーズに進めやすいと言えるでしょう。一方、転職する場合は、新しい職場で一から仕事の基盤や人間関係などを構築し直すことになるため、そこにハードルを感じることもあるようです。また、近い将来に昇進・昇格できる可能性がある場合は、「転職したい」と思いながらもためらうケースが見られます。

40代から異業界・異職種などに転職・再就職できる?未経験転職の可能性は?

40代で未経験からの転職・再就職を目指す場合の可能性について解説します。

40代で異業種・異職種に転職している人は全体の6割超

40代で異業界・異職種に転職を果たしているケースは多数あります。業界や職種は「未経験」であっても、これまで培った経験・スキルを転用することで異業界・異職種への転職を実現できる可能性を高められるでしょう。

リクルートエージェントで2022年度に転職が決定した人を分析したデータにおいて、転職前後の業種・職種を見てみると、40歳以上の転職では、「同業種×同職種(24.0%)」「同業種×異職種(11.9%)」「異業種×同職種(38.3%)」「異業種×異職種(25.8%)」となっています。

つまり、40歳以上で転職した方の4人に1人が「異業種×異職種」に転職しており、「異業種×同職種」への転職も含めると、6割超の方が異業種への転職を果たしているのです。

【年齢別】転職時の業種・職種異同のパターン別割合(2022年度)グラフ

参考:「異業種×異職種」転職が全体のおよそ 4 割、過去最多に 業種や職種を越えた「越境転職」が加速(株式会社リクルート)

専門職としての活躍を期待される可能性も

社会人経験が豊富な人を対象に、「専門職」としての活躍を期待する求人は数多くあります。近年、キャリアパスに多様性を持たせる制度を取り入れる企業は増加していると言えるでしょう。

例えば、ECサービス企業でPHPスキルを磨いたWebエンジニアが、SaaS企業にエンジニアのスペシャリストとして採用された事例があります。
また、大手外食チェーンで経験を積んだ人事職が、食品商社に「人事制度設計」のスペシャリストとして迎えられた事例もあります。特定分野のエキスパートとして転職をするケースは少なくありません。

40代の転職・再就職を実現させるために役立つコツを紹介

40代の転職・再就職を実現させるために、役立つコツの一例を紹介します。

「市場価値」に合った求人を選ぶ

自分の経験・スキルについて、「転職市場においてどの程度の“市場価値”があるのか」を正しく認識することは、転職活動において非常に重要です。自分の市場価値を客観的に把握しておけば、そこにマッチする求人を見つけやすくなり、採用に結びつけやすくなるでしょう。

なお、これまで経験を積んできた業界・職種以外でも、これまで身に付けてきたスキルが評価されることもあります。視野を広げ、多様な業界で選択肢を探ってみることが大事です。

年収条件にこだわりすぎない

子どもの教育費や住宅ローンなど「年収を下げたくない・上げたい」という事情を抱えている人もいるでしょう。こうした場合、年収以外の希望にマッチしていない求人を選ぶと、入社後に不満を抱えてしまうこともあります。年収条件について柔軟に考え、多角的に判断しましょう。

また、入社時点では年収ダウンとなっても、「入社後に実績を挙げることで前職水準に戻す、さらにアップさせる」という考え方もあります。

役職・ポジションについて広い視点で考える

「管理職のポジションで入社したい」と考える人もいるかもしれませんが、企業側としては「最初はメンバーからスタートしてもらい、既存社員と人間関係を築き、実績も挙げた上で管理職に昇進させたい」という意向を持っているケースもあると考えられます。入社時の役職にこだわりすぎないほうが、スムーズに内定へ進む可能性があります。

職務経歴書をわかりやすく簡潔にまとめる

一定以上の社会人経験を積んでいる40代の場合は、さまざまな業務を経験してきたことから「職務経歴書にこれまでの経験を書き切れない」という人もいるでしょう。

異動や転職回数が多い場合などは、職務経歴書には応募企業や応募職種に対してアピールできる職務経験を中心に記載することもできます。時系列に記載する編年体様式の職務経歴書ではなく、キャリア式の職務経歴書を選択すると簡潔にまとめやすいでしょう。自分の職務経歴に適した様式でわかりやすくまとめることで、採用担当者にも自分の経験・スキルを把握してもらいやすくなるはずです。

「会社になじめる人物」であることをアピールする

40代は一定以上の社会人経験があるため、自分の仕事のスタイルを確立している人も少なくはないと言えるでしょう。しかし、企業は「自社の企業文化や仕事の進め方などになじめるか」も確認し、入社後の定着性を判断する傾向があるため、応募企業になじもうとする姿勢をアピールすることも大事です。

家族・パートナーに相談しておく

40代の場合、子どもの教育・親の介護・住宅ローン返済などの背景があることで、自分1人の思いだけで転職を決められないこともあるかもしれません。家族やパートナーなどに相談しないまま転職活動を進め、内定を得た段階で初めて話をした場合は、反対される可能性もあります。転職活動を始める段階からきちんと相談し、理解を得て、意見を聞きながら進めることをおすすめします。

40代で納得のいく転職を実現した事例

ここでは、40代で納得のいく転職を実現した3つの事例を紹介します。

異業界・異職種に転職したAさんの事例

  • コンサルティングファームの経営コンサルタント → ITベンチャー企業の経営企画職

Aさんは、大手コンサルティングファームでシニアマネジャーを務めていましたが、職位を上げるための昇進試験に通過できなかったことがきっかけで、転職を決意しました。

コンサルティングファームでのキャリアに限界を感じたAさんは、「40代以降のキャリアの可能性を広げたい」と考え、事業会社の経営企画職を目指しました。コンサルタントとして培った経験・スキルを活かせる点に加え、コンサルティングファームで担当してきた業界だったことが評価され、IT・通信業界のベンチャー企業にマネジャーのポジションでの転職を決めました。

前職よりも年収はダウンしましたが、Aさんは許容範囲だと考えて納得。「将来的に事業会社のCOOを目指す」という新しいキャリアに向かう選択をしました。

異業界・異職種に転職したBさんの事例

  • 保険会社の営業マネジャー → コールセンター企業のSV(スーパーバイザー)

保険会社で営業マネジャーを務めていたBさんは、売り上げ目標の達成や営業チームのマネジメントなどを任され、休日出社も当たり前の環境に疲弊。「ワーク・ライフ・バランスを重視した働き方がしたい」と考え、転職を決意しました。

Bさんは、転職活動当初は、コールセンター業界を視野に入れていませんでしたが、平日勤務であり、休日出勤や残業がほぼない点に魅力を感じ、コールセンター企業のSV(スーパーバイザー)に転職することに。これまで保険会社のマネジャーとして多様な年齢層・経歴のメンバーをとりまとめ、モチベーション管理やスキルアップ指導などをしてきた経験・スキルが評価され、採用に結びつきました。
年収は前職よりダウンしたものの、希望通り、「ワーク・ライフ・バランスを大事にできる環境」を実現しました。

同業界・異職種に転職したCさんの事例

  • IT企業のエンジニア/プロジェクトマネジャー → Web企業のカスタマーサクセス(マネジャー)

IT企業にエンジニアとして勤務し、プロジェクトマネジャーも務めていたCさんは、仕事のやりがいを求めて転職を決意。「以前から興味のあった医療分野の課題解決に携わりたい」「顧客起点でスピーディーなプロダクト改善ができる環境で働きたい」という2点を条件に転職活動を進めました。

これまでのプロダクト改善の経験や技術理解があることに加え、プロジェクトマネジャーとして対顧客におけるコミュニケーション力・交渉力を発揮してきた経験が評価され、Web企業のカスタマーサクセス(マネジャー)に採用されました。Cさんは、医療関連のWebサービスの提供に携わることができる点と、新たな職種でキャリアの幅を広げていける点に魅力を感じて入社を決めました。また、順調に成長している企業であったため、前職よりも年収をアップすることもできました。

40代での転職では、転職エージェントが持つ情報を活用しよう

前述のとおり、40代の転職では自分の「市場価値」を認識したうえで情報収集すること、条件面だけにとらわれず、先々の可能性を踏まえてキャリアを考えることが重要と言えるでしょう。
しかし、自分1人で考えるだけでは判断がつかないこともあるでしょう。そのようなとき、転職市場を理解している転職エージェントに相談してみることをおすすめします。

これまで複数の部署や職務を経験している方も多い40代。しかし、職務経歴が多いために、「どこが強みなのか」がぼやけてしまうこともあるでしょう。世の中の人材ニーズを知る転職エージェントに相談することで、「転職に活かせる強み」の抽出がしやすくなりますし、自分の「市場価値」を客観的に把握するためにも役立つでしょう。また、強みを活かせる業界・職種・ポジションについてアドバイスを受けることもできます。

転職エージェントは、40代で異業種・異職種などに転職した人の事例なども保有しているので、そうした情報を聞くことも可能でしょう。今後のキャリアの可能性を探るために転職エージェントを活用してみるのも一つの方法です。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2022年12月27日
記事更新日:2024年07月22日
記事更新日:2025年02月27日 リクルートエージェント編集部

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