なにかしらの理由で休職している場合、転職をして環境を変えて働きたいと考える人もいます。中には、転職活動の進め方や転職市場の動向などの情報を得るために、転職エージェントを利用したいという人もいるようです。今回は、休職中に転職エージェントを利用する際のポイントと注意点を、キャリア形成のプロフェッショナルとして、組織人事コンサルティングSegurosの粟野氏に解説いただきました。
休職中も転職エージェントは利用できる
休職中も転職エージェントを利用することは可能です。ただ、心身の健康状態やケガなどにより、業務に支障が出たために休職している場合、基本的には症状の回復を優先することをおすすめします。転職活動や転職は環境の変化により、体調に影響する可能性があるからです。
「転職エージェントに相談」=「転職活動スタート」とは限りませんので、転職市場の動向を把握し、今の会社以外の選択肢を検討するため、転職エージェントに相談してみるのも一つの方法です。いざ症状が回復したときに向けて、視野を広げられるでしょう。
転職エージェントに「休職中」であることは伝えるべき?
転職エージェントを利用する際は、休職中であることは伝えた方がいいでしょう。リクルートエージェントでは休職も経歴の一部として考えているため、リクルートエージェントを利用される場合にはキャリアアドバイザーに休職中であることを伝えましょう。
転職エージェントは、今後のあなたに合った応募先の候補となる企業選定のサポートをしてくれたり、転職活動を始めるタイミングなどのアドバイスをしてくれたりします。
そのため、休職中に転職エージェントに相談した際には、「休職中」であることを伝え、適切なアドバイスを受けるのがよいでしょう。
休職中の転職エージェント活用のポイントとは?
では、休職中に転職エージェントを活用するにはどのようにしたらいいのでしょうか。
ポイントは「休職中の転職準備」と「復職後の転職活動」の二つです。
1.休職中の転職準備
まずは休職中にできる転職準備について解説します。
自身の経歴の棚卸し
これまでの経験を振り返り、どんな業務を担当したか時系列で書き出してみます。それらを整理して、「自分にできることは何か」「強みと弱みは何か」「転職で何を実現したいのか」を考えます。
転職先に求めることの整理
経歴を棚卸しすることで、転職先に求めることが明らかになるほか、自己PRのポイントがつかめ、応募書類の作成や面接対策につながります。
求人情報の収集
転職メディアや、Webの求人検索、転職イベント、各企業のコーポレートサイトから気になる求人情報をピックアップしていきます。求人の内容だけで判断せず、企業サイトなどで経営理念や事業内容を確認したり、同業他社のサイトと比較したりSNSの発信を見たりして、特徴を把握していくとよいでしょう。
ただし、体調不良で休職していた場合には、まず心身の回復を最優先とし、ご自身の健康管理を第一としていきましょう。その上で、無理のない範囲で、できることに着手していきます。自分の考え方や情報の捉え方は健康状態により異なってくるものですから、無理に始めようとせず、心身ともに回復してから本腰を入れて行うことをお勧めします。
2. 復職後の転職活動
今の職場環境を変えたいという気持ちから、休職中に転職活動をしたいという想いを持つこともあるかもしれません。体調不良による休職の場合は先に挙げたように、転職活動や転職は環境の変化により、体調に影響する可能性があります。
復職し、仕事の感覚を取り戻すことで、転職活動においても自信に繋がることもあります。 面接では、初めての方と話す緊張感もありますので、復職した現場でのコミュニケーションに慣れてからの方が、面接の受け答えなどにもプラスの影響をもたらしてくれるはずです。
ただ、現職への復職を負担に感じる場合には、働き方の選択肢を広げる為に、転職エージェントに相談するという方法もあります。キャリアに関して相談することで、視野が広がり、モチベーションが高まることもあるでしょう。転職エージェントに相談したい場合、まずは行動に移してみてはいかがでしょうか。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。