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転職の面接で「将来の夢」を聞かれたときの答え方

面接で応募企業の採用担当者から、「将来の夢」を聞かれるケースがありますが、なぜ将来の夢を中途採用の面接で質問するのでしょうか。また、将来の夢を聞かれたら、どのように答えればいいのでしょうか。そこで、人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏に、将来の夢を聞かれた場合の採用担当者の狙いや答え方のポイントなどを伺いました。

面接で「将来の夢」を聞く理由

中途採用の面接で、「将来の夢」を問う企業は少なくありません。将来の夢は、人生やキャリアにおいて目指したい到達点のこと。企業の採用担当者は、この質問を通じて、今回の転職が短期的な不満解消や勢いなどが動機ではなく、夢を実現するための1ステップとして位置づけているか、また、自社が目指す姿との親和性があるかどうかを確認しています。

人が将来の夢を抱いて実現のためにステップを踏むように、企業もまた、ミッションやビジョン、バリューなどを策定して目指す姿を言語化し、実現のために事業活動を行っています。そのため、ミッションやビジョン、バリューを大切にしている企業の経営者や採用担当者の場合は、応募者の夢と自社の目指す姿の共通点を確認するためにこの質問をするケースが多いようです。例えば、応募者が「日本の農業を活性化したい」という夢を抱いていたとして、応募企業がスマートアグリの促進事業を行っているようなケースでは、“農業”という共通点があるため、意欲を持って長く働いてもらえる可能性が高くなるでしょう。

また、「自律性」や「独立志向」を重視する企業の場合も、将来の夢を聞くケースが多いようです。夢の実現のためのステップが応募企業でのキャリアであれば、主体的に仕事に取り組んで、貪欲に知識やスキルを身につけ成果を出してもらえる可能性が高いからです。

「将来の夢」に対する答え方のポイント

本当に叶えたい夢がある場合は、まず夢を伝えてから、具体的な内容を補足すると分かりやすくなります。例えば、「夢は日本の農業の活性化です。実現性はまだ不明確な段階ではありますが、いずれは食の安全を支える農業をITの力で元気にしたいと考えております」など、夢に続けて想いや課題意識を伝えます。採用担当者から「なぜそれをやりたいのですか?」と問われる可能性が高いので、夢に懸ける想いや理由は説明できるようにしておきましょう。

なお、本当に叶えたい夢だとしても、仕事と直接関わりのない「南の島でのんびり過ごしたい」「『FIRE(Financial Independence, Retire Early)』を実現して利息や家賃収入で生活したい」などの回答は、避けておいた方がいいでしょう。採用担当者はこの質問を通じて、企業理念などとの接点や入社後の定着の可能性を判断しているため、応募企業にもよりますが、採用面接の回答としては不向きだからです。

「将来の夢」がない場合は?

「『将来の夢』というほど壮大ではない」「夢はまだ見つかっていない…」という場合は、「夢とまでは言えないかもしれませんが」などの前提を入れたうえで、応募企業で叶えたいことを伝えるという方法もあります。例えば、「夢というほどではないかもしれませんが、現在の仕事を通じて、専門家としてセミナーに登壇できるようなスペシャリストになりたいと考えております」「まずは社内で〇〇領域と言えば自分の名前が想起されるような人材を目指しております」などです。

ただし、面接対策として「将来は御社の管理職や経営陣として、事業を牽引する人材になりたい」など、応募企業に配慮した形式的な回答を準備する必要はありません。もちろん、それが本音であれば問題ありませんが、建前の回答は面接で掘り下げられた時に本音が見えてしまうものです。場合によっては「主体性がない」と捉えられてしまうリスクがあり、逆効果になるので無理に回答を取り繕おうとするのはやめましょう。

「将来の夢」の質問への回答例

面接で将来の夢を聞かれた際の回答例をご紹介します。

企画の回答例

私の地元である〇〇県の伝統工芸品「△△△」を、もっと多くの人に届けたいという夢があります。着物のイメージが強い「△△△」ですが、素材の手触りが良く丈夫なので、アイデア次第で様々な製品に応用できると確信しています。そのため帰省の折には、必ず「△△△」を扱っている知人のお店に顔を出し、販売の手伝いをしながら顧客のニーズを探っています。まだ試行錯誤の段階ですが、いずれは外国の方への販路も開拓し、「△△△」の認知を高めていきたいと考えております。

人事の回答例

「人生100年時代」と言われていますが、私は100歳まで学びながら働き続けるのが夢です。人事の仕事は人と向き合ったり、より良い雇用環境を検討したり、ITを導入したりと常に学び続けなければなりません。そのため、4年前には働きながら大学院に通い、心理学を学んでいました。現在は社会保険労務士の資格取得のために勉強中です。これからも、最新の情報や体系化された学問を通じて、人事のスペシャリストとして成長し続けたいと考えております。

ITエンジニアの回答例

いつか自分のプロダクトを事業化するのが夢です。現在も土日や終業後の時間を使って、〇〇領域のWebサービスやスマホアプリをリリースしているのですが、事業化はまだまだ遠い道のりです。技術力を高めてもっと開発のスピードアップを図る必要がありますし、マーケットのニーズをより的確に捉えなければ事業化できません。そのために、積極的に技術系の勉強会やセミナーに参加して、最新トレンドや開発者の生の声を聞いています。いつかアイデアを形にして事業を起こすために、現時点ではエンジニアとして技術力を磨くことに努めたいと考えております。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

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