企業に在籍していない期間は離職期間(ブランク)とも呼ばれます。企業によっては、離職期間の長さが選考で懸念され、面接での回答によっては選考で不利になるケースもあります。今回は、企業の採用担当者が離職期間を懸念する理由や面接で離職期間を聞かれた時の答え方について、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
目次
離職期間(ブランク)が長いと選考に影響を及ぼす可能性がある
離職期間が長くなると、採用担当者の多くは「その間に何をしていたのか」「どのような経緯があって、離職期間が長くなったのか」という点を知りたいと考えます。転職活動にかかる期間は3カ月を目安として、長くても半年程度が一般的です。離職期間が長くなると、「転職先が決まらない理由があるのではないか」と懸念される可能性があります。
疑問を持たれないようにするためには、離職期間が長くなった理由をきちんと伝える必要があります。ただし、書類選考で応募書類の経歴を見て判断されてしまう可能性もあるので、やむを得ない事情がある場合は履歴書の経歴欄や本人希望欄、職務経歴書に備考欄を設け、離職期間が長くなった理由を補足するようにしましょう。
企業の採用担当者が離職期間(ブランク)を懸念する理由
企業の採用担当者が離職期間を懸念する理由はいくつかあります。代表的な理由について解説します。
計画性に欠けるのではないか
離職期間の長さは、行き当たりばったりで退職したり転職活動を始めたりした結果だと推測して、計画性に疑問を感じる企業もあります。計画的に進めていたものの、想定外の事情などから離職期間が延びてしまった場合は、事情があることを簡潔に説明しましょう。
応募企業からの評価が低いのではないか
離職期間が平均的な転職活動期間を超えてくると、「経験・スキル、希望条件などに何らかの課題があり、応募企業からの評価を得られず転職先が決まらないのでは?」と懸念される可能性があります。こうした場合は、転職エージェントに相談するのも1つの方法です。
1人で転職活動を続けていると、自分の課題や改善点を客観的に把握できず、転職先が見つからないまま離職期間が長引いてしまうことがあります。第三者から客観的なアドバイスを受けることで、離職期間が長くても「すぐに転職先が決まった」というケースも少なくありません。1人で抱え込まず、誰かに相談することが大切です。
仕事への意欲が低いのではないか
仕事へのモチベーションが低いために、離職期間が長いのだと考える企業もあります。離職期間への評価が気になる場合は、仕事への熱意や意欲を、志望動機や自己PRなどで応募書類の段階でしっかりと伝えることが重要です。
離職期間(ブランク)が長い場合の面接での伝え方
面接で離職期間について聞かれた場合の答え方を解説します。
やむを得ない理由は端的に伝える
キャリアチェンジをするために資格試験の学習に取り組んでいたなど、やむを得ない理由がある場合はきちんと伝えておきましょう。この場合、可能な範囲で理由や背景を交えて、採用担当者に理解してもらうことがポイントです。現在の状況も伝えて、問題なく働けることや離職期間中に得た知識や経験・スキルがあれば、入社後に役立つことをアピールするといいでしょう。
言い訳をしない
長々と離職期間の理由を説明しようとすると言い訳のように聞こえてしまうので、基本的に主観を交えず事実を端的に伝えることが重要です。採用担当者は数多くの求職者と面接で会話しているので、「本音で話していない」「辻褄が合っていない」ということを感じ取ってしまうこともあります。計画性がなく何となく離職期間が長引いてしまった場合は取り繕わずに、反省している旨を添えて本音で誠実に回答した方が印象は悪くなりにくいでしょう。
即戦力となることを伝える
離職期間が長引くと、即戦力としてすぐに活躍できるかを懸念する企業もあります。即戦力をアピールしたい場合は、離職期間中に学んだことや取り組んでいたことなどを伝えるといいでしょう。入社までに必要な情報をインプットする意欲があることを伝えると、仕事への意欲の低さやブランクへの懸念を払しょくすることができます。
フリーランスだった場合の注意点
フリーランスとして働いていた場合は、ブランクに該当しないため、履歴書や職務経歴書にフリーランスとして活動していた実績を記載しておけば問題ありません。ただし、「なぜ会社員からフリーランスになったのか」「なぜ再び会社員に戻ろうと考えたのか」という理由や経緯は、説得力を伴って語れることが重要です。
働き方を変えた理由を明確にして語れるようにしておかないと、「入社後にまた退職してフリーランスを選択する可能性がある」と不安視される可能性があります。過去を振り返って、フリーランスになったきっかけや会社員に戻ろうとした動機を明らかにして、説明できるようにしておきましょう。
転職を決める前と後で活動するのはどちらがよいか
仕事を続けながら転職活動を進めると、忙しくなるため時間の捻出が難しくなります。特に現職が多忙だと、面接の日程調整が難航して転職活動自体が長期化する可能性もあります。仕事と並行して転職活動を進めることに限界を感じて、退職してから転職活動を始めようとする方もいるようです。退職後の転職活動は、雇用保険の基本手当(失業保険)を受給できるというメリットもあります。
ただし、「退職してから転職活動を始める」という順番で進めると、離職期間が発生します。離職期間が長くなるに従って、不安や焦りから転職先を妥協してしまい入社後に後悔する方もいます。ご自身に対するメリットデメリットをよく考えて判断するようにしましょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。