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Web系クリエイターの転職活動を有利にするポートフォリオの作り方とアピールポイント

転職 ポートフォリオ

Web系のデザイナー、ディレクター、マーケターなど、Web系クリエイターの転職活動では、自分の作品をまとめた「ポートフォリオ」が重要となります。そこで、自分のスキルや経験を武器としてポートフォリオとして作成するためのポイントについて、リクルートエージェントのキャリアアドバイザーがアドバイスします。

そもそもポートフォリオとは?

「ポートフォリオ」とは、これまで制作に関わってきた作品集を指します。これまで手がけてきたコンセプトやデザインなど、自身の制作実績をプレゼンテーションするツールとして提出します。

特にWeb系クリエイター(以下、クリエイター)の転職活動においては、ポートフォリオが重要視されるため、応募段階からポートフォリオの提出が求められます。クリエイターの応募書類は、「履歴書」「職務経歴書」「ポートフォリオ」の3点セットを基本とすることが一般的です。

なぜ、クリエイターの転職にポートフォリオが重要なのか

文章だけの職務経歴書では、採用担当者はその人が得意とするクリエイティブスキルをイメージできません。そこで、制作実績をビジュアルで見せることで、得意なテイストやスキルを伝えます。

採用担当者は、書類選考段階でポートフォリオを見て、面接に招くかどうかを判断しているといっても過言ではありません。ですから、応募時点からしっかりと作り込んでおくことが大切です。

ポートフォリオで何を伝えたらいいか

ポートフォリオを作成する際には、どのような要素を盛り込めばよいか。「Webデザイナー」を例にとると、次のようなポイントを整理・可視化します。

  • どのようなジャンルで、どのようなテイストのサイトを制作してきたか
  • 制作工程のどの部分を担当したか(サイト全体の構成/サイトの一部のみ/バナーなど)
  • どのようなスキルを身に付けているか(デザイン/デザイン&コーディングなど)

「スキル」については、例えば「Illustrator」「Photoshop」「HTML」「CSS」「JavaScript」などについて、1~5段階評価などで、それぞれの自己評価を記載することをお勧めします。レベルの強弱をつけて見せることで、何を得意としているかが伝わりやすくなります。

企業の採用担当者がポートフォリオで見ているポイント

採用担当者は必ずしも「優れている人」を求めているわけではなく、「自社に合う人」を探しています。つまり「任せたい業務をこなせるか」という視点で選考しています。デザイナーであれば、デザインの世界観やテイスト、トンマナ(トーン&マナー)などについて、自社の業務内容や商品・サービスと親和性があるかどうかを見ているのです。

また、企業によっては「担当範囲」にも注目されることがあります。例えば、「企画フェーズから主導した」「ある程度企画が固まった段階から制作をメインに手がけた」「制作の中の一部を担当した」などが挙げられます。制作工程のうちどの部分を手がけたのか、読み手がイメージできるように表現を工夫しましょう。

ポートフォリオの要素と作り方

ポートフォリオにはいわゆるフォーマットはありません。以下に紹介する基本的な構成と必要な要素をもとに、作品の説明や自身のアピールを盛り込んでいきましょう。

ポートフォリオの構成について

転職活動用のポートフォリオの場合、一般的には以下の基本要素と自身の担当範囲で構成します。

基本要素

1ページ(もしくは1見開き)につき1案件、次の要素をまとめます。

  • 案件の概要がわかるタイトル
  • イメージが伝わる画面キャプチャ(ABテストの事例の場合は2パターン並べるなど)
  • 案件の概要説明(コンセプト、課題とその解決策など)

自身の担当範囲・スキル・アピールポイントの説明

「1ページ1案件」は必須ではありません。「バナー制作」「LP制作」などのテーマ別に、1ページに複数の作品を並べて見せる方法もあります。バリエーションの豊富さをアピールするための効果的な見せ方とも言えます。

職種別:ポートフォリオの重要ポイント

続いて、職種別にポートフォリオの重要ポイントをご紹介します。

Webデザイナー

「どのような世界観を表現するのが得意か」「どのようなスキルを持っているか」を伝えることが重要です。制作したデザインに込めた意図や、それをどう表現しようとしたのかを、デザインと共に明確に示しましょう。

UIデザイナーの場合は、Webサイトやアプリの画面をユーザーが直感的に操作しやすいように、どうデザインしたのか。その狙いや具体的に工夫したポイントなどをアピールしましょう。さらに、定量的な成果として数字面での改善も記載できるとより効果的です。

また、定量の成果が書きづらい案件の場合は、代替案として「ユーザーの特性を踏まえ、このような世界観が好まれると考え、クリエイティブに落とし込んだ。それに対して、ユーザーからこのような反響があった」といったストーリーを伝える方法もあります。

Webディレクター

ディレクターは案件によって担当範囲が異なることも多いので、まずは自分が関わった領域が、企画提案、進行管理(ディレクション)、テスト、リリース、分析改善、予算調整、KPIの改善など、どの領域まで担当したのかを明確に伝えましょう。

KPIやCV改善など定量的な成果は評価のポイントになりますので、可能な限り詳細に記載することをおすすめします。

また、どのような対象物のディレクションを対応できるかも評価のポイントとなります。、コーポレートサイト、キャンペーンページ、ECサイト、サービスサイト、アプリなど、対象物のバリエーションがある方はその点もアピールしましょう。

Webマーケター

マーケターは課題解決力が重視されますので、分析ツールを使った「定量/定性両面での課題抽出」、それに対する「打ち手」、その「成果(ユーザー数アップやコンバージョンアップなど)」を伝えるポートフォリオを作成しましょう。

案件の選び方としては、「課題」のパターンと「打ち手」のパターンがなるべく幅広く多様に選んでみましょう。実際にポートフォリオを見た採用官が、「まさにこの課題を解決できる人を求めていた!」あるいは「まさにこの打ち手に詳しい方を求めていた!」と思っていただけるような選び方をすると効果的です。

ポートフォリオを使って面接でアピールする方法

まず、求人票や採用ページに書かれている内容を読み込み、「応募先企業がどんなクリエイティブスキルや経験を求めているか」をつかみましょう。その上で、これまでの経験の中から、どのエピソードを話せば興味を持ってもらえるかを考え、準備してください。

特に現場担当者との面接・面談では、相手が知りたいことが「作り方」なのか「成果」なのかなど、質問意図を想像しながら受け答えをしましょう。

多くの企業が特に注目するのは、「どのような思考プロセスでその案件に携わったのか/作品を作ったのか」というポイントです。そこで、ポートフォリオに載せる作品の制作プロセスについて、以下のストーリーを語れるように準備することをお勧めします。

  • どのような課題があったのか
  • 課題についてどのような分析のステップを踏んだのか
  • 分析をもとに、どのような解決策を考案したのか
  • それにより、どのような成果を挙げたのか

ポートフォリオ作成に関するQ&A

Q.適切な作品数やページ数は?

適切なページ数は、5枚から10枚程度。経歴が長い場合でも15枚以内にまとめましょう。ボリューム過多になると、採用担当者が注目すべきポイントがどこか迷ってしまい、強みが伝わらない恐れもあります。ボリュームが多くなる場合は、最初に目次を作成して、どこに何が記載されているか作成するとわかりやすくなります。

Q.プロジェクトメンバーが多いプロジェクトや、顧客名を出せないプロジェクトはどう説明するか

大きなプロジェクトでどのようなチーム体制で制作を担当したのかについては、箇条書きなどではイメージしにくいため、文章で記載することをお勧めします。

企業プロジェクトは、どのような業界・商品・サービスの案件を手がけてきたかを見せることで、応募先企業が自社の業務との親和性を判断しやすくなるため、可能な範囲で記載しましょう。

Q.紙とWeb上、どちらで作成する?

最近は、作成したポートフォリオをPDF形式で提出するケースや、Web上に作成したポートフォリオページのURLを履歴書や職務経歴書に記載するケースも多くなってきました。紙で作成して郵送、あるいは面接に持参することを求める企業は少ないようです。

Q.ポートフォリオ作成ツールは何がおすすめ?

作成に使用するツールは、デザイナーの場合、普段使い慣れているAdobe系のツールでOKです。Adobeの機能にポートフォリオ作成ツールもあります。主に企画を担当するディレクター職でAdobeツールに慣れていない場合は、PowerPointなどのプレゼンテーションソフトで作成するといいでしょう。

Q.実績は担当案件全部入れた方がいい?

担当案件すべてを盛り込むとボリューム過多となってしまいます。成果が挙がった案件など、自身の強みをアピールできる作品を中心に構成しましょう。

Q.ポートフォリオは企業ごとに作るもの?

1社ごとに制作する必要はありません。多様なジャンル・テイストの作品を載せて「引き出しの多さ」を感じさせるように作成すれば、様々な企業への応募で汎用的に活用できます。
ただし、志望企業が絞り込まれている場合は、相手企業が求めているジャンルやテイストの作品を中心に作成するといいでしょう。

Q.ポートフォリオがない場合はどうしたらいい?

クリエイターの中途採用においては、ポートフォリオの提出を必須とする求人企業が多いため、制作しましょう。守秘義務などにより、作品を外部に出せない場合は、学生時代や個人で請け負った業務などの際に作成した案件でポートフォリオを作成する場合もあります。

学生時代の作品と現職の作品ではテイストなどが大きく異なっている場合は、何かをモチーフにして、仮想の商品紹介ページやキャンペーンサイトなどを制作するといいでしょう。

キャリアアドバイザーが「強みの発見」をサポート

自身のスキルや経験を客観視してポートフォリオを作成するのは、実績豊富な方であっても悩むことが多いようです。リクルートエージェントでは、キャリアアドバイザーが「強みの発見」をお手伝いし、志望先に対して何をアピールすれば響くかを、客観的視点からアドバイスします。ポートフォリオ作成のほか、履歴書や職務経歴書作成のアドバイスも行っています。ぜひ、ご活用ください。

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リクルートエージェント キャリアアドバイザー 西川 太郎

リクルートの転職エージェントサービス「リクルートエージェント」のキャリアアドバイザーとして、主にIT・NET業界を担当。

リクルートエージェントでは、転職でお悩みの方に適切なアドバイスをお送りしています。また、企業の面接対策や職務経歴書の作成サポートや、スムーズな退職のためのサポートを行っています。お悩みの方はぜひ一度相談に来てみてください。