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転職で年収は下がる? 年収が下がる転職の傾向や許容範囲を解説

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転職で年収が下がるケースは多いのでしょうか。また、応募企業から提示された金額が現状よりも低かった場合、どのように判断したらいいのでしょうか。そこで人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が、年収が下がる転職の傾向や転職先を決める目安について解説します。

転職における給与の変化

厚生労働省が2021年(令和3年)に行った「雇用動向調査」によると、転職入職者の賃金変動状況は、前職の賃金に比べ、「増加」した割合は34.6%、「減少」した割合は35.2%、「変わらない」の割合は29.0%という結果でした。年代によっても年収増減の傾向は異なりますが、全体では年収アップ転職と年収ダウン転職の割合に大きな差はないようです。
なお、「増加」のうち「1割以上の増加」は23.7%、「減少」のうち「1割以上の減少」は26.3%です。

出典:令和3年雇用動向調査結果の概況「4 転職入職者の状況」(厚生労働省)

年収が下がる転職の傾向

転職で年収が下がるケースに共通点はあるのでしょうか。年収が下がる転職の傾向をご紹介します。

異業界・異職種へのキャリアチェンジ

キャリアチェンジとは、これまでとは異なる業界・職種への転職を指します。未経験者の採用は育成に時間がかかることから、即戦力となる経験者に比べて、未経験者は待遇が低くなります。キャリアチェンジの中でも、特に年収ダウンになりやすいのが未経験職種への転職でしょう。

また、経験年数やポジションが同じであっても、業界によって給与水準に差があります。金融や製薬、コンサルティングファームなどの給与水準が比較的高い業界から、水準の低い業界に転職する場合は、同職種の転職であっても年収ダウンになることが多いと考えられるでしょう。

大手企業から中小企業への転職

一般的に大手企業は「市場への参入障壁が高く競合が少ない」「分業化が進み生産性が高い」「ブランド力があり販売や採用力に長けている」などの理由から、年収水準が高い傾向にあります。そのため、現職または前職よりも規模の小さい企業に転職すると、年収ダウンになる可能性が高くなります。なお、転職した時点では企業規模が小さく年収ダウンになったとしても、その後企業が急成長して前職の企業にいるよりも年収が上がるケースもあります。

都市部から地方の企業に転職

地域によっても給与に差があります。「令和4年賃金構造基本統計調査」の「都道府県別にみた賃金」によると、全国計(311.8 千円)よりも賃金が高かったのは5都府県(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県)となっており、最も高かったのは東京都(375.5千円)です。一方で低いのは青森県(247.6千円)、宮崎県(249.6千円)、沖縄県(252.0千円)で5都府県とは大きく差が開いています。このように都市部は給与が高い傾向があるため、都市部から地方の企業に転職した場合、年収ダウンとなる可能性があります。

出典:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 (10) 都道府県別にみた賃金(厚生労働省)

残業時間が短い企業への転職

たとえ基本給が同じであったとしても、残業時間の有無によって年収が下がるケースもあるでしょう。働き方改革によって残業時間を減らそうとしている会社もあり、現職よりも残業時間が少ないと、残業手当が減る可能性があります。もし現職で残業時間が多い場合は、応募先企業の残業時間を調査しておくとよいでしょう。

年収が下がっても転職する?年収ダウン転職の判断軸

現職よりも低い年収を提示された場合、どのように判断したらいいのでしょうか。年収ダウン転職の判断軸をご紹介します。

生活できる給与水準か計算する

年収だとイメージしにくいので、12分割して月額で考えてみましょう。最低限必要となる生活費に加えて、ローンや教育費などのコストを月額で算出します。家族やパートナーがいる場合は、転職直後だけでなく「○年後に転居など、将来で必要となりそうなコストも洗い出しましょう。 

生活に無理が生じる転職をした場合、金銭面に不安を感じて再度転職を検討することになるかもしれません。もし年収が下がっても転職したい場合は、家族やパートナーと相談して世帯収入を増やす、支出を減らすなどの余地があるか探ってみましょう。

年収減を上回る魅力があるか考える

期間と捉えて一時的に年収が下がることを覚悟し、経験を積んで年収アップ転職を目指す」「年収は低いが退職金などの福利厚生が充実しているため、トータルで収支が合う」「社会的意義の高い仕事をしたい」「家族のためにワークライフバランスを重視したい」など、年収が下がることを上回る魅力があるか考えてみましょう。 

入社後に年収の上昇余地はあるか考える

転職時点では年収が下がったとしても「営業目標を達成することでインセンティブが付与される」「ストックオプションが期待できる」など、評価制度や会社の成長余地などによって、年収の上昇余地があるかどうかを考えてみましょう。ただし年収の上昇余地はあくまで想定のため、実現できるかどうかは分かりません。過度に期待せず、無理のない範囲で考えましょう。

転職で年収を下げないコツ

転職で年収を下げないコツを3つご紹介します。

キャリアを活かせる会社に転職する

これまでのキャリアが評価される会社であれば、能力に見合った報酬が期待できます。また、自分の専門性を活かせる会社であれば即戦力としての価値が高まり、給与に反映されやすくなるでしょう。経験とスキルを持つ人は、応募先企業にとって貴重な人材のため、自分のキャリアを活かせる会社を選ぶことは、転職時の年収を下げないことにつながると考えられるでしょう。

成長している業界や会社に転職する

成長している業界や会社は積極的に採用活動を行っており、競合他社よりも高い水準の年収で募集を出し、採用するケースがあります。また金融業界や医療業界など、業界自体の給与水準が高い業界に転職することや、インセンティブが期待できる外資系企業に転職するのも年収を下げないための手段でしょう。

転職エージェントを活用する

転職エージェントを活用することも、年収を下げないための方法のひとつです。転職エージェントはそのときの転職市場を把握しており、転職活動者のスキルや経験から最適な求人を紹介してくれます。また条件交渉の相談を受けることもできるので、ひとりで転職活動するよりも年収アップにつながるかもしれません。 

年収ダウンの転職で貰える可能性がある補助金とは

年収が下がる転職をした場合、国から「就業促進定着手当」を受けられる可能性があります。「就業促進定着手当」とは、再就職手当を受けた人が再就職先に6ヵ月以上雇用され、再就職後6ヵ月間の賃金日額が離職前の賃金日額よりも低い場合に受けられる手当です。

「就業促進定着手当」は再就職手当の支給申請を行ったハローワークで申請できます該当する場合は、受給資格の条件などを確認し、相談してみましょう。 

転職における年収の考え方

応募先企業から現職よりも低い年収を提示されたとしても「人材としての評価が下がった」「市場価値が低くなった」というわけではありません。現職の年収は、これまで築き上げてきた信用や実績によるものです。転職先の企業でも一から信用や実績を積み上げることで、リカバリーできる可能性は大いにあります。そのため、年収ダウンの提示に必要以上にネガティブになる必要はないでしょう。むしろ転職先に求める条件として年収にこだわりすぎてしまうと、キャリアの選択肢を狭めることになります。これから転職活動を始める場合は、年収以外の価値や将来性なども含めて検討しましょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2022年08月02日 記事更新日:2023年11月07日

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