
転職したいと考え始めたものの、本当に転職していいのかどうか迷っている人は少なくないようです。そこで、転職すべきか迷ったときの対処法や判断基準などについて、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。
目次
転職すべきか悩んでいる人のよくある理由
転職すべきかどうか悩む理由は人それぞれですが、まずは自身がどのような不満や不安に悩んでいるのか見つめ直すことをお勧めします。参考までに、リクルートエージェントが1年以内に転職した人たちに調査した「転職のきっかけ」のランキングから、トップ10を紹介します。転職のきっかけは、現職への不満や不安などの悩みがもとになっているとも考えられます。また、転職すべきか悩む、よくある理由についても紹介します。
- 転職のきっかけランキング
出典:リクルートエージェント調査「年代別転職理由の本音」(株式会社リクルート)
労働環境が良くない
勤務先部署の残業が多い、有給休暇が取りにくい、オフィスの雰囲気が悪い、IT環境や設備などが整っていないなど、労働時間や労働環境の条件が良くない職場環境にやりにくいと感じているケースもあるでしょう。
評価・報酬・福利厚生などの条件が悪い
給与・賞与が低い、昇給がないなど報酬条件に不満を感じているケースが該当します。また、評価の基準が不明確なため、成果を挙げても評価されず、報酬にも反映されないことに不満を感じている場合もあるでしょう。
企業の将来性が不安である
企業ビジョンや経営陣が目指す事業の方向性が曖昧であったり、企業戦略に他社との差を感じたりするなど、将来性に期待を持てない人も少なくないようです。
職場の人間関係がうまくいっていない
上司や同僚との人間関係がうまくいっていなかったり、チームメンバーとの意見が合わず、馴染めなかったり、所属する組織風土や仕事に対する価値観が自分とは合わないと、感じているケースも多いようです。
今の仕事内容が合わない
現在担当している仕事の業務内容にやりがいを持てない、自社が扱っている製品やサービスに対して面白みを感じない、仕事の成果を挙げられないなど、仕事が自分に合っていないのではないかと感じていることもあるでしょう。
キャリアの成長実感がない
仕事内容がマンネリ化していて、スキルアップができていないと感じている人もいるでしょう。入社してから任される仕事内容が変化せず、チャレンジングな仕事やマネジメントなどの仕事を任せてもらえないことにも不満を抱く場合もあるようです。
転職すべきか迷ったときの対処法とは
なぜ転職したいと悩んでいるのか、自己分析ができたら、次に現状の問題点を解決するための対処法を試みてみましょう。
家族やパートナーなどに相談してみる
自分だけで悩んでいても答えが出ないときは、信頼できる家族やパートナーなどに相談して話を聞いてもらうと、すっきりして元気になったり、解決法のヒントがもらえたりすることもあるでしょう。
もちろん家族やパートナーは転職やキャリア支援の専門家ではないので、個々人の主観や経験値に依存する部分がある可能性があります。アドバイスをそのまま受け入れるのではなく、自身が目指すキャリアの方向性と合わせて検討するようにしましょう。
担当変更や異動が可能か上司に相談してみる
「キャリアの成長実感がない」「仕事や人間関係が合わない」といった悩みを感じているときは、上司に担当変更や異動が可能か相談してみましょう。
現在の部署では解決が難しい場合や、自分がやりたい仕事ができる部署がある場合などは、異動願いの希望を出してみる方法もあります。現在の悩みが現職の中で解決する可能性もあるため、まずは上司に相談してみましょう。
労働環境を改善する手段やツールを探してみる
残業が多い職場の場合は、残業が多くなっている原因を整理したり、業務の効率化を考えてみたり、自分の業務の優先順位を見直すなどによって改善を試みてみましょう。また、残業削減につながる改善対策やツールの導入などを提案してみるという方法もあります。
会社の評価軸を確認してみる
自分としては頑張って成果を出しているのに、それに見合うような評価をされていないと感じている場合は、会社が求める評価基準とずれている可能性もあるので確認してみましょう。上司と自分の仕事に対する成果や期待を話し合う機会を持つのもいいかもしれません。実際に評価されている同僚を目標とするのもいいでしょう。
診断ツールを使ってみる
仕事が合っていなかったり、キャリアの成長を実感していなかったりなどの理由から、転職するかどうか迷ったときは、客観的な判断をしてくれる診断ツールを使う方法もあります。例えば、適職を検索することができる厚生労働省が提供している「自己診断ツール(※)」を使って、今の仕事が自分に合っているか、判断する参考にしてみてはいかがでしょうか。
(※)出典:自己診断ツール | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET)) (厚生労働省)
転職することを慎重に検討したほうがいい人の特徴や状況
一時的な不満の解消や感情で決めてしまい、転職することが目的になっている人は、企業を選ぶ基準が明確ではない場合もあり、安易な転職はお勧めできません。転職を慎重に検討したほうがいい人の特徴には、以下のようなことが挙げられます。
友人・知人が転職したことに影響を受けている
周りの友人・知人が、転職で年収アップを実現していたり、モチベーション高く仕事をしていたりする姿を見たり、話を聞いたりして、自分も転職したら現在の悩みが解決するのではないかなどと考える場合もあるかもしれません。
しかし、自分が転職によって何を実現したいのか、目的や目標が明確でない場合、新しい仕事にも達成感を得ることは難しいと考えられます。すぐに転職することは避けたほうがいいでしょう。
企業のイメージだけで判断してしまう
転職したいと考えている企業の知名度やブランド力だけに魅かれて、転職を決めるのも自分がやりたいことや、現状の課題解決につながるのでなければ考え直してみたほうがいいかもしれません。
メディアなどでよく見る企業、新たな事業を立ち上げたベンチャーなど、何となく面白そうな企業だからと転職する人もいるでしょう。ただし、新たな職場で、人間関係をイチから構築しながら仕事を覚えていくのも大変だということも理解しておきましょう。
現職への不満だけで転職をする
人間関係や仕事内容、給与、待遇など、現職への不満を解消する目的だけで転職をしてしまうと、新しい職場でも同じような悩みを抱える可能性もあります。まずは現職で不満に対する解決策を試みて、どうしても解決できない場合に、転職を考えるようにしましょう。その際、仕事へのこだわりや転職で実現したいことを明確にすることが重要です。
昇進・昇格・賞与支給のタイミング
もう少しで昇進・昇格するというタイミングの場合、現職で新たな業務を体験し、キャリアアップしてから転職したほうが、転職先企業の選択肢が広がるかもしれません。
また、賞与を受け取ってから転職したい場合は、賞与支給のタイミングや就業規則を確認しておきましょう。
転職すべきかどうか悩んだら転職エージェントに相談してみよう
転職すべきかどうか悩んだときの相談先として、転職エージェントを活用してみる方法もあります。転職しようかどうか悩んでいることを相談して、アドバイスをもらうこともできます。
また、これまでのキャリアやスキルを活かせる企業があるか、自分がやりたいことを実現できそうな企業を紹介してもらえることもあります。
転職活動や応募・内定後の疑問や悩みにも、相談に乗ってくれるので、それらの解決もスムーズに進むでしょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
記事更新日:2023年04月07日
記事更新日:2025年02月18日 リクルートエージェント編集部