転職初日、オリエンテーションや研修終了後に、一緒に働くメンバーに挨拶する機会が設けられます。入社の挨拶は何を話せばよいのか、注意すべきことはあるのか迷うこともあるでしょう。
そこで、人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏に、転職した企業での挨拶や初日の過ごし方などを伺いました。
転職初日の流れと過ごし方
企業にもよりますが、主に転職初日は人事や配属先の担当者が迎え入れ、座席の案内や手続きなどの説明を経て、メンバーとの対面および挨拶という流れになることが多いでしょう。
出社
初日の出社は、指定された時刻の5〜10分前に到着しておくことをおすすめします。出社が早すぎると、案内役の担当者が出社していない可能性があるので注意が必要です。初出社がリモートワークの場合は、事前に指示された準備を終えて、念のため5~10分前にはオンラインミーティングにログインしておきましょう。
オリエンテーション
入社にあたって必要となる書類の手続きや今後の流れ、職場についての説明を受けます。また、座席や普段使用する会議室といった職場環境の案内や、使用するパソコン・スマートフォンのセッティングを行うこともあるでしょう。
オリエンテーションが終わったら一緒に働くメンバーとの顔合わせが始まりますが、企業によっては人事がオリエンテーションから研修までを行い、研修が終わってから職場に配属されるケースもあります。
挨拶
転職初日は職場で軽く挨拶を交わし、後日、関係者が集まる朝会や定例会などで改めて自己紹介を行うケースもあれば、転職初日に関係者が集まって挨拶と自己紹介を求められるケースもあります。挨拶が終わったら、業務の引継ぎやレクチャーなどが始まります。
近年はリモートワークを実施する企業もあるため、出社せずに自宅で初日を迎えてオンラインで挨拶したり、出社したとしてもメンバーがリモートワーク中で、リアルとオンラインを組み合わせて挨拶したりするケースもあるようです。
挨拶(自己紹介)では何を伝えたらいい?
一緒に働くメンバーと円滑なコミュニケーションを図るために、挨拶は人柄やバックグラウンドが分かるような内容が望ましいでしょう。自己紹介で伝えるとよい内容や、ケース別での自己紹介の例文を紹介します。
自己紹介を構成する要素
自己紹介は次のような構成で伝えると、人柄やバックグラウンドが伝わりやすくなるでしょう。
- 氏名と挨拶
- 略歴
- 入社のきっかけ
- 趣味や特技、休日の過ごし方など、人となりを表すエピソードなど
- 入社後の意欲、抱負
- 締め
いきなり話すのは難しいため、事前に自己紹介で伝える内容を考えておくことをおすすめします。
口頭での挨拶例文
初めまして、本日からお世話になります、○○○○です。
前職では5年間、金属加工品の営業をしていました。以前よりWebサービスに興味があり「△△△」はよく使っていたので、内定が出たときは本当に嬉しかったです。Web業界は未経験ですが、一日も早く皆さんに追いつけるように努めてまいります。
××さんから、社内ではキャンプに行く人が多いと伺いました。私も月に一度はソロキャンプに行くので、ぜひお勧めの道具やキャンプ場などを教えてください。
これから、どうぞよろしくお願いいたします。
メールでの挨拶例
お疲れさまです。
○月○日に関東営業部統括グループに入社した○○○○と申します。
営業の皆さまの申込書や請求書などの手続きを担当させていただきます。
リモートワークで対面でのご挨拶ができないため、メールにて失礼いたします。
前職は3年間、医療機器メーカーの営業アシスタントを担当し、サンプルや出張の手配などを行っていました。できるだけ早く仕事に慣れるよう頑張る所存ですが、もし私の手続きに対してご不明点などございましたら、メールかチャットでご指摘いただけますでしょうか。
プライベートでは、美味しいレストランに行くのが好きで、良かったお店はSNSで紹介しています。
これから、どうぞよろしくお願い申し上げます。
挨拶のポイント
挨拶をする際のポイントを4つご紹介します。聞き取りやすく、人柄が伝わる挨拶を目指しましょう。
明るく、笑顔ではきはきと
表情ひとつで印象は大きく変わるものです。特に、オンラインで挨拶をする場合は、どうしても表情が分かりにくくなります。挨拶をするときは印象が明るくなるように、口角を上げることを意識して、笑顔ではきはきと話しましょう。また、早口にならないように、少しゆっくり話すと聞き取りやすくなるでしょう。
謙虚な姿勢で伝える
前職での経歴や実績を華々しく伝えようとするあまり、権威的な言い方をしてしまうと、印象が悪くなってしまう可能性があります。挨拶をする相手は、これから一緒に働く仲間です。チームワークを高めるために「この人と働きたい」と思ってもらえるかどうかが重要です。たとえ相手が年下のメンバーばかりであっても、話すときは謙虚な姿勢を心がけるようにしましょう。
人柄が伝わる自己紹介を交える
入社の挨拶は氏名と略歴、入社のきっかけや意欲だけでも成り立ちますが、趣味や特技、休日の過ごし方なども盛り込むこともひとつの方法です。パーソナルな情報も伝えることで、興味を持ってもらえたり、会話のきっかけになったりします。人柄のイメージが沸くような自己紹介を目指しましょう。
服装や身だしなみにも気をつける
服装や身だしなみは第一印象に関わるため、清潔感のある格好を意識しましょう。スーツにしわがついていないか、カバンや靴が汚れていないかなどを確認し、必要に応じて手入れをして初日を迎えることがおすすめです。
職場の服装規定が分からない場合は、人事の担当者などに事前に確認しておくとよいでしょう。たとえ初日がリモートワークでの挨拶だとしても、同様に服装と身だしなみを整えて迎えることが大切です。
挨拶時の注意点
挨拶をする際に気をつけておきたい、4つの注意点をご紹介します。
社内・業界・専門用語は避ける
挨拶文は特定の人にしか理解できない社内用語や業界用語、専門用語は避け、誰にでも分かる言葉を選びましょう。特にキャリアチェンジの場合は、前職の職種・業界では一般的だった用語でも、入社した企業では通じない可能性があります。
また「CTA(Call To Action)」「DTC(Direct to Consumer)」などの頭文字を使ったアルファベットの略語は、業界によって意味が違ったり伝わらなかったりする可能性があるので、初日の挨拶では控えた方が無難です。
長すぎる挨拶
ダラダラと長すぎる挨拶は「仕事でも話が長い人なのでは」「自己中心的なタイプなのでは」のような印象を与えてしまう可能性があります。「○分程度で」と時間を提示されたら、時間内に終わらせましょう。時間を提示されなかった場合は、1分程度でまとめるとよいでしょう。
業界や会社の基本的な知識を学んでおく
転職先の業界や会社の基本的な知識や専門用語は、あらかじめ学んでおきましょう。転職初日は挨拶やオリエンテーションで終わることがありますが、会社によっては業務に就いたり、具体的な業務の説明を受けたりすることもあります。
その際に基本的な知識を学んでおくとスムーズに内容を理解でき、すぐに業務を任された場合でも慌てることが少なくなります。会社のホームページでは組織図や提供サービス、取引先などが記載されているケースが多いので、初日を迎えるまでに確認しておくことがおすすめです。
リモートワーク時は環境を整える
転職初日をリモートワークで迎える場合は、インターネット環境やマイク、カメラなどの環境を整えておきましょう。マイクの設定は事前に行い、当日は「声は問題なく聞こえていますでしょうか」と最初に確認しておくと安心です。
また、パソコンはカメラが上部についているケースが多く、画面を見て話すと相手からは下を向いて話しているように見えてしまうことがあります。自分が話すときはカメラを見て話すことを意識しましょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。