業界や職種によって異なりますが、面接ではスーツやシャツ、ネクタイを着用するケースが一般的です。ただ、初めての転職や、普段スーツを着ることのない職種の場合、何を着ていいのか分からない方も多いようです。そこで、株式会社ビジュアルコーチ 代表取締役 野勢まりこ氏に、ネクタイ選びのアドバイスを伺いました。
目次
面接用ネクタイの基本
面接で着用するネクタイの基本的なルールを解説します。
黒と白の冠婚葬祭用は避ける
黒や白の冠婚葬祭用のネクタイは、面接用には不向きです。面接では、ビジネスシーンで着用しているネクタイを選びましょう。
奇抜な色や柄のネクタイは主張が強くなる
奇抜な色や柄のネクタイも、応募する業界やスーツとのコーディネートによってはマナー違反とまではなりませんが、違和感を与える可能性があります。面接の場はこれまでの経験・スキルや強み、人柄などを確認する場。ネクタイの主張が強すぎると、採用担当者によっては「目立ちたい人なのだろうか」「個性を主張しているのだろうか」などと評価にバイアスがかかる恐れがあります。地味であればいいということはありませんが、あまりに主張が強すぎるネクタイは避けておきましょう。また、ブランドのロゴがはっきりとわかるネクタイも避けましょう。
業界・職種によって傾向が異なる
美容やアパレルなどの華やかさ、ファッショナブルさが求められる業界や、デザイナーなどセンスをアピールしたい職種では、面接の服装もチェックされる可能性があります。奇抜すぎるものは避けつつも、トレンドのカラーや応募企業の雰囲気に合ったネクタイを選ばれることをお勧めします。
金融や医療などの保守的な業界は、寒色系の落ち着いた色を好む傾向があります。一方で、サービス業では人当たりの良さなどが伝わる暖色系のネクタイが向いています。業界・職種によって傾向が異なるため、企業ホームページや求人に掲載されている代表や役員、従業員の服装などをチェックして、服装の傾向を探るといいでしょう。転職エージェントを利用している場合は、担当のキャリアアドバイザーに聞くという方法もあります。
ネクタイ選びのヒントに!色が与える印象とは
第一印象に「見た目(視覚情報)」は重要な影響を及ぼしますが、視覚情報の約8割は色の影響とも言われています。そのため、どの色を身につけるかで、与える印象が大きく変わってきます。色彩心理学と呼ばれており、色の持つ力や印象を理解し、与えたい印象を元にネクタイを選んでいきましょう。
赤
リーダーシップや行動力、エネルギッシュな印象を与える色です。行動力や情熱などを求められる営業職やリーダー職などに向いている色です。
オレンジ
健康的で明るく、親しみやすい印象を与える色です。コミュニケーション力を求められる営業や販売、サービス業界などに向いている色です。また食欲を増進するカラーでもあるため、飲食業界にもお勧めです。
黄色
活発でポジティブ、陽気な印象を与えます。コミュニケーションカラーになるため、オレンジ同様に営業や販売、サービス業にも向いています。
緑
癒しや穏やかさ、控えめな印象を与える色なので、採用担当者の心に残りにくく、自己PRの場にはあまりお勧めではありません。リラクゼーション業界や、緑をコーポレートカラーにしている企業に向いています。
青
誠実で聡明、冷静で知的な印象を与えます。ビジネスで万能なカラーでもあり、職種問わず活用しやすい色です。特に金融業界やコンサルティングファーム、医療など、冷静でロジカルな判断さが求められる業界・職種に向いています。
ネクタイの柄は何を選んだらいい?
ネクタイの柄はどのようなものを選んだらいいのでしょうか。5種類のネクタイ柄について解説します。
ストライプ(レジメンタル)
ストライプ(レジメンタル)のネクタイは、行動的でシャープな印象を与えます。
ストライプの幅が細く、色数が多いとベテランの雰囲気になります。ストライプの幅が広いとカジュアルな印象やファッション性が高くなるため、面接の場ではあまりお勧めではありませんが、アパレルやサービス業など、センスやフットワークの軽さを問われる業界の面接には向いているといえるでしょう。
無地(ソリッド)
無地(ソリッド)のネクタイは、色のイメージをダイレクトに伝え、洗練された印象を作ります。シンプルですっきりとした印象を与えるため、面接に向いている柄です。金融、コンサルティングファーム、医療など信頼性が重視される業界、や管理職や経営層などの役職者の面接にお勧めです。
小紋
小紋柄のネクタイは良識のある、控えめな印象を与えます。トレンドにも左右されにくく、落ち着いた印象を与えるので、オールマイティーに使いやすい柄です。業界・職種問わず、使いやすい柄です。
ドット
ドット柄のネクタイは、上品で親しみやすい印象を作ります。ドットが小さいとフォーマル感や可愛らしさが出ますし、ドットが大きいとカジュアルな印象を与えます。華やかなブライダルや美容業界にお勧めです。
チェック
カジュアルで社交的な印象を与えます。胸元を立体的に見せることができるため、華奢な方に向いている一方で、若々しい印象やカジュアル度が強くなります。そのため、面接の場で使用する場合は、チェック柄が細いネクタイを選びましょう。勢いのあるWebやゲーム業界などにお勧めです。
ネクタイピンは必要?
ネクタイピンは、付けなくても問題はありません。ネクタイピンのデザインで悩むようであれば、付けない方が良いでしょう。
ネクタイピンを付けることで、ネクタイの崩れ防止になる場合は、なるべくシンプルなものを選びます。なお、ネクタイピンを付けることでファッション性をアピールすることができるので、美容やアパレルなどの業界に向いています。
ネクタイの結び方と注意点
ネクタイの結び方には、「プレーンノット」「セミ・ウインザーノット」「ウインザーノット」などがあります。そのうち一番ポピュラーなのが「プレーンノット」。普段、ネクタイを付ける習慣がなく、慣れていない方でも簡単に結ぶことができるでしょう。次に、「ウインザーノット」はプレーンノットよりも結び目が大きく、正三角形に近いのが特徴です。「セミ・ウインザーノット」はプレーンノットとウインザーノットの中間サイズになります。
面接はどの結び方でも問題はありませんが、上半身とのバランスで選択するのがポイントです。豊かな体格の方であれば、結び目の大きなウインザーノットの方がバランスが合い、逆にスリムな体系の方は、結び目が大きすぎないセミ・ウインザーノットが合っています。ネクタイを結ぶのに慣れていない方は、結びやすいプレーンノットを選びましょう。
なお、ネクタイを結ぶ際は、結び目の中央下のくぼみ(ディンプル)を作るように意識すると、立体感が出て見栄えが良くなります。
ネクタイ選びに迷ってしまう場合は?
どのネクタイを選んでいいのか分からない場合は、ネイビーを選んでおくと、清潔感があり誠実な印象を与えることができます。最近はオンライン面接が増えており、カメラの角度によっては鎖骨から上までしか映らないケースもあります。また、対面での面接に比べると、ネクタイの細かい柄や質感までは伝わりません。そのため、オンライン面接についてはネクタイの柄選びに時間をかけるよりも、映りの良い色や与えたい印象に合わせた色を取り入れましょう。また、オンラインの場合は顔の表情や服装、背景に目が行きやすいものです。表情の作り方、ネクタイやシャツの襟などが曲がってないかどうか、ヘアスタイルは整っているかなどもチェックしましょう。
なお、最終面接など対面で面接があれば、応募企業のコーポレートカラーをネクタイに取り入れてみたり、与えたい印象に合わせて色や柄を考えたりして、本番に臨みましょう。
証明写真のネクタイの選び方
証明写真のネクタイで迷ったときは、面接と同様にネイビーを選んでおくと、清潔感があり誠実な印象を与えることができます。面接は、表情やしゃべり方などによって印象を調整することが可能ですが、応募書類の証明写真は動きがありません。そのため、ネイビーは誠実で落ち着いた印象を与えることができる一方で、明るさやフレッシュさ、親しみやすさ、インパクトなどに欠ける傾向があります。証明写真でアクティブな印象をプラスしたい場合は、オレンジや赤など暖色系のネクタイを選ぶといいでしょう。
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株式会社ビジュアルコーチ 代表取締役 野勢まりこ氏
2011年にイメージコンサルティングサロン「Visual Coach」を立ち上げ、イメージ戦略を活用した印象管理術を提唱。着こなし、メイク、マナー、コミュニケーションなどを通して外見だけでなく内面も輝くオンリーワンパーソン作りを得意とする。主にビジネスパーソン、経営者を中心にイメージアップのコンサルティング、ファッションコーディネート、企業研修なども行い、2014年にはファッションコンサル付き「オーダースーツサロンVisual Coach」も立ち上げる。