転職活動において、「面接を終えて退室するとき、どう振る舞えばいいのかわからず戸惑ってしまった」という人は少なくありません。昨今増えている「オンライン面接」でも、終了後の退室で迷う人もいるようです。「面接で好印象を与えられる退室の仕方は?」「退室する際は『失礼します』というべき?」「カバンを手にするタイミングは?」など、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタントの粟野友樹氏にアドバイスをいただきました。
目次
面接が終わってから退室するまでの流れとマナー
まずは、退室時の流れを理解し、それぞれのタイミングで注意しておきたいポイントを押さえておきましょう。
面接終了後:お礼を述べてから席を立ちカバンを手にする
面接担当者が「本日の面接はこれで終了です」と告げたら、お礼を述べます。相手としっかり目を合わせ、「本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」と伝えて一礼し、席を立ちます。
席を立つ際に椅子を引いた場合は、元の位置に戻すことを忘れないでください。席を立ったら、椅子の横に立ったまま姿勢を正し、「ありがとうございました」と再度お礼の言葉を述べて一礼をしましょう。その後、カバンや受け取った資料などの荷物を手にとり、出口のドアへ向かいます。
退室時:扉の前で挨拶「失礼します」・一礼して退室
ドアの前まで来たら、面接担当者のほうに向き直り、「失礼します」と挨拶・一礼。その後、ドアを開けて退室します。ドアを開ける際には、なるべく面接担当者に背を向けないように、カバンを持っていないほうの手でドアノブを回すとスムーズです。
部屋の外に出たらカバンを逆の手に持ち替え、反対側の手でドアノブを持つと、背を向けることなくドアを閉めることができます。また、ドアを閉める際には、大きな音を立てないように丁寧に閉めましょう。
なお、コート類は手に持ったままとし、会社の外に出てから着るようにしてください。
退室後:面接担当者や案内係の少し後ろを歩く
面接室から退室した後、面接担当者や案内係が出口やエレベーター前まで送ってくれることもあります。歩きながら会話をしない場合は、真横に並ぶのではなく、少し後ろを歩くようにします。途中、他の社員とすれ違ったら会釈をしましょう。
出口やエレベーター前でのお見送り:挨拶と一礼を行う
出口に到着したとき、もしくは自分だけエレベーターに乗ったときには、面接担当者や案内係に向かって「本日はありがとうございました」と挨拶・一礼をします。エレベーターの場合は、ドアが閉まり切るまで頭を下げたままの姿勢を保ちましょう。
オンライン面接での退室マナーと基本的な流れ
オンライン面接の場合も、退室時に相手に違和感を与えない振る舞いを心がけましょう。
面接終了後:着席したまま挨拶と一礼を行う
面接中は画面上の相手の表情を見ながら会話していたとしても、終了時にはカメラに目線を向けます。「本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」とお礼を述べて一礼します。基本的には着席したままでかまいません。
退室時:企業側が接続を切るまで待つ
通信接続を切るタイミングに迷う人も多いようです。電話の場合、自ら先に電話を切るのではなく、相手が電話を切るまで待つ方が失礼にならないとされています。オンライン面接でも企業側が接続を切るまで待った方が安心でしょう。
しばらく経っても相手が退室しない場合や、面接担当者が画面の前から消えても接続されたままの場合は、自分から接続を切っても問題ありません。その際、「それでは失礼いたします」とひと声かけた上で、接続を切るといいでしょう。
退室後:通信接続が切れるまで気を抜かない
面接を終えて緊張が解けた瞬間、表情がゆるんだり、姿勢が崩れたりするのはありがちです。しかし、接続が切れる直前、その姿が相手の目に入ってしまう恐れもあります。接続が完全に切れるまで、気を抜かないように注意してください。
面接後、退室するときの注意ポイント
退室時も含め、面接の際には礼儀正しい振る舞いを心がけましょう。それが、応募企業に対して「誠意」を示すことになります。「自分のために面接の時間を設けてもらったことへの感謝」「前向きな入社意欲」を伝えるつもりで臨んでください。
動作をする際、次のポイントを意識すると、丁寧で礼儀正しい印象になります。
お辞儀をする際の注意ポイント
「お辞儀をしながらお礼の言葉を発する」など、二つの動作を同時に行うと雑な印象を与えることがあります。お礼の言葉を言い切ってからお辞儀をするなど、一つひとつの動作を分けて行うと、丁寧で礼儀正しい印象になります。
お辞儀の深さについては、タイミングによって変えるといいでしょう。
- 退室時やドアを開ける前など:浅めの礼(15度~30度)
- 面接終了時などにお礼の言葉を述べたとき:深めの礼(45度)
お礼を述べる際の注意ポイント
面接終了時にお礼の言葉を述べる際には、一言感想を添えることをお勧めします。
例えば、「企業に対してより魅力を感じた部分」や「勉強になったこと」などを伝えると、熱意や入社意欲の高さを感じてもらえる可能性があります。「こちらの話を真剣に聴いてくれていたのだな」と、プラスの印象を残すことができるでしょう。
以下にお礼の言葉の例を挙げておきますので、参考にしてください。
【お礼の言葉の一例】
退室時の振る舞いは面接に影響する?
面接開始前の入室時~面接中には気を引き締めて丁寧な振る舞いを心がけていても、退室の際には「終わった」という安堵感から所作が雑になってしまうこともあります。しかし、面接担当者はその様子をしっかりと見ているものです。
面接担当者がチェックしているポイント
以下は、面接担当者が応募者の振る舞いで気になった一例です。
- 入室時にはきびきびと歩いていたのに、退室してドアを閉めた直後からダラダラとした歩き方になった
- 出口に向かう際、歩きながらネクタイを緩めていた
- 廊下の真ん中で立ち止まり、スマートフォンをチェックしていた
こうした姿を目撃されると、印象ダウンにつながります。面接中の態度とギャップを感じられることで、「裏表がある人物なのだろうか」「仕事に臨む姿勢も同様なのではないか」といった懸念を抱かれる可能性があります。
面接でのプレゼンテーション内容が高く評価されたとしても、このような「違和感」が選考に影響することも考えられます。好印象のまま面接を終えるために、最後まで気を抜かないようにしましょう。
転職エージェントでは面接の入室・退室をはじめ、マナー全般のアドバイスも
転職エージェントでは、面接時に意識しておきたいマナーについてアドバイスを受けることもできます。「模擬面接」などでは、質疑応答の練習はもちろん、自身では気付いていない仕草のクセを指摘してもらえることもあります。
自信を持って面接に臨むためにも、転職エージェントのサポートサービスを活用してはいかがでしょうか。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
記事更新日:2023年4月14日
記事更新日:2023年6月22日 リクルートエージェント編集部