「今日、応募先企業で面接を受ける予定だが、辞退することを決めた」──そのような場合の企業への連絡方法と伝え方について、人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。
面接当日に辞退する場合の注意点
面接当日に辞退する旨を伝える場合、できるだけ早く、電話で連絡をするようにしましょう。メールでは、すぐに読んでもらえない可能性が高いからです。連絡先電話番号は募集要項、もしくは事前に企業から送付された面接案内のメールなどに記載されているはずです。その番号に電話をしてください。
担当者が不在で、電話を受けた人に伝言を依頼した場合も、確実に担当者に伝えてもらうように、丁寧に依頼をしましょう。
また、面接時間までに多少の余裕がある場合は、辞退を伝えるメールを送った上で電話をする、あるいは電話で伝えた上で改めてお詫びのメールを送るといいでしょう。丁寧な印象を与えます。
電話を担当者以外の人が受け、何らかの行き違いで伝言がなされなかった場合も、メールを送っておけば面接担当者に伝わり、連絡をした記録を残すことができます。
面接当日に辞退を連絡する際の伝え方のポイントと例文
メールや電話、いずれの方法で連絡をする場合も、次のポイントに注意しましょう。
1.氏名および、本日面接を予定していることを伝える
2.最初に「辞退する」旨を伝える。
3.当日に辞退することへのお詫びと、これまでの選考への感謝を伝える
電話での伝え方例
電話で辞退の旨を連絡する場合、次の伝え方を参考にしてください。
「お世話になっております。御社の○○職の求人に応募しております○○と申します。大変恐縮ですが、本日○時に予定しております面接につきまして、辞退させていただきたく、ご連絡を差し上げました。貴重なお時間をいただきましたのに、当日の辞退のご連絡となり、大変申し訳ございません。ここまで選考いただき、ありがとうございました」
メールでの伝え方例
電話連絡と併用し、メールで辞退の旨を連絡する場合は、次の書き方を参考にしてください。
件名:【本日の面接辞退のご連絡】○○○○(名前※フルネーム)
先日、面接につきましてご連絡をいただいた○○です。
その節は、ありがとうございました。
本日○時より面接のお約束をしておりましたが、諸般の事情により、このたびの選考を辞退させていただきたいと存じます。
お電話でもご連絡差し上げますが(差し上げましたが)、念のためメールでもお伝えいたします。
ご多用のなか、日程を調整していただいたのにも関わらず、誠に申し訳ございません。
何卒お許しをいただきたく、勝手ながらお願い申し上げます。
末筆ながら、貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
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署名
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転職エージェントを利用している場合
転職エージェント経由で面接設定がされている場合は、転職エージェントに電話をして辞退の旨を伝えてください。転職エージェントから企業へ伝えてもらえます。
ただし、担当者が不在の場合、たまたま電話を受けた人が状況を正しく把握できない可能性もあります。念のためメールも送信しておくことをおすすめします。
なお、土日や祝日の面接等、転職エージェント側も休みで人員体制が手薄なケースもあるため、担当者が不在であれば企業への連絡がスムーズに行われないことも考えられます。企業に伝わるまでに時間がかかると判断した場合は、企業に直接電話連絡をするといいでしょう。
面接当日に辞退する理由の例文
面接の辞退の理由については、「諸般の事情」といった形式的な表現で伝えても差し支えありません。しかしながら、企業側から理由をたずねられることも多いものです。
その場合は、簡潔で構いませんので、ウソをついたりごまかしたりせず誠実に答えましょう。参考として、伝え方の例文をご紹介します。
【例文】他社から内定が出た場合
「同時期に応募していた他社から本日、内定のご連絡をいただき、そちらの会社への入社を決意いたしました。この度は貴重なお時間をいただきましたのに、誠に申し訳ございません」
【例文】条件が合わない場合
「前回の面接後、じっくり検討したのですが、年収などの条件部分で希望との隔たりが大きいと感じました。貴重なお時間を割いていただいたにも関わらず、また、当日のご連絡となってしまい、誠に申し訳ございません」
面接の辞退で考えておくべきこと
実は、面接の何日も前から辞退の意思を固めていたけれど、切り出しづらく、当日になってしまった…。そのようなケースも少なくないようです。しかし、辞退すると決めたなら、1日も早く連絡しましょう。
企業の担当者は、面接のために時間を確保しています。面接段階によっては、多忙な現場責任者や役員のスケジュールも押さえています。連絡を先延ばしして先方に迷惑をかけないようにしたいものです。
企業としては、選考辞退が発生すると、採用スケジュールの組み直しや募集の再開などの対処をしなければなりません。辞退するならば早い段階で断ってもらうほうがありがたいのです。自分自身も早々に気持ちを切り替えることができ、他社の選考に集中できるでしょう。
まとめ:連絡なしの面接キャンセルはNG
選考辞退を伝えられないまま面接当日を迎えてしまった場合、連絡もなしに面接をキャンセルすることは絶対にやめましょう。社会人としての常識を疑われてしまいますし、相手の時間を奪うことになり、心証を損ねてしまいます。
「辞退すれば関係ない」と思っていても、いずれビジネス上で関わりが発生する可能性もあります。誠意を持って対応しましょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。