中途採用の面接では、3次面接が行われるケースも少なくありません。その際、「3次面接は、最終面接?」「3次面接で落ちる確率はどのくらいなのだろうか…」など、疑問や不安を抱える人もいるでしょう。組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント・粟野友樹氏に、3次面接の特徴や選考通過のポイントなどを解説いただきました。
目次
3次面接の難易度と選考通過率
まずは、3次面接の難易度や選考通過率について解説します。
3次面接は難易度が高い?
中途採用の面接は、一般的に2〜3回行われることが多く、3次面接を最終面接とする企業も少なくありません。
これまでの1次面接、2次面接で、経験・スキルや仕事への適性など、一定の採用水準を満たしているかどうかを判断しているため、3次面接ではさらに掘り下げた質問をされたり、想定している内容とは違う角度の質問をされたりする可能性があります。そのため、「1次面接、2次面接よりも難易度が高い」と感じる人もいるでしょう。
3次面接まで進んでも「ほぼ合格・内定」とは限らない
3次面接まで進んだことで「ほぼ内定なのではないか?」「ほぼ合格と考えてもいいのか?」と思ってしまう人もいます。しかし、企業によって3次面接の位置付けは違うため、ケースバイケースと言えるでしょう。
一部の企業では、3次面接を「採用判断の最終確認をする顔合わせの場」として社長面接を行うケースもありますが、面接を受けている企業がそうであるとは限りません。また、1次面接、2次面接で評価されていた場合でも、3次面接の内容次第で判断が覆る可能性もあります。内定を得るまでは選考の途上であることを忘れないようにしましょう。
3次面接の選考通過率はどのくらい?
3次面接の選考通過率は、企業によるため、一概には言えません。また、同じ企業、同じ職種の場合でも募集背景や応募者の人数によって、選考通過率は変化します。また、これまでの選考過程を経て、自分と同じような経験・スキルを持つ求職者が採用候補に残されている可能性が高いので、「誰もが同一線上にいる」と考えた方が良いでしょう。選考通過率にとらわれるよりも、面接の準備に注力することが大事です。
【3次面接の特徴】1次面接、2次面接との違いを紹介
3次面接には、1次面接、2次面接とどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、3次面接が最終面接となる場合の特徴を紹介していきます。
1次面接、2次面接との違い
多くの場合、1次面接は人事が担当し、転職理由や志望動機、自己PRなどの質問を通じて、自社との適性や条件が合致しているかを判断します。2次面接は現場の責任者などが担当し、募集している仕事を遂行する経験・スキルが備わっているかを判断します。入社後に上司にあたる人物が採用担当者になるケースも多く、過去の経験業務や仕事の進め方などを、具体的に掘り下げて聞かれる傾向があります。
3次面接が最終面接の場合は、部門責任者や役員、社長などが担当し、仕事に対する価値観や人物像が社風にフィットしているか、企業の目指す姿と求職者のキャリア観がマッチし、中長期的に活躍してもらえるかを判断しています。
3次面接が最終面接ではないこともある
3次面接が最終面接ではない場合は、2つのケースが考えられます。1つ目は、部署や役職が異なる複数の面接担当者が評価することによって、多面的に採用の判断をしたいと考えているケースです。こうした企業では、人事・現場責任者・関連部署・役員などがそれぞれ面接を行うために、1次面接、2次面接、3次面接、最終面接など、複数回の面接を設定します。この場合、傾向と対策は一般的な面接対策と変わりません。
もう1つは、もともと1次面接、2次面接、最終面接として、合計3回の面接を予定していたケースです。こうした企業では、1次、2次面接で何らかの懸念を抱いた時に、最終面接とはまた別に3次面接を設定することがあります。この場合、3次面接で企業側が懸念していることを払拭できなければ、選考通過は難しいでしょう。
1次、2次面接でうまく回答できなかったことを振り返って、回答の対策を練ることが大事です。転職エージェントを利用している場合は、担当のキャリアアドバイザーに相談し、企業が懸念しそうな点についてアドバイスをもらい、3次面接までに改善する方法もあります。
3次面接で企業が見ているポイント
3次面接で企業が見ているポイントについて把握していきましょう。
企業文化や社風、キャリアがマッチしているか
先にも述べた通り企業によって異なりますが、3次面接は役員や社長などが担当することが多く、中長期的に活躍できる人材かどうかを見ているでしょう。企業文化や社風に加え、キャリアビジョンなどがマッチしているかを総合的に確認し、長く定着して働いてくれる人材かどうかを判断しています。
志望度・入社意欲が高いか
3次面接では、自分と同じような経験・スキルを持つ求職者が同一線上に並んでいることが多くあります。そのため、自社に対する志望度や入社意欲が高いかどうかを見られている可能性があるでしょう。こうした場合、「入社後に意欲的に働き、活躍・貢献できる人材」の方が評価は高くなるものです。また、内定を出して辞退された場合は、再度、選考をやり直さなくてはならないため、入社してくれる意欲が高い人材であるか見極めている企業も少なくはないでしょう。
3次面接の選考通過をするために押さえておきたいポイント
3次面接の選考通過のポイントを解説します。
1次面接、2次面接の回答を振り返っておく
1次面接、2次面接で回答した内容は、3次面接の担当者にも共有されていることが多く、一貫性がある回答を意識することが大事なので、1次、2次面接で回答したことを振り返っておきましょう。また、より掘り下げて聞かれる可能性も想定し、根拠となるエピソードなども具体的にイメージしておくことが大事です。
企業理念やキャリアビジョンに対する考えを明確にしておく
3次面接は部門責任者、役員、社長などが担当することが想定されるため、より大きな視点の質問をされる可能性もあります。企業理念や事業展開、業界展望などについて聞かれることも想定し、それぞれに対する自分の考えを明確にしておきましょう。また、入社後のキャリアビジョンを深掘りして聞かれることもあるので、しっかり整理しておくことが大事です。
企業のホームページに掲載されているミッション、ビジョン、バリューなどの企業理念や、採用ページに掲載されている社員インタビューを確認するだけでなく、社長にインタビューした外部の記事なども探し、読み込んで準備しておくと良いでしょう。
他社の選考状況について聞かれることも想定しておく
入社意欲や志望動機の高さを確認するために、他社の選考状況について聞かれるケースも多くあります。応募企業の社名などを詳しく伝える必要はないので、「現在、2社の選考を受けている」など、事実のみを伝えれば問題ありません。
ただし、選考状況を伝える際には、面接を受けている企業に対する入社意欲や熱意も合わせて伝えることが大事です。志望度が高い場合には、選考を進める中でより魅力を感じた部分などを伝え、より志望度が高まっていることをアピールすると良いでしょう。
逆質問は複数パターン用意しておく
3次面接でも「最後に、何か質問はありますか」と聞かれるケースは多くあるので、複数パターンの逆質問を用意しておくと良いでしょう。これまでの面接の中で興味を持ったことや確認しておきたいと感じたことなどについて、より踏み込んだ質問をすれば、志望度が高まっていることが伝わりやすくなります。
3次面接でよく聞かれる質問例と回答例文【逆質問の例一覧あり】
3次面接で聞かれやすい質問例を紹介します。それぞれに対し、回答例文も紹介するので、参考にしてみましょう。
「他の企業の選考状況を教えてください」
教育業界2社の選考を受けております。どちらも資格取得をゴールにした社会人スクールなので、リスキリングという観点では御社が一番理想に近いと考えております。また、これまでの面接を通じて具体的なお話をお伺いできたので、御社への志望度が一層高まっております。
「5年、10年後にどのようなキャリアを描きたいと考えていますか?」
今回は教育業界へのキャリアチェンジになるため、入社後はできるだけ早く業界知識を身につけ、5年後までには売り上げに貢献するヒット講座を企画するプランナーとして活躍したいと考えております。10年後の未来は、より教育とテクノロジーが融合する世界になると考えているので、VRなどの技術を活かして、オンラインでも学校の教室のように人と励まし合いながら、教育を楽しむことができるサービスを提供するのが理想です。
「今後の事業展望に対し、ご自身の考えをお聞かせください」
昨今は、リスキリングを通じたスキルアップの需要や重要性が増していると考えています。私自身もWebマーケティングや会計などのビジネススキルを学習しておりますが、動画による研修の提供が非常に増えていることを実感しますし、現職の研修制度の中でも動画研修は同僚の中でもよく活用されていると感じます。個人向け、法人向けのどちらにおいても、今後は動画を用いた学習コンテンツの需要が伸びていくことが予想され、これまでの動画制作の経験・スキルを活かせると考えております。
「1次面接、2次面接を受けて、当社に対してどのように感じましたか?」
2次面接で現場の責任者の方から、「ミドルシニア層に対するリスキリング研修について、公的機関と連携を図れるようにアプローチしていく」というお話を伺いました。これまでの企業研修事業にとどまらず、より幅広い層に向けて教育を提供していく姿勢や、事業展開の将来性に魅力を感じております。
逆質問の例一覧
逆質問の例一覧を以下に紹介します。
- 企業理念についての質問
「御社が掲げている企業理念『○○○○』を組織内に浸透させていくために、具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか?」
- 事業展開や事業内容についての質問
「2次面接で事業部長の方から『今後は○○領域の事業も展開する予定』というお話を伺いました。今後の見通しや直近で計画していることなどがありましたらお教えください」
- 社員に求めていることについての質問
「御社の中で、表彰を受けるなど高く評価される方の共通点や具体的な評価ポイントがありましたらお教えください」
- 入社後のキャリアについての質問
「入社後、数年間の経験・実績を積んだ後には、新規事業の立ち上げなどにも挑戦していきたいと考えております。御社で実現することは可能でしょうか?社内で実現された例がありましたらお教えください」
- 面接担当者の個人としての考えを聞く質問
「御社のIR情報の年次報告書に掲載されている○○社長へのインタビューを拝読しました。『組織として△△という強みや魅力がある』というお話をされていましたが、××さん(面接担当者の名前)から見た自社組織の強みや働く上での魅力について、個人としての考えを教えてください」
3次面接で選考見送りとなる理由とは?注意したいケースも紹介
3次面接で選考見送りとなる理由や、よくある注意したいケースについて紹介します。
3次面接で選考見送りとなる理由
志望度や入社意欲の高さが伝わらない場合は、「内定を出しても辞退する可能性が高い」と判断される可能性があります。また、事業内容や企業理念などを把握していない場合は、「企業研究をきちんとしていない」と受け取られるでしょう。「企業理解が足りない」と判断された場合は、ミスマッチの可能性や早期離職を懸念されますし、企業の方向性とキャリアビジョンがマッチしていない場合も同様のことが言えるでしょう。
一方、面接でベストなパフォーマンスを発揮できたとしても、企業都合の理由で選考見送りとなるケースもあります。選考中に採用計画の見直しを行ったり、事業計画の変更に伴い、採用そのものをストップしたりすることもあります。
落ちるフラグはある?合否のサインは?
「面接時間が短すぎると落ちるのでは?」「面接担当者が終始笑顔の場合は合格で、そっけなかったら不合格?」「希望年収や入社日について聞かれなかったら落ちる?」など、さまざまな落ちるフラグが噂されていますが、これらは企業や状況によると言えます。面接時間の長さや面接担当者の対応、面接で聞かれる内容は、企業の方針や、面接担当者のキャラクターなどによっても変わってくるため、合否のサインを見極めることは難しいでしょう。
3次面接でよくある注意したいケース
3次面接でよくある注意したいケースを紹介するので、事前に把握しておきましょう。
面接日程の調整が難航する
3次面接を担当する部門責任者や役員、社長は多忙であるため、スケジュール調整が難しいと言えます。特に、在職中に転職活動を進める場合は、面接日程の調整が難航することもあるでしょう。しかし、中途採用の場合は、面接日程が決まった候補者から順次選考を進めていくので、自分が面接を受ける前の時点で採用が決まってしまうこともあります。また、自己都合で日程を先延ばしにすると「入社意欲が低い」と受け取られる可能性もあるので注意が必要です。
自分から年収などの条件面に対する希望を伝える
「3次面接まで進んだから、ほぼ内定である」と考え、年収などの希望条件を自分から伝えてしまうケースがあります。しかし、3次面接はあくまで選考過程のため、内定を得ていない段階で条件面の希望を出すことは避けた方が無難でしょう。
「ほぼ内定」と考え、1次面接、2次面接と違う態度で臨む
「ほぼ内定、ほぼ合格」と考えて、1次面接、2次面接のような緊張感をなくしてしまうケースもあります。面接では、回答内容だけでなく、態度や振る舞いにおける一貫性も見られているので、油断せず、「選考を受けている過程にいる」という意識で臨むことが大事です。
逆質問を「特にありません」で終わらせる
逆質問について「特にありません」だけで終わらせる場合は、入社意欲が低いと思われるケースもあります。質問することがないと感じたら「これまでの面接で確認したいことは全て伺うことができているので、現状で質問したいことはありません」など、逆質問したいことがない背景まで伝えた方が良いでしょう。
3次面接で選考見送りとなったときの対処法
3次面接で選考見送りとなった場合に、どのように対処すればいいのかを紹介します。
見送りとなったショックから気持ちを切り替え、他社の選考に注力することが大事
先にも述べたように、面接でベストなパフォーマンスを発揮できても、企業側の都合で選考見送りになるケースもあるので、自分を責める必要はありません。「これまでの頑張りが水の泡になった」と感じてショックを受ける気持ちもわかりますが、今後のためにもなるべく早く切り替えて、他社の選考が残っている場合には、他社の選考に注力することが大事です。
中途採用の人材募集は、断続的、継続的に行われているので、「自分の思いを実現できる転職先が見つかる可能性は常にある」と考えましょう。諦めず、希望条件に合う求人を探すことで、きっと自分にマッチする転職先に出会うことができます。
転職エージェントに相談してみる方法もある
「どうしても最終面接で落ちてしまう」「3次面接の選考に通過するために、何を改善すればいいのかわからない」という場合は、転職エージェントに相談してみるのも一つの方法です。転職エージェントでは、1次面接から最終面接まで、必要に応じた面接対策のサポートをしてくれます。客観的なアドバイスを受け、選考に通過する確率を高めることができるでしょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。