
ビジネスシーンや転職活動で使用される「レジュメ」とは、どのような意味を指すのでしょうか。本記事では、レジュメの使われ方や混同されやすい類義語との違い、転職活動におけるレジュメの書き方や作成のポイントなどについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に解説いただきました。
目次
レジュメとは?
レジュメとは、要約を記載した「資料」のことを指し、「概要」「要約」を意味するフランス語の「résumé」が語源となっています。レジュメという言葉は、教育やビジネスなど幅広いシーンで使用されており、使用されるシーンによって意味や定義が多少異なることもあります。
ここでは、次の3つの分野やシーンにおけるレジュメの定義や意味について解説します。
- ビジネスシーン
- 研究・教育分野
- 転職活動
ビジネスシーンにおけるレジュメとは、会議などの内容を要約した資料のこと
ビジネスシーンで用いられる「レジュメ」とは、主に会議やプレゼンテーションの内容を要約した資料のことを指します。会議の議題や議論の内容、重要なポイントなどが簡潔にまとめられており、参加者が議論の流れを把握しやすくするために使用されるケースが多いようです。
研究・教育分野におけるレジュメとは、論文や研究テーマの要約のこと
研究・教育分野で使用される「レジュメ」は、一般的に論文や研究テーマを簡潔にまとめた要約資料のことを指します。論文や研究内容の全体像をすぐ把握できるよう、研究の背景や目的、方法、結果、結論を要約したものです。
転職活動におけるレジュメとは、応募書類のこと
転職活動における「レジュメ」は、応募書類を指します。一般的に履歴書と職務経歴書を指し、企業の採用選考に応募する際に提出が求められます。ただし、企業によっては別途追加資料の提出が求められることもあります。
履歴書には、氏名や住所などの属性情報や自己PR、志望動機などを記載します。職務経歴書には、経歴やスキルなどを記載するケースが多いようです。
なお、リクルートエージェントでは、リクルートの求職活動支援サービス共通で利用できる職務経歴書機能「レジュメ」の利用をご案内しています。「レジュメ」については、後述「リクルートの求職活動支援サービス「レジュメ」を使ってみよう」で解説しています。
レジュメと似たような資料の語句との違い
ここでは、レジュメと似たような資料である下記8つの語句について、各語句の定義やレジュメとの違いを解説します。
- アジェンダ
- サマリー
- アブストラクト
- 議事録
- レポート
- 履歴書
- カバーレター
- CV
レジュメとアジェンダの違い
アジェンダ(Agenda)とは、会議や打ち合わせで扱う議題や進行スケジュールをリスト化した表や一覧のことを指します。参加者に対して、事前に会議の流れや議題のテーマを共有する目的で使用されます。
一方、レジュメは会議やミーティングで発言する内容を要約した資料のことを指します。
レジュメとサマリーの違い
サマリー(Summary)とは、文章やプレゼンテーション、研究内容の主要な部分を簡潔にまとめた要約のことを指します。
サマリーは一般的に特定の文書やプレゼンを要約したものですが、レジュメは会議などで報告される複数の内容を要約したものを指すケースが多いようです。そのため、サマリーはレジュメの一部に含まれることがあります。
レジュメとアブストラクトの違い
アブストラクト(Abstract)とは、主に論文や研究発表の要約を指し、研究の目的や方法、結果、結論を簡潔に示したものです。アブストラクトを見れば、論文や研究の概要を把握できます。
一般的に、アブストラクトは学術的な分野で使用される傾向がありますが、レジュメは転職活動やビジネスシーンなど、アブストラクトよりも広い範囲で使用されます。
レジュメと議事録の違い
議事録とは、会議の進行内容や発言内容、決定事項を記録した資料のことを指します。
議事録は会議内で交わされた情報を逐次記録した資料を指しますが、レジュメは、会議などで発表する内容を要約した資料のことを指すケースが一般的です。
レジュメとレポートの違い
レポート(Report)とは、特定の課題やテーマに関して調査した結果や見解を文章にまとめた報告書です。ビジネスシーンや学術分野など広く使われ、発表や報告内容を端的に把握するための補助資料として使用されます。
レポートは一般的に調査から導き出された結果や見解を伝えることを目的に作成される資料のことを指しますが、レジュメは調査・結果・意見のすべてを端的に要約するために作成される資料である点が違いと言えるでしょう。
レジュメと履歴書の違い
履歴書とは、氏名や住所、学歴、職歴、資格などの属性情報や基本情報を記載した書類を指し、レジュメの一部に含まれます。一方、レジュメは、職務経歴書も含め企業の採用選考に応募する際に提出する応募書類全般を指します。
レジュメとカバーレターの違い
レジュメとカバーレター(Cover Letter)の違いは、カバーレターが志望動機や自己PRを伝える手紙形式の書類であるのに対して、レジュメは応募書類全体を意味する点です。
カバーレターは、主に転職活動時に提出する履歴書やレジュメに添付される書類のことを言い、採用担当者への自己紹介文のような役割を果たします。
レジュメとCVの違い
CV(Curriculum Vitae)は、主に学術的な分野に関する職種や技術職に応募する際に用いられます。これまでの職務経験に加え、学歴や研究業績、発表論文などを詳細に記載する傾向があります。
一方レジュメは、応募書類全般を指し、履歴書の場合はフォーマットに沿って必要事項を記入します。職務経歴書の場合は、応募先企業が求める人材の傾向に合わせてアピールできる職歴やスキルを中心にこれまでの職務経歴を記載します。
転職活動でレジュメを作成する目的
転職活動でレジュメを作成する主な目的の1つとして、募集ポジションに関連する経験やスキルを持つ旨をアピールすることが挙げられます。レジュメを通じて自分の強みや適性を採用担当者に的確に伝えることで、企業に対して入社後どのように貢献できるのかを示すことができるでしょう。一方、ビジネスシーンや研究・教育分野で使用されるレジュメも同様に「概要や要件を他者にわかりやすく伝える」ことを目的に作成されることが一般的です。
いずれも簡潔かつ要点を押さえた作成が求められますが、転職活動では、特に応募ポジションへの適性やマッチ度を伝えられる内容に仕上げることがポイントです。
転職活動で使用するレジュメの書き方
転職活動で使用するレジュメを作成する場合、これまでの職務や業務を通じて身に付けたスキルなどをA4サイズの用紙2~3枚程度にまとめましょう。
レジュメに記載する主な項目は、次の通りです。
- 提出時の日付
- 氏名
- 現住所
- 電話番号/メールアドレス
- 学歴
- 職務要約
- 所属企業の概要(企業名・事業内容・資本金・売上高・従業員数・株式上場など)
- 勤務期間
- 職務内容、実績
- 資格・スキル・語学
- 活かせる経験・知識・技術
- 自己PR
- 希望勤務地
- 現在または退職時の給与
論文や研究テーマを要約したレジュメは、研究の目的や手法、結果を簡潔に示し、その価値や意義の伝達を補助する役割を担います。転職活動においても、自分の強みや価値が伝わるよう、要点を端的に記載することを心がけましょう。また、採用担当者が一目で採用ターゲットとマッチしていると感じるスキルや経験を中心に記載することも大切です。
転職活動で使用するレジュメ作成のポイント
本章では、転職活動で使用するレジュメを作成する際に意識したい、下記5つのポイントについて解説します。
- キャリアの棚卸しをする
- 応募先に合わせて経験・スキルをまとめる
- 「自己PR」欄でマインドやスタンスを伝える
- 数値を交えて具体的に伝える
- 採用担当者が読みやすい体裁に整える
キャリアの棚卸しをする
まずは「キャリアの棚卸し」から始めましょう。これまでの経歴を振り返り、時期や所属企業ごとに仕事内容や役割などを書き出します。業務を通じて得られた経験・スキル、成果・実績なども、思いつく限り洗い出しましょう。
職務内容や仕事における価値観、受けた評価などを整理することで、自身の強みが明確になることもあります。キャリアの棚卸しで明らかになった強みは、自己PRに役立ちます。
応募先に合わせて経験・スキルをまとめる
応募する業界・職種・ポジションに合わせて、どのような経験・スキルを軸にアピールしていくかを決めましょう。特に複数の業界・職種の経験を持っている場合、すべての経歴の詳細をレジュメ内に網羅すると、強みが伝わりづらくなってしまいます。
過去の経験の中から、応募する業界・職種・ポジションに活かせる経験を中心に記載し、関連が薄い経験は箇条書きにするなど、メリハリを意識してまとめましょう。
「自己PR」欄でマインドやスタンスを伝える
職務経歴以外にも、仕事に向き合うマインドやスタンスも評価の対象となります。それらは通常「自己PR」欄に記載します。企業研究などを通じて「求める人物像」を把握した上で、自身の経験の中から企業が求める人物像とマッチする特性を訴求できるエピソードを探してみましょう。
また、第二新卒など就業経験が短く、レジュメに書ける成果や実績が少ないと感じる場合は、「自己PR」欄を活用し、ポテンシャルや志望度をアピールするのも1つの方法です。
数値を交えて具体的に伝える
成果や実績を記載する場合、「数値」を添えて伝えると説得力が増します。例えば、営業職やマーケティング職であれば「売上高:○○円」「獲得顧客(ユーザー)数:○件」「顧客満足度○%アップ」などと記載します。
また、成果を数値で表しにくい管理部門職などであれば、例えば業務改善の成果として、「○○コストを○%削減」「残業時間○時間削減」といった数値を使って伝えるといいでしょう。
採用担当者が読みやすい体裁に整える
レジュメは読みやすさも重要です。冒頭に数行で過去の職歴のサマリー(概要)を記載し、採用担当者がサマリーを読めば人物像がざっくりとつかめるようにしておくのも1つの方法です。
また、経歴欄は表組みにする、見出しを太字にする、下線を引く、箇条書きにするなど、読みやすさを意識しましょう。
英文レジュメの基本的な作成方法
英文レジュメの場合も、上記でお伝えした作成手順・ポイントは基本的に変わりません。なお、国内企業への応募用の職務経歴書は、「サマリー」「時系列の経歴」「スキル」「自己PR」でまとめますが、英文レジュメの場合は履歴書がないため、レジュメ内に住所などの連絡先や学歴を記載します。
冒頭で名前、住所、連絡先(電話番号とメールアドレス)を記載し、サマリー、経歴と続きます。そして、「学歴(EDUCATION)」「追加情報(ADDITIONAL INFORMATION)」を入れるのが一般的です。追加情報には、アピールしたいスキルなどを入れましょう。
なお、外資系企業でも、日本国内のポジションに応募する場合は、英文レジュメだけでなく、日本語の職務経歴書の提出も求められるケースがあります。
国内の採用担当者や現場責任者などは日本語の職務経歴書で確認し、英文レジュメは本国の責任者向けに使われるケースがあるからです。いずれにしても外資系企業の多くは英文レジュメが必要となるため、外資系企業への転職を検討している方は作成のポイントを押さえておきましょう。
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リクルートの求職活動支援サービス「レジュメ」に関する詳しい説明は、「レジュメとは」からご確認ください。
出典:『Indeed PLUS』と『レジュメ』導入でどう変わる? リクルートが考える求職者ファーストの新たな“仕事探し”とは(株式会社リクルート)
出典:職務経歴書は書くのも読むのも時間がかかる。『レジュメ』機能開発秘話(株式会社リクルート)
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
記事更新日:2024年03月12日
記事更新日:2025年03月10日 リクルートエージェント編集部