転職エージェント トップ > 転職成功ガイド > 職種 > 契約社員とは? 正社員との雇用条件・待遇の違いやメリット・デメリットを解説

契約社員とは? 正社員との雇用条件・待遇の違いやメリット・デメリットを解説

契約社員

契約社員という働き方について検討する際、「正社員と何が違うのだろうか」「メリット・デメリットが知りたい」と考える人もいるでしょう。そこで今回は、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に、契約社員と正社員の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて伺いました。働き方の選択をする際に、参考にしてみませんか。

契約社員とは

契約社員とは、雇用期間の定めのある「有期労働契約」を結んだ社員のことを指します。
有期労働契約の期間は、労働基準法にて「原則として最長3年(専門職など特定の条件がある場合は5年)」と定められています。最長で3年(もしくは5年)の労働契約を結びますが、一般的には1年の労働契約を結んで毎年契約の更新・終了を判断するケースが多いでしょう。

企業と労働者の合意のもとに契約を更新した場合は、新たな契約期間にて雇用を継続することとなります。一方、契約期間満了の際、更新せずに契約終了となった場合には、退職の扱いとなるため、新たな転職先を探すことになります。1回の契約期間は最長3年(もしくは5年)となりますが、同一企業で契約更新を繰り返すなどで5年間継続して働いた場合は、本人の申し出があれば無期雇用に転換することが可能です。

契約社員は、法律上では「有期雇用労働者」と呼ばれており、「契約社員」という雇用区分の記載はありません。企業によって「契約社員」「準社員」「非常勤」「臨時社員」「パートナー社員」「嘱託」など、呼び方が変化します。

契約社員と正社員の違いを解説

まずは契約社員と正社員にどのような違いがあるのか把握していきましょう。

雇用期間

契約社員は有期雇用である一方、正社員は定年まで働く無期雇用という点がまず大きな違いです。正社員の場合は、一度雇用されたら定年まで働ける可能性が高いでしょう。

また、先にも述べた通り、契約社員でも同じ企業での勤務年数が通算5年を超えた場合は、契約社員のまま「無期雇用契約」への切り替えが可能です。あくまで労働者からの申し出によって契約の切り替えを行うため、切り替えを希望しない選択もできます。

給与

正社員の場合は月給制であることが多く、賞与がある企業も多いでしょう。契約社員の場合は、月給制や時給制、年俸制などがありますが、賞与の有無は企業によって異なります。正社員と契約社員は、同一労働同一賃金の考え方で「不合理な待遇差をつけないこと」が原則とされていますが、実際は基本給や賞与は契約社員の方が正社員よりも少ないケースが多いでしょう。

また、正社員には定期的な考課・査定があり、成果や働きぶりに応じて昇進・昇給があります。働き続けていく中で収入アップも見込めるでしょう。一方、契約社員は、契約時に役割と給与が決まっているため、契約期間中の昇進・昇給はありません。

勤務条件

契約社員と正社員の勤務時間・勤務日は、原則的に同様であるケースが多いでしょう。また、契約社員の場合は、契約の際に「勤務時間を限定する」「勤務日数を週4日とする」などの条件を設定するケースもあります。

休日・休暇については、正社員も契約社員も原則として同様の条件で付与されますが、有給や無給の違いなどで差が出る場合があります。労働基準法上の年次有給休暇の付与日数にも差はなく、所定労働日の一定条件を満たせば、同様の日数が付与されます。

勤務地については、正社員は特段の定めが無い限り、異動や転勤の可能性があるでしょう。一方、契約社員には原則転勤がなく、契約時に指定された勤務地が変更されることはありません。しかし、契約内容によっては例外もあるため、注意が必要です。

福利厚生

各種社会保険は契約社員も正社員と同様のものに加入することができます。厚生年金、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金などの企業年金については、所定の条件を満たしている場合は加入することができます。

また、正社員は住宅手当、家族手当などの諸手当や交通費、退職金の支給などの待遇を受けることができます。契約社員は諸手当の支給対象外とする企業も多く、契約によっては交通費を支給しないケースもあります。また、退職金制度については、一般的には適用対象を正社員に限り、契約社員には適用されないケースが多いでしょう。

解雇予告

労働基準法の定めにより、企業は遅くとも解雇する日の30日前に予告しなければならない義務(※1)があります。正社員だけでなく、有期雇用契約を結んだ契約社員にも同様に適用されます。

また、契約社員の場合、やむを得ない事由がない限り、企業は契約期間中に解雇することはできない定めとなっています(※2)。原則として、契約期間中は雇用が守られていますが、契約内容から逸脱した行為などが発覚した場合には、予告の通知をされた上で、解雇されることもあります。

また、有期労働契約については、雇用期間の満了に伴い、雇用契約を更新しない(雇止めをする)際にも、雇用契約が3回以上更新されている場合や、最初の雇用から1年を超えて継続勤務している場合には、少なくとも30日前までに予告をすることが望ましいと通達で決められています(※3)。

(※1)労働基準法第20条の定めによる。労働基準法第21条より、試用期間中の者が14日を超えて引き続き使用される場合などにも解雇予告は適用
(※2)労働契約法第17条
(※3)有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準

契約社員から正社員になることは可能?キャリアの選択肢を紹介

契約社員となる場合、契約満了の時期にはキャリアの岐路を迎えることになります。そのため、契約満了後のキャリアについてもあらかじめ考えておき、在職中から意識して準備することが重要と言えます。

正社員登用や無期雇用契約など、契約社員のキャリアについて紹介するので、どのような選択肢があるのかを把握しておきましょう。

現在の契約先企業で働き続ける場合の選択肢

現在、契約社員として働いている企業にて、そのまま働き続ける際の選択肢と注意ポイントを紹介します。

契約先の正社員登用制度で正社員を目指す

契約先の企業に正社員登用制度がある場合は、正社員への転職も可能です。正社員登用試験では、面談や筆記試験を行うケースがありますが、上司の推薦を受けることを前提とする企業が多いでしょう。
正社員登用の可否については、契約社員として勤務した期間の勤務態度や仕事の成果・貢献度などが重視され、総合的な判断のもとに決定されると言えます。日頃の働きぶりが評価されているかどうかが重要です。

また、正社員登用の制度がある企業でも、狭き門であったり、形式的な制度となっていたりする可能性もあるため、過去の登用実績を確認することが大事です。正社員登用を視野に入れて転職する場合は、人事担当者に直近の正社員登用人数や試験の合格率などを確認してみましょう。

転職エージェントを活用している場合は、率直に制度の実態を聞くこともできます。また、正社員登用試験を何度も受けても合格しない場合は、そもそもの登用基準が厳しかったり、自分の働きぶりを評価してもらえていなかったりする可能性があります。こうした場合は、積極的に正社員登用を行う企業や自分の働き方にマッチする企業に転職する道を検討してみるのも良いでしょう。

5年勤務した後に無期雇用契約に変更する

契約社員として同一企業に通算5年超の勤務をした場合は、無期雇用の契約に変更することができます。ただし、給与水準や昇進などについては、有期雇用の契約時と同条件とするケースもあり、安定雇用となること以外の変化を望めない可能性もあります。

無期雇用に切り替える場合は、納得できる契約内容であるか確認することが大事です。新たな雇用条件が「過去5年間にその企業で積み重ねた経験・実績、身につけたスキルなどに応じた内容ではない」と判断できる場合は、他社に転職する方が給与や待遇などの条件が良くなる可能性もあるでしょう。

契約社員として、そのまま契約延長を続ける

契約社員として勤務する企業で契約更新をして働き続ける道もあります。また、同一企業に5年超の勤務をした後には、無期契約社員となることもできます。しかし、契約期間が1年などの場合は、その企業に5年勤務する以前の時点で契約終了となるケースもあるので注意しましょう。

契約更新の可否については、契約期間中の勤務態度や実績、貢献度などが判断材料となるため、日頃からこれらを意識して仕事に取り組むことがポイントです。また、企業の人材計画や事業方針の変化などが契約更新の可否に関係するケースもあるため、個人の努力にかかわらず契約が更新されない可能性もあることを理解しておきましょう。

ほかの企業に転職する場合の選択肢

現在の契約先企業からほかの企業に転職する場合の選択肢と注意ポイントを紹介します。

正社員への転職を目指す

一般的には「契約社員から正社員に転職すること」は、正社員から正社員に転職するよりもハードルが高いとされています。その理由としては、契約社員は契約上で決まった範囲の仕事を担当するため、正社員と比較して、任される仕事の領域や責任などに差があることが挙げられます。

そのため、契約社員から正社員として他社に転職することを視野に入れている場合は、より成果を挙げることを意識し、客観的に評価される経験・実績を積んでおく方が良いでしょう。また、正社員になる場合は、働く時間や場所、任される仕事の領域などが広がり、残業などによって勤務時間が長くなったり、転居を伴う転勤や希望と違う部署への異動などをしたりする可能性もあります。契約社員から正社員を目指す場合は、こうした違いも理解しておきましょう。

契約社員として転職する

契約期間が満了した後、ほかの企業の契約社員として転職する道もあります。雇用条件や担当する仕事の領域にこだわりがある場合は、自分にマッチした雇用条件で働く企業に契約社員として転職するのも良いでしょう。

また、人気のある企業・職種などを目指す場合は、正社員より契約社員の方が採用のハードルが低いため、入社のチャンスをつかみやすいと言えるでしょう。あえて契約社員として入社し、経験・実績を積み、スキルを身につけた後に、正社員としての転職を目指す方法もあります。

派遣会社に登録し、派遣社員として働く

正社員や契約社員ではなく、派遣会社に登録して派遣社員として働く選択肢もあります。派遣会社に対し、自分が望む仕事内容や働き方に加え、働きたい期間なども要望できるため、より希望に合う柔軟な働き方を選択することもできるでしょう。そのため「ライフスタイルを優先した働き方がしたい」と考え、派遣社員としてさまざまな企業で働くキャリアを選ぶ人もいます。

また、派遣会社によっては、契約社員や正社員として勤務先企業の直接雇用に切り替えることをサポートしているケースもあります。こうした場合、一定期間働いた後、勤務先企業から勤務態度や実績、貢献度などを評価されたことにより、派遣会社を通じて直接雇用への切り替えを打診されますが、希望しないことも可能です。

契約社員と正社員、それぞれのメリット・デメリット

正社員と契約社員のメリット・デメリットを理解し、自分にマッチする働き方を考えてみましょう。

雇用期間におけるメリット・デメリット

 

正社員の場合

正社員の場合は、一度雇用されたら定年まで安定雇用を望むことができます。会社の倒産や特殊な解雇事由などがない限りは解雇されないでしょう。また、長期的に働く中、仕事の幅を広げながらキャリアを形成できますし、職場の人間関係も安定的に構築できる点もメリットと言えます。

一方、任される領域や業務範囲が広いため、自分の望む仕事を担当できるとは限らないというデメリットもあります。部署異動などの可能性もあり、目指すキャリアを実現できるとは限りません。また、人間関係で悩んだ場合にも、部署移動が難しければ同じ職場・同じメンバーと一緒に働き続けなくてはならない可能性があります。

契約社員の場合

契約社員は有期雇用のため、自分の希望に合わせて働く期間を選択することも可能と言えます。また、任される業務領域や仕事内容が契約で決まっているため、自分の専門性やスキルを活かせる特定の仕事を選択することができるでしょう。

職場の人間関係に悩んだ場合でも、契約期間を終えたら次の職場や仕事に移行できることもメリットです。逆に、自分に合う職場や仕事だと感じた場合、勤務期間が通算5年超となった際に無期雇用への切り替えも可能です。正社員登用制度がある企業の場合には、契約社員として実績を積んでから正社員を目指すこともできるでしょう。

デメリットは、再度、契約更新できるとは限らない点にあります。更新できない場合やしない場合には、次の仕事を探すことが必要です。その際には、次の職場で一から人間関係を構築することになります。また、契約で取り決めた特定の仕事以外は担当しないため、経験・スキルの幅を広げにくいというデメリットもあります。さらに、無期契約への更新を目指す場合、通算5年超の勤務をすることが必要であり、正社員登用制度があっても必ずしも登用されるとは限らないと言えるでしょう。

収入・待遇面におけるメリット・デメリット

正社員の場合

長期的に安定雇用されるため、安定的な収入が得られることは大きなメリットと言えるでしょう。賞与や退職金などの制度がある企業も多くありますし、長期間働く中で段階的な昇給・昇進も望めます。また、勤務期間に応じた報奨金などが出るケースもあります。

ただし、賞与や昇給などは企業の業績に応じるケースも多いため、毎年、必ず約束されているものではありません。また、副業ができない企業も少なくはありません。こうした場合、基本的に収入は給与のみとなります。社内での評価を上げる以外に収入アップの方法はないと言えますが、評価が高い場合でも企業の業績に左右されて収入アップにつながらないこともあるでしょう。

契約社員の場合

契約時に自分のスキルや能力に応じた月収・年収・時給などを取り決めるため、自分の実力に対し、相応の金額を望むことができるでしょう。また、就業規則で副業を制限していない企業の場合は、副業やWワークなどによって別の収入源をつくることも可能です。

しかし、契約期間が終了した際には、次の仕事を見つけなければ収入が得られないというデメリットもあります。賞与の金額が正社員より低いケースや、退職金の制度が適用されないケースも少なくはないでしょう。また、勤務期間に応じた昇給・昇進制度がない企業もあります。管理職などにステップアップしたい場合は、正社員登用を目指すことが必要になります。

勤務条件・福利厚生におけるメリット・デメリット

正社員の場合

長期的に働くため、勤続期間に応じて有給日数が一定数まで増やすことができます。継続勤務が6年6カ月以上になると、労働基準法上の年次有給休暇の付与は「最低20日以上」となります。企業によっては、勤続年数に応じた休暇や記念日休暇など、特別休暇を付与するケースもありますし、家族手当や住宅手当などが付与されるケースもあります。さらに、産育休や介護休暇などを取得できるため、ライフプランに応じた働き方ができるでしょう。

デメリットとしては、繁閑に応じて休日出勤や残業などに応じることが必要であり、契約社員よりもプライベートな時間を確保しにくい点が挙げられます。また、想定外の異動や転勤などを命じられることによって、子育てや介護などのライフプランに大きな影響を受けてしまう可能性もあるでしょう。

契約社員の場合

契約時に定めた勤務日数、勤務時間を守る働き方ができるため、プライベートな時間を確保しやすいメリットがあります。契約社員には、できる限り時間外労働などをさせないようにしている企業も多く、繁忙期などの残業・休日出勤の要請なども断りやすいでしょう。趣味や家庭生活などのプライベートを大切にできますし、自分の時間を使って資格取得などのスキルアップもしやすい環境と言えます。契約時の勤務地で働くことが前提のため、異動や転勤もありません。
また、企業が提供する福利厚生サービスなども、正社員と同様に利用することができます。

ただし、有給休暇の日数は、労働基準法第39条に基づく日数(※3)より増えることがない企業が多く、特別休暇の付与なども適用外となるケースが多いでしょう。福利厚生面でも、各種手当の適用外となったり、長期的な休職を可能とする産育休・介護休暇などの制度を利用できなかったりする可能性もあります。

自分のライフスタイルに合わせて契約社員を選ぶ道も

契約社員という働き方を選択する際の考え方を紹介します。

契約社員の働き方の魅力は「自由度の高さ」

企業との契約内容にもよりますが、契約社員の大きな魅力は「特定の職種や仕事に特化したキャリアを築ける」「転勤や異動がない」「勤務時間や勤務日数を限定できる」「職場や人間関係を固定されない」という点にあります。自由度の高い働き方で、正社員よりも自分のプライベートやライフスタイルを大切にすることができるでしょう。

契約社員から自分のキャリアを考えることもできる

契約社員で働いてみてから、無期雇用に契約を切り替え、自分のペースやライフスタイルを大切にしながら働き続ける道もあります。
また、正社員採用を目指すには難易度の高い企業を目指す場合、あえてハードルの下がる契約社員採用に挑戦することもできますし、入社後に得た経験・スキルを次の転職活動に活かすことも可能と言えます。
さらに、正社員のような安定雇用や幅広いキャリア、福利厚生面の充実を望む場合は、契約社員としての評価・実績を積み重ねた後、正社員登用を目指す方法もあります。

いずれにしても、有期雇用の契約社員には契約終了の期日が必ずやってきます。キャリアの決断を先延ばしにしようと考え、場当たり的に契約社員の働き方を選択することはお勧めできません。自分にフィットする働き方、キャリア、ライフプランをイメージした上で、契約終了後に目指す方向性をある程度定めておくことが大事だと考えましょう。

「同一労働同一賃金」で正社員との差が縮まる可能性も

契約社員に対し「正社員よりも収入・福利厚生などの面でデメリットを感じる」という人もいるでしょう。これについては、2020年4月より(中小企業は2021年4月より)、「同一労働同一賃金」の制度がスタートしており、契約社員の待遇がより改善されることが期待されています。

「同一労働同一賃金」制度は、非正規雇用の待遇の合理化を図り、賃金格差の緩和を目的とした政策であり、不合理な待遇差に対する整備として、基本給・賞与・各種手当・福利厚生・教育訓練などにおける待遇の改善・最適化などに向かうためのものです。こうした背景のもと、今後は正社員と契約社員における待遇の差が縮まる可能性もあると言えるでしょう。

自分の働き方に悩んだら転職エージェントに相談を

契約社員と正社員におけるそれぞれのメリット・デメリットを知っても、「どちらを選択すべきか悩む」という人もいるでしょう。そうした場合は、転職エージェントに相談してみることもお勧めです。仕事やライフスタイルにおける自分の希望を伝えれば、客観的なアドバイスをもらうことができ、自分自身にとってどのようなメリット・デメリットがあるのか気づくことができます。

また、契約社員・正社員に限定することなく、自分の希望にマッチする企業や仕事を紹介してくれます。転職活動を進める中、どちらの働き方を選択したとしても、自分自身の納得度を高めることができるでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

リクルートエージェントでは、転職でお悩みの方に適切なアドバイスをお送りしています。また、企業の面接対策や職務経歴書の作成サポートや、スムーズな退職のためのサポートを行っています。お悩みの方はぜひ一度相談に来てみてください。