
転職活動では多くの場合、面接が実施されますが、面接の流れやよく聞かれる質問への適切な回答がわからず、不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、面接当日の流れや知っておきたいマナー、よく聞かれる質問などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に解説いただきました。
面接当日の流れと知っておきたいマナー
本章では、下記のような対面面接当日の流れを一例に、各工程で行う準備や留意しておきたいマナーについて解説します。
また、章の最後には、オンライン面接時に意識したいポイントも紹介します。
面接に向けて身だしなみを整える
面接に向けて、清潔感をもたれるよう、身だしなみを整えましょう。
服装は、指定がある場合を除き、黒やグレーなど落ち着いた色のスーツを着用するのが一般的です。また髪型は、寝ぐせなどが残らないよう整えましょう。髪の毛が長い場合は1つにまとめると、すっきりした印象になります。
靴や鞄は華美なものは控え、シンプルなデザインのものを選びましょう。面接では資料を手渡されることもあるため、A4サイズの資料が入る大きさの鞄を用意しておくと安心です。
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面接に必要な持ち物を揃える
続いて面接に必要な持ち物を揃えましょう。
面接に向けて準備しておきたい持ち物例は、次の通りです。
- A4サイズの書類が入る鞄
- 提出書類(履歴書、職務経歴書など)のコピー
- 求人票(募集要項)や会社案内資料、担当者の連絡先
- クリアファイル
- 筆記用具、メモ帳
- 身分証明書、印鑑
- スマートフォン、携帯電話、モバイルバッテリー
- 交通系ICカード・現金
- ハンカチ、ティッシュ など
ほかにも手鏡やヘアブラシ、折り畳み傘など、必要に応じて準備しておきましょう。
時間に余裕を持って受付を済ませる
面接当日は、時間に余裕を持って受付を済ませられるよう、早めに自宅を出発しましょう。ただし、到着が早すぎると、応募先企業の受付準備が整っていない可能性があります。面接開始時刻の5~10分前を目安に応募先企業に到着できるよう、到着時刻を調整しましょう。
なお、受付方法は応募先企業によって異なります。どのように受付をするのか、応募先企業から届いた詳細を確認しておきましょう。指定の受付場所に到着した後は、受付担当者に「○○○〇時の面接に伺いました○○です」と伝え案内を待ちます。
入室で良い第一印象を与える
面接が始まると、面接室に入室します。
入室の仕方や態度で第一印象が決まることもあります。そのため、面接当日までに入室時の流れを練習しておきましょう。
下記は、面接室に入室する際の一例です。
- 軽く3回ノックする
- 「どうぞ」と言われたら入室する
- 面接担当者を前にしたら、「○○○○(氏名)です。本日はどうぞよろしくお願いします。」と一礼する
- 「どうぞお座りください」と言われてから着席する
慌てず、丁寧な動作を意識しながら入室しましょう。
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面接中の態度や振る舞いも意識する
面接中の態度や振る舞いも大切です。
姿勢を正す、相手の目を見てハキハキと話すなど、話す内容だけではなく、態度や振る舞いも意識しましょう。
面接練習では、鏡の前で話す、話している動画を撮影し見返すなど、自分の態度や振る舞いを客観的にチェックしておきましょう。
退室まで気を抜かずに行う
退室まで気を抜かないことも大切です。
面接が終了した後は、応募書類やメモなどを鞄に収納しましょう。その後立ち上がり、「本日はありがとうございました」とお礼を伝えます。ドアの前で再度、面接担当者の方を向き、「失礼します」と一礼します。
また、退出後は大きな音を立てないように注意しながら丁寧にドアを閉めましょう。
【参考】オンライン面接のポイント
オンライン面接では、事前に入室用のIDやPASSなどの詳細が送られてくるのが一般的です。専用アプリのダウンロードやアカウント開設が必要な場合もあるため、当日までに案内されたURLにアクセスして必要な準備を済ませておきましょう。また当日は、通信エラーやパソコントラブルが起こる可能性もあるため、面接開始時刻の3~5分前に入室して待機しておくと安心です。
面接担当者が入室したら「本日はよろしくお願いします」と一礼します。オンライン面接では、会話のタイミングが重なったり、相手の反応がわかりにくかったりする場合があります。そのため、普段よりも会話の間合いや相手に反応が伝わる応対を意識しましょう。
面接が終了した後は、「本日はありがとうございました」と挨拶します。その後はすぐに退出せず、面接担当者から「先にご退出ください」と声を掛けられるのを待ち、退出しましょう。声掛けがない場合は「お先に失礼いたします」と伝え退出します。
面接でよく聞かれやすい質問と答え方
本章では、面接で聞かれやすい次の9つの質問と、各質問への答え方のポイントを解説します。
- 自己紹介
- 自己PR
- 退職理由・転職理由
- 志望動機
- 経験・スキル・実績
- 長所・短所
- 今後のキャリアプランやキャリアビジョン
- 希望
- 逆質問
自己紹介
面接の冒頭では、アイスブレイクを兼ねて「自己紹介をお願いします」と言われるケースが多いようです。氏名や現職、職務経歴や実績などを、簡潔にわかりやすく伝えましょう。
自己PR
自己PRは、職務経歴ではわからない人柄や仕事に対するこだわりなどを確認する質問です。「自己PRをお願いします」と言われたら、1分前後で自分の強みを伝えましょう。最初に自分の強みを前置きしたうえで、その根拠となるエピソードや実績を伝えるとわかりやすくなります。最後に応募先企業でも強みを活かしたいことを伝えて、活躍の可能性をアピールします。
【参考記事】
退職理由・転職理由
退職理由や転職理由を聞かれた場合は、伝え方に注意が必要です。退職理由が、「待遇が悪い」「上司と合わない」など、ネガティブな内容だった場合は、退職理由だけを伝えてしまうと、「他責」と見なされ、定着性に不安を抱かれる可能性があります。そのため、退職理由は端的に伝えて、転職後に実現したいことを前向きに伝えましょう。
【参考記事】
志望動機
志望動機は、入社意欲や定着性を確認するための質問です。「なぜ応募先企業を選んだのか?」「入社して何を実現したいのか?」を、募集しているポジションとの共通点を意識しながら伝えることが重要です。経営者や企業の文化、理念などに対して共感している場合は、自分の価値観にマッチしていることを伝えると良いでしょう。
経験・スキル・実績
経験・スキル・実績は、主に現場の責任者が面接担当者だった場合に聞かれる傾向にある質問です。企業はこの質問を通じて、「募集している仕事に経験・スキルがマッチしているか」「問題なく遂行する能力を満たしているか」を判断していると考えられます。経験・スキルを伝える際は、「○○はXX年ほど経験しており、△△レベルまで実務経験があります。具体的には、月にXX件程度担当していました」など、数値を交えて伝えると、企業の採用担当者は、業務に取り組むにあたって必要なスキルや経験などを有しているかを判断しやすくなります。
長所・短所
長所や短所を聞いて、「客観的に自分のことを把握できているか」「人柄が社風にマッチしているか」を確認するケースも少なくありません。長所を伝える場合は、結論である長所を明らかにしてから、裏付けとなるエピソードや成果を続けます。最後に、入社後に長所をどのように活かしたいのかを伝えて意欲をアピールしましょう。
短所について聞かれた場合に、「正直に答えるとマイナスの評価になるのでは」と不安になる方もいるかもしれませんが、自分を客観視できているかどうかを判断するための質問と考えられるため、どのように改善・克服しようとしているのかをあわせて伝えることで、好印象につなげることも可能でしょう。
【参考記事】
今後のキャリアプランやキャリアビジョン
企業が応募者に対してキャリアプランを聞く理由は「自社のビジョンと応募者が思い描く理想のキャリアが合致しているか」「成長意欲があるか」などを見極めるためと考えられます。
キャリアプランを回答する際は、志望動機や自己PRとの一貫性を意識しつつも、応募先企業が求める人物像を踏まえて、応募先企業でどのようなキャリアを実現していきたいのか、具体的な数字やビジョンを交えながら伝えましょう。
【参考記事】
希望
面接では、希望年収や希望の入社時期を尋ねられることがあります。
希望年収を聞く理由は、募集ポジションの給与が求職者の想定範囲内かを確認したいからと考えられます。また、入社時期を聞く理由は、迎え入れ準備を進めたり事業活動への影響を判断したりするためと推察されます。
希望年収の決め方は、提示された年収に従う場合や現職(前職)年収をベースに考える場合など様々です。迷う場合は、転職エージェントなどに、転職市場における業界や職種の年収相場を把握していることもある転職支援のプロに相談するのも良いでしょう。また、希望入社時期を答える際は、「最短で◯月1日、遅くとも●月1日には入社可能です」などと、可能な範囲で具体的な日程を示すとよいでしょう。在職中であれば内定後1カ月半~2カ月後程度が目安です。ただし、やむを得ず入社時期が先になる場合は、事情を説明しておきましょう。
逆質問
面接の最後に聞かれる「何か質問はありますか?」という質問のことを、一般的に「逆質問」と呼びます。面接で説明されたことで疑問があれば、逆質問で解消しておきましょう。
逆質問で給与や福利厚生などの待遇面ばかり聞いてしまうと、「待遇だけで選んでいるのだろうか?」と、志望意欲に懸念を持たれる可能性があります。待遇面については、質問の仕方に配慮が必要です。
【参考記事】
【参考】そのほかに聞かれる可能性がある質問
本章で紹介した質問以外にも、面接では「気になる最近のニュース」や「他社の選考状況」など、様々な質問を受けることがあります。
面接で慌てないためにも、下記参考記事にて面接で聞かれる可能性がある質問に目を通しておき、回答を用意しておきましょう。
【参考記事】
- 不意の質問に慌てない!転職の面接で聞かれる質問23
- 転職の面接で「趣味」を聞かれたらどう答えればいい? 趣味の一例と回答例文も紹介
- 面接での特技の伝え方
- 「尊敬する人」を転職の面接で伝える場合のポイントや例文
- 面接で成功体験を聞かれたら?アピールできる答え方のポイントと成功体験の例を紹介【答え方例あり】
- 面接で失敗談を聞かれたらどう答える? 回答例文と質問の意図を解説
- 「働くとは?」と面接で聞かれた時の答え方|回答の例文と伝え方を解説
- 面接で「気になる最近のニュースは?」と聞かれたら、どう答えれば良いか
- 面接で「他社の選考状況」を聞かれたらどう答える?回答例とポイントを徹底解説
- 転職回数が多い場合、面接で理由を聞かれたらどう答える?【回答例付き】
- 転職で空白期間(ブランク)の伝え方は? 長期ブランクなどの場合の回答例まとめ
- 「風通しの良い職場」とは?面接で「働きたい職場環境」を聞かれた時の回答例
- 面接で大学中退理由を聞かれた場合の答え方【回答例付き】
面接前後の不安や悩みを解消しよう
本章では、面接前後で生じる可能性のある次の9つの不安や悩みを解消する方法について、解説します。
- 初めての面接でとにかく不安
- 面接で深掘りされそうなところがあって不安
- いきなり面接に臨むことは避けたい
- 面接・面談どちらをするのかわからない
- 伝えづらいけど面接を辞退したい
- 面接の手応えがなく落ちた気がする
- 面接結果の連絡がなかなか来ない
- メールのやり取りで印象を下げたくない
- 次の選考に合わせて面接対策をしたい
初めての面接でとにかく不安
初めての面接で、うまく話せるか、緊張しないかと、不安や心配が膨らむこともあるでしょう。不安を低減するためには、事前にしっかり準備や対策をしておくことが有効です。
面接で話す内容を事前に整理し、自分の強みや志望動機などを伝える練習をしておきましょう。
また、面接で緊張しないためには、面接本番に近い環境で練習するのも1つの方法です。転職エージェントでは、面接対策のほかにも模擬面接を実施してくれるケースもあります。初めての面接でとにかく不安という人は、転職エージェントを利用してみるのも良いでしょう。
面接で深掘りされそうなところがあって不安
面接で深掘りされそうなところがあり不安だという人は、深掘りされると思われるポイントを整理し、回答を用意しておきましょう。
例えば、未経験業種・職種に転職する場合は、その理由を聞かれることがあります。また、過去に長期に渡る離職期間がある場合は、なぜ離職期間があるのか聞かれることもあるでしょう。納得感のある理由を伝えられると、面接担当者に前向きな印象や誠実なイメージを持たれることもあります。
また、事前にしっかり回答を準備しておくことで、自身の不安を和らげることもできるでしょう。
【参考記事】
いきなり面接に臨むことは避けたい
十分に準備ができていない状態で面接に臨むことは避けたいと考える場合は、転職エージェントなど模擬面接を実施してくれる転職支援サービスの利用を検討してみましょう。
転職エージェントでは、担当のキャリアアドバイザーが面接担当者役を担い、実際の面接に近いシチュエーションで面接練習できる場合もあります。実際の面接と似た環境で練習を繰り返すことで、緊張を和らげられたり、受け答えに自信を持てるようになったりするでしょう。
【参考記事】
面接・面談どちらをするのかわからない
面接なのか、カジュアルな面談なのかわからず戸惑っている場合は、採用担当者にどちらの趣旨で実施するのか確認しましょう。
企業にもよりますが、一般的に面接は、応募者の採否を判断するために実施されます。一方で面談は、互いの理解を深めることを目的に実施されます。
どちらの目的を主としているのか事前に確認することで、適切な対策を講じることができるでしょう。
【参考記事】
伝えづらいけど面接を辞退したい
面接を辞退したい場合は、伝え方やタイミングに悩むかもしれませんが、なるべく早めに連絡しましょう。
面接まで期間がある場合は、メールで伝えるケースもありますが、面接当日に辞退を希望する場合は、電話で辞退希望の旨を伝えましょう。メールの場合、見落とされてしまう、すぐに読んでもらえないなどの可能性があります。
また、辞退理由を聞かれた際は「他社の内定を承諾することにした」など、簡潔に理由を伝えましょう。
社会人の一般的なビジネスマナーとして、無断で面接を辞退する行為は控えましょう。
【参考記事】
面接の手応えがなく落ちた気がする
面接が終わった後、手応えを得られなかったことから不安を感じる人も少なくありません。
面接後に手応えがないと感じても、結果が出るまでは冷静に待ちましょう。また、面接時の様子を振り返り、課題に感じた部分を明確にし、次回の面接に向けて改善に取り組むことも有効です。
【参考記事】
面接結果の連絡がなかなか来ない
面接結果の連絡が遅く、不安に感じることもあるでしょう。
面接結果通知にかかる期間は、一般的に「1週間~10日程度」が目安になります。ただし、事情によっては10日以上かかる場合もあるでしょう。企業から事前に聞いていた目安日を過ぎた場合や1週間~10日程度待っても連絡がない場合は、メールで確認してみましょう。
【参考記事】
メールのやり取りで印象を下げたくない
面接では、面接前後のメールで失礼がないようにしたいと悩む人もいます。
メールでのやり取りに苦手意識がある場合やメールの書き方に自信がない場合は、自分の代わりに応募先企業の担当者とやり取りしてくれる転職エージェントを利用するのも1つの方法です。転職エージェントが代わりに応募先企業の担当者とのやり取りを進めてくれるため、「メールのやり取りで印象を下げたくない」といった悩みも解消されるでしょう。
自分で転職活動を進めたいと考えている場合は、下記記事を参考にしてみてください。
【参考記事】
次の選考に合わせて面接対策をしたい
次の選考に向けて面接対策をしたいと考える場合は、転職エージェントなど面接対策を実施してくれるサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。転職エージェントでは、転職支援のプロから適切なアドバイスを受けられるため、次の選考に必要な対策を講じることができるでしょう。
【参考記事】
面接に関する、よくあるQ&A
本章では、面接に関する、よくあるQ&Aを紹介します。
気になる質問をクリックしていただくと、回答のページに遷移します。
Q.選考が最終面接まで進んでいるが、他社にも追加応募すべき?
Q.面接でプライベートな質問をされた場合は、どこまで答えるべき?
Q.フリーランスからの転職。今の立場を活かして何がアピールできる?
Q.急な予定で、面接日を変更したい。企業にどう交渉すればいい?
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
記事更新日:2023年10月24日
記事更新日:2025年02月17日 リクルートエージェント編集部