転職を考える20代は何してる？ 転職成功のために知っておきたいこと

20代は、経験・スキル以外にポテンシャルを評価されるケースも多く、30代や40代と比べると未経験業界・職種への転職のハードルも高くありません。そのため、選択肢が多いからこそ、キャリアの悩みも多いようです。そこで、人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏に、20代の転職の傾向やよくある悩み、失敗例などをお伺いしました。

20代の転職事情

「20代」でも、20代前半と20代後半では傾向が異なります。そこで、20代前半と後半に分けて転職の傾向をご紹介します。

20代前半の転職事情

20代前半の求職者は「第二新卒」と呼ばれることも多く、20代後半と比べるとポテンシャルを評価される傾向があります。そのため、これまで経験したことのない未経験業界・職種への転職が実現しやすいと言えます。もちろん、一定期間の社会人経験があり、経験・スキルを活かして転職することも可能です。「即戦力として活躍が期待できる若手」は、応募書類や面接でのアピール次第で高く評価されるでしょう。

20代後半の転職事情

20代後半になると、だんだん経験・スキルを重視されるようになります。20代前半同様に、未経験業界・職種へのキャリアチェンジも可能ですが、ポテンシャルを評価してもらえる20代前半と異なり、20代後半ではポータブルスキル（職種を超えて持ち運びができるスキル）をアピールする必要があります。例えば「分析力」「課題発見力」など、どのような職種でも活かせる自身の強みを見つけておきましょう。また、20代後半ではリーダーシップを求められる可能性があります。「新人の教育係を務めていた」「営業リーダーをしていた」などの経験があれば、応募書類や面接でアピールしましょう。

20代の転職でよくある悩み

20代の求職者が抱える悩みとはどのようなものがあるのでしょうか。よくある悩みをご紹介します。

自分に向いている仕事が分からない

20代の場合、様々な仕事を経験しているケースは多くはありません。そのため、「自分に合っている仕事が分からない」という悩みを持つ方も多いようです。自分に合っている仕事が分からない場合、現在の経験・スキルを活かして転職をするか、それともキャリアチェンジをするかといった転職の方向性が定まりません。方向性が決まらないと、転職先選びに難航する可能性があります。

希望に合った仕事が見つかるか不安

やりたい仕事は決まっていたとしても、その仕事の求人が実際にあって、応募できるかどうかは別問題です。例えば「○○メーカーのマーケティングの仕事をしたい」と考えていても、希望業界が新卒採用を中心としていて、中途採用の求人がとても少なかったり、人気職種のため転職サイトなどに求人を出していなかったりするケースもあります。

未経験業界・職種への転職ができるか分からない

一般的に、中途採用では即戦力が重視されます。転職の難易度が低いのは、「経験業界×経験職種」で転職するパターン。次に、職種経験を活かして転職する「未経験業界×経験職種」、そして業界経験を活かして転職する「経験業界×未経験職種」のパターンです。最も転職の難易度が高いのは、業界も職種も経験のない「未経験業界×未経験職種」となるので、もし業界も職種も変えたい場合は、応募書類や面接でのアピールに工夫が必要です。

20代の転職の失敗例

20代の求職者が、転職活動で躓いてしまうポイントはどこにあるのでしょうか？20代の転職活動の失敗例をご紹介します。

勢いで退職してしまう

20代に限らず、転職活動が失敗になる原因の多くは「転職先を見つける前に、勢いで退職してしまう」ことです。20代の転職は、確かに未経験での転職もしやすく、転職先が見つかりやすい傾向があります。「すぐに転職先が見つかるのでは」と、退職手続きを進めてしまう人も少なくありません。ただし、転職先を見つける前に退職してしまうと、転職活動は収入が断たれた状態で進めることになります。求職中に支給される雇用保険の基本手当は、自己都合の場合は「退職前の2年間で通算12カ月以上」の加入期間が必要です。また、給付までに時間がかかるため、お金に不安を抱えながら転職活動をすることになってしまいます。

こだわりすぎて求人が見つからない

「いい会社に転職したい」とこだわるあまりに、条件を増やしすぎて求人が見つからなくなってしまうケースも多いようです。待遇、企業規模、仕事内容、勤務地など、自分の希望に合致していることが理想ですが、条件の良い求人は、他の求職者から見ても魅力的なものです。条件にこだわりすぎると、応募できる求人が減ってしまう上に、ライバルが多く選考通過の難易度が高い求人ばかりに応募することになってしまいます。

軸を決めないまま条件のみで転職

転職の方向性を決めずに、「年収が高い」「福利厚生が良い」「自宅から近い」などの条件のみで転職先を決めてしまうと、入社後に条件が変わったり、他に好条件の求人を見つけたりしたときに、転職したことを後悔したり、再度転職したくなったりする可能性があります。もちろん、「絶対に年収○○○万円以上で働きたい」など、強い意志と覚悟を持って転職先を選ぶのであれば問題ありませんが、その場合も、「なぜ年収○○○万円以上で働きたいのか？」と言った、希望条件を設定した背景を明らかにしておきましょう。

現職の不満を解消するために転職

「上司との相性が悪いから」「評価されていないから」など、現職の不満解消だけが理由で転職する場合も、別の不満が発生したときに、転職したことを後悔したり、再度転職したくなったりする可能性があります。特に、人間関係は年収などと異なり、数値化できるものではありません。入社したら「思っていた雰囲気と違う」「聞いていたよりピリピリしている」などと、違和感を抱くかもしれません。また、入社直後は良好だったとしても、その後の関わり方や異動などで変化する可能性もあります。たとえ現職に不満があったとしても、それだけを理由に転職するのではなく、「転職先で実現したいこと」を明らかにしておきましょう。

20代の転職を成功させるポイント

20代の転職を成功するためには、どのようなことに気をつけておけばいいのでしょうか。成功のポイントをご紹介します。

仕事を続けながら転職活動する

現職を続けると心身に影響を及ぼす場合を除いて、できるだけ仕事を続けながら転職活動を行いましょう。退職してお金の不安を抱えながら転職活動をすると、焦りから意に沿わない転職先に入社を決めてしまう可能性が高くなります。また、思うように転職先が見つからないとブランク（空白）期間が長くなり、転職活動がどんどん不利になってしまいます。「計画的に行動できない人」「感情をコントロールできない人」という印象を与えてしまう可能性もあるので、できるだけ仕事を続けながら転職先を見つけましょう。

転職の目的を整理する

転職活動を始める前に、必ず転職の方向性を決めておきましょう。「いい条件の求人があれば」「現状の環境を変えたい」など、転職の目的が不明確だと、入社後に不満が発生した時に転職したことを後悔してしまう可能性が高くなります。転職先に求める条件や実現したいことを整理し、転職の目的を明らかにしておきましょう。もし「仕事を任せてもらえない」「評価されていない」など、現職の不満が転職を考えたきっかけになっているのであれば、その不満の裏側にある「責任ある仕事をしたい」「成果が数値化できる職場で働きたい」などといった自分の気持ちを言語化しておくことが大切です。

ポータブルスキルをアピールする

20代前半や、未経験業界・職種に転職する場合は、経験・スキルのアピールに不安があるかもしれません。そこで、これまでの経験・スキルを洗い出して、ポータブルスキルを見つけておくことも重要です。社会人経験が短くポータブルスキルが浮かばない場合は、学生時代のゼミや部活、アルバイト経験などを通じて、「分析力」「課題発見力」など、持ち運びできるスキルがないか探してみましょう。

応募する求人を絞りすぎない

20代の場合は、応募する求人を絞りすぎないことが転職成功のポイントです。希望条件を「絶対に叶えたい条件」「できれば叶えたい条件」の2種類に分類し、応募する求人は絶対条件だけで絞り込み、面接で具体的な話を聞いてみましょう。初めはあまり興味のなかった企業でも、実際に話を聞いてみたら大きく印象が変わり、転職を決めるケースはよくあることです。業界や職種、企業に先入観を持たず、自分の目で確認することで、後悔のない転職を実現することができるでしょう。

悩んでいる場合は転職エージェントに相談を

「自分に向いている仕事が分からない」「希望に合った仕事が見つかるか不安」「未経験業界・職種への転職は可能？」――こうした悩みは、転職エージェントに相談することで解決が可能です。「自分に向いている仕事が分からない」という悩みには、キャリアの棚卸しのサポートを通じて、向いている仕事のアドバイスを受けられるでしょう。

また、転職エージェントは、業界・職種ごとの転職動向を把握し、様々な人材の転職事例が蓄積されています。そのため、「希望に合った仕事が見つかるか不安」「未経験業界・職種への転職は可能？」という悩みにも対応できます。転職エージェントは無料で利用でき、面談もオンラインで対応しているため、足を運ぶ必要もありません。悩んでいる場合は、ぜひ相談してみましょう。