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転職の一次面接を通過するポイントと事前準備、当日の確認点を解説

転職 一次面接

書類選考に通過したら、次はいよいよ一次面接です。転職の一次面接では、企業は応募者の何に注目し、評価するのでしょうか?一次面接の前にどのような準備をしておけば、通過の可能性が高まるのでしょうか?一次面接に臨む際の心構えと事前に準備したいこと、よく聞かれる質問と対策を、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏にうかがいました。

転職の一次面接で評価されるポイント

転職の一次面接で、面接担当者はどのようなポイントを評価するのかを解説します。

面接担当者のポジションによって評価ポイントが違う

中途採用では一次面接、二次面接、最終面接を経て内定へと進むことが多いですが、最近は企業が選考を迅速化する傾向があり、面接2回、または1回のケースも増えてきました。

中途採用におけるそれぞれの面接の違いとは、ひと言で言えば面接担当者のポジションの違いです。例えば、一次、二次、最終と面接を3回実施するケースでは、一般的に次の2つのパターンになります。

1)一次面接:人事担当者  二次面接:現場担当者  最終面接:役員
2)一次面接:現場担当者  二次面接:人事担当者  最終面接:役員

1)と2)のどちらになるかは、その企業や募集背景、職種によっても異なります。従って、一次面接の対策をするには、どのポジションにいる人が面接を担当するか把握し、その面接担当者が重点的に評価するポイントを理解することが大切です。
通常は書類選考を通過すると、応募企業から「今回の選考における面接回数は○回で、それぞれ○○部の人間が担当します」という案内があります。転職エージェントを利用していれば、担当のキャリアアドバイザーから事前に情報がもらえるでしょう。

次に、面接担当者によって主にどのようなポイントを評価するかをご紹介します。

面接担当者が「人事」の場合は、志望度や定着性

一次面接の面接担当者が人事である場合は、社風へのマッチ度や、定着性について重点的に見ることが多いようです。転職理由や志望動機を軸として、就職や転職、異動などの転換点での判断基準を確認し、今までの経歴と合わせて、応募者の人物タイプ(価値観や志向性)を読み取ろうとします。
また、人事目線で多くの社員を見てきた経験から「長く働き続けてくれるか」「すぐに辞めてしまわないか」という視点で、志望度や意欲に注目します。

一次面接の面接担当者が「現場の人」の場合は、経験・スキル

一次面接の担当者が現場の社員の場合は、配属先の部課長クラスなど、入社後の上司に当たる人が行うのが一般的です。応募者の経験・スキルの水準が任せたい業務にマッチしているか、実際に組織やチームに入った時にどのくらいフィットして活躍してくれそうかなどを、現場の目線で評価します。
主に職務経歴書の深掘りに重点を置き、具体的な数値や期間等を交えて、「どんな行動を取ったか」「そのとき何を考えていたか」「成功要因は何か」といったことを確認します。

転職の一次面接の通過率を上げるポイント

転職の一次面接を通過するための心構えや準備と、次の面接に繋げるために一次面接で押さえておきたいことについてご紹介します。

一次面接に呼ばれる理由・通過する理由

書類選考において、企業は大きく以下の4つのポイントで採用の可能性を判断しています。応募者が一次面接に進むことができた理由は、これらを踏まえて「求める人材に合致する」「合致する可能性がある」と評価されたことにあるでしょう。

1.求める経験・スキルを持っているかどうか(特定の業界・職種での実績、適性など)
2.自己PRから見える人柄や強みが自社のカルチャーにフィットするか
3.経験・スキルに一貫性があるか(キャリアの中で培った専門性があるか)
4.転職理由に合理性があるか(定着性はどうか)

ただ、経験・スキルや実績のレベル感、社風やチームとの相性、人柄等は書類だけで判断することはできません。そのために人事だけでなく、現場の上司となる人や部長・役員クラスの人など、複数の視点から評価することが必要です。一次面接では、主に書類の記述を確認しながら、各担当者の視点で応募者を評価し、「定着性」「活躍の可能性」において求める水準をクリアしていると判断されれば、次の段階に進むことになるでしょう。

一次面接を通過するための準備

上で述べたように一次面接は、面接担当者のポジションによって重点的に対策するポイントが変わります。面接担当者が人事の人なら、主に人物タイプを深掘りしてくることが多いため、自分の価値観や判断軸を整理し、明確にしておくことをお勧めします。具体的には転職理由、志望動機、自己PRの一貫性を確認し、学生時代から今に至るまでの経歴の中で「なぜこの選択をしたか」を言語化できるとよいでしょう。

面接担当者が現場の人の場合は、経験・スキルのレベル感を伝える準備をしておくことが重要です。これまでに取り組んだ業務における自分の役割や、成功要因について具体的なエピソードを交えて語れるようにしておくなど、強みが伝わる「仕事のプロセス」を明確にしておきましょう。

二次面接に繋げるために確認しておきたいこと

一次面接は企業が応募者を評価するだけでなく、応募者にも企業について知るための最初の機会となります。逆質問(後述)の時間などを利用して、求人票や採用ページではわからなかった募集背景や、組織構成などの情報を積極的に取りに行くのもお勧めです。一次面接で企業への理解を深めることで、二次面接における志望動機や転職理由をよりブラッシュアップし、解像度を上げることができるでしょう。
もし一次面接で手応えを感じたら「次回の面接までに調べておいた方がよいことはありますか?」と聞いてみることも、入社意欲のアピールになるかもしれません。

一般的な一次面接の流れと回答のポイント

前提として、一次面接でも二次面接でも基本的な質問項目は共通しており「一次面接だから○○を聞かれる」という傾向は特にありません。ただ繰り返しになりますが、面接担当者のポジションによって重点的な評価ポイントは変わります。人事担当者なら転職理由や志望動機、現場担当者なら自己PR(強み・弱みや成功体験)について深掘りされる傾向があるので、それを念頭に置いて準備をしましょう。

1)自己紹介

質問例:「まず簡単な自己紹介をお願いします」

自己紹介では希望者のプロフィールを端的に確認すると同時に、採用担当者によっては基本的なプレゼンテーションスキルも見ています。
とはいえ、基本的に企業は「応募者を理解するために、こちらから様々な質問をしていきたい」と考えています。ここで職務経歴を長々と伝えるよりは、1、2分ほどで簡潔にまとめるのがよいでしょう。その際は、面接で深掘りして欲しい自分の「売り」「強み」になるワードを入れることがポイントです。

参考記事
転職に役立つ!面接の「自己紹介」で押さえるべきポイントと例文
自己紹介と自己PRの違いは?転職の面接で語るべき内容、注意ポイント、回答例を紹介

2) 転職理由

質問例:「なぜ転職をしようと思いましたか?」
「○○社でご活躍中ですが、なぜ今のタイミングで転職を考えましたか?」

面接担当者が人事の場合、詳細に聞かれることが多い質問です。それにより、入社後の「定着(同じ理由でまたすぐに辞めてしまわないか)」と「活躍(転職理由を実現できそうか)」という二つの可能性を判断します。

転職理由は、具体的なエピソードを交えて「退職理由(退職を考えたきっかけ):2割」+「転職で実現したいこと:8割」を意識して構成するのがお勧めです。特に転職のきっかけが前職への不満であった場合、退職理由の情報量が多すぎると、面接担当者の印象がよくありません。退職理由はあくまできっかけとし、「転職で実現したいこと」を中心に伝えましょう。

参考記事
面接で転職理由を聞かれたら?転職(退職)理由の答え方
面接での転職理由の伝え方│ポジティブに伝わる回答例文

3)志望動機

質問例:「B社やC社などの選択肢もある中、なぜ当社を志望されましたか?」
「当社に興味を持たれた点を3つ挙げてください」

この質問で見るのは「志望度の高さ」と「企業理解の深さ」。企業に対する入社意欲が高いことは評価のポイントとなります。また、企業や職種に対する誤解があるとミスマッチになる可能性が高いため、応募者が仕事や社風を理解しているかどうかも重視します。

回答する際は、応募企業が所属する業界の特徴、その中での立ち位置や強み、応募職種に求められている役割をしっかり把握し、自分の経験・スキルとの共通項を見出しましょう。「○○の経験をしてきたので△△をしていきたい」「○○という理由で御社なら転職目的が叶えられる」「自分自身の強みも活かせる」といった要素を盛り込むと、相手に伝わりやすく納得感も与えられるでしょう。

4)成功/失敗体験、実績、経験・スキル

質問例:「職務経歴書にある高い成果を出した成功要因は何ですか?」
「ご自身の中でベストな仕事と、そう考える理由を教えてください」

現場の人が面接する場合に、このような質問で専門領域の経験・スキルを深掘りすることがあります。職務経歴書の記述内容や成功体験を確認して、応募者の力量を測り、自社で再現性があるかどうかや、組織にどの程度フィットするかを読み取ります。

現場の人が面接担当者の場合は、経験・スキルをより具体的、客観的に伝えることが重要です。「達成率○%」や「売上○%増」と数字で表し、それが会社全体や業界から見て、相対的にどう評価されるかを伝えましょう。さらに「達成に向けて何を考え、どう行動したか」をエピソードに盛り込み、プロセスを明確にすれば「再現性がある」「自社でも活躍してくれそうだ」という印象を与えることができるでしょう。

5)長所(強み)/短所(弱み)

質問例:「あなたの長所と短所(または強みと弱み)をお聞かせください」

この質問では、応募者が自分を客観視できているかどうかを確認します。自分自身を振り返り、長所・短所を理解している人は「長所を磨きながら、短所の克服もしようと努力できる」と見なされるでしょう。

長所を語るときに重要なのは、伝えるポイントを1つに絞ること。最初に「私の長所は○○です」と述べた上で「根拠となるエピソード」「それによって達成した成果や実績」「それを活かして今後どんな貢献をしたいか」という順序で話すと伝わりやすくなります。

一方で「短所を伝えるのが難しい」と思う人も多いですが、長所と短所は表裏一体の関係にあります。長所に関連した短所を伝え、かつ「対策をしている」ことも併せて伝えましょう。例えば「スピード感を持って仕事ができる」が長所であれば「それ故に、たまに抜け漏れがある」といった短所が導き出せるでしょう。さらに「ToDoリストでチェックすることで改善してきた」と伝えれば、課題解決能力のアピールにもなります。

6)将来のキャリアプラン、その他確認事項(希望入社日・年収など)

質問例: 「今後のキャリアプランはどういったものを描いているか教えてください」
「採用になったら、いつから出社できますか?」

将来のキャリアプランを聞くことで、応募者の志望度や意欲、中長期的な組織とのマッチ度(人物タイプ、経験・スキルの両面)の確認をします。どちらかと言うと二次面接以降に多い質問ですが、一次面接でも聞かれる可能性があるので準備はしておきましょう。希望入社日や希望条件の確認をされた時は、基本的には本音ベースで正直に答えればOKです。

キャリアプランに関しては、応募企業のビジョンや方向性とズレがないよう注意して「この会社で叶えたい」「貢献していきたい」という意志と、それを目指せる根拠、そのために自分が取り組んでいることを伝えられるように準備しましょう。

7) 逆質問

質問例:「今までの面接を通じて、何か質問はありますか?」

多くの場合、面接の最後に応募者が質問できる時間が用意されます。企業は純粋に「相互理解を深めたい」「認識のずれを修正したい」という意図で聞くことが多いので、それまでに解消できなかった疑問や興味関心を、率直に面接担当者に伝えましょう。

ただし、一次面接の段階で年収や残業時間などの労働条件にこだわりすぎると「この人は条件にしか興味がないか」という印象を与えかねません。どうしても確認したいことがある場合は「仕事内容」や「今後の事業展開」など、応募企業に対する興味関心や入社意欲を示す質問に交えて「参考までに」と前置きして質問することをお勧めします。

転職の一次面接の注意点

近年はコロナ禍の影響で、中途採用の面接のほとんどがリモートでの実施となっています。
リモート面接は応募者がリラックスして臨める良さもある半面、準備が足りなければやはり採用担当者にも伝わってしまうものです。一次面接の当日までに確認しておくことや、当日の注意点についてご紹介しましょう。

回答を文字に起こしてリハーサルをしておく

誰にとっても、面接の場で自分の考えを理路整然と述べるのは難しいものです。しかし、事前に準備をしておけば、気持ちに余裕が生まれて当日の緊張を軽減できます。面接が決まったら、本番に備えてあらかじめ回答を文字に書き起こし、声に出して繰り返し練習することをお勧めします。丸暗記するというよりも、アピールしたいポイントを洗い出して話の流れを作っておくと、自分の言葉で自然に話せるようになるでしょう。

転職エージェントを利用している人は、ぜひ模擬面接を行うことをおすすめします。リハーサルをして場に慣れておくとともに、ふるまいやマナー、回答内容をアドバイスしてもらうことで、面接での不安を払しょくできるでしょう。

当日までに通信環境や連絡先を確認する

応募企業に出向かないリモート面接の場合「準備は当日やれば大丈夫」と考える人もいるかもしれません。しかし、間際になって「アクセス先や緊急連絡先が見つからない」「通信環境が不安定になった」「ツールの使い方がわからない」などでバタバタしてしまうことも案外起こりがちです。

基本的なことですが、応募企業や転職エージェントから面接の案内が届いたら早めに目を通し、疑問点があれば問い合わせ、環境の確認などは事前に済ませておくことをお勧めします。くれぐれも「動揺して力が発揮できなかった」ということのないようにしましょう。

面接は「相互理解の場」と考えて臨む

上述したように、面接でのアピール内容を事前に準備しておくことは大切ですが、だからといってプレゼンのように完璧を目指す必要はありません。面接の本質は「求職者と企業との相互理解」であり、会話のキャッチボールを通じて互いをよく知ることが一番の目的だからです。
面接は、企業が求職者の資質や入社意欲を評価する場ですが、同時に応募者が企業を見極める場でもあります。100点満点の面接対応を目指すのではなく、適度にリラックスして臨むことをお勧めします。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

リクルートエージェントでは、転職でお悩みの方に適切なアドバイスをお送りしています。また、企業の面接対策や職務経歴書の作成サポートや、スムーズな退職のためのサポートを行っています。お悩みの方はぜひ一度相談に来てみてください。