本記事では、これから面接に臨む方や面接練習に悩む方に向け、面接練習のやり方や面接の質を高める方法について、組織人事コンサルティングSeguros、 代表コンサルタント粟野友樹氏に解説いただきました。
「面接本番は緊張してうまく話せない」
「書類選考は通過するのに面接では不採用ばかり」
「面接でのプレゼン力を高めたい」
など、面接の改善を図り、質を高めたい人は、ぜひご一読ください。
面接練習の必要性
面接に向けて事前の練習が必要になると考えられる理由として、次の2つが挙げられます。
- 言語化することに慣れておくため
- 自信を持って話せるようになるため
普段考えていることをスムーズに言語化できる人でも、面接のような普段体験しない場では緊張してしまい、思うように言葉にできないことも少なくありません。
面接練習を通じて言語化に慣れておく、緊張への耐性を高めておくことで、面接の場でも優れたパフォーマンスを発揮できるでしょう。
言語化することに慣れておくため
面接練習が必要とされる理由に「言語化に慣れておく必要がある」点が挙げられます。
面接の場では、面接担当者に伝えたいことを理解してもらわなければなりません。
しかし緊張してしまうと、思うように言葉を選べず、道筋立てたトーク展開ができなくなり、面接に向けた準備が無駄になってしまう場合もあります。
面接練習を経て言語化することに慣れておけば、面接のような緊張感が高まる場面でも面接担当者の質問意図に合わせて分かりやすい回答や建設的な発言ができるようになるでしょう。
自信を持って話せるようになるため
また面接練習をしておけば、自信を持って受け答えできるようになります。
練習・準備不足の場合、不安や焦りが生まれ、発言も消極的になってしまいます。
事前に面接練習をしておけば、準備不足による不安や焦りは解消されるでしょう。また本番を想定した道筋立った回答を用意しておくことで、自身の魅力や強みも自信を持って話せるようになります。
面接練習の手順
面接練習では、PDCAサイクルに則った次の4つの流れで練習に取り組んでみましょう。
1. 【Plan:計画】想定質問と回答を用意する
2. 【Do:実行】模擬面接を実施し内容を記録する
3. 【Check:評価】模擬面接内容を分析し改善点を探す
4. 【Action:改善】改善点をブラッシュアップする
この手順に則り改善を図っていけば、質の向上の実現につなげられるでしょう。
【Plan:計画】想定質問と回答を用意する
まずは、想定質問と回答を用意しましょう。
下記は、面接の場でよく聞かれる質問です。
- 自己紹介
- 転職を決意した理由
- 志望理由
- 自己PR
面接練習では、会話のトーンも意識してみてください。上記以外にも、面接でよく聞かれる項目について、自分なりの回答を用意しておきましょう。
【Do:実行】模擬面接を実施し内容を記録する
続いて、自分で想定質問を読みあげ、声に出して回答するような模擬面接を実施し、その様子を録画・録音などで記録しましょう。
録画をする際は、正面からと横からの2つのアングルから撮影すると良いでしょう。正面からは表情が確認できます。横からは受け答えする時の姿勢や全体の雰囲気を記録できるでしょう。
本番の面接でも、終了後すぐにどのようなやり取りをしたのかメモに控えておくこともおすすめです。
【Check:評価】模擬面接内容を分析し改善点を探す
記録した面接内容を確認し、改善点を探します。
この時、次の項目についてチェックしましょう。
- 姿勢
- 話し方
- 回答の内容
- 身振り手振り
- 視線
- 表情
面接練習では、回答内容に意識が寄りがちです。
しかし面接では、姿勢や表情、視線なども評価対象としてチェックされます。多角的に改善点を探してみましょう。
また回答シーンを文字に起こしてみるのも1つです。
「あー」「えー」などの無意味なつなぎ言葉の頻度を可視化できます。また理論的かつ建設的な回答になっているか一目で分かるでしょう。
【Action:改善】改善点をブラッシュアップする
改善点が見えてきたら、ブラッシュアップを図りましょう。
なおブラッシュアップを図る時は、改善点を紙に書き出しどのように改善していくのかまとめておくと良いでしょう。再度模擬面接を実施する時に、改善されているかチェックするための表としても活用できます。
面接練習は「いつから」「どのくらい」やれば良いのか
ここでは、面接練習を始めるタイミングと面接練習の量について解説します。
面接練習を始めるタイミング
面接練習は、目安として面接本番の2週間前から始めるようにしましょう。
また現職が忙しい人は、余裕を持って3週間ほど前から始めるようにすると良いでしょう。
2週間前から始めれば、納得できる程度まで前述のPDCAサイクルを繰り返すことができるはずです。
本番前1週間を過ぎてから面接練習に取り組む方もいますが、1週間程度では前述のPDCAサイクルを何度も繰り返すことは難しいでしょう。また面接に向けて情報収集する時間も必要です。準備不足のまま本番を迎えることになりかねません。
反対にさらに早い時期から面接練習を始める方もいますが、本番まで期間が空いてしまうと中弛みの原因になってしまいます。2週間ほどであれば、本番まで緊張感を持って質を高めていくことができるでしょう。
面接練習をする量
面接練習をする量の目安としては、前述のPDCAサイクルにおいて、改善点が見つからなくなるまでです。
どうしても面接練習に時間を割けない人は、最低でも4回模擬面接を実施すると良いでしょう。
1回目は、課題の可視化に努めましょう。
2回目では、1回目で可視化された課題の改善を図ります。
3回目では、課題が改善されたのか確認し、必要に応じてブラッシュアップを図ります。
4回目は、最終確認を行います。
上記の通り4回ほど練習すれば、課題が改善され、話し方や話す内容もほぼ固まった状態になるでしょう。
面接練習の方法
面接練習を行う際は、次のような方法があります。
- 一人で練習する
- 家族や友人に協力してもらう
- 専門家に依頼する
一人で練習する
面接練習は、一人でも取り組むことができます。
パソコンやスマートフォンを活用し、模擬面接の様子を録画しましょう。
録画後は自分が面接担当者の目にどう映っているか、どのような印象を与えているかチェックしましょう。
なお、チェックするポイントや改善の図り方は、前述で紹介した「面接練習の手順」を参考にしてみてください。
家族や友人に協力してもらう
可能であれば、家族や友人にも協力してもらいましょう。
家族や友人に面接担当者役を担ってもらい、本番を想定した自己紹介や質問を実施します。
気心が知れているだけに気が緩みがちになってしまうため、緊張感を持ちながら練習に取り組みましょう。
また面接後は、感想や意見を率直に述べてもらいましょう。
家族や友人に協力を仰ぐ際も、練習の様子を録画すると良いでしょう。
協力してくれた家族や友人と共に模擬面接を見返すことで、新しい改善点が見つかるかもしれません。
専門家に依頼する
転職ノウハウを持つ専門家に依頼するのも1つです。
専門家に面接練習を依頼できるサービスは、主に次の通りです。
- ハローワーク
- 転職エージェントサービス
- 転職イベント(※イベントによる)
- キャリアコーチング
いずれも担当者が面接担当者の視点に立ち、気になる点をアドバイスしてくれます。転職エージェントを利用している場合は、応募先企業の面接の特徴(面接の流れ、必ず聞かれる質問など)をふまえて練習できることもあります。
なおハローワークや転職エージェントサービス、転職イベントは基本的に無料で練習できることが多いため、積極的に活用していきましょう。キャリアコーチングは有料になるサービスもありますが、トレーニングを積んだコーチから徹底的に指導を受けられます。
効果的な面接練習をする際のポイント
効果的な面接練習にするために意識したいポイントは、次の3点です。
- 型通りばかりの練習は避ける
- 話す時間の長さを意識する
- 本番に近い環境・シチュエーションで練習する
質の高い練習になるよう、上記3点を意識してみましょう。
型通りばかりの練習は避ける
面接練習で型にはまった練習ばかり繰り返すことは避けましょう。
友人や家族と練習したり専門家に依頼したりと、様々な方法で練習してみることをおすすめします。
面接では、想定外の質問をされることも珍しくありません。せっかく練習を積み重ねてきても想定外の質問に慌ててしまい、本来の力を発揮できなくなってしまうこともあるでしょう。
様々な方法・シチュエーションで面接練習に取り組めば、面接に向けた引き出しも増え、柔軟性高く対応できるようになるでしょう。想定外の質問を受けたり、予想外のシーンに遭遇したりしても慌てることがなくなります。
話す時間の長さを意識する
自己紹介や質問への受け答えをする場合は、1項目につき1~2分程度に収めることを意識してみてください。話す時間の長さを意識することで、より簡潔かつ建設的な回答ができるようになります。
模擬練習をしている時は、自分なりに時間を意識しながら回答してみましょう。また録画で振り返る時は、どれくらいの秒数話しているのかカウントしてみてください。
必要以上に時間がかかっていると感じたら、さらに簡潔な回答にするために、不要な言葉を省くよう意識してみましょう。
本番に近い環境・シチュエーションで練習する
面接練習では、本番を想定したシチュエーションで練習することも大切です。
入室から退出までの一連の流れを実際に行うことはもちろん、面接担当者を相手に話しているシーンも再現するようにしましょう。
本番に近いシチュエーションで練習することで、面接の疑似体験ができます。疑似体験であっても面接へのイメージを醸成できれば、本番での緊張も和らぐでしょう。
中には、鏡を相手に練習をしたり、スマートフォンへの録音だけで終わらせたりする方もいますが、本番とかけ離れたシチュエーションでは面接シーンを連想できません。イメージが作れていないため、面接でもパニックになってしまったり、必要以上に緊張してしまったりする可能性もあるでしょう。
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。