近年は、面接会場に足を運ぶことなく面接が可能なWeb面接(オンライン面接)を実施する企業が増加しています。自宅や外出先にいながら面接できるため便利ではありますが、事前に準備しておかないと通信トラブルなどで満足のいく結果にならないケースもあるようです。
そこで、Web面接の流れや事前準備、注意点などを組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
Web面接とは?対面面接との違い
Web面接の概要と、対面面接との違いについて理解しておきましょう。
Web面接とは
Web面接とは、オンライン会議システムなどを使用してWeb上で行う面接を指します。面接を実施する企業が事前に面接用のURLを発行し、パソコンやスマートフォンから入室することで面接を実施することができます。使用するオンライン会議システムは応募する企業によって異なり、事前にシステムのダウンロードが必要なこともあります。
対面面接との違い
面接の流れや企業からの質問に、対面とオンラインでの違いはありません。Web面接は面接会場まで移動する必要がなく遠方でも実施することができるため、対面よりも転職活動が容易になったと感じる求職者の方も多いようです。一方で、通信環境に問題があった場合は、音声が聞き取れず十分にアピールできないなどのアクシデントが発生する可能性もあるので注意が必要です。
Web面接の流れ
応募企業からWeb面接の案内が届いた場合は、事前に流れを理解しておくと面接当日もスムーズに進めることができます。一般的なWeb面接の流れを解説します。
面接のURLを受信する
面接の日程が確定した段階で、応募企業からWeb面接のURLが送信されます。Web面接システムによっては、ダウンロードや更新などで入室までに思わぬ時間がかかってしまうことがあります。URLを受信したらアドレスを確認し、事前にダウンロードやインストールを済ませておくか、入室までの時間に余裕を持っておくと安心です。
入室する(ログイン)
面接時間の5~10分前には画面の前で待機しておきましょう。ログインは指定された時間で問題ありませんが、念のため2~3分前に入室しておくと安心です。
Web面接開始
面接担当者が入室したら面接開始です。「お時間をいただきありがとうございます。○○と申します。本日はよろしくお願いいたします」と挨拶しましょう。
退室する(ログアウト)
面接が終わったら、面接担当者がシステム自体を終了して自動的にログアウトするケースもありますが、面接担当者から「ご退室ください」と案内されることもあります。その場合は、「本日はありがとうございました」とお礼を伝えて退室しましょう。
事前に準備しておきたいもの
Web面接前に準備しておきたいものをまとめました。通信環境は、万が一のことを考えて複数準備しておくと安心です。
通信機器や備品の準備
通信機器や備品を準備しておきます。
通信機器(LAN、Wi-Fiなどのインターネット環境)
インターネットに接続するための通信機器を準備します。有線LAN、Wi-Fiなどを使用し、音声や映像が安定的に接続できるか確認しておきましょう。不安定になった場合に備えて、自宅のLAN回線やWi-Fiだけでなく、モバイルWi-Fiルーターやスマートフォンのテザリングなど、複数の接続方法を用意しておくと万全です。
パソコン・スマートフォン
Web面接を実施する端末を準備します。画面が大きく相手の反応が見えやすいパソコンを使用した方が面接はスムーズに進むでしょう。パソコンを使用する場合も、念のため手元にスマートフォンを置いておいた方が安心です。パソコンの通信環境が悪くなった場合に、スマートフォンのテザリングを使用したり電話面接に切り替えたりするといったリカバリーを図ることができるからです。
備品(Webカメラ・イヤホン・マイク、ライト、スタンド)
Webカメラやマイクが内蔵されていないパソコンを使用する場合は、外付けのカメラやマイクを設置しましょう。また、マイク機能付きのイヤホンを使った方が、相手の声が聞き取りやすくなり自分の声も届きやすくなります。
部屋が暗い場合はライトも準備するといいでしょう。表情が明るく映ります。また、スマートフォンを使用する場合は、端末を固定するためにスタンドを準備した方がいいでしょう。
場所の確保
落ち着いて面接を受けられる場所を確保することも重要です。自宅以外では、レンタル会議室などの安定したインターネット環境があり静かで人の出入りがない環境を選びましょう。初めての場所で面接を受ける場合は、念のため事前に通信環境や備品などを確認しておいた方が安心です。
応募書類
面接では、面接担当者が履歴書や職務経歴書といった応募書類を見ながら進みます。応募書類に書いたことを聞かれた際にすぐに答えられるように、送付した応募書類と同じものを手元に置いておくか、パソコンで表示できるようにしておくといいでしょう。
直前に確認したいこと
Web面接の当日に慌てないように、Web面接の直前に確認しておきたいことをご紹介します。
服装・身だしなみ
服装の指定がない場合は、Web面接も対面と変わらない服装で臨むとよいでしょう。スーツやジャケットを着用する場合は、画面では下半身は映りませんが、立ち上がる状況になる可能性もゼロではないため、上下ともに対面用の服装にしましょう。また、肉眼とWebカメラでは見え方や印象が異なるものです。画面だと服装や髪型、メイクがどのように映るのかチェックしておくといいでしょう。
明るさ・音声
カメラの性能や面接を受ける環境によって、画面自体が暗くなってしまう可能性があります。事前に明るく映ることを確認できていても、当日の天気や時間帯によって光の当たり方が変わり、逆光で暗くなってしまうこともあります。画面が暗いと表情が見えにくいため、意図が伝わりにくくなります。面接当日は照明をつけたり、暗い場合はライトを使ったりして画面の明るさに配慮しましょう。
Web面接に使用するオンラインシステムによっては、音声テストができる機能が設置されていることもあります。音声がきちんと届き、大きさが適切かどうかも確認しておくと万全です。
カメラ位置
カメラ位置も確認しておきます。胸の上から頭頂部までが画面に映る程度の位置に調整しておきましょう。また、姿勢やカメラの角度によっては、だらしなく見えてしまう可能性があります。適切なカメラ位置や角度に調整し、背景に余計なものが映り込まないように気をつけましょう。
Web面接での注意点
Web面接は自宅などで実施できるため便利ですが、オンラインならではの注意点もあります。
相手の反応を注視する
オンラインの場合、通信環境によっては相手の反応が少し遅れることがあります。その結果、会話のタイミングが合わせにくく同時に会話を始めてしまったり、お互いに譲り合ってしまったりすることもあります。相手の興味や反応を表情から読み取ることも、対面よりは難しくなるでしょう。Web面接では、相手の反応や表情をできるだけ注視しながら会話を進めることが大切です。
ゆっくり、はっきりと発言する
面接はただでさえ緊張しやすく、アピールすることに集中して早口になってしまう傾向があります。さらにオンラインの場合は、相手の反応や表情だけでなく、音声も聞き取りにくいことがあります。Web面接では意識的にゆっくり、はっきり発音し、聞き取りやすさを重視しましょう。
メモや飲み物は了承を得る
Web面接では、パソコンを開いた状態で面接が始まるため、その流れでメモを入力したり、手元に置いた飲み物を自宅にいる感覚で飲んでしまったりするケースがあるようです。ただし、オンラインというだけで面接の場であることに変わりはないため、メモや飲み物は面接担当者に了承を得てから始めるようにしましょう。面接担当者によっては失礼に感じる可能性があります。
トラブルが発生した場合の対処法
Web面接中にトラブルが発生した場合の対処法です。会話ができない場合は、Web面接システムのチャットや電話、メールなどを活用して相手との連絡を試み、慌てず冷静に対応しましょう。
サブデバイスを活用する
パソコンでの通信が不安定になったらスマートフォンに切り替えるなど、トラブル発生に備えてデバイスや通信環境は複数用意しておいた方が安心です。
ログアウト/再起動する
Web面接システムに不具合が生じたという可能性も考えられます。面接担当者に「一度、ログアウトしてもよろしいでしょうか?」と断り、退室して再入室してみましょう。それでも不安定な状態が続く場合は、パソコンを再起動することで回復することもあります。その場合は「申し訳ございませんが、再起動するので数分お待ちいただけますでしょうか」と伝えましょう。
復帰しない場合は面接の再設定を相談する
不安定な状態が続き、面接の続行が不可能な場合は、時間の無駄となってしまいかねないため面接の再設定を相談してみましょう。
Web面接に関するよくあるQ&A
Web面接に関するよくある疑問にお答えします。
Q.Web面接で好印象を与えるコツはある?
A. あいづちなどのリアクションを普段より大きめにするといいでしょう。話に集中していること、興味を持って聞いていることが伝わりやすくなります。
また、慣れない画面越しの対話では、伝えたいことが伝わりにくく感じたり、言葉に詰まったりすることもあります。面接中に沈黙が続くと「接続が切れた?」と相手が不安になってしまいます。落ち着いて話をするためにも、伝えたい要点をあらかじめ整理し、メモに書き留めて用意しておくといいでしょう。
Q.音声が途切れて質問が分からなかった場合は何と伝えればいい?
A. Web面接で聞き取りにくくなることはよくあることなので、遠慮して聞こえたふりをするのではなく、すぐに「申し訳ありません。音声が途切れて聞き取れませんでしたので、もう一度お願いします」と聞き直しましょう。
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。