
最終面接・役員面接で「何か聞きたいことはありますか?」という逆質問を受けたら、どのように対応すればいいのでしょうか。企業が逆質問をする意図、最終面接での逆質問の一例、あまり推奨されない逆質問の一例、企業に好印象を持たれやすいポイントなどについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
目次
最終面接で企業が逆質問をするのは何のため?
最終面接の場で、企業が逆質問をする目的は、当然ながら企業によって異なります。多くの場合、主な目的は「応募者の疑問や不安を解消するため」ですが、どのような逆質問がなされるかによって、次のようなポイントを判断しているケースもあります。
- 自社の事業や仕事についてしっかり理解しているか
- 自社への興味、入社意欲がどれほど強いか
- 自社で活躍、貢献してくれそうか
- 応募者が目指す方向性と自社の方向性が一致しているか
つまり、応募者側にとっては、逆質問をすることにより「企業への理解」「入社意欲」「入社後の活躍・貢献意欲」などをアピールするチャンスともいえるでしょう。
最終面接の逆質問の20例
最終面接の逆質問の例を、テーマ別にご紹介します。こちらを参考に、状況に応じてアレンジして活用してみてください。
【経営方針・経営者の思い】に関する逆質問の例
「社長のインタビュー記事を拝見したところ、事業改革・風土改革を推進していくとおっしゃっていました。なぜそのお考えに至ったのか、背景をお聞かせいただけますか」
【企業理念・ビジョン】に関する逆質問の例
「御社が掲げるミッション・ビジョン・バリューの中でも、○○○○○というお考えに強く共感しています。○○○○○は、具体的にどのような場面で体現されているのでしょうか」
【組織風土・社風】に関する逆質問の例
「御社のホームページを拝見し、部署・職種の枠を越えたつながりを重視されているとお見受けしました。これまでも勉強会やイベント、社内横断プロジェクトなどを通じて社内コミュニケーションを促進されてきたようですが、今後、コミュニケーション活性化のために計画されている新しい施策などはあるのでしょうか」
【事業戦略】に関する逆質問の例
「同業他社では、最近、○○○に取り組む動きがあるようです。御社でも○○○に取り組まれる計画はあるのでしょうか」
【会社の制度・仕組み】に関する逆質問の例
「近年、従業員エンゲージメントスコアが上昇していると伺いました。その背景には、新しい制度や仕組みなどの導入があったのでしょうか」
【自己成長につながるキャリアパス】に関する逆質問の例
「私の同年代で○○部門に中途入社した方が、入社2年目で新規プロジェクトのリーダーに抜擢されたと伺いました。私も早く実績を挙げてプロジェクトをリードする立場に立ちたいと思いますが、社長の目線で、どのような能力を特に評価するのかをお聞かせいただけますでしょうか」
【面接担当者の考え方】に関する逆質問の例
「○○○(事業・商品サービス・組織風土・人事制度・労働条件など)において、他社とは大きく異なる、御社ならではの強みや魅力とはどこにあるとお考えでしょうか」
最終面接にける逆質問のNGな質問例
最終面接の場で、次のような逆質問をすると、マイナス印象を抱かれる可能性がありますので注意しましょう。
- ホームページや採用ページなどを見れば、すぐにわかるような質問
- 漠然としすぎていて、相手が答えにくい質問……「御社の一番の強みは何ですか」など
- 人事担当者や配属予定部署の担当者に聞くべき質問……「具体的な仕事の進め方」「使用するツール」「残業時間」「評価制度」「福利厚生」など
- 仕事に関係がない、興味本位の質問……「休日はどう過ごしているのですか」「趣味は何ですか」など
最終面接で逆質問をするときの注意ポイント
経営層が相手であるだけに、今後の事業計画や将来ビジョンに関わる質問をするケースも多いと思います。しかし、「現段階ではまだ公表できない」など、率直に答えにくいこともあるでしょう。
そこで、「お答えいただける範囲で結構ですので~」「さしつかえなければ教えていただきたいのですが~」など、配慮の一言を添えて質問するといいでしょう。
「ありません」と答えることはNG?
何か質問があるかを聞かれたときに「ありません」と答えることは、必ずしもNGというわけではありません。「これまでの面接で丁寧にご説明いただきましたので、気になる点は解消されています」といったように答えても構いません。
「何か質問しなければ」と、無理やり考えて的外れな質問をしてしまうよりは、正直にそう伝えたほうがいいでしょう。
ただし、「興味が薄いのか」「志望意欲が低いのか」などと、がっかりされる可能性もあります。なるべくなら5つ程度の質問を用意しておき、時間を見て2~3つほど尋ねるといいでしょう。
最終面接で企業が興味を持つ逆質問のポイント
最終面接の場で、企業から好印象や期待感を抱かれやすい逆質問をするためには、次のポイントを心がけてみてください。
経営ビジョンやトレンドを研究して質問を準備する
最終面接では経営層が面接相手となることが多いため、視座が一段高い情報をキャッチアップしておき、その中で興味を抱いたテーマで質問を考えてみるといいでしょう。
例えば、次のような情報を集めてみてください。
- 応募先企業のプレスリリースやIRページなどから、今後の事業計画を調べる
- ホームページに掲載された「理念」「ミッション・ビジョン・バリュー」「パーパス」「クレド」などから、企業が大切にしている価値観やビジョンを知る
- メディアに掲載された社長インタビュー記事や経営メンバーのSNSなどから、事業へのこだわりや思いを知る
- 経済ニュースなどから、業界のトレンドを知る
なぜその質問をしたのか、理由や自己PRを考えておく
入社後に自身が取り組むイメージ、貢献できるイメージを描けている質問であれば、「意欲がある」とプラス評価を得られるかもしれません。質問して「なぜそれを知りたいのか?」と聞き返された場合、明確な理由を答えられる質問を用意することが大切です。
また、一方的に質問するだけでなく「私はこう考えています」と、自身の意見を加えて伝えるのもいいでしょう。
最終面接の逆質問で悩んだら転職エージェントに相談してみよう
逆質問は、自分が気になっていることをクリアにするだけでなく、自身の意欲をアピールするチャンスでもあります。しっかり準備して、このチャンスを活用しましょう。
転職エージェントでは、応募先企業がどのようなことに力を入れているか、大切にしているかといった情報を得られることもありますので、それに沿った質問を用意してもいいでしょう。
応募企業を深く理解するためにも、転職エージェントが持つ情報を活用してみるのも一案です。
【参考記事】
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。