
「転職の面接に落ち続けてしまってつらい」「なぜ面接に落ちるのか理由がわからない」と悩んでいる人もいるでしょう。面接に落ちる理由を分析し、改善を図ることで通過率が高まる可能性があります。一次・二次・最終面接で落ちる理由と対処法、面接の通過率アップにつながる準備・対策について、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
一次・二次・最終面接で落ちる理由と対処法
面接全般と、一次・二次・最終面接それぞれについて、落ちる理由として考えられることをご紹介します。もちろん企業が選考で重視するポイントは多様であり、これから紹介するものだけが落ちる理由とは限りません。また、複数の要素が重なって不採用と判断されていることもあるでしょう。
しかしながら、以下の要素がマイナス評価につながっている可能性もあるため、自身の面接を振り返って照らし合わせ、対処法を試してみてください。
すべての面接で考えられる落ちる理由
面接全般を通じ、面接担当者がマイナス印象を抱くと考えられるのは、次のような応募者です。
- 社会人としてのビジネスマナーに欠けている(挨拶がしっかりできていない、など)
- 服装や身だしなみがだらしない
- 面接担当者の質問に的確に答えていない
- 表情が暗い、ネガティブな表現が多い
これらは、「ビジネスとしての基本ができていない」「入社意欲が低い」といった印象につながります。
対処法
寝癖や服のシワなどに注意し、清潔感ある身だしなみを心がけましょう。ビジネスシーンでの言葉遣いや振る舞い方、面接の基本マナーなどを把握しておくことも大切です。
なるべく明るい表情ではきはきと話せば、好印象を持たれるかもしれませ。鏡の前で話す練習をしたり動画を撮影して確認したりして、自分の表情や話し方を客観的に見て改善を図りましょう。
質問に的確に回答するためには、事前準備が必要です。面接でよくされる質問項目について、伝えたい要点をまとめておくといいでしょう。
一次面接で落ちると考えられる理由
一次面接は、採用部門の担当者、あるいは人事担当者が行う傾向にあり、「採用ポジションに必要な経験・スキルを持っているか」「職場になじめそうか」などを中心に確認しています。
経験・スキルが足りていない、あるいは持っているのにしっかりと伝わらないと、「入社後の活躍イメージがつかない」と判断されるかもしれません。また、仕事に対する価値観や取り組み姿勢などが自社の社風と合っていない場合も、採用を見送られる可能性があります。
対処法
自身の経験を棚卸しし、身に付けたスキルや強みを整理し、言語化しておきましょう。「○○部門で○○業務を担当していました」だけで終わらせず、「○○の経験・スキルを強みとしているので、それを御社で活かせる」と伝えることが大切です。
また、「社風に合わない」と判断される場合、そもそも企業選びを見つめ直してみる必要があるかもしれません。
「経験・スキルが活かせる」「条件・待遇が魅力的」「成長性がある」といった基準だけでなく、「理念や仕事に対する価値観に共感できるか」という視点でも企業を見て志望企業を選ぶといいでしょう。
二次面接で落ちると考えられる理由
二次面接では、一次面接で得た情報や評価をもとに、より深く掘り下げた質問がされる傾向にあります。面接担当者が採用部門の責任者などである場合は「業務経験・スキル」について、人事担当者であれば「人物面(仕事に対する価値観・志向)」について、より細かく確認されると言えるでしょう。
一定レベル以上の経験・スキルがあることを確認して一次面接を通したものの、さらに具体的な話をしたときに「入社後の活躍をイメージできない」と思われると、採用を見送られることがあります。
また、面接担当が人事担当者の場合、「組織にプラスの影響を与えてくれるか」「すぐに辞めず、長く働き続けてくれるか」も重視されるでしょう。そのため、「成長意欲」や「志望度」が高くないと判断した場合、不採用となる可能性があります。
対処法
経験・スキルについては、これまでの成功体験の具体的なエピソードを語れるようにしておきましょう。
目標達成や課題解決に向けて「どのような戦略を立てたか」「どのような行動・工夫をしたか」「壁をどう乗り越えたか」などをストーリー立てて伝えること、「自社でも再現してくれそうだ」という期待を持たれる可能性があります。
また、面接担当者が納得のいく「志望動機」を語れることも重要です。そのためには企業研究をしっかりと行い、自身にとってその企業で働く魅力、目指したいキャリアを明確化するようにしましょう。
なお、一次面接で話したことと内容がちぐはぐにならないよう、一貫性を持たせることも意識してみるといいでしょう。
最終面接で落ちると考えられる理由
一次~二次面接では、「採用ポジションの業務を遂行できるか」が主に見られるのに対し、最終面接では「中長期的な活躍・成長・貢献」の可能性に注目されることが考えられます。そのため、「入社後に目指す姿」を明確に答えられない場合、「成長する力・意欲」に不安を抱かれかねません。
また、最終面接まで進んだ段階で「ほぼ合格」と思い込み、油断してしまう人もいます。一次面接・二次面接では謙虚な姿勢だった応募者が、最終面接では強気の姿勢で年収交渉を持ちかけるなど、ギャップに不信感を持たれるケースも見られます。
対処法
入社後、自身がどのように成長し、どのようなキャリアを築いていきたいのか、中長期的視点でビジョンを描いてみましょう。それを言語化し、面接で伝えられるようにしておくといいでしょう。
最終面接まで進んでも、採用が確定しているわけではありません。一次・二次面接で好感触を得たとしても、油断は禁物です。企業研究によって応募企業への理解をさらに深め、経験・スキルをどのように活かしたいのか、どのような風土や文化に魅力を感じているのかを伝えられるように準備しましょう。
一次・二次面接の面接担当者から聞いた話も踏まえ、入社意欲が高まっていることも伝えてもいいかもしれません。
面接担当者が出す「落ちるフラグ」ってあるの?
「面接時間が短すぎる」「面接担当者がそっけない態度」「希望年収や入社日について聞かれない」などを「落ちるフラグ」と捉える人もいますが、そうとは限りません。面接方針や面接担当者にもよるため、採否のサインを見極めるのは難しいでしょう。
近年は企業が候補者体験(CX)や採用ブランディングを意識し、面接中の応募者への対応を慎重に行う傾向があり、「落ちるフラグ」も見えにくいと言えるでしょう。
面接時間が長いからといって、内定が期待できるわけもありません。面接時間が長引くのは、必ずしも企業が応募者に興味を持っていたり高く評価していたりするからではなく、「面接担当者が面接に慣れていない」「応募者の回答に不明点があり質問を重ねる」「評価に迷いがあり質問数が増える」「応募者側の話が長い/質問が多い」といったこともあります。
面接の通過率を高める準備・対策
面接の通過率を高めるために役立つ準備・対策のポイントをご紹介します。
転職の目的を明確にする
転職によって何を実現したいのか、目的を明確にしましょう。転職を考えたきっかけが「不満を解消したい」「現状から逃げたい」であったとしても、「○○がやりたい」「○○を目指したい」というポジティブな目的を掲げることが大切です。それを「志望動機」と結び付けて語ることで、面接担当者の納得を得やすくなるでしょう。
自身の経験・スキル・実績を棚卸しする
過去の経験・スキル・実績を棚卸しして、自分の強みを整理しましょう。その上で、応募企業の業務や働き方を想定し、どのような場面で強みを発揮できるかを考えます。より説得力を持たせるために、強みを裏付ける具体的なエピソードを語れるように準備しておきましょう。
自分にマッチする企業を探す
企業を選ぶ際、知名度・将来性・待遇などだけでなく、「自身の経験・スキルを活かせるか」「自身の仕事に対する価値観や志向に合うか」を考えてみてください。それらがマッチする企業を選び、面接で伝えることにより、企業側も入社後の活躍のイメージを描きやすくなるでしょう。
企業の視点で自分を採用することのメリットを考える
企業側のニーズも意識し、「応募企業にとって自分を採用するとどのようなメリットがあるのか」を考えて伝えることも重要です。応募企業で活かせそうな経験を振り返り、具体的に語れるエピソードを探してみましょう。
面接ではエピソードを交えながら、その企業で活躍・貢献できるポイントを語れるようにしておくとよいでしょう。
面接の練習をきちんとしておく
面接に向けて、整理した内容をきちんと話せるように練習しておきましょう。動画撮影などで自分が話す様子をチェックして、まとまっていないポイントや声のトーン、表情、口癖などを改善してみてください。
面接の冒頭で「自己紹介」を求められることもありますので、「氏名」「現職(前職)での仕事内容」「応募職種で発揮できる自分の強み」などのポイントを、1分程度以内にまとめておくことをお勧めします。
応募書類に書いた内容を面接前に振り返っておく
面接では、応募書類に書いた内容を掘り下げて聞かれる可能性が高いでしょう。応募書類に書いた内容と一貫性がない回答をした場合、マイナス印象を抱かれかねません。書類に書いた内容を確認し、より具体的な回答ができるように準備しておきましょう。
転職エージェントを活用してアドバイスをもらう
転職エージェントを活用すると、経験・スキルの棚卸しのサポートや面接対策のアドバイスが受けられたり、模擬面接で面接の練習ができたりすることもあります
また過去の実績から、応募企業の面接担当者がどのような人物か、面接で何を聞かれるか、選考で何を重視しているかなどの情報を得られることもあります。面接通過率を高めるために、転職エージェントのサポートを受けてみてはいかがでしょうか。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。