転職活動の応募書類である履歴書と職務経歴書には、経歴や略歴を記載します。では、略歴はどのように書けばいいのでしょうか。そこで、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に、応募書類に記載する略歴の書き方のポイントについて解説いただきました。略歴の書き方の見本もご紹介しているので、応募書類作成の参考にしてみてください。
「略歴」とは?
略歴とは、これまでの経歴を分かりやすく略して記載したものです。
素早く採用担当者に興味を持ってもらうために、職務経歴書の冒頭に略歴欄を設けて、3行程度でどのような経歴の人物なのかをアピールすることが重要になります。
経歴との違い
経歴とは、略歴よりも詳しくこれまでの学業や仕事の経験を記載するものです。履歴書には学歴と職歴を時系列で記載する欄があるため、一般的に経歴は履歴書を作成するときに記載します。
一方、略歴は職務経歴書の冒頭で採用担当者に素早くアピールするために記載するケースが一般的です。採用担当者は日々多くの書類に目を通しており、内容量の多い職務経歴書に目を通すのは大変な作業です。そのため、略歴を記載して自分の経験を簡単に伝えます。
プロフィールとの違い
プロフィールは経歴と同じような意味を持つため、略歴よりもさらに詳しい学歴や職歴などを表します。その人の人となりや人物評価という側面も持っており、この点においても略歴と異なるのです。
略歴の書き方・見本
略歴を書く前に、まず履歴書用に経歴を時系列で書き出しましょう。最初に入社した企業から、直近まで勤務した企業をもれなく記載します。そして、履歴書用に書き出した経歴に加えて、職務経歴書の職歴用に部署名や役割、プロジェクト内容や実績、工夫した点などを追加していきます。職務経歴書の経歴を作成したら、代表的な経歴と特にアピールしたい点を分かりやすくまとめて略歴を作成します。
経験が1社のみの見本
複数社経験しているときの見本
離職期間があるときの見本
箇条書きで書くときの見本
略歴を書く際のポイント
略歴を書く際の書き方のポイントをまとめました。略歴は、採用担当者に興味を持ってもらう「掴み」の役割を果たします。経歴をイメージできて読みやすい文章を心掛けましょう。
正式名称を記載する
応募書類に記載する社名や部署名などは、必ず正式名称を記載しましょう。省略してしまうと、異なる企業と混同されてしまったり、誤解を生じたりする可能性があるからです。
西暦か和暦のどちらかで統一する
応募書類には、日付や年月を入れる項目が複数あります。応募書類に記載する日付は西暦でも和暦でも構いませんが、必ずどちらか一方に統一するようにしましょう。
数字は算用数字で統一して書く
日付や年月、実績や人数など、応募書類に記載する数字は「一、二、三」といった漢数字ではなく「1,2,3」のように算用数字で統一して記載しましょう。
虚偽の情報を書かない
「社数が多く在籍期間が短い」「ブランク期間がある」「アピール不足かもしれない」など、企業からの評価を意識するあまりに、事実と異なる業務内容や実績などを記載するケースがあります。これは経歴詐称を疑われてしまう恐れがあり、もし嘘が明らかになった場合は内定を取り消される可能性があります。虚偽が明らかにならなかったとしても、後ろめたい思いをしながら面接を受けるのは避けたいものです。応募書類に事実ではない情報を書かないよう注意しましょう。
人物像をアピールしやすいようにまとめる
履歴書の経歴は所属企業を時系列で記載していきますが、略歴の場合は採用担当者に興味を持ってもらうために、所属企業だけでなく部署名や得意分野など、アピールを交えてまとめるのがポイントです。求人に記載されている「求める経験・スキル」「人物像」などを確認し、共通点となるような内容を盛り込むと効果的でしょう。
応募書類の書き方は転職エージェントに相談しよう
履歴書はアルバイトの応募時などで書いた経験を持つ方が多いのですが、職務経歴書は転職を経験しないと書く機会がありません。そのため「どのようにまとめていいのか分からない」「アピール方法が分からない」など、職務経歴書の作成に苦戦する方も多いようです。
転職エージェントは、応募書類の添削を行っているため、職務経歴書の略歴の書き方についても、適切なアドバイスを受けることができます。採用担当者に伝わる効果的な応募書類を作成し、書類選考の通過を目指しましょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。