Web面接を受ける際に「メモを使ってもいいのか」「企業が知ったら選考に影響するのか」「企業が見てることに気付かない作り方や置き方が知りたい」と考えている人もいるでしょう。組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏に、Web面接でメモを使う際の考え方や、注意したいポイントをお伺いしました。Web面接のよくあるQ&Aも紹介するので、参考にしてみましょう。
Web面接でメモを使うのは問題ない?
Web面接でメモを使うことに対し、企業や面接担当者の考え方はそれぞれ異なるものです。「ビジネスのプレゼンでもメモや資料を使用している」と考え、同様に受け止めるケースもあれば、「面接準備をきちんとしていない」としてマイナスな印象につながるケースもあります。
企業がどのような判断をするか不明であり、また、対面の面接ではメモを見ずに面接を行うことが多いので、Web面接も同じスタンスで受ける方が望ましいしょう。しかし、メモを見ることで、伝え漏れを防ぐことができたり、緊張しにくくなったりするケースもあります。どうしても不安な場合は、あくまで補助ツールとしてメモを用意する方法もあるでしょう。
メモを使っていることが知られたら選考に影響する?
メモを使うことによって「準備不足のため、入社意欲が低いように見える」「人柄や熱意が伝わりにくい」「受け答えが不自然なため、違和感がある」「面接に集中していない印象を受ける」と感じる面接担当者もいる可能性もあります。選考にマイナスの影響を与える可能性がないとは言えません。
また、メモを使ってうまく受け答えができても、自分のスキルや経験、適性をしっかり伝えることができなければ選考を通過することが難しい可能性もあり、本末転倒になってしまいます。
メモに書いた内容をそのまま読み上げるのではなく、面接で伝えたいキーワードや要素を確認するために活用するとよいでしょう。
メモを使っていることが企業がわかるケース
面接中にメモを使っていることが企業がわかるケースを紹介します。
目の動きや顔の向きが不自然
Web面接では目線をカメラ位置に置くため、手元に置いたメモをチラチラと見ている場合は、目の動きが不自然になってしまいます。また、メモを見るためにうつむきがちになるなど、顔の向きが不自然なことでわかるケースもあります。
質問によって受け答えのスピードや熱量が違う
面接ではさまざまな角度から質問されるものなので、メモを用意していない質問もされるでしょう。メモを用意していない質問に対し、受け答えのスピードが遅いことからわかるケースもあります。また、あらかじめ用意していた回答を見ながら話すのと、その場で考えながら答える回答では、熱量にも違いが出てしまうでしょう。
話し方の抑揚やトーン、感情表現に違和感がある
メモをそのまま読み上げる場合は、話し方の抑揚やトーンに違和感が出てしまいます。
また、メモを用意している質問のみ、詰まったり考えたりせずにスラスラと話す場合も違和感を与える可能性があります。どちらの場合でも、感情表現が乏しくなってしまうことでわかるでしょう。
質問への回答内容にズレがある
「メモを用意した想定質問」と「面接担当者の質問」が全く同じとは限らないため、無理やり回答を当てはめて答えれば、質問と回答内容にズレが発生してしまうでしょう。面接ではより深掘りした質問をされるため、最初だけスラスラ答えることができても、やがて回答に詰まってしまうケースもあり、そのギャップでメモを見ていることがわかる可能性もあります。
メモの作り方・置き方のポイント
補助ツールとして使うメモの作り方・置き方のポイントを紹介します。
メモの作り方
メモの作り方のポイントを紹介します。
要点とキーワードのみでメモを作成する
長文の回答をメモに書き、目で追い続けながら質問に答えれば、不自然な印象を与えてしまいます。想定質問に対して「自分が伝えたいこと」を整理し、要点やキーワード、話す順番などを書き込む程度とし、緊張して何を伝えればいいか忘れてしまった場合や、伝え漏れを防ぐために見るものとしましょう。
付箋や紙、wordファイルなどで作成する
キーワードや要点を付箋に書き込んだり、パソコンで作成したものを紙にプリントアウトしたりする作成方法があります。また、wordファイルやメモ帳ツールなどで作成し、パソコン上に表示しておく方法もあります。スマートフォンのメモ帳機能を使うケースもありますが、操作手順に気を取られ、カメラから目線が外れる時間が長くなるので、避けた方が無難でしょう。
メモの置き方
メモの置き方・置く位置のポイントを紹介します。
付箋のメモはカメラ位置の横などに貼る
メモを手元に置く場合、カメラ位置から目線が外れたり、俯きがちになったりすることで不自然な印象を与えてしまいます。カメラ位置の横にキーワードをメモした付箋を貼ることで、メモを確認する際にも目線の高さを変えずに済むでしょう。
紙のメモはカメラの周辺に固定する
紙で作成する場合は、カメラの周辺に固定しましょう。カメラの後ろの位置に置いたり、カメラのすぐ脇のパソコン画面の上などに貼ったりすることで、目線が外れにくくなります。
Wordファイルは画面分割機能を使う
Wordファイルやパソコンのメモ帳機能で作成したメモは、パソコンの画面を半分に分け、面接ツールの画面と並べて表示する方法があります。Web面接の画面と並べることができるため、目線の高さを変えずに済みます。スクロールなどのPC操作をする必要がないよう、一枚で表示できるような内容にしておく方法もあるでしょう。
Web面接でメモを使う際に注意したいこと
Web面接でメモを使う際に注意したいことを紹介します。
メモの内容をそのまま読まない
先にも述べたように、メモの内容をそのまま読めば、声のトーンや感情表現などに違和感が出てしまいます。あくまで、伝えたい要素の確認や、伝え漏れがないかどうかを確認する際に使うものと考えましょう。
目線を動かし過ぎない
メモの内容を確認するために目線をチラチラと動かせば、面接担当者にメモを見ていることが知られてしまうでしょう。不自然にならないように、自分がメモを確認する際にどのような見え方をするのか、動画に撮るなどで確認してみる方法もあります。また、zoomなどのオンラインツールで友人や家族にチェックしてもらい、客観的な改善点を教えてもらうこともできます。
身振り手振りや話す際の熱量を意識する
メモで話す要素を確認することに気を取られ、身振り手振りなどがおろそかになったり、声のトーンに抑揚がなくなったりしてしまうケースもあります。メモを確認しながら、身振り手振りや熱量を意識して回答する練習もしておくと安心できるでしょう。
メモを使っていることが知られたらどうすればいい?
メモを使用していることについて、面接担当者から指摘を受けた場合は、隠したり、ごまかしたりしない方がいいでしょう。取り繕うことで、印象が悪くなったり、信頼できないと思われたりする可能性があります。
正直に「お伝えしたいことをまとめた資料を用意しております」「伝え漏れがないように、メモを確認しております」などと伝えた方がいいでしょう。また、知られることが不安な場合は、あらかじめ「面接で緊張しやすいので、回答の際に提出した応募書類を確認させていただくかもしれません」などと伝えておくこともお勧めです。
「メモを使うことが不安」「Web面接を受けるのが初めて」という場合は?
転職エージェントを活用し、模擬面接などの面接対策を受けることがお勧めです。転職エージェントでは、応募書類の作成から面接対策までサポートを受けられます。全体の流れを確認しながら、マナーや注意ポイント、話す内容までプロの視点で客観的なアドバイスをもらえるので、Web面接を受けたことがない場合でも安心できるでしょう。また、きちんと面接対策をすることで、メモを使わずに自信を持って面接を受けることができるかもしれません。
Web面接でよくあるQ&A
最後に、Web面接でよくあるQ&Aを紹介します。不安や疑問の解消に役立てましょう。
Web面接のやり方は?
Web面接では、応募企業から指定されたオンラインツールを使用します。面接を受ける際には、ツールのダウンロードや必要な機器の準備、通信環境の確認などが必要なため、きちんと準備しておきましょう。
Web面接で気をつけたいマナーは?
対面の面接と同様に、余裕を持って臨むことが大事です。3〜5分前には待機室に入室しましょう。面接担当者が入室前の場合はそのまま待機し、入室後に挨拶します。面接終了時にはお礼の言葉を述べてから接続を切りましょう。
Web面接の最初の一言は?
最初に挨拶と面接時間を割いてくれていることに対するお礼を述べ、応募職種、氏名を伝えてから「本日はよろしくお願いいたします」と述べましょう。
Web面接では何を聞かれる?
Web面接で聞かれることは、対面の面接と違いはありません。自己紹介、転職理由、志望動機、自己PRなど、よくある質問を確認しておくと良いでしょう。
Web面接のカメラ位置は?
Web面接のカメラは、胸から上が入るような位置にしましょう。どこまで映るのかを事前に確認の上、遠過ぎたり、近過ぎたりしないように注意し、背景を壁にするなど、余計なものが映り込まない場所を選ぶことも大事です。
Web面接ではイヤホンを使ってもいい?
イヤホンを使うことに問題はありません。心配なら「イヤホンを使ってもよろしいでしょうか」と冒頭で許可を取ると良いでしょう。ただし、大きすぎるヘッドセットなどは、面接担当者に違和感を与える可能性があるので、避けたほうが無難です。
Web面接の最中に、スマホのアプリ通知音が鳴ったらどうすればいい?
スマートフォンを使う場合でも、パソコンを使う場合でも、面接の前にほかのアプリの通知は全て切っておくように注意することが大事です。通知を切り忘れ、通知音が鳴ってしまった場合は、「メールアプリの通知を切ることを失念しており、失礼いたしました。通知を切らせていただきます」と伝えてからアプリの通知を切りましょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。