「仕事に行きたくない」「会社が嫌」「このまま家にいたい」などと感じた時、どうすればいいのかわからないまま悩んでしまう人もいるでしょう。組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏が、仕事に行きたくない理由と乗り切るための対処法、モチベーションの上げ方などについて解説します。
目次
「仕事に行きたくない…」は当たり前? 働くことにストレスを感じている人は多い
「仕事に行きたくないと思うこと自体が甘えなのでは?」と悩んでしまう人もいるようですが、「仕事に行きたくない」と感じるのは珍しいことではないかもしれません。
厚生労働省が発表した「令和5年労働安全調査」によれば、現在の仕事や職業生活に関することで「強い不安・悩み・ストレスだと感じる事柄がある」と回答した労働者の割合は82.7%を占めています。つまり、全体の8割超が働くことにストレスを感じていると言えるでしょう。
また、ストレスを感じる内容については、最も多かった回答は「仕事の失敗、責任の発生等」(39.7%)で、以降は「仕事の量」(39.4%)、「対人関係」(29.6%)、「仕事の質」(27.3%)という順になっていました。
出典:「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)_個人調査」(厚生労働省)
「仕事に行きたくない」と感じるケースでよくある理由
仕事に行きたくないと感じるケースでよくある理由を紹介します。
入社したばかりで仕事や職場に馴染めていないから
入社して間もない時期は、仕事や職場の人間関係に馴染むことができず、「仕事に行きたくない」「会社が嫌」と感じてしまうケースがあるようです。入社後、しばらく経っても馴染めていない場合は、職場で孤立していると感じることもあるようです。
仕事がつまらないから
「そもそもやりたい仕事ではない」「仕事がつまらないため、やりがいを感じられない」というケースもあります。入社数年後などに「自分には合わない仕事だった」と感じる人もいるでしょう。また、異動によって希望に合わない業務を担当することになった場合や、仕事内容より待遇などの条件面を重視して転職先を選んだ場合などにも見られる傾向です。
仕事量が多く、疲弊しているから
残業や休日出勤などが多く、忙しさで疲労が溜まったと感じることもあります。労働環境が悪かったり、管理職やリーダーポジションなどに就いたために業務量が増えていたりするケースが挙げられます。また、入社後や異動後に、 一人で一定以上の仕事量を任されるようになった時期なども業務量に負担を感じるケースがあるようです。
仕事の責任が増えてストレスを感じるから
自分の責任が増えたり、大きな案件を任されたりするなどで、プレッシャーからストレスを感じてしまうケースがあります。。「業務範囲が広がった」「管理職やリーダーなどのポジションに昇格した」「規模の大きな案件や、会社にとって重要な案件を任された」などの場合に当てはまりやすい理由と言えるでしょう。
給与や待遇などに不満があるから
給与や待遇に対する不満があるケースに加え、今後のキャリア・会社の成長性などに不安を感じてしまうケースもあるようです。現職の会社で納得できるような給与・待遇を得られていない場合や、将来に対する可能性を見出せない場合などに見られる傾向です。
仕事にうまく対応できない自分が辛いから
仕事におけるミスが多かったり、成果を出せていなかったりすることで、「自分にはこの仕事は向いていない」と感じてしまうケースもあります。入社から間もなかったり、異動などで部署や業務領域が変化したりすることで仕事に慣れていない場合や、自分の経験・スキルに合わない転職先を選んだ場合などに見られるケースと言えるでしょう。
職場の人間関係が嫌だから
職場に苦手な人物がいたり、上司や同僚との人間関係に悩んでいたりするケースです。上司や同僚、顧客、取引先などで、相性が合わない人がいる場合は、日々接することがストレスになっている可能性があります。「苦手な人がいるために仕事に行きたくない」「同じ職場で働くことが辛い」と感じてしまう人もいるでしょう。また、異動先や転職先の職場に馴染めない場合なども、人間関係でストレスを感じやすいかもしれません。
通勤時間にストレスを感じるから
通勤ラッシュや勤務先への移動時間など、通勤すること自体を苦痛に感じているケースもあります。テレワークができる会社から、出社が前提の会社に転職した場合などもストレスを感じて「朝、仕事に行くことが憂鬱になってしまった」というケースもあるようです。
休み明けで家にいたいから
休日や長期休暇が明ける際に、「このまま家にいたい」と感じるケースもあります。休日が明ける前の夜などに、気持ちを切り替えられずに憂鬱になってしまうこともあるでしょう。特に長期休暇が終わる終盤には、働くモチベーションが下がりやすい傾向が見られます。また「仕事は嫌じゃないけど行きたくない」という場合なども当てはまりやすいと言えるでしょう。
そもそも働きたくないから
仕事よりもプライベートに大きな比重を置いている場合は、働くことや仕事そのものにモチベーションを感じにくい場合もあるようです。特に、趣味の活動やプライベートな交友関係で忙しい時期などは、「仕事に行きたくない」と感じやすいかもしれません。
「仕事に行きたくない」を乗り切るための対処法
「仕事に行きたくない」という気持ちを乗り切るための対処法を紹介します。
「仕事に行きたくない」と思う理由を書き出してみる
「仕事に行きたくない」「会社が嫌」「家にいたい」と思う理由を思いつくまま紙に書き出してみましょう。まず、「仕事内容・仕事量への不満」「職場でストレスを感じていること」「プライベートも含めて悩んでいること」などを具体的に書き出して整理していきます。
次に、それらの理由に対して「仕事に行きたくないのは、一時的な感情なのか」「自分の力で不満やストレス、悩みを解消できそうか」などを考えてみることで、納得できたり、解決策が見つかったりする可能性もあるでしょう。
「一時的な感情ではない」「自分の力では解消できない」と感じたら、転職を検討してみるのも一つの方法です。以下の記事も参考にしてみましょう。
思いきって仕事を休んでみる
どうしても仕事に行きたくないと感じたら、有給休暇を取得するなどで、思いきって仕事を休むことも必要かもしれません。しっかり休んでリフレッシュすることで、仕事に行くモチベーションが高まるケースは少なくないものです。
友人・同僚などに相談してみる
職場の人間関係に悩んでいる場合は、仕事と関係のない友人などに相談してみる方法もあります。仕事や将来について悩んでいる場合は、同僚などに相談してもいいでしょう。誰かに話すことでストレスが解消されたり、自分の考えを整理できたりするかもしれません。また、第三者のアドバイスで、解決策やモチベーションを高めるヒントが見つかることもあります。
運動することでリフレッシュしてみる
ジョギングやウォーキング、ジム、ストレッチなど、運動することで脳を活性化し、心身をリフレッシュさせる方法もあります。運動による適度な疲労感でよく眠れるなど、体調を整えることにも役立つでしょう。
仕事の振り分けや配属について上司に相談してみる
業務量の負担が多い場合や、仕事の責任が重いと感じている場合は、上司に相談してみることで軽減できるかもしれません。また、人間関係に問題がある場合は、異動や所属チームの変更などの相談をすることで、相性の合わない人物と距離を置けることもあります。
テレワークについて相談してみる
通勤や人間関係などにストレスを感じている場合は、会社や上司にテレワーク勤務ができないか相談してみる方法もあります。「出社せずに働きたい」という思いを実現できるかもしれません。テレワークも選択できる場合は、家にいる日と通勤する日を調整し、ストレスが溜まらない働き方を意識してみましょう。
自分のいい部分を探してみる
「仕事でミスが多い」「上司に評価されない」などで自己肯定感が下がっている場合は、自分のいい部分を探してみましょう。友人などに自分の強みや長所を教えてもらうことでも自己肯定感を高められるかもしれません。
仕事や職場の人との向き合い方を変えてみる
自分の考え方を変化させることで、仕事で達成感を得られるようになるケースや、職場の人間関係が良くなるケースもあります。自分なりに目標を持てば、今まで気づかなかったやりがいや成果を挙げる喜びを感じられるかもしれません。また、相性が合わない人への接し方を変えることで、関係性が良くなることもあるでしょう。
朝、仕事に行きたくない時のモチベーションの上げ方
朝、出社する前に「家にいたい」「行きたくないけど行くしかない」と感じた時のモチベーションの上げ方を紹介します。
好きな音楽を聴いて気持ちを切り替える
自分の好きな音楽を聴くことで、気持ちが切り替わったり、テンションが上がったりするケースもあります。また、脳をリラックスさせる音楽などで、仕事のプレッシャーを和らげることができるかもしれません。
朝食をしっかり取る
朝食をしっかり取り、仕事に行くためのエネルギーをチャージすることも大事です。また、早起きして朝食の美味しい店に出かけるなどで、気持ちを切り替える方法もあります。心身を充実させることで、仕事に行くモチベーションを高めやすくなるでしょう。
早い時間の入浴と睡眠を心がける
仕事に行きたくない気持ちを紛らわせたいために夜更かしするなどで、しっかり休息できていないケースもあります。早い時間に入浴し、きちんと睡眠を取って体を休めることも意識してみましょう。体調を整えて朝にスッキリと目覚めれば、仕事に行くモチベーションも高まるかもしれません。
仕事に行きたくないと思った時に注意したいこと
仕事に行きたくないと思った時に、注意したいことを紹介します。
仕事に行きたくなくても、このような行動は避けよう
感情的になり、勢いだけで会社を辞めることはおすすめできません。一時の感情で仕事を辞めれば後悔するかもしれませんし、自分に合う転職先がすぐに見つからないことも考えられます。
また、無断欠勤は、その後の仕事や職場の人間関係に悪い影響を及ぼすかもしれません。仕事を休む時には、きちんと連絡することが大事でしょう。
心身に拒否反応が出ている場合は迅速な対処を
心身に拒否反応が出ているなどの異常を感じる場合は、迅速な対処が必要となるケースもあります。周囲の人に相談して客観的な意見を聞き、上司や人事担当者などに休職について相談したり、メンタルヘルスを専門とする医師に診断を受けたりすることもよいかもしれません。会社の中で相談できる相手がいない場合は、公的機関の相談窓口などを頼ることも考えてみてはいかがでしょうか。
「仕事に行きたくない」と思ったら、転職を検討するのも一つの方法
「さまざまな対処法に取り組んでも、モチベーションが上がらない」という場合は、転職を検討するのも一つの方法です。やりがいある仕事やストレスなく働ける環境に転職できるかもしれません。
「仕事に行きたくないと感じるのは甘えではないか」「今の会社も嫌ではないし、辞めるほどではないかもしれない」などと感じている場合は、転職するかどうかを決めずに転職活動を始めてみる方法もあります。
例えば、転職エージェントであれば転職支援のプロであるキャリアアドバイザーにキャリア相談をすることもできます。客観的なアドバイスを受けることで、自分の新たな可能性を知ったり、今の会社の良さを再認識したりすることもあるでしょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
記事更新日:2024年06月18日
記事更新日:2024年12月13日 リクルートエージェント編集部