転職エージェント経由で応募した企業から内定が出たものの、内定辞退してもよいのかお悩みの方もいるでしょう。そのような場合に、転職エージェントや企業への印象に配慮した内定辞退の伝え方について、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。
転職エージェント経由で内定辞退はできる
転職エージェント経由で応募した企業であっても、内定を辞退することはできます。ここでは、内定通知を受けて回答期限内に辞退する内定辞退の場合と、内定を承諾したあとに辞退する内定承諾後辞退の場合について解説します。
内定辞退を決断したら早めに連絡する
内定辞退をすると決めたら、転職エージェントの担当者へできるだけ早めに連絡して伝えます。
企業が指定した回答期限内であれば問題ありませんが、企業側は内定を出した応募者から回答があるまで、他の応募者の選考や内定通知を保留している可能性があるためです。また選考中の応募者が他にいない場合は、一から募集し直すケースもあるため、採用担当者や他の応募者への配慮を考え早めに辞退の連絡をしましょう。
企業や転職エージェントの営業時間内であれば、まずは電話して辞退の旨を伝え、その上でメールを送っておくことをおすすめします。
内定辞退は転職エージェント経由で企業に伝える
転職エージェント経由で応募した場合、直接企業に連絡するのではなく、転職エージェントを通して内定辞退を伝えます。
内定辞退の伝え方は、メールと電話どちらでも問題ありません。それまで転職エージェントとやり取りしていた方法や、求職者が連絡しやすい方法を取るといいでしょう。
ただし、メールで連絡をした場合でも、転職エージェントが企業に報告するために内定辞退の詳しい理由を確認するために求職者に電話をかけるケースも多いようです。
転職エージェントから電話がきたら、誠意を持って対応しましょう。
内定承諾後の辞退はリスクも踏まえ、迅速に転職エージェントに相談する
内定承諾後辞退をすることは、受け入れ準備を始めている企業に迷惑がかかってしまうことや、トラブルになるリスクが考えられます。場合によっては、準備にかかった費用を請求されるケースもあります。これらのリスクを踏まえたうえで、内定承諾後辞退をする場合には、できるだけ早く転職エージェントに相談し、誠実な対応を心がけましょう。
内定辞退のメール・電話での伝え方【例文】
内定辞退を伝える際の例文を、転職エージェント経由で伝える場合と、内定承諾後に直接企業に連絡する必要があった場合に分けて紹介します。
転職エージェントへ伝える場合
転職エージェントに内定辞退を伝える例文を紹介します。基本的には応募先企業へのお詫びを伝えますが、文末には転職エージェントへの感謝の気持ちを添えてもよいかもしれません。
メール例文
件名:内定辞退のご連絡/氏名
本文:
〇〇〇エージェント
△△△様
お世話になっております。
×××社の内定のご連絡をいただいた〇〇です。
大変恐縮ではございますが、内定を辞退させていただきたく、
ご連絡を差し上げました。
内定をいただいたことをきっかけに、
今後のキャリアについてじっくりと考え抜いた結果、
現職に留まり、異動希望を出すことにいたしました。
内定を出していただいた×××社の皆様に対しても、
ご期待に添えず心苦しさを感じています。
恐れ入りますが、×××社の皆様に内定辞退の旨と、
お詫びをお伝えいただけますでしょうか。
この度は内定辞退という結果となってしまいましたが、
キャリアをじっくり考える機会を設けていただき、本当に感謝しております。
末筆ながら、貴社、そして×××社のますますの発展をお祈りしております。
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署名
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電話例文
お世話になっております。〇〇社の内定をいただきました△△です。
いまお時間をいただいてもよろしいでしょうか?
先日は内定のご連絡をいただき本当にありがとうございました。
頂戴した内容を、今後のキャリアプランなども含めて改めて検討させていただいた結果、
大変心苦しいのですが、今回の内定を辞退させていただきたくご連絡を差し上げました。
(理由を聞かれた場合)
他社でも内定の方向で話が進んでおり、そちらへの入社を考えております。
これまでサポートいただいたにもかかわらずこのような結果となり、誠に申し訳ございません。
なにとぞよろしくお願い申し上げます。
内定承諾後に辞退を転職エージェントに伝える場合
内定承諾後に企業に直接連絡が必要になった場合の例文を紹介します。
メール例文
件名:内定辞退のご連絡/氏名
本文:
〇〇〇エージェント
△△△様
大変お世話になっております。
○月に中途入社予定となっている××(名前)です。
誠に申し訳ございませんが、内定辞退のご連絡でメールいたしました。
内定承諾後の辞退となり、大変なご迷惑をおかけし心苦しく思っております。
貴社への入社を決め退職交渉を開始したのですが、現在勤めている会社から、
私が長く希望していた部署への異動を打診されました。
悩んだ末、もう一度いまの会社で新たなチャレンジに向かうことが、
私のキャリアにとって重要であると考え、内定辞退を決めた次第です。
まずは、なるべく早いタイミングで辞退のご連絡をすべきだと、メールにてお伝えしました。
直接ご説明にお伺いすることも可能ですので、その際は日程調整させていただきます。
貴社からは、非常に魅力的なオファーをいただきながら、申し訳ございません。
何卒よろしくお願い申し上げます。
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署名
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電話例文
お世話になっております。〇〇職の内定をいただきました△△です。
お忙しいところ失礼いたします。いまお時間いただいてもよろしいでしょうか。
大変心苦しいのですが、この度、御社からの内定を辞退したくご連絡いたしました。
内定承諾後のご連絡となり、ご迷惑をおかけし申し訳ありません。
(理由を聞かれたら)
御社への入社を決めていたのですが、先日、勤めている会社から、かねてから行きたかった部署への異動を打診されました。任される仕事内容についても話があり、もう一度ここでチャレンジすることが、自分のキャリアにとって重要だと考え直しました。
このタイミングでの内定辞退となり、御社には多大なご迷惑をおかけしたことを、本当に申し訳なく思っています。直接お伺いして、お話することももちろん可能ですので、おっしゃってください。
まずは口頭にて状況のご説明をしたく、ご連絡を差し上げました。
後ほど、メールでも辞退理由とお詫びをお伝えさせていただきます。
なにとぞよろしくお願い申し上げます。
転職エージェントが内定辞退を引き留めてきた場合
明確に辞退することを決めている場合は、転職エージェントに辞退の意思をはっきり伝えましょう。その際に申し訳ないという気持ちで曖昧な回答をするよりも「次に紹介してもらう企業とのミスマッチを未然に防ぐことにつながる」という意識を持てば、スムーズに伝えやすいでしょう。
迷ってしまったら内定保留してみるのも手
迷いがある場合は回答期限ギリギリまで、返事を保留して検討してみるのも手です。
仕事内容、社風、年収などの迷っている理由や、他社の結果がまだ出ていないので判断できないことを転職エージェントに素直に伝えてみましょう。
その際ただ回答を保留するのではなく、企業との面談や訪問、回答期限の延長を打診してみるといったアクションを起こして、辞退の理由をクリアにする追加情報を得る行動をしながら考えてみてもいいかもしれません。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。