会社や社会から必要とされている実感を持って働きたいという気持ちは、働く人々が心に持っている普遍的な欲求でしょう。
しかし働きたい気持ちはあるものの職場で仕事がない、またはやりたい仕事がないと感じて自分のキャリアの方向性を見失ってしまう人も少なくありません。
この記事では、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏に「仕事がない」と感じた時の理由や対処法、具体的な行動について解説いただきました。
職場に「仕事がない」と感じた時に考えてみること
仕事がないと感じた場合の理由について、具体的な例を挙げてみました。自分に当てはまるケースを参考にしてみてください。
任された仕事だけをしている
任された仕事だけをこなしている場合、早く終わって時間が余るなど手持ち無沙汰で仕事がない状況になる場合があります。任された仕事に対し「どうすれば実績として残せるような仕事になるのか?」という視点を持つことで、新たにやるべきことが見えてきて、仕事がないと感じる時間が自然と減るでしょう。
また入社からある程度経過しているという人は、新人の頃とは違い「何をしたらいいかわからない」といった疑問は解消されているはずです。任された仕事以外にも仕事がないか、上司や先輩など周りを見て考えてみるのもよいかもしれません。
出来る仕事の幅が狭い
スキルや知識不足により、任せられる仕事の幅が狭いケースもあるでしょう。
様々なことを依頼される人は、他部署からも協力を依頼されたり、知識を貸してもらいたいなどの相談が来たりして仕事を任されている場合もあります。
自分に足りない要素が原因だと感じたら、資格取得や自主的な勉強に取り組むなどを検討するとよいかもしれません。
仕事が早く片付いてしまう
自分だけ仕事が早く片付いてしまう場合には、周りの同僚や先輩の仕事のやり方と比較してみることをおすすめします。実は自分の仕事のやり方に、チェックなどのひと手間が足りていなかった、手伝うべき場面があった、などの要因が見つかることもあります。
仕事がないと感じた場合にするとよいこと
まずは自分の向き不向きを知り、自分にできること洗い出してみるのをおすすめします。そのための具体的な方法をご紹介します。
これまでの人生経験から好き・嫌いなことを選別する
これまでの人生経験から、好きなこと、嫌いなことを選別してみましょう。例えば幼少期に体験したことや学生時代の学校行事、アルバイト経験、勉強、スポーツなどから夢中になれたことを考えてみるのもおすすめです。
さらに社会人として働いてきたこれまでの業務経験の棚卸しをしたり、自己分析をしたりして、自分がどのようなことに向き・不向きと感じるのかを洗い出してみましょう。
世の中の仕事をリサーチしてみる
世の中には意外と自分の知らない仕事は多いものなので、視野を広げてみるためにもどんな仕事があるのか調べてみるのも有効です。その仕事の存在を知らなければ、例え自分に最適な仕事があったとしても、選択することすらできないからです。
求人サイトで募集している職種について、具体的な仕事内容を調べてみたり、商品や経営者に興味を持った企業をピックアップしたりしてみるのもよいでしょう。
自分が評価されたことをピックアップ
上司や先輩、取引先などから評価されたことや褒められた経験があると、自分の得意分野として強みにできることもあります。自分のスキルや知識を発揮できる仕事は、やりがいを感じやすくモチベーションも上がるため、自分にできる仕事として見つけやすくなるでしょう。
「人から認められている」という気持ちは、自分が会社や社会に貢献していることを意識しやすく、そこにやりがいを見出せることもあります。
10年後どんな自分でありたいかをイメージしてみる
自分が10年後「仕事でどんな活躍がしたいか」「理想の生活はどんなものか」などの「ありたい姿」から仕事を考えてみることもできます。自分の現状と将来の姿との差分を洗い出していくことで、どんなスキルや資格を身につけ、どんな仕事を選べば実現可能なのかが見えてくるかもしれません。
仕事がある状態にするためにできる行動
仕事がないと感じてしまう人は「仕事がある状態」にするために、今の職場でもできる方法をご紹介します。
仕事を効率よくする方法を考える
任された仕事をこなすだけでなく、効率よく進める方法や工夫できる点を考えてみることもおすすです。
抜け漏れがないかのダブルチェックをもう一度自分でしてみたり、周りの人達の仕事がスムーズに進められる方法を考えたりすることで、仕事の精度も上がり、仕事がない状態を減らせるかもしれません。周りの自分への評価にも変化を感じられ、やりがいアップにつながる可能性があります。
周囲に手伝うことがないか聞いてみる
自分には仕事がないと感じていても、実は周りの人が忙しそうにしているのを見逃しているかもしれません。
忙しそうにしている人がいたら自ら声をかけて、できることがあるかを確認してみましょう。また困っている人がいる場合も、声をかけてコミュニケーションを取りながら助ける姿勢も大切です。
スキルや能力を伸ばすことを目指す
自分にできる仕事の幅が狭いと感じているとしたら、できることを増やすために資格取得やスキルアップを目指してみてはいかがでしょうか。
スキルアップを意識し、積極的な姿勢で出来る業務の幅を広げれば、周りの上司や先輩もあなたに仕事を任せようという動きに変化する可能性があります。
また日々自分を向上させてスキルアップすることはあなたの自信にもつながり、さらなるキャリアアップにつながるかもしれません。
異動や転職を視野に入れる
前述で紹介したことを試してみても仕事がないと感じるという人は、現在の会社がミスマッチである可能性も考えてみましょう。
自分に合った転職先を検討してみたり、社内での部署異動を願い出たりしてみるのもよいかもしれません。
転職エージェントに相談してみる
今の会社に仕事がないと感じていたり、自分にできる仕事がない…と自信を無くしてしまったりしている人は、一度転職エージェントに相談してみるのも有効です。
転職エージェントなら転職の方向性や現職に留まるべきかなど、一緒に考えてくれるでしょう。
希望すれば自己分析・経験の棚卸しからサポートしてもらうこともできますし、転職市場に詳しいエージェントがあなたの市場価値を考慮しながらマッチする仕事を紹介してくれるはずです。
ひとりで悩んでいた日々の中では見いだせなかったような、新たな未来の選択肢を提案してくれるかもしれません。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。